• 更新日 : 2024年1月19日

個人事業主の電子帳簿保存法の対応を1から簡単に解説

個人事業主電子帳簿保存法の対応としては、【①電子取引の確認、②会計ソフトが電子帳簿保存法に対応しているか確認、③データの保管場所を決める、④ペーパーレスの運用を検討する、⑤保存ファイル名の統一】などが挙げられます。

電子帳簿保存法は、事業者が会計記録を電子形式で保存することを認める法律です。この法律は、紙の帳簿や書類をデジタル化し、電子的に管理することを可能にし、業務の効率化とペーパーレス化を促進します。

法改正により、特に電子取引に関するデータ保存が強化されており、個人事業主も会計ソフトの導入・変更を視野に入れた、対応の必要があります。この記事では、個人事業主向けに電子帳簿保存法を分かりやすく・簡単に解説します。

※電子帳簿保存法について、一般的な内容をより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

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そもそも電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法とは、条件を満たした事業者に、帳簿や書類を電子データで保存することを認める法律です。その条件が厳しく普及が遅れていましたが、電子保存を可能にするケースが追加されたことでより使いやすい制度となりました。

そもそも電子帳簿保存法とは?

画像引用:【電帳法かんたんガイド】電子帳簿保存法について

電子帳簿保存法は「①電子帳簿等保存」、「②スキャナ保存」、「③電子取引」の3つに区分されます。(※「電子帳簿保存法」と「電子帳簿等保存」が似ている言葉ですが、違う意味を指していますので注意してください)

電子帳簿保存法

①電子帳簿等保存【任意】

電子帳簿等保存

画像引用:【電帳法かんたんガイド】電子帳簿保存法について

電子帳簿等保存は、コンピューターなどで電子的に作成した国税関係帳簿書類の電子保存を認めるものです。
会計ソフトなどにより作成した「国税関係帳簿」「決算関係書類」「自己発行の取引関係書類」については、一定の要件を満たしたときに、電子データ保存できます。

電子帳簿等保存の対象帳簿・対象書類

②スキャナ保存【任意】

スキャナ保存

画像引用:【電帳法かんたんガイド】電子帳簿保存法について

スキャナ保存とは、自己が作成した紙の書類の控えや取引先から受け取った紙の請求書などを、一定の要件のもとスキャンし、電子データ保存を認めるものです。
スキャナでのスキャンだけはなく、スマートフォンやデジカメでの撮影で保存することもできます。

スキャナ保存の対象書類
  • 重要書類(資金や物の流れに直結・連動する書類)
    • 例:契約書 納品書 請求書 領収書 預金通帳 小切手 約束手形借用証書 預り証 送り状 振替依頼票など
  • 一般書類(資金や物の流れに直結・連動しない書類)
    • 例:見積書 注文書 検収書 貨物受領証 口座振替依頼書など

③電子取引【義務】

電子取引データ保存

画像引用:【電帳法かんたんガイド】電子帳簿保存法について

電子取引は、注文書や契約書などの取引情報を紙ベースではなく、電子データで行った場合の電子保存について定めたものです。

電子取引の対象としては「メール」「Webサイト」「FAX」「電子契約」「EDI(電子的データ交換)取引」などが挙げられます。

電子取引の対象書類
  • 電子取引の対象書類は、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書など、紙でやりとりしていた場合に保存が必要な書類(スキャナ保存の対象書類)と同様です。
  • 書類を受け取った場合だけでなく、送った場合にも保存する必要があります。

電子帳簿保存法の改正で個人事業主は何をすべき?

①電子取引の確認

個人事業主は自分の事業が電子取引を行っているかを確認し、もし行っているならば、国税関連の文書を適切な電子的形式で保存する体制を整える必要があります。
保存方法に関する法の要件を理解し、それに従って適切なシステムやソフトウェアを導入することが大切です。

たとえば、オンラインショッピングやクレジットカードの利用、交通系ICカードの利用した際の電子データによる明細も対象です。

②会計ソフトが電子帳簿保存法に対応しているか確認する

個人事業主も企業も、電子データの保存において、電子帳簿保存法に準拠する会計システムの使用が推奨されています。

会計ソフトを現在利用している場合は、電子帳簿保存法に対応できているかどうかを確認しましょう。特に、会計システムが電子帳簿保存法のどの要件(例えば、電子帳簿保存・スキャナ保存・電子取引)のどれに対応しているかを確認します。理想は、電子帳簿保存・スキャナ保存・電子取引の3つともに対応している会計ソフト(確定申告ソフト)を選ぶことです。

③データの保管場所を決める

データの保管に際しては、迅速にアクセスし、検索や印刷が可能な状態で整理しておくことが大切です。適切な保管場所(例えば、クラウドサービス、パソコンのハードディスク、会計ソフトなど)を定めることが必要です。
さらに、システムの更新や機器の故障によるデータ喪失を防ぐために、主な保管場所とは別にデータのバックアップを取ることが推奨されます。

④ペーパーレスの運用を検討する

電子帳簿保存法に沿って運用する場合、書類を紙ベースで一元管理することは不可能になります。紙と電子の両方のデータを同時に管理することは、保存形式が異なるためやや複雑で困難です。
そのため、将来的に電子データによる保存を一本化するために、ペーパーレス化を検討することを推奨します。

⑤保存ファイル名の統一

結論として、電子帳簿保存法の改正により、個人事業主はファイル名の統一を含む効率的な電子データ管理を行うことが重要です。これにより、データの検索性と管理の効率が向上し、法的要件への適合も容易になります。

保存する電子データは、取引年月日、取引額、取引先で容易に検索できる必要があります。また、日付や金額の範囲指定、2つ以上の項目の組み合わせ検索が可能であることが求められます。

ファイル名にこれらの検索条件を組み込むことで、必要な情報へのアクセスが迅速かつ容易になります。例えば、「20××年01月01日.企業名.取引内容」という形式でファイル名を設定することが一例です。

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個人事業主が電子帳簿保存法対応のソフトを選ぶポイント

電子帳簿保存法対応の個人事業主向けのソフトを選ぶ際には、以下の3つのポイントを確認しましょう。

  • 電子取引データを自動で書類保存できるか
  • スキャン後、検索要件に必要な情報を自動でデータ化できるか
  • 紙帳簿保管が不要になるか

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なお、マネーフォワード クラウド確定申告は、①電子帳簿等保存・②スキャナ保存・③電子取引など、すべての帳簿・書類に対応しています。

電子取引データを自動で書類保存できるほか、スキャン後に検索要件に必要な情報を自動でデータ化します。また、メールで受け取ったPDFの請求書や領収書を「マネーフォワード クラウド確定申告」に取り込むだけで保存完了。データ連携した銀行明細やクレジットカード明細は自動でデータが保存できます。

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個人事業主の領収書やレシートの電帳法対応について

国税関係帳簿書類には領収書やレシートなどの取引を証明する書類も含まれていますので、電子帳簿保存法を適用して電子保存することが可能です。

紙と電子データに分けて解説します。

紙のレシートの保存

紙の領収書・レシートは、そのまま紙で保存できます。

書面(紙)による保存も電子化している場合と同じで、法人で7年、個人事業主で5年は保存する必要があります。

電子化しない場合(スキャン保存しない場合)は、領収書やレシートの原本が取引を証明する書類となりますので、保存が義務付けられている期間を経過するまでは破棄できません。

電子データのレシートの保存

今までは紙で印刷したものを原本として保管できましたが、2024年1月1日以降の電子取引データは電子データで保存しなければなりません。

領収書やレシートも電子取引データであれば電子保存義務化の対象になります。

売上1,000万円以下の個人事業主の電帳法の対応

結論、売上1,000万円以下の個人事業主や免税事業者であっても、同じように電子帳簿保存法の規定に従う必要があります。

ただし、小規模事業者に対する救済措置があり、売上1,000万円以下の事業者(厳密には売上5,000万円以下)は、取引データを日付・金額・取引先ごとに検索できるような形で保存することは求められません。

電子帳簿保存法の検索機能要件の見直し

以前は、基準期間(2課税年度前)の売上高が「1,000万円以下」の保存義務者に対して検索機能の要件が緩和されていましたが、令和5年度税制改正後は、この対象が「5,000万円以下」の保存義務者に拡大されました。

また、新たに「電子取引データをプリントアウトした書面を、取引年月日やその他の日付及び取引先ごとに整理された状態で提示・提出することができる保存義務者」も、検索機能の全てを不要とする措置の対象に追加されました。

この改正により、小規模事業者は、電子帳簿保存法の要件をより柔軟に満たすことが可能になりますが、依然として電子取引データの適切な管理と保存の重要性は変わりません。事業の規模や管理の容易さに応じて、適切なデータ保存方法を選択することが重要です。

青色申告・白色申告の電子帳簿保存法の対応

結論としては、青色申告者も白色申告者も、電子帳簿保存法の規定に従う必要があります。

つまり、電子データとして受け取った証憑書類(領収書、請求書など)は、電子データのまま保存する必要があります。また紙で受領した書類を電子化する場合、「スキャナ保存」を選択することも可能ですが、データの改善を防ぐための措置が必要です。

電子帳簿保存法は、電子データの取扱いと保存に関する規定を定めており、個人事業主の事業規模に関わらず適用されます。特に青色申告者は、最大限の控除を受けるために電子システムへの適切な対応が求められています。

青色申告の電子帳簿保存法対応

青色申告者は、最大65万円の控除を受けることができます。ただし、これを受けるためには、以下の条件のどちらかを満たす必要があります。

青色申告控除65万円を受けられる条件(どちらか)
  1. 仕訳帳と総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていること。
  2. 所得税の確定申告書、貸借対照表と損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Taxを使用して行うこと。

e-Taxを使用して確定申告を行うことで、最大限の控除を受けることが可能ですが、e-Tax未使用の場合、控除額は55万円に減少します。

55万円の青色申告特別控除を受ける条件は以下の通りです。

青色申告控除55万円を受けられる条件
  1. 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
  2. これらの所得に係る取引を正複式簿記により記帳していること。
  3. 貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付し、控除の金額を記載して、期限内申告をすること。

参考:国税庁|No.2072 青色申告特別控除

白色申告の電子帳簿保存法対応

白色申告者も、帳簿の記録義務があり、必要な書類(法定帳簿、任意帳簿、棚卸表、証憑書類など)を適切に保存する必要があります。

また、電子帳簿保存法により、電子データで受領した書類は電子保存する必要があります。

一方で白色申告者は、青色申告者のような控除を受けていないため、保存義務違反による直接的な罰則はありません。しかし、税務調査時に書類が不足していると申告内容が無効になる可能性があるので、やはり適切な対応が求められます。

電子帳簿保存法の個人事業主の対応はいつから?

個人事業主を含むすべての事業者は、2024年1月1日から電子取引データの電子保存を義務付けられます。

この変更に対応するため、事業者は適切なシステムの準備とプロセスの確立を進める必要があります。

電子取引データ保存の義務化までの流れ

令和4年度税制改正(2022年)

2022年1月に施行された改正で、電子取引データの電子保存が義務化されました。
この義務化には、2023年12月31日までの宥恕(ゆうじょ)措置期間が設定されていました。この期間中は、電子的に取引した書類(請求書、領収書など)をプリントアウトし、紙形式で保存しておくことが許容されます。

令和5年度税制改正大綱(2023年)

実は、2024年1月1日以降も、一定の要件を満たす場合、電子保存の猶予が認められることが発表されました。

ただしこれらの要件には、「相当の理由がある場合」と「ダウンロード要請や出力書面の提出に応じられる場合」です。「相当の理由」に関する具体的な基準は現時点で明示されていないので、つまるところ個人事業主も電子取引データの電子保存に対応すべきと言えます。

【個人事業主向け】電帳法のタイムスタンプについて

本来、電子帳簿保存法ではタイムスタンプの付与が必須要件とされていました。しかし、要件緩和により、必ずしもタイムスタンプの付与が必要ないデータが増えています。

しかし、電子帳簿保存法のうち、「スキャナ保存」は要件としてタイムスタンプ付与の規定が依然として残っています(※ただし、一定の機能があればシステムへの保存に代えることも可)。個人事業主の方は、取引形態に応じて、必要なタイムスタンプの環境を選択するようにしましょう。

そもそもタイムスタンプとは?

タイムスタンプとは、電子データがある時刻に作成されたものであることと、作成されて以降、電子データが改ざんされていないことを同時に証明する技術のことです。

電子帳簿保存法で付されるタイムスタンプは、作成元データのハッシュ値(メッセージダイジェスト)と時刻情報の組み合わせによって作られます。

スキャナ保存では、タイムスタンプの付与が定められている

スキャナ保存では、タイムスタンプの付与が定められています。定められた一定期間内で、スキャニングした国税関係書類にタイムスタンプを付けなければなりません。一つの入力単位ごとに総務大臣が認定した時刻認証業務に係るタイムスタンプを付けることになります。

一つの入力単位とは、取引を構成する書類のまとまりを指します。一つの請求書が複数のファイルで構成されているような場合、これを一つの入力単位として検証できれば、まとめてタイムスタンプを付与できます。ただし、相互に関連性のない複数のファイルを一つの入力単位として扱うことはできません。

入力期間については、基本的に早期入力方式(概ね7営業日以内)、業務サイクル方式(最長2ヶ月+概ね7営業日以内)の2つの方法に限定されます。

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