減価償却費の計算方法と償却方法の選び方

法人税を計算する場合、「減価償却費」は「支出」、つまり損金となります。そのため、減価償却の仕組みを理解してうまく利用することにより、節税につなげることができます。

ここでは、定率法や定額法などの償却方法や、節税できる償却方法の選び方、償却資産の耐用年数を考慮した資産購入などについて解説します。

減価償却とは

減価償却とは、購入したときの価格が10万円以上で1年間以上使用される資産を、会計上、毎年一定の方法で価値の費用化を行うことです。資産は使用することで価値が下がるため、価値の減少に相当する額を資産価値から差し引いて「減価償却費」とします。

「少額減価償却資産の特例」の対象として1年間に計上できる減価償却費の限度額は、300万円です。節税のために費用として計上するかしないかは会社の自由となっています。

減価償却資産とは

減価償却の対象になる資産を「減価償却資産」といいます。先述のとおり、取得やそれに付随する費用の合計が10万円以上であること、使用期間が1年以上であることが条件です。

10万円以下のもの、または使用期間が1年未満のものは、会計上の資産ではなく取得した年の費用として計上します。減価償却資産とみなされるのは、以下のようなものです。

・自社が所有している工場や事務所の建物、機械設備や金型、社用車などの車両
・特許権や商標権
・コンピュータのソフトウェア

減価償却費を計算する方法

減価償却費は、減価償却資産の耐用年数をもとに算出します。耐用年数は、税法で種類や用途ごとに詳細に定められています。法定耐用年数は国税庁のサイトで確認することができます。

(参照:耐用年数表|国税庁 確定申告等作成コーナー)

減価償却費を計算する方法には、主に「定額法」および「定率法」の2種類があります。

定額法とは

定額法は、毎年一定の金額を減価償却していく方法です。対象となる資産は、建物や平成28年4月1日以降に取得した建物附属設備および構築物や無形固定資産などがあります。なお、償却方法の変更を税務署に届け出なかった場合には、定額法の対象とならない資産については定率法が適用されることになっています。

定率法とは

定率法とは、毎年同じ率で減価償却していく方法です。定率法で算出した償却額は、資産価値の高い初年度のほうが高く、時間の経過とともに低くなります。

早めに多額の費用を計上することで、資産の購入金額を早く回収できるため、会計上は有利であると考えられています。
しかし、法人が定額法を選択するには、税務署に届け出る必要があります。

定額法と定率法の選び方

定額法と定率法、どちらを選んでも最終的な償却総額に変わりはありません。ただし、償却資産の法定耐用年数や会社の経営状況によって、どちらが節税にとって有利かは変わってきます。

資産の実際の使用期間よりも法定耐用年数が長い場合

減価償却資産を実際に使った期間よりも、税法上の償却期間が長いことがあります。

例えば、ある製品の法定耐用年数、つまり償却期間は5年であるにもかかわらず、実際には3年しか使わなかった場合などです。

技術の移り変わりが早いことを考慮すると、ある製品が必ずしも法定耐用年数分、使用できる保障はありませんので、余裕があるうちに早めに償却するほうが合理的です。

会社が赤字の場合

節税の観点からではなく、会社が赤字の場合を考えてみましょう。

実は、減価償却費の金額を少なくして、赤字から黒字にすることもできます。

減価償却費は、どれだけ計上するかは会社の自由ですが、極端に少なくすると銀行員などには不審を抱かれてしまい、融資などを受けられなくなる可能性があります。

減価償却費を減らしたい場合は、税務署に定率法から定額法への変更の手続きをすると、おおよそ半分に減らすことができます。

資産購入の際には耐用年数を考慮する

以上のような減価償却の仕組みを踏まえると、会社でその対象となる資産を購入するときには、法定耐用年数を考慮する必要があります。購入金額と償却期間によって、定額法と定率法のどちらの方法が節税の効果が高いか変わるからです。

特に、新築ではない中古建物の場合は、その建物の使用期間を見積もることで耐用年数を決める見積法を取っていますので、節税を考える場合には十分に注意しましょう。

法人税を計算する場合、「減価償却費」は「支出」となりますので、減価償却の仕組みを利用すると節税につながります。減価償却費の算出方法に関する正しい知識を身に付け、自社に有利で節税の効果が高い減価償却を行いましょう。

参考:
中古資産の耐用年数|法人税|国税庁
減価償却資産の償却方法の変更手続|法人税|国税庁

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監修:緒方 康人 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
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