- 更新日 : 2026年6月30日
ソフトウェアは少額減価償却資産に計上できる?メリットや仕訳方法も解説
青色申告法人である中小企業者等なら、取得価額40万円未満のソフトウェアを取得年度に全額損金算入できます。
- 取得価額30万円未満(令和8年4月以後は40万円未満)が対象となる
- クラウド型ソフトやSaaSの利用料は特例の対象外となる
- 取得価額の合計は年間300万円までに限られる
適用期限は令和11年3月31日まで延長されている。
法人税法上、購入したソフトウェアは無形固定資産となるため、一定期間での減価償却が必要です。しかし、一定要件を満たせば少額減価償却資産として、初年度に全額経費計上することが可能です。なお令和8年度税制改正では、対象となる取得価額の上限が「30万円未満」から「40万円未満」へ引き上げられています(令和8年4月1日以後に取得する資産から適用)。
本記事では、ソフトウェアの少額減価償却資産計上について解説します。少額減価償却資産に計上する要件やメリット・デメリット、仕訳例も紹介します。
目次
ソフトウェアは少額減価償却資産に計上できる?
企業が購入したソフトウェアは、一定要件を満たせば少額減価償却資産の特例の適用対象になります。最初に、少額減価償却資産の意味と要件、一括償却資産との違いについて解説します。
少額減価償却資産とは
少額減価償却資産とは、取得価額が一定金額未満の固定資産のことです。ソフトウェアは無形固定資産に分類され、取得価額が基準額未満ならば少額減価償却資産となります。
中小企業者等の少額減価償却資産については期間限定の特例(正式名称は「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」)があり、特例を利用すると取得価額を初年度に全額経費計上(損金計上)できます。
現行の特例では取得価額「30万円未満」が対象ですが、令和8年度税制改正により、令和8年4月1日以後に取得する資産からは取得価額「40万円未満」まで対象が拡大されています。あわせて適用期限も令和11年3月31日まで3年延長されています。
自社利用のソフトウェアの取得価額は、原則として5年(耐用年数)かけて減価償却しますが、特例利用で一括経費計上できるため、取得年度の利益を減らして法人税を抑えられます。なお、特例には取得価額の合計額の上限が設けられており、年間300万円という上限は改正後も据え置かれています。
少額減価償却資産の詳細については、以下の記事をご覧ください。
少額減価償却資産と一括償却資産の違い
一括償却資産とは、取得価額が10万円以上20万円未満の固定資産のことです。一括償却資産については、取得価額を3年にわたって均等償却する取扱いが認められています。少額減価償却資産の特例と異なり、規模の大小を問わずすべての企業が利用できます。
少額減価償却資産と一括償却資産の主な違いは、次の通りです。
| 少額減価償却資産 | 一括償却資産 | |
|---|---|---|
| 対象企業 | 青色申告法人である中小企業者等(※) | すべての企業 |
| 取得価額 | 30万円未満(現行)/40万円未満(令和8年4月1日以後取得の資産・改正改正による) | 原則10万円以上20万円未満 |
| 経費計上する期間 | 1年 | 3年(均等償却) |
※ 常時使用する従業員数の要件は、令和8年度税制改正により「500人以下」→「400人以下」に厳格化されている。
なお、取得価額が10万円未満または使用可能期間1年未満の固定資産は取得年度に全額を損金計上できるため、実際にこの償却方法を利用するのは、10万円以上20万円未満の固定資産となります。一括償却資産の詳細については、以下の記事をご参照ください。
ソフトウェアが少額減価償却資産になる要件
ソフトウェアが少額減価償却資産になる主な要件は次の通りです。
- 青色申告法人である中小企業者等に該当する
- ソフトウェアの取得価額が30万円未満/令和8年4月1日以後取得分は40万円未満(年間合計300万円以内)
- ソフトウェアの取得し事業の用に供した日が2006年4月1日~令和11年(2029年)3月31日まで(令和8年度税制改正で3年延長)
- クラウド型のソフトウェアではない(※)
※クラウドサービスやSaaSの利用料は、契約期間に応じたサービス利用の対価として、通信費・支払手数料・ソフトウェア利用料などの費用で処理することが一般的です。この場合、そもそも減価償却資産を取得していないため、少額減価償却資産の特例の対象にはなりません。
中小企業等とは、以下のすべてを満たす企業のことです。
- 資本金または出資金の額が1億円以下であること(※)
- 常時使用する従業員数が500人以下であること(※)(2020年3月31日以前取得の減価償却資産は従業員数1,000人以下)
- なお、令和8年度税制改正では、この要件が「400人以下」に引き下げられています。パート・アルバイトを含めた常時使用従業員数で判定されるため、該当可能性がある企業は事前確認が推奨されます。
- グループ通算法人でないこと
※特例を利用できるのは、青色申告書を提出する中小企業者等です。法人の資本金、出資関係、適用除外事業者への該当、グループ通算制度の適用状況、常時使用する従業員数などにより対象可否が変わります。自社が対象となるか不明な場合は、税理士または顧問税理士に確認しましょう。
少額減価償却資産の特例は期間限定であり、令和8年度税制改正では適用期限が令和11年3月31日まで3年延長されています。また、クラウド型のソフトウェアは固定資産ではなく、通信費として経費処理するため注意しましょう。
ソフトウェアを少額減価償却資産に計上するメリット
ソフトウェアを少額減価償却資産に計上する主なメリットは、次の3つです。
- 取得価額を初年度に全額経費計上できる
- 取得価額40万円未満まで利用できる(令和8年度税制改正)
- 減価償却の会計処理が簡単になる
各メリットについて解説します。
取得価額を初年度に全額経費計上できる
メリットの1つ目は、ソフトウェアを購入した年にその費用の全額を経費計上できることです。一括で処理できるため、取得年度の利益を減らして法人税を抑えられます。
ソフトウェアを一括償却資産に計上した場合、3年にわたって均等償却するため、初年度に計上できるのは費用の1/3だけです。
取得価額が40万円未満まで利用できる(令和8年度税制改正)
メリットの2つ目は、ソフトウェアの取得価額が30万円未満まで(令和8年4月1日以後取得分は40万円未満まで)利用可能なことです。一括償却資産は20万円までのソフトウェアでないと利用できないため、少額減価償却資産の特例のほうが対象となるソフトウェアの範囲が広くなります。なお、令和8年度税制改正で上限が40万円未満に引き上げられ、高性能なパッケージソフトやライセンスも特例の対象範囲が拡大しています。
減価償却の会計処理が簡単になる
メリットの3つ目は、会計処理が簡単になることです。ソフトウェアの耐用年数は原則5年であるため、通常の減価償却ならば5事業年度にわたって会計処理が必要です。特例を利用すれば、会計処理は1回で済みます。
ソフトウェアを少額減価償却資産に計上するデメリット
ソフトウェアを少額減価償却資産に計上する主なデメリットは、次の3つです。
- 翌年以降は取得価額を経費計上できない(分散化ができない)
- 大企業は少額減価償却資産の特例を利用できない
- 取得価額の合計が年間300万円までしか特例が適用できない
各デメリットについて解説します。
翌年以降は取得価額を経費計上できない
デメリットの1つ目は、翌年以降は取得価額を経費計上できないことです。取得年度に全額を経費計上するため、翌年以降に費用計上ができず、減価償却費では利益の標準化が図れません。
取得価額が20万円までで一括償却資産に計上すれば、3年間経費計上できます。通常の減価償却なら5年間です。条件を満たせば経費計上の方法は任意で決められるため、今後の経営状況などを考慮して有利な方法を選択しましょう。
大企業は少額減価償却資産の特例を利用できない
デメリットの2つ目は、大企業は少額減価償却資産の特例を利用できないことです。前述の中小企業等の要件を満たさない企業は、通常の減価償却を選択(取得価額が20万円までなら一括償却資産計上も選択可能)するしかありません。
取得価額の合計が年間300万円までしか適用できない
デメリットの3つ目は、取得価額の合計が年間300万円までしか適用できないことです。計上可能な上限額を超える場合、通常の減価償却が必要です。なお、一括償却資産には上限がありません。
ソフトウェアを少額減価償却資産に計上する場合の仕訳
モデルケースを使用してソフトウェアを少額減価償却資産に計上する場合の仕訳例を紹介します。2024年にソフトウェアを25万円で購入し、少額減価償却資産として計上した場合の仕訳は、次の通りです。
※青色申告書を提出する中小企業者等が、2024年に25万円の買切り型ソフトウェアを購入し、同年中に事業の用に供した場合
購入時の仕訳
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| ソフトウェア | 250,000円 | 現金 | 250,000円 | ソフトウェアの購入 | |
決算時の仕訳
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 250,000円 | ソフトウェア | 250,000円 | ソフトウェア(2024年25万円で購入) | |
【補足】令和8年4月1日以後に35万円のソフトウェアを取得した場合も、令和8年税制改正により「40万円未満」の要件を満たすため、同様に取得年度に全額損金算入できます(仕訳の構造は上記と同じ)。
ソフトウェアの少額減価償却資産の特例はいつまで?
ソフトウェアに少額減価償却資産の特例が適用されるのは、その他の固定資産と同じく現行では2026年(令和8年)3月31日までです。取得日によって期限を判定されるため注意しましょう。
令和8年度税制改正では、この適用期限が令和11年(2029年)3月31日まで3年延長されています。
あわせて、令和8年4月1日以後に取得する資産からは、取得価額の基準額が「30万円未満」から「40万円未満」に引き上げられています。
ソフトウェアを少額減価償却資産に計上しないとどうなる?
ソフトウェアを少額減価償却資産に計上しない場合、通常の減価償却が必要です。2024年にソフトウェアを25万円で購入し、5年で減価償却したときの仕訳は、次の通りです。
購入時の仕訳
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| ソフトウェア | 250,000円 | 現金 | 250,000円 | ソフトウェアの購入 | |
取得年度の決算時の仕訳
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 50,000円 | ソフトウェア | 50,000円 | ソフトウェア(2024年25万円で購入) | |
取得年度の翌年から4年間、上記(取得年度の決算時)と同様の会計処理を行い、取得価額を減価償却します。
40万円未満のソフトウェアは少額減価償却資産の特例適用要件及び活用を検討
金額の小さい固定資産は通常の減価償却とは異なり、少額減価償却資産の特例など取得年度に全額経費処理したり、減価償却期間を短縮できたりする取り扱いがあります。特例を活用すると、中小企業者等が30万円未満の価格で取得したソフトウェア(令和8年4月1日以後取得分は40万円未満)は取得年度に全額経費計上できます。
特例を活用するかどうかは企業の判断次第であるため、本記事を参考にメリットとデメリットを比較・検討して自社にあった経理処理を選択しましょう。
最後までこの記事をお読みの方に人気のガイド3選
最後に、ここまでこの記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料を紹介します。こちらもすべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
固定資産管理と減価償却の基本
固定資産管理の基本知識や流れ、ソフトウェアやシステム資産の管理と減価償却のポイントなどを解説した分かりやすいガイドです。
基本版の1冊として、多くの経理担当者の方にダウンロードいただいていおります。
経理のための固定資産管理見直しガイド
表計算ソフトでの固定資産管理に限界を感じる企業も多いのではないでしょうか。
経理業務における固定資産管理の見直しを検討している企業向けに、基本的な固定資産管理の業務の流れと、効率的な管理方法を詳しく解説した人気のガイドです。
マネーフォワード クラウド固定資産 サービス資料
マネーフォワード クラウド固定資産は、固定資産に関わる担当者全員がラクになる、複数台帳管理可能なクラウド型固定資産管理システムです。
クラウド上で資産の情報を一括管理できるため、最新の情報がすぐに見つかります。償却資産税申告書や法人税別表十六などの帳票が出力可能で、固定資産管理〜税務申告までを効率化します。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
-
# 減価償却
一括償却資産と少額減価償却資産の違いは?判定基準や節税効果などを解説
一括償却資産と少額減価償却資産はどう違う? どちらも通常より早く費用へ振り替え、当期の税負担を軽くする方法です。 一括償却は20万円未満を3年で均等に分ける 少額特例は取得年度に全…
詳しくみる -
# 減価償却
特定資産の買い換えによる圧縮記帳の仕訳例を手法・パターン別にわかりやすく解説
特定資産を譲渡して新たな資産を取得する場合、一定の要件を満たせば「圧縮記帳」によって譲渡益の課税を繰り延べられます。 資金繰りの改善や税負担軽減を行える処理ですが、仕訳の方法や計算…
詳しくみる -
# 減価償却
ソフトウェア資産管理(SAM)とは?ガイドラインやツールの活用方法も解説
ソフトウェア資産管理(SAM)とは、ITにおける資産管理の1つです。社内のソフトウェアを適切に管理することは、セキュリティ対策やコストの削減などに役立ちます。 本記事では、ソフトウ…
詳しくみる -
# 減価償却
パソコンは固定資産に計上すべき?取得価額ごとの勘定科目や注意点も解説
業務用に購入したパソコンは、固定資産として経費計上できますが、取得価額によって扱いが異なる点に注意が必要です。 本記事では、取得価額ごとの勘定科目の違いや固定資産に計上する際の注意…
詳しくみる -
# 減価償却
木造の耐用年数や減価償却費計算を詳しく解説
木造物件を購入した場合は、法定耐用年数に応じて減価償却が必要です。本記事では、木造の法定耐用年数や減価償却費の計算方法について詳しく解説します。減価償却の基礎知識についても紹介して…
詳しくみる -
# 減価償却
車の耐用年数は何年?減価償却費の計算方法や何年落ちがお得なのかも解説
車の減価償却における耐用年数とは、減価償却資産の本来の用途・用法により通常予定される効果が発揮される年数です。車の耐用年数が把握できたら、減価償却費を算出できます。今回は、車の耐用…
詳しくみる
会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 管理会計
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 領収書 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引



