- 作成日 : 2025年4月30日
利子補給金とは?仕訳や勘定科目、消費税の扱いをわかりやすく解説
企業や個人事業主が金融機関から借入をしたあと、利息の負担を軽くする目的で「利子補給金(りしほきゅうきん)」が支払われることがあります。これは、国や自治体が利息の一部を助成してくれる仕組みです。ただし、この補給金を受け取ったときの会計処理や仕訳には少し注意が必要です。勘定科目の選び方や消費税の扱いも含め、迷いやすいポイントが多くあります。この記事では、利子補給金の基本から仕訳方法までをわかりやすく解説します。
利子補給金とは?
利子補給金とは、企業や個人事業主が金融機関から融資を受けたあとに、その利息の一部または全部を自治体や公的機関が肩代わりしてくれる制度です。企業側は融資元に通常どおり利息を支払いますが、あとから助成というかたちで利子相当額を受け取れます。制度によっては、最初から利息を軽減した条件で借りられる場合もあります。
この制度は、創業間もない会社や、資金繰りに不安のある中小企業を支援するために設けられています。利子補給金の受け取りには、事前に申し込みや条件確認が必要です。
利子補給金が支払われるケース
利子補給金が実際に支払われる場面としては、次のようなものがあります。
- 日本政策金融公庫の制度融資
国が支援する低利融資で、利子補給もセットになっている場合があります。 - 自治体による創業支援制度
都道府県や市区町村が行う中小企業支援で、利子補給金を出すケースがあります。 - 災害や感染症などの緊急時支援制度
コロナ禍で広がった「無利子・無担保融資」では、利子補給が重要な役割を果たしました。 - 雇用促進や設備投資支援の制度融資
一定の条件で雇用を増やしたり、設備を更新したりする企業に利子補給が行われることもあります。
どの制度であっても、利子補給金は返済不要のお金として扱われます。ただし、会計処理の方法やタイミングには気をつけなければなりません。
利子補給金の消費税の取り扱い
利子補給金には消費税はかかりません。これは、利子補給金が売上やサービスの対価として支払われるものではなく、「助成金」という位置づけだからです。事業者が特定の役務を提供するわけではなく、制度の条件を満たしていれば支給されるという仕組みです。
会計処理上のポイント
消費税の取り扱いにおいて、利子補給金は次のように処理します。
- 課税売上には含めない
利子補給金は不課税収入なので、消費税の計算に含める必要はありません。 - 仕入税額控除には影響なし
仕入税額控除に直接影響することはありません。
利子補給金の仕訳や勘定科目の考え方
利子補給金は、通常の売上やサービス収入とは性質が異なるため、専用の収益勘定科目を使って処理するのが一般的です。また、利子補給金の入金があるタイミングと、利息を支払ったタイミングがズレることもあるため、処理の時期にも注意が必要です。
利子補給金を受け取ったときの実務でよく使われる勘定科目と仕訳について解説します。
利子補給金で使われる勘定科目
利子補給金は会社にとって「返済の必要がない収入」であるため、原則として収益の勘定科目を使って処理します。次のような勘定科目がよく使われます。
- 雑収入
多くの企業で使われている一般的な方法です。内容を細かく区分する必要がない場合に便利です。 - 補助金収入
補助金や助成金を他の収益と分けて管理したい場合に使われます。補助金等の種類が多い企業ではこちらを選ぶこともあります。 - 前受金
支給時点では収益とせず、期間を分けて認識したいときに使われます。たとえば、半年分の利息をまとめて受け取った場合などに適しています。
企業によって会計方針が異なるため、どの勘定科目を使うかは社内ルールや顧問税理士の判断を確認することが大切です。
利子補給金を仕訳するタイミング
利子補給金の仕訳は、通常入金された日に行います。たとえば、3月末までの利息分として4月に補給金が振り込まれた場合、その入金日(4月)に仕訳をします。
ただし、補給金の金額が確定していて請求済みであるなど、債権として成立していれば、会計上は発生主義に基づいて収益を計上することもできます。これを行うかどうかは、企業の会計処理方針によります。
利子補給金の仕訳の具体例
利子補給金は、受け取るタイミングや制度の内容によって仕訳の方法が異なります。ここでは、経理実務でよく見られる仕訳をいくつか紹介します。
例1:利子補給金を現金で受け取った場合
融資利息10,000円を銀行に支払い、後日、利子補給金として5,000円が口座に入金された。
【利息支払い時】
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 支払利息 | 10,000円 | 普通預金 | 10,000円 |
【補給金入金時】
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 5,000円 | 雑収入 | 5,000円 |
入金と同時に「雑収入」として処理します。利子補給金は「雑収入」などの収益勘定で処理します。入金は数ヶ月後になることもありますので、タイミングを見落とさないようにしましょう。
例2:前受金を使って、あとで雑収入に振り替える場合
半年分の利子補給金240,000円が4月1日に口座に入金された。これを前受金として処理し、毎月40,000円ずつ雑収入に振り替える。
【入金時の仕訳(4月1日)】
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 240,000円 | 前受金 | 240,000円 |
【毎月末の振替仕訳(4月30日など)】
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 前受金 | 40,000円 | 雑収入 | 40,000円 |
収益を分割して計上することで、期間ごとの利益を正しく把握できます。
利子補給金の仕訳をする際の注意点
利子補給金は、助成金の一種ですが、通常の売上や取引とは異なるため、処理を誤ると消費税の申告や法人税の計算に影響が出ることもあります。後の税務調査や決算の際に困らないよう、次の点を意識しておくと安心です。
利子補給金の通知書や支給決定書を保管しておく
利子補給金の金額や支給条件が記載された書類は、仕訳の根拠になります。税務署から問い合わせがあったときに説明できるよう、必ず保管しておきましょう。
消費税の処理が適正かどうか確認する
利子補給金は消費税の課税対象外ですが、会計ソフトによっては自動で「課税売上」として計上されてしまうこともあります。帳簿に入力する際は、「対象外」の設定が選ばれているか確認しておきましょう。
勘定科目の使い方を社内で統一しておく
利子補給金を「雑収入」で処理するか「補助金収入」で処理するかは、企業ごとの判断になります。会計方針としてどちらかに統一しておかないと、決算書が分かりにくくなることがあります。複数の担当者が仕訳をする場合でも、処理がバラバラにならないよう、マニュアルを整備しておきましょう。
利子補給金の入金時期と経費計上のズレに注意
利息を支払った年度と、利子補給金を受け取る年度がズレることは珍しくありません。決算時点で補給金の入金額や入金日が確定している場合には「未収収益」としての計上が必要になります。
確定していない場合は仕訳は必要ないので顧問税理士との相談もおすすめです。
補助金は法人税の対象(課税所得)になる
利子補給金は法人税の計算上は「益金(収益)」として扱われるため、税金がかかります。
法人税の課税対象となることは忘れずにチェックしましょう。
個人事業主の場合は所得税にも注意する
利子補給金は、個人事業主にとっても事業所得に含まれる収入です。確定申告の際には雑収入として申告し、所得税の計算に含める必要があります。なお、利子補給金に所得税が源泉徴収されることは通常ありませんが、金額の記載漏れがないように注意してください。
利子補給金の仕訳は制度と時期に合わせて処理しよう
利子補給金は、企業の資金繰りを助けてくれる大切な支援制度です。ただし、仕訳の処理や勘定科目の選び方を間違えると、後の決算や税務申告に影響することもあります。雑収入として処理するのが一般的ですが、制度によっては前受金を使った処理が必要になることもあります。
消費税がかからない点や、書類の保管、社内ルールの整備も含めて、正確に処理しておきましょう。制度の内容と入金時期に合わせて、わかりやすく仕訳することが大切です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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