- 更新日 : 2024年8月8日
売上高販管費率とは?目安や計算式についてわかりやすく解説!
売上高販管費率とは、その名のとおり、販管費が売上高に占める比率のことを言います。
経費削減策の中でも、販管費の削減がまず取り沙汰されるでしょう。この記事では、その目安や計算式を含め、売上高販管費率について解説します。
売上高販管費率とは?
売上高販管費率とは、売上高の中に販売費および一般管理費が占める割合のことを表す指標を指します。
損益計算書において、販管費と売上高は比較的近い位置にありますので、数字を抽出することは難しくありません。
売上高販管費率は、売上に対する費用の比率が少ないほど経費効率がよいことを示すため、一般に低いほどよいとされます。しかし、サービス業など費用に占める販管費の割合は高いものもあるため、一概に比較はできません。
販管費とは?
販管費とは、「販売費及び一般管理費」を省略した呼称です。
販売費とは、会社が商品などを販売するために直接かかる費用のこと。そして、一般管理費とは、会社全般の業務の管理活動にかかる費用を指します。
販管費は、次のように3分類できます。
このうち、2番目の固定費が高めになる傾向があります。
固定費の主なものには次のものがあります。
販管費の詳細につきましては、以下の記事をご参照ください。
売上高販管費率の目安は?
下の表は2020年に調査した「中小企業実態基本調査」から、産業別及び企業規模別に売上高販管費率を求めたものです。
当然ではありますが、製造業などは売上原価の比率が高いため、売上高販管費率は下がっています。
宿泊業と飲食業は、コロナ禍において大きな影響を受けた業種ですが、売上高販管費率は非常に高いものとなっています。売上の62%が販管費なのですね。
規模別に見ると、やはり企業規模が大きくなるにつれて売上高販管費率が下がっているのがわかります。やはり、業務効率化には規模的な要素もあるということでしょう。
売上高販管費率のすべての平均値は約23%と言えますが、規模や業界から目安を求めたほうがよいでしょう。
売上高販管費率の計算式は?
売上高販管費率の計算式は次のとおりです。
ここで損益計算書の営業利益までの主な経営指標を、売上高販管費率を含めて示しておきます。
経営指標 | 原価/利益 | 計算式 | 意味 | 傾向 |
---|---|---|---|---|
売上原価率 | 原価 | 売上原価 ÷ 売上高× 100% | 売上高に対して、原価の占める割合 | 低いほど良い |
売上高 総利益率 | 利益 | 売上総利益 ÷ 売上高 × 100% | 売上高に対して、売上総利益が占める割合 | 高いほど良い |
売上高 販管費率 | 原価 | 販管費 ÷ 売上高 × 100% | 売上高に対して、販管費が占める割合 | 低いほど良い |
売上高 営業利益率 | 利益 | 営業利益 ÷ 売上高 × 100% | 売上高に対して、営業利益が占める割合 | 高いほど良い |
売上高と比較対象となるものが原価(費用)である場合には、売上高に比して小さいほどよく、売上高と比較するものが利益である場合には、大きいほどよいというのはよくわかるかと思います。
これらの指標間では、「売上原価率+売上高総利益率 = 1」という関係が成り立ちます。また、「売上高総利益率 = 売上高販管費率 + 売上高営業利益率」という関係も成り立ちます。
売上高総利益率との関係は?
売上高総利益率は、会社の商品やサービスの競争力の高さ、付加価値の高さを測るものさしともなります。提供している商品やサービスの「力」を知ることができます。そして、売上高営業利益率は会社の本来の営業活動の強さの指標となります。
すなわち、この2つの利益率の違いは「商品の力」か「会社の営業力」かということになります。上の図でもわかるように、損益計算書上、売上総利益と営業利益の間にあるのは、販管費です。
極端な言い方をすれば、「商品力は強いが、営業力は弱い」場合は、売上高販管費率が高く、「商品力は弱いが、営業力が強い」場合には、売上高販管費率が低いということになります。
これは、売上原価が少ない業種などには当てはまりませんし、収益を売上原価と売上高を相殺後の純益として処理方法にも当てはまりません。しかしながら、売上高に関連する利益率や原価率はお互いに影響し合っているのです。
売上総利益、販管費、営業利益、これらの関係性が自分の会社ではどのようになっているかを分析し、推移を調べてみましょう。
売上高販管費率を計算して経営状態を把握しましょう
売上高販管費率は損益計算書から簡単に求められる指標です。
売上高販管費率をさらに分析するには、販管費の要素となる費用のうち、特に固定費の割合がどのようになっているかを詳細に見ていきましょう。
売上高販管費率を生きた指標とするには、月次単位で売上高販管費率を求め、その推移表を作成するとよいでしょう。
よくある質問
売上高販管費率とは何ですか?
売上高の中に販売費および一般管理費が占める割合のことを表す指標です。詳しくはこちらをご覧ください。
売上高販管費率の計算式は?
「売上高販管費率 = 販売費および一般管理費 ÷ 売上高 × 100%」 となります。詳しくはこちらをご覧ください。
売上高販管費率を分析するには?
販管費のうち、特に「固定費」に着目して科目ごとに調査し、推移を調べることです。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
決算公告をしないとどうなる?義務の対象やリスク、おすすめの公告方法を解説
決算公告は会社法によって株式会社に課せられた義務です。決算公告をしないと会社法第976条2号によって過料が科せられる可能性があるほか、会社の信頼度低下などのリスクが高まります。 本記事では、決算公告をしないことで生じるリスクや、決算公告が義…
詳しくみる貸借対照表の書き方を簡単に解説!エクセル作成も対応
会社は決算の際に「貸借対照表」を税務署に提出します。 この「貸借対照表」には決算日の会社の財政状態が表されており、記載事項には会社の純資産(資本)、そして、それを導き出すための資産や負債があります。書き方が分からない人には煩雑に思えますが、…
詳しくみる決算とは?時期や業務の流れ、必要書類について解説!
健全な経営を図るため、また、株主などのステークホルダーへの会計情報を正確に開示し、透明性を確保する責任を果たすために、会社は「決算」を行います。この記事では、なぜ決算が必要なのかという理由から、決算の時期、決算業務の流れ、決算に関わる書類に…
詳しくみるキャッシュフローとは?キャッシュフロー計算書(C/F)の読み方を解説
キャッシュフロー(C/F)は、一定期間における企業や個人の現金および現金同等物の流入と流出の差額のことです。 企業にとって資金の状況を把握するのは非常に重要です。適切に資金の状況が把握できていなければ、場合によっては経営が困難になる可能性も…
詳しくみる連結決算で親子会社間に決算期のずれがある場合は?わかりやすく解説
連結決算において親・子会社間で決算期がずれている場合、一定の期日を境に対応が異なることをご存知ない企業の方も多いのではないでしょうか。原則として決算日は統一することが推奨されますが、ずれている期間によっては調整しなくても良いケースもあります…
詳しくみる法人決算を自分で(税理士なしで)やる手順を簡単に紹介!
法人決算とは、事業年度ごとに決算書類を作成することを指します。決算書類には貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書などが含まれており、これらの書類から法人の経営状態や信用度などが客観的に把握できます。 法人は会社法や法人税法などにおい…
詳しくみる