- 更新日 : 2025年2月20日
経理・会計業務を効率化するおすすめ会計ソフト・サービス比較
「効率化」を推進するには「人になるべく作業させない」と考えることがポイントです。この記事では、人が行う作業量をなるべく減らせるように経理・会計業務を効率化できる会計ソフトやサービスについて説明していきます。
目次
経理の効率化は難しい?
「経理を効率化する」のは難しいことではありません。シンプルに「人がなるべく作業しない」「時間をかけないこと」が大切です。
現在、さまざまなソフトウェアやサービスがあるため、大幅に仕組みを変えなくてもすぐに取り入れることができ、効率化につながることが多いです。
経理業務を効率化するメリット
経理を効率化するメリットは主に以下があります。
- コスト削減
- 経営リスクの低下
- 意思決定スピードの加速
会社を経営する上ではどれも軽視できない内容です。それぞれ確認していきましょう。
コスト削減
経理で主にかかるコストは、人件費と紙にかかるコストです。
当然ですが、人が作業をすれば人件費がかかります。日々繰り返し行わなくてはならない業務については、それに対応するソフトウェアや外注(アウトソーシング)を導入すると、大幅なコスト削減につながることがあります。
また、業務を紙ベースで行えば、その都度コストが発生します。ソフトウェアやアウトソーシングを利用することで、紙にかかるコストの削減も図ることができるでしょう。
経営リスクの低下
経営リスクは、会社を経営する上で常にあるリスクです。
どのような会社でも資金不足は深刻な問題であり、「経理が重要」と言われる理由でもあります。経理を効率化することで、より簡単に素早く資金の収支状況を把握することができます。
最近ではキャッシュレスやインターネット明細が普及したこともあり、ソフトウェアを使って収支を把握することが可能です。
意思決定スピードの加速
会社が適切な意思決定をするには、現時点で自社がどのような状態にあるかを把握しなければいけません。現場レベルでは進捗や目標の達成状況を把握し、経理ではこれらを金額面から把握することが大切です。
これらの業務をタイムリーに行うことで、自社が今どのような状態にあるかを把握でき、意思決定スピードを上げることができます。
経理業務を効率化する方法
経理業務を効率化するには、以下のような方法があります。
どのような会社でも取り入れることができ、効果の発揮が短時間で期待できるものを厳選しました。
- 紙での作業を極力減らす
- フォーマットを統一する
- アウトソーシングする
- 業務を見える化する
- さまざまなツールを導入する
それぞれ説明していきます。
紙での作業を極力減らす
紙の作業をデータ上の作業に置き換えることで、作業時間の短縮につながります。
データ上の作業にすることで、印刷や保存にかかる時間・手間がなくなります。データであれば、修正や共有もスピーディーに対応できます。
近年では、電子帳簿保存法が導入しやすくなり、電子印鑑の普及も進んできました。「紙である必要性」を見直すことが大切でしょう。
フォーマットを統一する
使用しているフォーマットを統一し共有すれば、何が必要なのかが明確になり、作業する人が内容を理解する時間を減らすことにもつながります。
特に、経理では昔から同じフォーマットを繰り返し使っている会社が多いです。フォーマットは、担当者独自のものになりやすく引き継ぎに時間がかかる場合もあります。今一度、フォーマットを統一できるところがないか、見直すことが大切です。
アウトソーシングする
アウトソーシングとは業務を外部に発注すること、つまり外注です。
自社で業務をすべて行うことは節約につながります。しかし、アウトソーシングを請け負っている会社は、その業務に特化しているため、コストパフォーマンスが良いことが多いです。
特に、アウトソーシングは単調な業務を行っているとき、会社規模を拡大するときに大きな威力を発揮し、効率化につながります。
業務を見える化する
「業務を見える化」するのは、効率化の基本です。
効率化したいけど何をしたら良いか分からない場合は、まずはここから始めましょう。また、その際には、どの業務に何時間かかっているのか、紙なのかデータなのかを明確にすることも必要です。
また、内容が単調な作業であれば、まとめて作業する、またはアウトソーシングすることで効率化につながります。
さまざまなツールを導入する
単調な作業を人が行うと入力ミスが生じることがあり、時間のロスになってしまいます。
しかし、ソフトウェアやアプリは、単調な作業を何度繰り返してもミスが生じません。さらに、AIが導入されているソフトウェアの場合だと、簡単な判断をAIが行ってくれます。
上記のようなツールを使うことで、人が作業することがなくなり、紙の作業も大幅に削減されます。ツールは積極的にテストして、その結果や自社との相性が良ければ導入を検討してください。
経理・会計業務を効率化するおすすめサービス
会計や資金管理、予算管理などといった経理業務は、仕組みを大幅に変更しなくても、以下に挙げたサービスを利用することですぐに効率化を図ることができます。ぜひ参考にしてみてください。
マネーフォワード クラウド会計
「マネーフォワード クラウド会計」には以下のような特徴があります。
- パソコンが故障してもデータが消えない
- インターネット環境があれば、いつでもどこでも使える
- ネットバンキングやクレジットカードなどから明細取込・自動仕訳が可能
- AIが勘定科目を覚えていく
- 法令や税法改正に対応する無料アップデート
- マネーフォワードが提供する他のソフトと連携・仕訳が可能
補足として、「クラウド」とは、マネーフォワードが管理するサーバーで会計ソフトとデータを保存する仕組みです。利用者個人のパソコンにデータを保存するわけではないため、パソコンが故障しても大切なデータは消えません。
さらに、インターネット環境があればどこからでも会計ソフトを使用することが可能です。
マネーフォワード クラウド請求書
「マネーフォワード クラウド請求書」の特徴は以下の通りです。
- インターネット環境があればどこからでも利用可能
- 紙の請求書の郵送代行サービスもある
- 「マネーフォワード クラウド会計」との連携・仕訳が可能
「マネーフォワード クラウド請求書」は、請求書を作成するソフトです。
取引先によって紙が必要な場合は、マネーフォワードが郵送を代行するサービスがあり、印刷とポスト投函の手間がなくなります。
マネーフォワード クラウド経費
「マネーフォワード クラウド経費」の特徴は以下の通りです。
- 従業員の経費申請を効率化するアプリ
- 電子帳簿保存法に対応・キャッシュレスで立替・精算が可能
- 権限管理機能で不正防止
- 「マネーフォワード クラウド会計」との連携・仕訳が可能
「マネーフォワード クラウド経費」は、従業員が領収書などをスマートフォンで撮影するだけで経費申請が可能です。管理者は内容を確認し承認するだけで完結します。
また、キャッシュレス送金に対応しているので、立替経費を振込手数料なしで迅速に送金できます。
STREAMED
「STREAMED(ストリームド)」の特徴は以下の通りです。
- レシートや通帳、現金出納帳などの紙を読み取りデータ化してくれるサービス
- データ化(仕訳化)したい証憑・補助簿などをスキャンして送るだけ
- 「マネーフォワード クラウド会計」の仕訳取込に対応している
「STREAMED」は、AIとオペレーターによって領収書などの内容をデータ化し、自動で仕訳を作成してくれるサービスです。オペレーターがデータの内容をチェックするため、手書きの領収書など機械読み込みでは難しい書類もデータ化が可能です。利用者が行うことは、「書類をスキャンして送る」「仕訳データを会計ソフトに取り込む」ことだけです。
Manageboard
「Manageboard(マネージボード)」の特徴は以下の通りです。
- 予算管理に特化したクラウドサービス
- 予算と進捗状況の管理ができる
- 直感的な操作で使いやすい
「Manageboard」は、予算管理をより効率化するクラウド型のサービスです。
クラウド型なのでチーム内で共有しやすく、進捗状況をタイムリーに把握できます。
予算管理は会計的な側面と現場レベルの側面がありますが、「Manageboard」はどちらにも対応でき、意思決定に役立つレポートをタイムリーに見ることができます。
V-ONEクラウド
「V-ONEクラウド」の特徴は以下の通りです。
- 売掛金と入金の消込を自動化
- 会計ソフトから仕訳データを取込可能
- 請求書や会計ソフトを変更する必要がない
「V-ONEクラウド」は、売掛金管理に特化したクラウドサービスです。
銀行口座と自動連携し、売掛金が振り込まれるとすぐに確認してくれます。入金が遅い場合は滞留債権として管理してくれます。また、「V-ONEクラウド」から出力できる仕訳データを会計ソフトで取り込むことも可能です。
Boxil SaaS
「Boxil SaaS(ボクシルサース)」の特徴は以下の通りです。
- 企業の業務全般に役立つソフトウェアの紹介、まとめサイト
- 自社の効率化に適したソフトウェアの相談可能
「Boxil SaaS」は営業や人事、経理など企業の業務効率化に役立つソフトウェアを紹介するサービスで、紹介するのは主にクラウド型のソフトウェアです。
どのような組み合わせでソフトを導入すると効率化につながるか、検討しやすいサイトとなっています。
課題別のおすすめ組み合わせ
経理業務を効率化する際によくある問題点と、解決するために必要なサービスを紹介していきます。
会計業務を効率化したい
会計業務の大半は仕訳入力です。以下のようなソフトとサービスを利用すると効率化につながります。
基本的な会計ソフトの機能に加えて、銀行口座やクレジットカード明細に残る取引は、取り込まれた明細から、仕訳登録が可能です。
【クラウド請求書とV-ONEクラウド】
クラウド請求書で売上関係の仕訳や請求書の発送に対応できます。
さらに細かく売掛金管理を行いたい場合は、V-ONEクラウドで柔軟に対応することが可能です。
【STREAMED】
主に仕入や経費の仕訳が対象。上記で対応できない現金取引や手書きの領収書や請求書を仕訳にします。
上記のようにソフトとサービスを利用することで、仕訳入力の手間が大幅に削減されます。仕訳の入力件数が多いほど効率化されます。
経営分析を手軽に行いたい
経営分析は、以下のようなソフトとサービスを利用すると簡単に行うことが可能です。
月次試算表や売上レポートなどを出力する機能があり、タイムリーに経営分析を行うことができます。
【Manageboard】
設定した予算目標が達成されているかを管理したい場合に利用します。
現場の進捗状況や達成状況なども管理することが可能です。
クラウド会計では、仕訳として入力される取引の結果について確認することができますが、予算の設定や実現管理などは行えません。
Manageboardを使えば、部門ごとに設定された予算を今後の意思決定の材料としたり、シミュレーションすることができます。
バックオフィス全体を効率化したい
バックオフィス全体を効率化するために、マネーフォワードでは以下のサービスを用意しています。
特定の業種に特化したサービスや、ニーズにあったサービスを利用して効率化したい場合は、Boxil SaaSを活用しましょう。
仕訳入力全般に対応。会計ソフトの機能はもちろん、クラウド型の特長を生かしてデータ連携・仕訳が可能。
【クラウド請求書】
売掛金・入金の仕訳の自動作成や請求書の発送業務をアウトソーシング可能。
【クラウド債務支払】
マネーフォワードが代わりに請求書を受け取り、電子化することができます。
クラウド債務支払から銀行振込を行うことができ、支払業務を効率化することが可能。
※近日リリース予定
【クラウド経費】
現金取引や従業員の立替経費などの仕訳に対応し、立替金の精算もスピーディーに行えます。基本的にレシートなどをスマホで撮影するだけです。
【クラウド勤怠・クラウド給与・クラウド社会保険】
勤怠管理から給与計算まで行うことが可能です。給与計算確定後、すぐにクラウド会計に給与支払の仕訳が作成されます。
【Boxil SaaS】
自社の特定の業務に合うソフトウェアを探すときに利用します。
まとめ
近年、経理業務を効率化するために便利なソフトやサービスが充実してきました。導入に際しては各サービスに用意された無料期間を積極的に活用し、どの程度効率化できるかを実際に試してみましょう。また、自社で手間・時間がかかっていることを明確にして、効率化できるサービスを選びましょう。
よくある質問
経理業務を効率化するメリットは?
コスト削減、経営リスクの低下、意思決定スピードの加速などが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。
経理・会計業務を効率化するおすすめ会計ソフト・サービスは?
マネーフォワードクラウドシリーズや、STREAMED、Manageboard、V-ONEクラウド、Boxil SaaSなどがおすすめです。詳しくはこちらをご覧ください。
おすすめの会計ソフト・サービスの組み合わせは?
「会計業務を効率化したい」「経営分析を手軽に行いたい」「バックオフィス全体を効率化したい」といった課題ごとにおすすめの組み合わせがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
経理の関連記事
新着記事
小切手の銀行渡りとは?メリットや手続き、必要書類、廃止の方針などをわかりやすく解説
「銀行渡り」という言葉を聞いたことはあっても、その仕組みや使い方について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。銀行渡りとは、小切手をより安全に利用するための仕組みで、企業間の取引や高額な決済などで広く使われています。本記事では、銀行渡…
詳しくみる小切手は2026年度末までに廃止予定!理由や電子記録債権(でんさい)などの代替手段を解説
2026年度末(2027年3月末)に、紙の小切手が完全に廃止されます。小切手は日本企業の取引で長年使われてきましたが、効率性の問題や不渡り・紛失などのリスクから電子決済への移行が求められています。この変化は、企業だけでなく、小切手を使ってい…
詳しくみる小切手とは?仕組みや種類、メリット、換金方法、廃止の方針などをわかりやすく解説
小切手は、主に企業間取引で利用される、現金に代わる便利な決済手段です。しかし、普段の生活では使う機会が少ないため、詳しい仕組みや使い方がよくわからないという人も多いかもしれません。本記事では、小切手の基本的な仕組みや手形との違いをはじめ、小…
詳しくみる約束手形の支払期日は60日に短縮!当日持ち込みの方法や3営業日を過ぎた場合の対応も解説
約束手形は日本の企業間取引で広く使われていますが、その取り扱いを誤ると資金繰りや信用に大きな問題が生じます。特に、支払期日のルールや銀行への持ち込み手続きを正確に理解しておかないと、思わぬトラブルに発展することがあります。この記事では、約束…
詳しくみる約束手形の銀行持ち込みはいつまで?期限を過ぎた場合の対応や廃止に向けた方針も解説
約束手形は、企業間取引における信用決済の手段として長年利用されてきた有価証券です。買掛金の支払いを一定期間先に延ばすことができるため、資金繰りの調整や信用取引の証として機能してきました。一方で、手形の管理や取り扱いには専門的な知識が必要であ…
詳しくみる約束手形の裏書とは?書き方や譲渡するメリット・デメリット、仕訳などをわかりやすく解説
約束手形は商取引で多く利用される信用取引の代表的な手段です。その中でも「裏書」は、手形を他者に譲渡するための重要な手続きであり、資金流動性や企業間信用の強化に大きく関わります。 この記事では、約束手形の裏書の基本的な内容から、メリット・デメ…
詳しくみる