- 更新日 : 2025年2月20日
子会社株式とは?わかりやすく解説
「子会社株式」とは企業が保有する資産の1つで、他の企業の議決権を行使するためのものです。子会社に該当すれば、運営方針や人事などで決定権を得られます。しかし、子会社に該当する基準は意外と知られていません。
本記事では子会社株式とは何かを解説するとともに、子会社の判定基準について紹介します。また、似ている用語の「関連会社」や「関係会社」の意味や違いもみていきましょう。
子会社株式とは
子会社株式とは、勘定科目「有価証券」の1つです。資産勘定は「売買目的有価証券」「満期保有目的債券」「子会社株式・関連会社株式」「その他有価証券」の4つに分かれます。
そのうち子会社株式は、子会社への支配権を持つために保有するものです。具体的には会社の議決権の過半数を所有していると、株主総会で親会社として支配権を得ます。
100%の議決権を保有している場合は「完全子会社」です。また、株式が過半数以下の場合でも相手の企業から取締役が選定され、その人数が過半数を超えると子会社と判断されるケースがあります。
このように子会社株式があれば子会社の決定権を持つこととなるため、貸借対照表で仕訳をするためには、企業の「資産」として計上しなくてはいけません。
子会社の判定基準
子会社の判断基準は、会社法に基づき設けられます。株主総会の議決権を過半数持ち、会社の支配している法人をさします。
子会社の判断基準のポイントは「支配の状況」です。前述の通り、会社の議決権の過半数を超えて保有していれば、支配権が得られます。
しかし、過半数を超えない場合でも「特定の者」の議決権と「一定の要件」に該当すると、子会社として判断される可能性があるのです。子会社との支配関係の実態が判断基準に影響するため、以下の要件を確認しましょう。
他社の会社の議決権の50%超を保有している | ||
他社の会社の議決権の40%以上、50%以下保有している | 特定の者の議決権とあわせて50%超または一定の要件 | |
他社の会社の議決権の40%未満を保有している | 特定の者の議決権とあわせて50%超かつ一定の要件 |
「特定の者」とは?
子会社の判断基準に定められた「特定の者」とは、企業との密接な関係にあり議決権の行使を認められた者のことです。密接な関係とは、具体的に人事や出資、取引関係で企業と同一の意志を持つと判断された場合に認められます。
また、企業の議決権の20%以上を保有しているか、それ以外の条件を満たしていることが条件です。そのため、自社の議決権と特定の者の議決権を合計して過半数を超えた場合は、子会社となります。
一方、特定の者の議決権を含めても過半数に満たない場合は、「一定要件」に該当しているかどうかで子会社に該当するかを判断します。
「一定要件」とは?
「一定要件」とは、融資の状況や支配権を持つ人の比率など、企業との関係性によって子会社に該当するかを判断する要件です。
前述の通り、子会社株式と特定の者の議決権を合わせても過半数を超えない場合、一定要件に該当しているかを確認します。要件の具体的な内容は、以下の通りです。
資金面や企業の役員などによって、どれだけ支配権を行使できるかが一定要件の内容となります。そのため、株式が40%未満の場合でも、要件に該当していれば子会社として認められるのです。
関連会社や関係会社との違い
子会社と関連会社、関係会社との大きな違いは「支配権の有無」です。関連会社は「子会社以外の企業から人事、出資、取引などで重要な影響を与える会社」とされています。要件とされる「重要な影響」の例は、以下の通りです。
- 企業の議決権を20%以上保有している
- 企業の議決権を15%で一定の要件を持っている
- 企業の議決権と特定の者の議決権を合わせて20%以上であり、一定の要件を持っている
具体的な一定の要件は、子会社と似たように重要な契約をしていたり、役員の派遣で運営方針の決定ができたりといった内容です。しかし子会社とは異なり、決定権や支配権を行使する対象ではないといえるでしょう。
また、関係会社は親会社・子会社・関連会社のすべてをまとめて見たときに使う呼び方で、会計上でも同じように使用します。関連会社や関係会社について詳しい解説は、以下のページを参考にしてみてください。
「支配権の有無」による正しい使い分けが重要
企業の支配権を持てる「子会社株式」は、企業との資本関係を表す勘定科目です。「過半数以上の議決権を保有する」や「一定要件を満たしている」といった支配関係にあれば、子会社として判断されます。
一方、支配権ではなく影響力を与えることが認められる「関連会社」や、包括的に会社を見るときに呼ばれる「関係会社」など、ビジネスでよく聞かれる用語との違いも理解しておきましょう。資産会計をする際には、有価証券を正しく使い分け、子会社株式の勘定科目を活用してみてください。
よくある質問
子会社株式とは?
子会社株式とは、子会社の支配を目的として保有する株式を処理するための資産勘定を意味します。詳しくはこちらをご覧ください。
子会社の判定基準は?
子会社の判定基準は「保有する議決権」と「議決権以外の一定要件」を満たすかどうかで判断できます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
入金催促メールはやんわりと伝えるべき?例文や書き方、返信例を紹介
取引先からの入金が期日までに行われず、慌てた経験がある事業者の方もいるのではないでしょうか。 中には「大切な取引先に入金を催促するのは気が引ける」という方もいるかもしれません。そこで今回は、取引先から期日までに入金がない場合に送る入金催促メ…
詳しくみる税理士とのやりとりを効率化!クラウド型会計ソフトでデータ共有
この記事では、顧問税理士とのやりとりを少しでも効率化したい、面倒なやりとりを無くしたい、データを共有したいという方に向けて、現状の問題点とクラウド型会計ソフトで解消できることを説明していきます。 インストール型会計ソフトや表計算ソフトを使っ…
詳しくみる当座預金と普通預金の違いは?メリット・デメリットまで解説!
金融機関に金銭を預ける預貯金は、個人だけでなく法人も広く利用しているサービスです。事業を営む法人や個人事業主は、普通預金や定期預金以外に当座預金も利用できます。事業者向けの当座預金とは、どのような預金なのでしょうか。この記事では、当座預金の…
詳しくみる一人経理はリスクが高すぎる?経営者が知っておきたい2つの相談先
経理にまつわる全ての業務とその責任をたった一人で背負う一人経理。経験者ならともかく、はじめて経理を担当するにも関わらずそんな状況に立たされれば誰もが暗い気持ちになってしまいます。 ここでは経理担当者はもちろん、経営者も知っておくべき経理業務…
詳しくみるこの依頼はどっち?具体例でわかる税理士と公認会計士の違い【5つの質問付き】
街中でよく「◯◯会計事務所」「◯◯税理士事務所」「◯◯公認会計士事務所」といった看板を目にしたことがありませんか? 税理士や公認会計士は普段の生活であまり関わることがないため、それぞれの事務所が何をしてくれるところなのか、わからない方も多い…
詳しくみる連結貸借対照表とは?分かりやすく解説!
連結貸借対照表とは、企業集団の連結決算時において作成される連結財務諸表のひとつで、企業集団全体の資産、負債、純資産の状態を表すためのものである。 連結貸借対照表とは 連結貸借対照表(れんけつたいしゃくたいしょうひょう、Consolidate…
詳しくみる