• 作成日 : 2025年8月5日

支払管理表エクセルの作り方!スプレッドシートとの違いや効率化を解説

経費や請求の支払い管理を正確に行うことは、会社の資金繰りを安定させるために重要です。この記事では、エクセルで支払管理表を作成する方法、Google スプレッドシートとの違い、さらに効率化に役立つシステムやテンプレート活用まで、わかりやすく解説します。

支払管理表をエクセルで作成する方法

支払管理表をエクセルで作る方法を解説します。必要な項目を明確にし、効率的な運用方法を確立することで、経理業務の負担を減らせます。

支払管理表に必要な基本項目

エクセルで支払管理表を作成する際は、会社の業種や規模によって変わりますが、以下の項目を含めると良いでしょう。

  • 支払年月日:実際の支払いが行われた日
  • 支払先:支払いを行った取引先の名称
  • 支払内容:何に対する支払いかを記載。例:事務用品購入費、システム利用料、など。
  • 支払金額:税込金額、または税抜き+消費税
  • 支払方法:銀行振込、クレジットカード払い、現金払いなど。
  • 請求書番号:後から確認の際に便利。
  • 支払期日:支払いが予定されている期日です。未払いを防ぐために設定します。
  • 支払状況:現在の状況「支払い済み」「未払い」「支払い保留」など。条件付き書式で色分けすると一目で把握しやすい。
  • 備考:注意点や特記事項を自由記入

これらの項目をExcelの列として設定し、各行に支払いの情報を入力していきます。

支払管理表の作り方

エクセルで支払管理表を作る手順は、以下の通りです。

1. 新しいブックを開く

エクセルを起動し、新しい空白のブックを開きます。

2. 項目名を入力する

1行目に「支払年月日」「支払先」「支払内容」「支払金額」「支払方法」「請求書番号」「支払期日」「支払状況」「備考」といった項目名を入力します。

3. 書式を設定する

「支払年月日」と「支払期日」のセルは書式設定を「日付」にします。「支払金額」のセルは書式設定を「通貨」または「会計」にして、桁区切り記号を表示させると見やすくなります。「支払状況」はドロップダウンリストを作成し、「支払い済み」「未払い」「支払い保留」などから選択できるようにすると、入力ミスを防ぎ、分析しやすくなります。

4. 罫線を引く

項目名とデータ範囲に罫線を引くと、表全体が見やすくなります。

5. フィルターを設定する

項目名がある行にフィルターを設定すると、支払先や支払状況などでデータを絞り込み、特定の情報だけを表示できます。

6. 合計を自動計算する

「支払金額」の列の最下部にSUM関数を使って合計金額を自動で計算するように設定すると、全体の支払額をすぐに把握できます。

エクセルでの支払管理表のセキュリティ対策

エクセルで支払管理表を運用する際は、重要な財務情報を保護するためにも、いくつかの点に注意を払うことが大切です。

定期的なバックアップ

作成した支払管理表ファイルは、定期的にバックアップを取るようにしてください。具体的には、USBメモリやクラウドストレージ(Googleドライブ、Dropbox、OneDriveなど)にファイルをコピーして保存します。パソコンの故障、データの破損、誤ってファイルを削除してしまった場合でも、バックアップがあれば元の状態に戻すことができます。月に一度や週に一度など、業務の頻度に合わせてバックアップのタイミングを決めるのがおすすめです。

ファイルにパスワード設定

支払管理表には、会社の重要な財務情報が含まれるため、不正なアクセスを防ぐためにパスワードを設定することを強くおすすめします。エクセルの「ファイル」タブから「情報」を選び、「ブックの保護」の中から「パスワードを使用して暗号化」を選択して設定できます。パスワードは、安易に推測できるものや、他人に知られやすいものは避け、複雑な文字列を設定しましょう。また、設定したパスワードは忘れないように厳重に管理してください。パスワードを紛失するとファイルを開けなくなるため、注意が必要です。

アクセス権限の管理

複数人で支払管理表を共有して利用する場合、誰がそのファイルを閲覧できるのか、誰が編集できるのか、アクセス権限を明確に設定することが重要です。もし共有フォルダにファイルを置くのであれば、フォルダ自体のアクセス権設定を確認し、必要な人だけがアクセスできるように制限しましょう。不必要な人への共有は、情報漏洩のリスクを高めてしまいます。

変更履歴の記録

複数人で支払管理表を運用する場合、誰がいつ、どのような変更を行ったのかを把握できるように、変更履歴を記録する仕組みを導入すると良いでしょう。エクセルの「変更履歴の記録」機能を利用したり、変更があった箇所を色分けするなどのルールを設けたりする方法があります。これにより、誤ったデータ入力や不適切な変更があった場合に、原因を素早く特定し、対応できます。また、変更内容を共有する際のコミュニケーションもスムーズになります。

支払管理表をエクセルで作成するメリット・デメリット

支払管理表をエクセルで作ることは、身近で手軽な方法ですが、その手軽さゆえに、いくつかのメリットとデメリットがあります。

支払管理表をエクセルで作成するメリット

エクセルで支払管理表を作成する主なメリットは、以下の点が挙げられます。

身近なソフトで手軽使える

エクセルは多くのパソコンに標準搭載されており、多くの人が日常的に使い慣れています。新たなソフトを導入したり、操作方法を学ぶ必要がないため、すぐに運用を始められます。

インターネット不要で作業できる

オフラインでも利用できるため、出張先やネット環境が不安定な場所でも問題なく操作できます。クラウドを前提としない運用ができるのも利点です。

集計や分析が簡単にできる

フィルターや関数、グラフ機能を使って、支払い状況を視覚的に把握できます。月ごとの支出推移や取引先ごとの集計も簡単に行えます。

支払管理表をエクセルで作成するデメリット

一方で、エクセルで支払管理表を作成する際には、以下のデメリットも考慮する必要があります。

複数人での同時編集に向いていない

エクセルは基本的に個人作業向けです。複数人で同じファイルを開いて編集すると、上書きやデータの競合が発生する恐れがあります。最新版の把握が難しくなることもあります。

大量データで動作が重くなる

データ量が増えるとファイルが重くなり、保存や開くのに時間がかかる場合があります。複雑な計算式が多いと、処理速度が落ちることもあります。

手入力によるミスが起きやすい

支払日や金額などを手作業で入力するため、桁間違いや入力漏れが発生しやすくなります。特に行数が多くなると、誤りの発見と修正に手間がかかります。

エクセルの支払管理表をスプレッドシートに移動できる?

エクセルで作成した支払管理表をGoogle スプレッドシートへ移動させることは可能ですが、スプレッドシートには、関数や管理方法などエクセルとは異なる違いを理解しておく必要があります。

関数の違いと互換性

エクセルとスプレッドシートは、どちらも表計算ソフトであり、多くの関数に互換性があります。SUM関数やAVERAGE関数、IF関数など、基本的な関数はほとんど同じように使えます。

しかし、一部の関数には違いがあります。例えば、エクセル特有の関数や、スプレッドシートでしか使えない関数もあります。エクセルで作成した複雑なマクロやVBAコードは、スプレッドシートではそのまま動作しません。スプレッドシートではGoogle Apps Script(GAS)という別の言語を使う必要があります。

一般的な支払管理表であれば、基本的な関数で構成されているため、ほとんどの場合、問題なくスプレッドシートに移行できます。万が一、移行後にエラーが表示された場合は、その関数の記述方法をスプレッドシート用に修正する必要があります。

ファイルの管理方法の違い

エクセルとスプレッドシートでは、ファイルの保存と共有の仕組みが大きく異なります。

エクセル
  • ファイルは基本的にパソコンのローカルフォルダや共有サーバーに保存します。
  • ファイルを共有する場合は、メールに添付して送ったり、共有フォルダにアップロードしたりします。
  • 複数人で同時に編集することは、設定や環境によっては可能ですが、データ競合や上書きのリスクがあります。
  • オフラインでの作業が可能です。
スプレッドシート
  • ファイルはGoogleドライブ上に保存されます。インターネット環境があれば、どこからでもアクセスできます。
  • ファイルの共有は、URLを発行し、閲覧権限や編集権限を付与する形で行います。メールに添付する必要はありません。
  • 複数人が同時に同じファイルを編集できます。誰がどこを編集しているかリアルタイムで表示されるため、データ競合の心配がありません。
  • 基本的にオンラインでの作業が必須ですが、一部の機能はオフラインでも利用できる設定があります。

エクセルからスプレッドシートへの移行は、エクセルファイルをGoogleドライブにアップロードするだけで完了します。アップロード後、Googleスプレッドシートとして開けば、編集が可能になります。この際、書式やレイアウトがわずかに崩れることもありますが、大きな問題になることは少ないでしょう。

支払管理表をスプレッドシートで作成するメリットとデメリット

Google スプレッドシートは、エクセルと並んで広く使われている表計算ソフトです。クラウド上で動作するという特性から、エクセルにはないメリットとデメリットがあります。

スプレッドシートを使うメリット

スプレッドシートで支払管理表を作成する主なメリットは、以下の点が挙げられます。

複数人でのリアルタイム共同編集

スプレッドシートの大きな強みは、複数の人が同時に同じファイルを編集できることです。例えば、経理担当者が支払いを確定させ、各部署の担当者がそれぞれの費用を入力するといった連携がスムーズに行えます。誰がどこを編集しているかリアルタイムで確認できるため、情報が古くなる心配がなく、データの競合や上書きといったトラブルも発生しません。

どこからでもアクセス可能

支払管理表のファイルはGoogleドライブというクラウド上に保存されます。そのため、インターネット環境があれば、会社のパソコンだけでなく、自宅のタブレットや外出先のスマートフォンなど、どんなデバイスからでも支払管理表にアクセスし、内容を確認したり編集したりできます。これにより、リモートワークや出張中でも、必要な時に最新の支払情報を扱えるようになります。

自動保存機能で安心

スプレッドシートは、編集内容が自動的に保存されるため、保存し忘れて作業中のデータが消えてしまう心配がありません。突然の停電やパソコンのフリーズなど、予期せぬアクシデントが発生した場合でも、直前まで作業していた内容が失われることなく残ります。

また、過去の編集履歴が自動的に記録される機能があります。これは、誤ってデータを消してしまったり、以前の特定の状態に戻したくなったりした場合に非常に役立ちます。

スプレッドシートを使うデメリット

一方で、スプレッドシートで支払管理表を作成する際には、クラウドサービスならではの考慮すべき点があります。

インターネット環境が必須

スプレッドシートは基本的にオンラインでの利用が前提となるため、インターネット環境がない場所では作業できません。一部の機能はオフラインでも利用できる設定がありますが、すべての機能を使えるわけではないため、常に安定したインターネット接続が求められます。

複雑な処理や大量データで動作が遅くなる可能性

エクセルと同様に、非常に複雑な計算式を多く使ったり、数十万行を超えるような大量のデータを扱ったりすると、動作が重くなることがあります。しかし、一般的な会社の支払管理表の規模であれば、ほとんどの場合で問題なく利用できます。

セキュリティへの懸念(Googleアカウント依存)

支払管理表のデータはGoogleのサーバー上に保存されるため、Googleアカウントのセキュリティに大きく依存します。もしGoogleアカウントが不正に乗っ取られてしまった場合、情報漏洩のリスクがあります。そのため、2段階認証設定を有効にするなど、Googleアカウント自体のセキュリティ対策をしっかり行うことが非常に重要です。

支払管理表を効率化するには

支払管理表の作成と運用は、エクセルやスプレッドシートを使えば手軽に始められますが、より効率的に、そして正確に管理するためには、いくつかの工夫が考えられます。

テンプレートを活用する

一から支払管理表を作成するのは手間がかかります。インターネット上には、無料でダウンロードできるエクセルテンプレートやスプレッドシートテンプレートが公開されています。

テンプレートを使うと、項目設定や書式設定にかかる時間を削減できるため、すぐに支払情報の入力に取りかかれます。また、入力項目や数式があらかじめ設計されていることで、漏れや計算ミスを防ぎやすくなります。さらに、複数人で運用する場合にも、形式を統一することで情報整理や集計作業がスムーズになります。

ただし、テンプレートはそのまま使うのではなく、自社の業務内容に合わせて調整することが重要です。例えば、自社特有の支払い項目を追加したり、必要に応じて列の順番や表示形式を変更したりすることで、より実務に合った支払管理表を作ることができます。

支払管理システムやアプリを導入する

エクセルやスプレッドシートでの管理は手軽ですが、会社の規模が大きくなったり、取引量が増えたりすると、手動での管理では限界が来ることもあります。そのような場合は、支払管理システム会計ソフト経費精算アプリなどの導入を検討すると良いでしょう。

ただし、システム導入には費用がかかります。無料のプランがあるものや、小規模事業者向けの安価なものもありますので、まずは複数のシステムを比較検討し、自社の予算や必要な機能に合ったものを選ぶことが大切です。無料トライアル期間を利用して、実際に使ってみるのも良い方法です。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事

会計の注目テーマ