- 更新日 : 2022年7月14日
個人事業主も電子帳簿保存をチェックすべき?青色申告65万円控除を受けるには

時代の流れでしょうか。国税関係の手続きや書類もIT化が進んでいます。今や、紙で確定申告をすれば損をすることもあり、企業やフリーランスは速やかに制度に適応しなければいけません。(執筆者:元国税局職員・お笑い芸人 さんきゅう倉田)
目次
2020年10月に改正。電子帳簿保存法改正とは
電子帳簿保存法とは、条件を満たした事業者に、帳簿や書類を電子データで保存することを認める法律です。その条件が厳しく普及が遅れていましたが、電子保存を可能にするケースが追加されたことでより使いやすい制度となりました。
2020年10月に施行される改正法では、電子データの保存要件が緩和されます。過去にも少しずつ改正されていて、どんどん便利になっています。スキャナでの読み取りにスマホでの撮影も加わり、原本の保存も不要になり、金額の上限が撤廃され、白黒画像も認められ、電子証明は不要になりました。
制度を使えば、紙の請求書や領収書の受領・保存は不要になります。企業や個人事業主にとって、事務作業の効率化が進むのは間違いありません。
個人事業主も電子帳簿保存をチェックすべき理由
なぜなら、2020年分の確定申告から、青色申告特別控除の控除額が55万円に減額され、従来どおり65万円の控除を受けるには、e-Taxでの申告か電子帳簿保存が必要だからです。
2020年分の申告から:55万円
青色申告特別控除を受ける条件
ここで、55万円の青色申告特別控除を受ける条件を確認しておきましょう。
これらの条件は、今までの65万円の特別控除と同様です。今まで通り申告すれば、55万円控除は受けられます。
(参考:国税庁|No.2072 青色申告特別控除)
青色申告控除65万円を引き続き受けられる条件
上記1~3に加えて、次のどちらかが必要になります。
1は事前の申請が必要です。2であれば、今までも行っている方が大勢いるでしょう。ただ、確定申告書だけでなく、貸借対照表と損益計算書もe-Taxで提出する必要があります。税務署や確定申告書作成会場のパソコンで確定申告をすると、それらは手書きになるため、65万円の控除は受けられません。65万円の控除を受けたい場合は、自宅から申告しましょう。
電子帳簿保存は承認申請が必要
この電子帳簿保存制度の適用を受けるには、帳簿の備付けを開始する日の3か月前までに申請書を税務署に提出する必要があります。
65万円の控除は受けたいけれど、e-Taxでの申告が難しいために電子帳簿保存を申請するという人は少ないと思いますが、もし申請するのであれば、仕訳帳と総勘定元帳をデータで備付け、保存できるようにしましょう。
2020年9月30日までに承認申請書を提出しよう
2020年(令和2年)分に限っては、承認申請書の提出期限が緩和されています。2020年9月30日までに承認申請書を提出し、2020年12月31日までに、仕訳帳と総勘定元帳をデータで備付け、保存することで、65 万円の青色申告特別控除を受けることができます。
所得税の基礎控除額も変わる
2020年(令和2年)分の申告から、誰でも受けられる所得税の基礎控除額も変わります。
所得が2,400万円以下ならば、10万円増えて48万円になります。所得が2,400万円を超えると少しずつ減っていき、2,500万円超で0円になりますが、その対象となる人はごくわずかです。ほとんどの方が、基礎控除が増額されると考えて良いでしょう。
なお、会社員の方は、給与所得控除が10万円減っているので、ご注意ください。
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超~2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超~2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超~ | 0円 |
(引用:国税庁|No.1199 基礎控除)
おわりに
事業を行う上で、IT化は欠かせません。導入コストはかかりますが、その恩恵は計り知れない。
記帳や申告を電子化すれば、社内だけでな、取引先や役所の業務も効率化されます。この機会にぜひ、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。