• 作成日 : 2022年2月4日

未渡小切手とは?仕訳から解説

未渡小切手とは?仕訳から解説

未渡小切手とは、取引先に渡す予定で振り出したにもかかわらず、渡せないままになっている小切手のことです。本記事では、未渡小切手が見つかった場合の対処方法や、混同されがちな未取付小切手との違いについて解説しています。未渡小切手の取扱い方が分からず困っている人は、仕訳例も紹介していますのでぜひ参考にしてください。

未渡小切手とは

取引先などに渡す予定で小切手を振り出して待っていたにもかかわらず、先方が取りに来なかったなどの事情で、渡さないまま手元に残っている自己振出小切手のことを未渡小切手と呼びます。未渡小切手は、決算整理を行っているときや月次点検などで発見されることが多いといわれています。

未渡小切手は必ず発生するものではありません。しかし、小切手を渡すタイミングが合わないといった事情は、どの企業でも起こり得ます。もし未渡小切手があった場合は、適切な処理を行わなくてはいけません。

具体的には、未渡小切手は支払処理を行ったにもかかわらず手元に残っているものです。自己が振り出した小切手が相手に渡されていないと分かった時点で、支払を取り消す必要があります。会計処理としては、基本的に振出時の逆仕訳で支払自体を取り消す処理が必要です。

仕訳する際の注意点としては、支払時点に計上した費用はすでに発生しているので、これを取り消すことはできないことです(費用は発生しているにもかかわらず、まだその代金を支払っていない状態)。

したがって、費用の支払に相当する部分は単純な逆仕訳でなく、「未払金」勘定とする必要があります。後述の仕訳例でも解説していますので、参考にしてください。

未取付小切手との違い

未渡小切手と合わせて論点にされることが多いものが「未取付小切手」です。未渡小切手と未取付小切手は性質が異なるものの、名前が似ていて混乱してしまう人も多いので、改めて確認しておきましょう。

未取付小切手とは、小切手を振り出して取引先に渡したにもかかわらず、先方が銀行に持ち込まずまだ換金されていないものです。銀行で取得できる当座預金の残高証明書と、帳簿上の金額が合わないことで判明するケースが多くなっています。

未取付小切手は、取引先の都合でまだ換金していないだけで、こちらに支払義務があることに変わりはありません。いずれ取引先が銀行に持ち込んで換金することはほぼ間違いないので、未取付小切手があったとしても特に仕訳をする必要はないということになります。

「そのまま取引先が換金しなかったらずっと帳簿残高が合わないままなのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、換金しないと支払い手段として使えず困るのは、取引先も同じです。換金されないまま放置されることは現実的に考えづらいので、安心してよいでしょう。

未渡小切手の仕訳

未渡小切手が見つかった場合、どのような仕訳で対応すればよいのでしょうか。ここでは、単純な逆仕訳で対応できる場合(仕訳例1)と、費用部分に別途対応が必要な場合(仕訳例2)という2つのパターンを紹介します。状況別の対応を理解しておきましょう。

(仕訳例1)
決算日に金庫の点検をしたところ、小切手7万円が未渡しのままになっているのが見つかった。A商事あての仕入代金支払いのために発行した小切手だが、取引先の集金が決算日後に変更になったのが原因ということだった。なお、小切手振出時には以下の仕訳を行ったことが分かっている。

借方
貸方
摘要
買掛金
70,000円
当座預金
70,000円
A商事
仕入代金

修正仕訳は以下の通りになります。

借方
貸方
摘要
当座預金
70,000円
買掛金
70,000円
A商事
仕入代金
小切手の未渡し

仕入代金の支払いに充当する部分は、上記のように単純な逆仕訳で問題ありません。

(仕訳例2)
金庫の点検をしたところ、B商事あての買掛金支払のために振り出した小切手10万円と、広告宣伝費5万円(C誌の雑誌広告)の2枚が見つかった。いずれも取引先が取りに来ないままだという。未渡小切手として修正処理を行った。なお、小切手振出時には以下の仕訳を行ったことが分かっている。

借方
貸方
摘要
買掛金
100,000円
当座預金
150,000円
B商事
仕入代金
広告宣伝費
50,000円
C誌
雑誌広告

修正仕訳は以下の通りになります。

借方
貸方
摘要
当座預金
150,000円
買掛金
100,000円
B商事
仕入代金
小切手の未渡し
未払金
50,000円
C誌
雑誌広告
小切手の未渡し

広告宣伝費はすでに費用が発生しているため、単純な逆仕訳で費用計上を取り消すのは不適切です。費用の支払に相当する部分は未払金として処理することに注意しましょう。
この仕訳例と同様に、費用に相当する部分以外にも商品以外の資産(備品など)の購入のために振り出した小切手も未払金として処理する必要があります。

未渡小切手が見つかったときは適切に処理することが重要

未渡小切手は、注意していても時に発生する可能性があるものです。それほど頻度が高いものではないかもしれませんが、未渡小切手が見つかった場合に適切な対応ができるようにしておくことが大切です。

特に費用科目に対応した小切手が未渡小切手となっていた場合には、修正仕訳の方法に気をつけるようにしてください。

よくある質問

未渡小切手とは?

取引先などに渡す前提で小切手を振り出して待っていたにもかかわらず、先方が取りに来なかったなどの事情で渡さないまま手元に残っている自己振出小切手のこと。 詳しくはこちらをご覧ください。

未渡小切手の仕訳のポイントは?

商品代金の支払でないもの(すでに費用が発生しているものや固定資産の購入など)は、未払金として処理することに注意が必要。 詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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