- 更新日 : 2024年8月8日
椅子を購入した際の勘定科目は?仕訳方法を解説
会社のオフィスや会議室で使う椅子を購入した際、会計処理をするための勘定科目は「消耗品費」や「工具器具備品」を使用します。「10万円未満」で椅子を購入した場合は消耗品費、「10万円以上」であれば有形固定資産といったように、条件によって勘定科目が異なります。
そのため、どのように仕訳をすればよいか悩んでしまう人もいるでしょう。今回は椅子を購入した際の勘定科目や仕訳の方法について紹介します。
椅子を購入した際の勘定科目は?
会社や事業所、事務所などで使う椅子を購入した際は「消耗品費」「工具器具備品」「一括償却資産」のうち、いずれかの勘定科目を使用して計上します。どの勘定科目が適用されるのか判断するポイントは、椅子購入の際の金額です。
例えば、オフィスで使うようなパイプ椅子は、大きな費用にならないケースがほとんどです。基本的に10万円以下の椅子であれば「消耗品費」として帳簿に記帳します。
一方、購入費用が10万円以上の金額になる場合は、固定資産として計上しなければなりません。なお、複数の椅子を購入した場合、1脚の単位で取引価格を考えるため、固定資産になるかどうかは判断が必要になります。
消耗品
前述の通り、基本的に椅子の勘定科目は「消耗品」を使用します。例えば、簡易的な椅子やパイプ椅子のように安価かつ耐用年数が1年未満と短いものは、資産に計上できません。
消耗品に類似する勘定科目に「雑費」があります。雑費とは、勘定科目のどれにも属さないものを計上するために使うものです。
消耗品との違いは、その物品や場所を利用して発生する費用ではない点といえます。椅子の場合は、利用する理由があり購入するため、消耗品に該当すると覚えておきましょう。具体的な仕訳例は、以下の通りです。
【例】会社の会議室で使用するための椅子を3万円で購入し、代金は現金で支払った。
なお、消耗品と雑費についての詳しい使い分けや仕訳方法については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
工具器具備品
「工具器具備品」は消耗品の対象になるものとは異なり、耐用年数が1年以上の椅子が対象の勘定科目です。また、購入した際の金額(取得価額)が「10万円または30万円以上」の工具と器具・備品にも適用されます。
この場合、椅子は有形固定資産として扱われ、資産を計上して減価償却をします。具体的な仕訳例は以下の通りです。
【例】会社の応接室で使用するための椅子を25万円で購入し、代金は現金で支払った。
さらに詳しく工具器具備品について知りたい人は、次のページを参考にしてみてください。
一括償却資産
「一括償却資産」とは「20万円未満」の減価償却資産を取りまとめて計上するための勘定科目です。オフィスで使う備品も対象となるため「20万円未満」の椅子の勘定科目としても使えます。
ただし「10万円未満」の場合は消耗品として扱われるケースが多く、資産ではなく経費として計上が可能です。一括償却資産の場合、決算時に減価償却費として、取得金額の1/3の金額を計上します。具体的な仕訳例は、以下の通りです。
【例】会社の応接室で使用するための椅子を15万円で購入し、代金は現金で支払った。
購入時の仕訳
決算時の仕訳
一括償却資産の対象となる条件や詳しい内容については以下のページをぜひ参考にしてみてください。
少額減価償却資産の特例となる場合
「少額減価償却資産の特例」とは、物品の購入価格が「30万円未満」の場合に適用され、購入金額を経費として処理できるものです。この特例は中小企業を対象とし、通常「20万円以上」の場合は資産になるものを経費として計上できます。
つまり、物品を購入した金額を損金算入することが可能です。2020年の税制改正によって決められた特例の期限は、2022年3月31日までです。特例を受けられれば、経費にできます。
しかし、少額減価償却資産の特例は、誰もが受けられるわけではありません。対象となるためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。
例えば「従業員人数が1000人以下の企業である」「青色申告をしている」「少額減価償却資産の合計が300万円以内である」などの条件が挙げられます。企業で少額減価償却資産を使うための詳しい解説は、以下のページを参考にしてみてください。
椅子とテーブルがセットの場合
椅子を購入する場合に、椅子とテーブルがセットであるものを購入する場合があります。その際は、椅子とテーブルの取得価額をそれぞれ計上せず、セットとして判定します。
例えば、応接室に使う机と椅子のセットを購入するとしましょう。同じ商品であったとしても、机と椅子のセットのほうが安いのであれば、セットで購入した金額が取得価額として計上されます。
このように椅子単体で購入した場合には消耗品として計上されるものも、テーブルとセットの場合には消耗品として計上される可能性があります。
椅子の耐用年数は?
椅子の耐用年数は、使用される材料によって異なります。耐用年数は資産の取得にも関わる内容のため、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
よく間違われる「耐久年数」は、商品を売り出したメーカーが独自で公表している年数です。そのため、法律で決められた効用喪失日とは異なります。
具体的には、ほとんどの椅子の耐用年数は8年とされています。ただし、金属製の椅子は15年と長くなっているため注意が必要です。
椅子以外の備品や建物も含めて、それぞれの耐用年数を詳しく知りたい人は、以下のページを参考にしてみてください。
椅子の勘定項目を理解し正しい仕訳をしよう
椅子を会計処理する際は、消耗品費をはじめとする勘定科目で仕訳をします。それぞれ耐用年数や購入した際の金額によって、どの勘定科目に当てはまるかが異なります。
そのため、企業で購入した椅子がどの勘定科目に該当するか、事前に把握しておかなければなりません。また、取得価額の判定や少額減価償却資産の特例など、計上の際に知っておきたい内容もいくつか存在します。
椅子の勘定科目を正しく理解し、正しく仕訳ができるようにするために知識を深めておきましょう。
よくある質問
椅子を購入した際の勘定科目は?
事業で使用するために椅子を購入した時は「消耗品費」や「工具器具備品」の勘定科目を使って記帳し、購入時などの費用として処理します。詳しくはこちらをご覧ください。
椅子の耐用年数は?
椅子や応接セットの法定耐用年数は、主として金属製のものは15年、その他のものは8年となります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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