- 更新日 : 2024年8月8日
トラクターの減価償却の計算方法は?中古の場合まで解説
トラクターは農業者に欠かせない機械ですが、金額が大きいだけに会計上の取り扱いに困る人も多いかもしれません。この記事では、トラクターの減価償却方法について詳しく解説します。耐用年数や中古の場合の取り扱い、国税庁による法定耐用年数、一括償却扱いにする方法などを、具体的な計算式を交えて解説していきます。
トラクターの耐用年数は何年?
トラクターの減価償却を正しく行うためには、正確な耐用年数を知っておく必要があります。
固定資産は、時間が経つと老朽化やモデルチェンジなどでその価値や生産性が下がっていきます。そのため、固定資産が業務上の利益を得るために何年間使えるかあらかじめ定めたものを「耐用年数」と呼びます。減価償却費の基本的な考え方では、固定資産の取得価額を耐用年数で割ったものを計上していきます。
減価償却の対象となる固定資産には、その資産の種類ごとに耐用年数が法律で定められています。これを「法定耐用年数」といい、自己判断で法定耐用年数でない年限で償却することは認められません。
トラクターの法定耐用年数は7年です。これは法律により定められたもので、これ以外の年数で償却することはできません(中古で購入した場合は別の計算式あり)。
トラクターだけでなく、草刈り機、運搬車といった農機具は、平成20年度の税制改正により一律7年となっています。税制改正前はトラクター8年、田植機5年など機械の種類によりバラつきがありましたが、農機具は原則的に一律7年に変更となっていることに注意しましょう。
減価償却について詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。
トラクターの減価償却の仕訳例
トラクターを減価償却する際の仕訳例を見ていきましょう。トラクターをはじめとする農機具は10万円未満の場合、10万円以上の場合、中古で購入した場合で減価償却費の計上方法が異なるため、3パターンの仕訳例を紹介します。
なお、農機具の償却方法は定額法が法定の償却方法です。そのため、ここで紹介する仕訳例はすべて定額法を採用しています。
10万円未満の場合
固定資産であっても、購入金額が10万円に満たないものは「少額の減価償却資産」と呼ばれ、全額を即時損金算入できます。少額の減価償却資産の条件としては、「使用期間が1年未満であるもの」「取得価額が10万円未満であるもの」のいずれかを満たしている必要があります。
よって、トラクターの相場からするとあまりない事例かもしれませんが、中古などの手段でトラクターを10万円未満で購入できれば購入時に一括して費用計上が可能です。この場合、購入時に一括して費用計上するため、減価償却は不要となります。
(仕訳例)中古のトラクターを9万円で購入し、代金は現金で支払った。
10万円以上の場合
10万円以上の農機具はいったん資産計上し、期間に応じて減価償却していく必要があります。新品の農機具は耐用年数が一律7年と定められているため、7年かけて減価償却を行います。
20万円未満の場合は、一括償却資産としての取り扱いも選択可能です。一括償却資産を適用した場合は、月割計算は行わずにどのタイミングで購入しても1年分、全体の1/3の減価償却費を計上します。ただし、ここで紹介する事例では購入金額が70万円のため、一括償却資産とすることはできません。
(仕訳例)期首にトラクターを70万円で購入し、代金は現金で支払った。
購入時は全額資産に計上します。資産科目の「機械装置」を使用。
(仕訳例)期末にトラクターの減価償却を実施する。7年で償却するため、減価償却費は70万円/7年=10万円。
中古で購入した場合
新品のトラクターは法定償却年数の7年で償却しますが、中古の場合は法定耐用年数と経過年数から耐用年数を算出しなければなりません。新品よりも耐用年数が短くなることは感覚的に分かりますが、具体的な計算方法となるとピンと来ないのではないでしょうか。しかし、簡単な計算式があるので安心してください。具体的には以下の式にあてはめて計算します。
※計算結果が2年未満になった場合は、耐用年数は2年として取り扱う。
ここからは上記の式を使って耐用年数を算出した事例を紹介しますので、理解に役立ててください。
(仕訳例)期首に2年使用したトラクターを中古で購入した。金額は50万円で、現金で支払った。
購入時には固定資産科目「機械装置」を使って資産計上し、期末に減価償却を実施していきます。
(仕訳例)期末に中古トラクターの減価償却を実施する。
まずは耐用年数を計算していきます。先ほど紹介した次の式を使って、このトラクターの耐用年数を計算しましょう。
耐用年数=(7年-2年)+(2年×20%)=5+0.4=5.4
耐用年数の計算においては小数点以下が切り捨てとなるため、このトラクターの耐用年数は5年です。よって、減価償却費は50万円/5年=10万円となります。
トラクターは即時償却できる?
トラクターを購入する際にぜひ役立てたい制度に、「中小企業経営強化税制(A類型)」というものがあります。これは、トラクターをはじめとする農機具を購入した際に一括で償却できるという制度です。
諸条件はありますが、適用対象となれば購入した初年度にトラクターを即時償却できます。農機具の購入は高額になりやすいため、利益が出ている事業年度で活用すれば、大きな節税効果が得られるでしょう。
中小企業経営強化税制(A類型)の適用対象となるには、「経営力向上計画」を事前に作成して認定機関の認定を取っておく必要があります。万が一トラクターを先に購入した場合は、購入から60日以内に認定を受けなければならないため注意してください。また、申請には工業会が発行する証明書も必要です。
中小企業経営強化税制の対象となるのは、青色申告している法人と個人です。期間は2023年(令和5年)3月31日までと定められているため、検討中の方は早めに導入準備を進めておきましょう。
この他にも注意が必要な条件があるため、詳しくは中小企業庁公式ウェブサイトを参照してください。
トラクターは即時償却の特例をうまく活用しよう
トラクターには通常の減価償却と即時償却の方法があることを説明してきました。トラクターは高価な農機具であるため、利益が出ているタイミングに合わせて即時償却すれば節税効果が大きくなります。即時償却が有利になりそうな場合は、ぜひ利用を検討しましょう。
ただし、即時償却には事前申請や計画書の作成が必要となり、利用には手間がかかります。順番を間違えると特例を使えなくなる可能性もあるため、購入する前に注意点を確認し、確実な手続きを行ってください。
よくある質問
トラクターの耐用年数は何年?
トラクターをはじめとする農機具の償却年数は一律7年と法律で定められています。詳しくはこちらをご覧ください。
トラクターは即時償却できる?
中小企業経営強化制度を活用すれば、購入時に即時償却が可能です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの違いをわかりやすく解説!
ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの違いがよくわからず、どちらを利用するべきなのか悩んでいる方も多いでしょう。 どちらもリース契約ではありますが、それぞれに特徴があります。本記事ではそれぞれのメリットやデメリット、会計基準での判…
詳しくみる減価償却明細書とは?テンプレートを基に書き方や注意点を解説
減価償却明細書とは、企業が保有する資産の減価償却状況を一覧にした帳簿を指します。個々の固定資産の減価償却の流れを記載した固定資産台帳とは別の帳簿です。 減価償却明細書があると「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」の別表を作成しやすくな…
詳しくみる減価償却費を月割りで計算する方法は?具体例と共に紹介
減価償却費は資産の価額に償却率を掛けて計算し、耐用年数で償却するものです。しかし、取得の時期は1年の途中であることも多く、正確に計算するためには月割り計算が必要です。 減価償却費の計算方法には定額法と定率法の2種類の方法がありますが、月割り…
詳しくみる法人と個人事業主で減価償却の方法は異なる?計算方法などを紹介
一般的に法人の減価償却費の計算方法は定率法、個人事業主は定額法とされていますが、資産の種類によって変わるため注意が必要です。減価償却における法人と個人事業主の違いについて、計算方法と申請方法、任意性の3つのポイントに分けて説明します。 法人…
詳しくみる雑所得の経費計上で減価償却が必要なものは?
雑所得は10種類に区分される所得のひとつで、他の9種類のいずれにも該当しない所得のことです。主に副業による所得などが雑所得に該当します。副業で使用する減価償却資産がある場合は、一時に取得年度の経費とするのではなく減価償却が必要です。 今回は…
詳しくみる一括償却資産は4年目以降どうなる?帳簿や税務処理の注意点を解説
一括償却資産で処理した場合の4年目以降の対応に迷う人もいるでしょう。本記事では、一括償却資産の概要や金額区分、4年目以降の資産の取り扱い方、実務上の注意点を解説します。 最後まで読めば、一括償却資産の4年目以降の正しい処理方法がわかり、トラ…
詳しくみる会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引