- 更新日 : 2024年8月8日
留保金課税で特定同族会社がとるべき対策は?
留保金課税制度は、特定同族会社が利益を留保することによる過剰な租税回避を防止するために制定されました。
本来、会社であれば、利益が出ればそれを配当という形で株主に分配しなければなりません。しかし、オーナー会社など特定の株主に支配されている会社の場合、配当が大きくなると、株主である社長自身に多額の所得税が発生するため、利益が出てもあえて配当金を出さずに、社内に留保される可能性がありました。こういった不当な社内留保がある場合、その会社に対し、通常の法人税に特別税額が追加課税されることとなりました。
特定同族会社とは
同族会社とは、会社の株主等及びその株主と特殊な関係にある者で会社の発行済株式等(議決権)の50%を保有する会社をいいます。中でも、特定同族会社は、同族関係者の1人及び1グループが発行済株式等(議決権)の50%超を保有する会社をいいます。
同族関係者には、親族や内縁関係者のほか、株主から得る金銭によって生計を立てている者も含まれます。
留保金課税について
特定同族会社では、会社に利益が発生しても配当を出すことなく、利益を必要以上に社内留保するということが起こり得ます。これは株主が経営者でもある場合に発生しがちです。所得税は累進課税であり、配当所得が多くなればなるほどオーナー自身の所得税が高くなるため、こういった租税回避行為も見受けられるようになりました。
しかし、これでは特定同族会社かそうでないかによって個人と法人の税負担に差が出てしまいます。そこで、税負担のバランスをとるため、各事業年度に特定同族会社が許容額を超えて利益を社内留保した場合、その利益に対して特別税率による法人税を通常の法人税に加算して課税される制度ができました。この制度を「特定同族会社の留保金課税」と言います。
留保金課税の計算
留保金課税では、「課税留保金額」に「留保金課税の税率」を乗じた金額が課税されます。
「課税留保金額」は許容額を超える利益のことで、「留保金額」から「留保控除額」を差し引いて算定します。
まず「留保金額」から見てみましょう。
「留保金額」=会社の課税所得+課税外収入項目(受取配当金の益金不算入額や繰越欠損金の損金算入額など)-社外流出の金額(剰余金の配当や役員賞与など)-法人税(市町村民税や道府県民税も含む)
「留保控除額」は、次の基準額のうち最も多い金額を使用します。
(1)所得基準額:所得等の金額の40%相当
(2)定額基準額:2,000万円×当期の月数/12
(3)利益積立金基準額:期末資本金の25%相当-(期首利益積立金額-前期末配当額)
「留保金額」から「留保控除額」を差し引いて求めた「課税留保金額」に「留保金課税の税率」をかけて留保金課税の金額を算定しますが、「留保金課税」は、課税対象となる留保金のうち、3,000万円以下の金額には「10%」、3,000万円を超え1億円以下の金額には「15%」、1億円を超える金額には「20%」を乗じた金額の合計で求めることができます。
留保金課税の対象外の会社
以前はすべての同族会社が留保金課税の対象でしたが、現在では、特定同族会社であっても資本金あるいは出資金が1億円以下である場合には、留保金に課税されないこととなりました。(ただし、期末資本金の額が5億円以上である会社による完全支配関係がある会社については、適用の対象となります。)
特定同族会社にとって留保金課税の対策はあるのか?
会社の設立や減資により、資本金を1億円以下に抑えると、留保金課税の対象会社から外れ、節税対策にもつながります。
留保金課税の対象となる可能性のある会社は、一度、資本金の額を見直し、その余剰金を会社の設備投資や事業などへの再投資に回されることをお勧めします。
関連記事
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料を紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
電子帳簿保存法 徹底解説(2025/10 最新版)
電子帳簿保存法は、1998年の制定以降、これまでに何度も改正を重ねてきました。特に直近数年は大きな改正が続いた上に、現在も国税庁による一問一答の追加・改定が続いており、常に最新情報の把握が必要です。
70P以上にわたるボリュームであることから、ダウンロードいただいた方から大好評をいただいている1冊です。
インボイス制度 徹底解説(2024/10 最新版)
インボイス制度は施行後もさまざまな実務論点が浮上し、国税庁によるQ&Aの追加・改訂が続いています。これを受けて、「結局どうすればいいのか、わからなくなってしまった」という疑問の声も多く聞かれるようになりました。
そこで、インボイス制度を改めて整理し、実務上の落とし穴や対応のヒントまで網羅的に解説した最新資料を作成しました。問題なく制度対応できているかの確認や、新人社員向けの教育用など、様々な用途にご活用いただける充実の資料です。
マネーフォワード クラウド会計Plus サービス資料
マネーフォワード クラウド会計Plusは、データの自動取得、自動仕訳、自動学習の3つの自動化で経理業務が効率化できる会計ソフトです。
仕訳承認フローや業務分担にあわせた詳細な権限設定が可能で、内部統制を強化したい企業におすすめです。
マネーフォワード クラウド経費 サービス資料
マネーフォワード クラウド経費を利用すると、申請者も承認者も経費精算処理の時間が削減でき、ペーパーレスでテレワークも可能に。
経理業務はチェック業務や仕訳連携・振込業務の効率化が実現でき、一連の流れがリモートで運用できます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
法人税で寄付金とみなされる行為にはどのようなものがあるか?
損金の予定が寄付金と扱われてしまうことがある 売掛金や貸付金などの債権が回収不能になった場合や、債権者が融資先である債務者に対する債権を放棄した場合などは、法人税計算の際に貸倒損失…
詳しくみる収入印紙の取り扱いに注意!印紙税を納める際に気をつけたい3つのこと
「印紙税」や「収入印紙」と聞いて、すぐにピンとくる方はどのくらいいらっしゃるでしょうか? 「領収書で必要になるもの」くらいしか思い当たらない方も少なくないのではないでしょうか。たし…
詳しくみる永久差異と一時差異の違いとは?例から解説
永久差異と一時差異には、その差異が永久的に解消されないのか、将来的に解消され得る性質のものかという違いがあります。一時差異は費用と損金、収益と益金の認識時期が異なるために生じるもの…
詳しくみる固定資産税を滞納したらいったいどうなる?
固定資産税は土地家屋を所有している人が、その土地・家屋の価格をもとに算定した税額を納める税金です。滞納した場合は、延滞金がかかります。さらに、悪質な場合は財産を差し押さえられること…
詳しくみる軽減税率の対応をしなかった事業者の末路。今からでもやるべき対応
軽減税率が始まって混乱しているのは、消費者だけではありません。お店や事業を行う個人事業者と法人は、さらに面倒な手続きに悩まされています。 レジを軽減税率対応のものに変更し、キャッシ…
詳しくみる法人税申告書の別表10(5)とは?見方や書き方、注意点まで解説
法人税申告書の添付書類は別表1から別表20までと数多くの種類があります。さらに、別表10を見てみると(1)から(11)までの書類があります。ただし、別表10の各書類はどの法人でも使…
詳しくみる会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引



