- 更新日 : 2024年8月8日
セミナーやイベント参加費の仕訳と勘定科目まとめ
セミナーやイベントへの参加費は、経費として計上できます。その場合、目的によって諸会費や交際費、福利厚生費などの勘定科目で仕訳をすることが可能です。
また、セミナーなどを主催するときにも、費用の一部あるいは全部を経費として計上できることがあります。具体的には何を経費に算入できるのか、どのような勘定科目で仕訳するのかについて見ていきましょう。
目次
セミナーやイベント参加費の勘定科目は目的別で使い分ける
セミナーやイベント参加費は、参加した目的によって勘定科目が異なります。正しい勘定科目で仕訳をすることで、後で見返しやすい帳簿が作成できるでしょう。
また、一度使った勘定科目は使い続けることが大切です。例えば、取引先が主催するイベントに参加するときに「交際費」の勘定科目を用いた場合は、次回以降も取引先が主催するイベントに参加するときは「交際費」で仕訳をしましょう。このように勘定科目を目的ごとに統一することで、経費の内訳が把握しやすくなり、より効率的な経営に活用ができます。
セミナーやイベント参加費の仕訳
セミナーやイベントに参加するときの参加費には、特に決まった勘定科目はありません。セミナーやイベントに参加する目的により勘定科目が決まります。目的別に利用できる勘定科目を紹介するので、仕訳をする際の参考にしてください。
諸会費
会社の業務をおこなう上で特定の団体に所属している場合は、団体が提供するセミナーやイベントへの参加費は「諸会費」として仕訳ができます。例えば、運送関係の企業であれば、地元の運送会社で構成されている団体に所属していることもあるでしょう。このような団体が開催するセミナー、イベントに参加するときは、「諸会費」として次のように仕訳をしてください。
なお、団体の年会費、入会費なども「諸会費」として仕訳ができます。仕訳をする勘定科目が多くなり過ぎないようにすることで、見やすい帳簿を作成しましょう。
セミナーやイベントの参加費をクレジットカードで支払ったときは、貸方を「未払金」として次のように仕訳ができます。
セミナーやイベントの参加費を含めたクレジットカードの料金が引き落とされたときは、次のように仕訳をします。そのため、現金のときは1回のみ帳簿に記載することになりますが、クレジットカードのときは2回記載することが必要です。忘れずに記帳するようにしましょう。
交際費
飲食を伴うセミナーやイベントに参加した場合は、「交際費」として仕訳をすることが可能です。事業に関係のある者への接待や慰安なども「交際費」として仕訳ができるため、取引先が主催するイベントに参加するときや、取引先を誘ってイベントに参加するときにも「交際費」の勘定科目が使用できます。
研修費
従業員の研修目的のセミナーに参加するときは、「研修費」の勘定科目で仕訳をします。セミナー参加費だけでなく教材費などが別途で発生したときも、「研修費」として仕訳が可能です。分けずに支払ったときやまとめて仕訳をするときは、摘要欄に内訳として書いておくこともできます。
なお、セミナーの参加費は「研修費」、教材費は「新聞図書費」として別の勘定科目で計上することも可能です。しかし、「新聞図書費」の勘定科目を普段使用していない場合には帳簿が煩雑化するため、「研修費」にまとめておくほうがよいでしょう。
福利厚生費
従業員の福利厚生目的のセミナーやイベントの参加費は、「福利厚生費」として仕訳をすることが一般的です。しかし「福利厚生費」として仕訳をするためには、次の条件を満たす必要があります。
- すべての従業員が参加できるセミナーやイベントであること
- 常識の範囲内の金額であること
- 社内規定でセミナー費などの支給基準を設けていること
この3つをすべて満たしていない場合は、「福利厚生費」としては仕訳ができません。イベントの内容や性格を吟味した上で、正しい勘定科目に仕訳をしていきましょう。
広告宣伝費
企業の認知度向上のためのイベントであれば、イベントやセミナーなどの参加費用を「広告宣伝費」として計上することが可能です。例えば、企業名の書かれたゼッケンをつけて参加するマラソン大会や、社名を大々的に打ち出して参加する地域のイベントなどに参加する費用は、「広告宣伝費」の勘定科目を使用して仕訳をしましょう。
セミナーやイベントを主催した場合はどんなものが経費になる?
セミナーを主催する場合は、使った費用の一部あるいは全部を経費として計上できます。例えば、運営スタッフなどに支払う人件費は「給与手当」として仕訳をし、経費として計上が可能です。
そのほかにも、集客するための費用は経費に該当し、「広告宣伝費」としての仕訳が適当だといえるでしょう。会場を借りるための費用も経費にし、「広告宣伝費」として仕訳することができますが、セミナーによる販売促進を目指す場合、あるいは今後の売上増を目指すことを目的とする場合には「販売促進費」として仕訳をすることもできます。
また、セミナーやイベントで配布するものがある場合も、その費用は経費になるでしょう。配布物が宣伝につながるときは「広告宣伝費」あるいは「販売促進費」として仕訳をすることが一般的です。
セミナーやイベントの終了後に懇親会を開催する場合の費用も経費になり、「交際費」として仕訳ができるでしょう。「交際費」を「接待交際費」の勘定科目で仕訳をする場合は、ほかの交際費も「接待交際費」の名前を用い、帳簿が煩雑にならないように注意してください。また、同じ目的の経費については、一度用いた勘定科目を途中で変更しないことも大切です。
目的に合う勘定科目で正確に仕訳をすることが大切
セミナーやイベントの参加費には、特に決まった勘定科目はありません。セミナーやイベントの目的によって研修費や広告宣伝費などの適した勘定科目を使用するようにしましょう。また、一度使った勘定科目は、同じ目的の参加費に対しては同じものを使用することも大切です。帳簿が見やすくなるように、適した勘定科目を選んでください。
よくある質問
セミナーやイベント参加費で使える勘定科目は?
入会中の団体関係のイベントは「諸会費」、飲食や取引先への接待、慰安に該当するときは「交際費」、研修目的は「研修費」、従業員の福利厚生目的は「福利厚生費」、社名や商品の宣伝目的は「広告宣伝費」とします。 詳しくはこちらをご覧ください。
セミナーやイベントを主催した場合に考えられる経費は?
人件費や集客するための費用、会場を借りる費用、配布物、懇親会費用などを経費として計上ができます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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