上場予定の企業必見!絶対必要になる内部統制報告書とは

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上場会社には様々な書類を提出することが求められています。そのうちのひとつに、金融商品取引法が定める内部統制報告書があります。

内部統制報告書とは、企業の財務報告に関する内部統制が有効に機能しているかどうかを経営者自身が評価し、その結果を記載した報告書です。ここでは内部統制とはどのようなものなのかを踏まえ、内部統制報告書の作成までの流れや、内容、意義などについて解説します。

内部統制の定義

昭和44年に発表された日本会計研究会会計監査特別委員会報告書では、内部統制の定義は下記の通りです。

内部統制とは、企業の資産を保全し、会計記録の正確性と信頼性を確保し、かつ経営活動を総合的に計画し、調整し、設定するために、経営者が設定した制度・組織・方法および手続きを総称するものである

つまり内部統制とは法律を守り、自社の財産を守り、社会的信頼を守りながら効率的に利益を上げていくための企業の仕組みです。

内部統制の4つの目的

1.業務の有効性及び効率性

内部統制の目的を、業務の有効性と効率性を高めることとする場合があります。ひとつひとつの業務が、企業の目的に沿ったものにすることです。

2.財務報告の信頼性

財務諸表などの財務情報の信頼性を確保するために内部統制を行うこともあります。つまり、粉飾や情報操作が行われないようにすることです。

3.法令等の遵守

守るべき法律などに違反しないようにすることも目的になりえます。これは、いわゆるコンプライアンスとも呼ばれます。

4.資産の保全

4つ目は、資産の取得、使用、処分が正当な手続きや承認の下で行われるようにするため内部統制を行う場合です。例えば、社員の使い込みを防止したり、特許権侵害を防止・発見したりすることなどです。

内部統制の6つの基本要素

内部統制は以下の6つの種類があり、これらは6つの基本的要素とよばれます。

1.統制環境

統制環境とは、組織風土、基本理念など、組織内のすべての人の意識に影響を与える内部統制の基盤となるものです。具体的には、経営方針や経営戦略、経営者の姿勢、誠実性や倫理観などです。

2.リスク評価と対応

企業の脅威となるリスクを識別し、分析評価し、対応することです。例えば、取引先との癒着というリスクに対し、定期的な人事異動を行うことなどです。

3.統制活動

経営者の命令や指示が適切に実行されるために定められた方針や各種手続きのことです。具体的には、権限の付与、職務の分掌、帳簿の作成、棚卸作業などが挙げられます。日常的に行われる個々の業務に密接に関連するところです。

4.情報と伝達

必要な情報を識別し、把握し、分析処理し、組織の内部や外部、関係者に正しく伝えられる仕組みのことです。例えば商品のクレームが適切な部署に伝達されて対応や改善を行ったり、営業担当者が営業活動に必要な情報を得たりできる仕組みのことを指します。

5.モニタリング

内部統制が年間を通して継続的に問題なく有効に機能しているかどうかをチェックすることです。営業担当者の日誌を営業課長が確認することもモニタリングですし、取締役会に問題を報告し審議することもモニタリングです。監査役による監査もモニタリングに含まれます。

6.ITへの対応

業務活動において利用する社内、社外のITについて適切に対応することです。データの信頼性の確保やシステムのセキュリティなどです。

内部統制報告制度とは

内部統制報告制度は、2000年代前半に有名企業で企業不祥事が多発したことを受けて導入されました。

内部統制報告制度は、企業が年度ごとに提出している「有価証券報告書」に虚偽や誤りがないことを外部へ報告するための制度です。上場企業の経営者は、有価証券報告書に含まれる財務情報を正しく作成するための内部統制を企業内部に構築し、これが有効に機能しているかを経営者自身で評価しなければなりません。

その結果を内部統制報告書として、有価証券報告書とともに金融庁に提出します。内部統制報告書もまた、有価証券報告書同様、監査法人による監査を受けなければなりません。

内部統制報告書とは

有価証券報告書と比べ、内部統制報告書は短く1~2枚程度のものです。また、雛形があり定型的なものです。

内部統制の評価のための組織を作り、担当者は規程がそろっているかなど、会社の制度の確認を行います。また、例えば「300万円以上の物品の購入時には、事前に稟議書にて各部の部長が承認する」というように、誰がいつ、どのような手段でどのようなチェックを行っているといった行為を文章におこしていきます。

こうして企業の内部統制を整備したら、それが本当に行われているか確認します。最後に、これらの一連の作業をきちんと行っていることを証明してもらうために、監査法人の監査を受けます。こうして内部統制報告書を作成し、有価証券報告書に添付して年1回金融庁に提出します。

他の報告書類との違い

有価証券報告書とセットで提出される報告書類には、内部統制報告書のほかに「確認書」や「監査報告書」などがあります。

確認書は、有価証券報告書の記載内容が適切であることを経営者自らが確認したことを示す書類で、経営者が署名します。これにより、虚偽の情報を開示した時に、経営者は「知らなかった」と逃れることができません。確認書も内部統制報告書も有価証券報告書の信頼性を高めるための書類であり、経営者が作成します。

監査報告書も有価証券報告書の信頼性を高めるための書類ですが、作成するのは監査法人です。

まとめ

適切な内部統制を整備しているかどうかは上場審査基準のひとつです。上場後は毎年内部統制報告書を提出しなければなりません。そのために担当者を置き、さらに監査まで受けるとなると企業にとっては負担に感じられるかもしれません。

しかし、内部統制を作り上げていくということは、企業が存続し、発展していくためにはとても大切なことです。ぜひ自社の内部統制を見直してみてください。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:土屋 英則 (税理士)

税理士法人ゆびすい
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