株主資本等変動計算書の書き方の基礎

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新会社法の施行により、株主資本等変動計算書が使われるようになりました。ここでは、株主資本等変動計算書の位置づけや、導入のいきさつについて説明します。また、株主資本等変動計算書の書き方について、例を使いながら解説します。

株主資本等変動計算書とは

株主資本等変動計算書とは財務諸表の一つで、法改正前は貸借対照表としてまとめられていたものから純資産の部分を切り取り、その変動についてより詳しく記載したものです。

・株主資本等変動計算書が導入された理由
平成18年に新会社法が施行された際に、株主総会や取締会の決定により剰余金をいつでも配当できるようになり、株式資本の計数を変動することができるようになりました。それによって、資本金や剰余金などが変動させる流れをつかむのが貸借対照表や損益計算書のみでは困難になったため作られたのが、株主資本等変動計算書です。改正後、作成義務のなくなった「利益・損失処分案」の代わりに使われ、変動するお金の動き、理由を把握できるようになりました。

・作成義務がある会社
すべての会社に作成義務があります。なお、合資会社や合同会社等では、「社員資本等変動計算書」という名前で作られます。

≪表1≫
0281_株主資本等変動計算書_2

株主資本等変動計算書の書き方

株式資本等変動計算書は項目が多いため複雑に見えますが、以下のポイントを押さえることで、容易に株主資本等変動計算書を作成できます。ここで、株主資本等変動計算書の図を使い解説します。なお、会社により株主資本等変動計算書の項目に多少の違いがあります。

1. 重要なのは、「当期首残高」「当期変動額合計」「当期末残高」の3行で、これを見るとお金の流れがわかるようになっています。

・当期首残高
当期首残高とは、期が始まる時点での残高で、前期における株主資本等変動計算書の当期末残高から数値を持ってきます。また、前期の貸借対照表における純資産部分の数値を使うこともできます。
・当期変動額合計
当期変動額にある各項目の合計額を計算し、記入します。
・当期末残高
当期末残高は、期末時点での残高で、その値は貸借対照表の純資産部分にある各項目の数値と一致します。

2. それ以外の行を見るとお金の発生理由がわかります。

当期変動額の記入例

ここで株主資本等変動計算書にある当期変動額の記入について、例を用いて解説します。なお、仕訳は借方/貸方で表し、単位は100万円とします。

≪表2≫
0281_株主資本等変動計算書_1

1. 前期の株主資本等変動計算書にある当期末残高の数値を、当期首残高に移します。ここでは、前期の当期末残高を使ったものと仮定し、≪表1≫(1)で表します。

2. 当期に変動した事項について記入します。ここでは、計算書内でどこの事項を指すのかをわかりやすくするため、≪表1≫において各数字の前に(A)~(D)の記号を振ってあります。
・新株を発行し、3,000万円を増資した。また、資本金は最低額である1,500万円とし、残りは資本準備金とした。(A)で表す。

現金預金 30 資本金 15
資本準備金 15

・株主総会で、剰余金の配当である1,200万円の支払いが決定した。なお、利益準備金は120万円が計上される。(B)で表す。

繰越利益剰余金 13.2 利益準備金 1.2
未払配当金 12

・決算の結果、当期純利益が8,000万円出た。(C)で表す。

損益 80 繰越利益余剰金 80

・自己株式、500万円を400万円で処分した。(D)で表す。

現金預金4
その他資本余剰金 1
自己株式 5

3. 当期変動額の合計を計算し、当期変動額合計に記入します。≪表1≫(3)で表す。

4. 当期首残高に当期首変動額合計を差し引きし、当期末残高に記入します。≪表1≫(4)で表す。

5. 数値の転記、計算等に誤りがないか、4で記入した数値と貸借対照表にある純資産部分の数値を比較し、一致することを確認しましょう。

まとめ

株主資本等変動計算書は、すべての会社に作成が義務付けられています。見た目は項目が多く複雑ですが、一つ一つの項目に対し順番に数を当てはめればよいので、流れを理解しさえすれば容易に作成できます。作り方の流れを頭に入れ、間違いのないよう作成しましょう。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:土屋 英則 (税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
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