- 更新日 : 2025年2月20日
新規取引の稟議書の書き方は?テンプレートや例文でポイントが分かる!
新規取引の稟議書作成に悩む人に向けて、例文やテンプレートを交えながら基本的な書き方を解説します。また、レビュー担当者が重視するポイントや、承認を得るための必要な事項についても詳しく紹介します。押さえておくべき事項を把握して、スムーズに稟議書を提出しましょう。
目次
新規取引の稟議書を作成するケース
新規取引を開始する際、社内手続きとして稟議書の作成が不可欠です。稟議書は、取引の必要性や妥当性を関係部署に説明し承認を得るための重要な書類であり、経営判断に必要な情報を漏れなく記載する必要があります。
例えば、新商品開発のために、取引実績のない材料メーカーとの契約を検討する場合について考えてみましょう。このような状況においては、新たなビジネスチャンスが期待できる一方で、取引先の信用リスクや契約内容次第では損失が発生する可能性も否めません。
こうしたリスクを回避するため、稟議書の作成と承認過程を通じて、取引によるメリットとリスクを事前に評価し、関係部署の合意を得ることが重要です。こうした稟議書による承認作業により、新規取引が企業経営に与える影響を把握し、慎重かつ適切な意思決定が可能になります。
新規取引の稟議書の書き方
新規取引の稟議書には、適切な記載項目と説得力のある内容が求められます。ここでは、必要な記載項目と、承認を得やすい稟議書の作成ポイントについて解説します。
記載項目
記載項目と具体例は、以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
件名 | 新規取引先「〇〇商事株式会社」との契約締結について |
目的 | 新規取引先「〇〇商事株式会社」との契約により、製品の品揃えを拡充し、売上高を拡大すること |
提案の内容 | 年間50,000セットの発注を見込む |
取引条件:単価〇〇円、納期30日以内、月末締め翌月末払い | |
市場調査と販売実績から、〇〇商事株式会社が総代理店として販売する製品の品質と納期対応に信頼性があると判断 | |
契約のメリット | 売上高が前年比15%増加の見込み |
顧客評価の向上およびリピート受注の増加が期待できる | |
承認依頼 | 上記内容についての承認を依頼する文面 |
書き方のポイント
新規取引の稟議書を作成する際は、取引の目的や必要性を明確に記載することが重要です。まず、契約の目的をはっきり示し、その取引先が必要である理由を具体的に説明します。
さらに、取引先の信用情報をできるだけ詳細に記載し、信頼性を裏付けましょう。加えて、契約によるメリットを数値やデータで示し、取引の正当性を証明します。これらを簡潔に記述することにより、承認を得やすくなるでしょう。
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新規取引の稟議書の例文
〇〇商事株式会社から、製品「〇〇〇〇」を仕入れる取引に関する稟議書の例文は、以下のとおりです。実際に稟議書を作成する際の参考にしてください。
【新規取引の稟議書の例文】
〇〇年 〇〇月 〇〇日
〇〇部部長 〇〇様
〇〇部 〇〇課
〇〇〇〇 印
新規の取引開始の件
標題の件につきまして、下記の通り新規取引を開始いたしたく、ご承認くださいますようお願い申し上げます。
記
- 新規取引検討先:〇〇商事株式会社
- 主な事業内容:製品「〇〇〇〇」の販売総代理店
- 目的:
新規取引先「〇〇商事株式会社」との契約により、製品の品揃えを拡充し、売上の拡大を図ること - 提案の内容:
- 年間50,000セットの発注を見込む
- 取引条件:単価○○円、納期30日以内、月末締め翌月末払い
- 市場調査と取引実績から、〇〇商事株式会社が販売する製品の品質と納期対応に信頼性があると判断
- 契約のメリット:
- 売上高が、前年比15%増加する見込み
- 顧客評価の向上およびリピート受注の増加が期待できる
- 添付資料:
〇〇商事株式会社の会社概要、製品「〇〇〇〇」の製品カタログ
以上
新規取引の稟議書のレビューポイント
新規取引の稟議書のレビューポイントは、以下のとおりです。
- 取引先の安全性
- 商品やサービスの適性
- 適格請求書発行事業者登録の有無
以下で、それぞれ見ていきましょう。
取引先の安全性
新規取引を開始する際、取引先の安全性を確認することは非常に重要です。主に、以下の2つの観点からチェックを行います。
まず、財務安定性の確認です。上場企業の場合はIR資料(企業が提出する企業情報や財務情報など)を、非上場企業では信用調査会社のレポートを活用し、財務諸表や各種財務比率(流動比率、債務対資本比率など)を精査します。
次に、反社会的勢力との関係の有無を確認します。公的・民間のデータベースや業界ネットワークを通じた情報収集に加え、取引先からの自己申告書の取得も有効な手段となるでしょう。
商品やサービスの適性
新規取引開始にあたっては、取引先が提供する商品やサービスが自社の求める品質基準を満たしているかどうかを評価することが重要です。評価の際は、製品やサービスの安全性認証の取得状況や供給実績など、複数の観点から精査する必要があります。
判断材料として重要なのは、安定供給と品質の信頼性を裏付けるデータの提示です。過去の取引実績や規模、品質管理体制について、必要に応じて技術部門や品質管理部門による専門的な検証を実施します。
レビュー時は、評価結果や検討過程の妥当性を稟議書へ反映できているかを意識して確認するようにしましょう。
適格請求書発行事業者登録の有無
新規取引の稟議書をレビューする際には、取引先が「適格請求書発行事業者登録」をしているかの確認が重要です。登録されていない場合、経過措置はあるものの、将来的には消費税の仕入額控除が受けられず、コストが増加することになります。
取引先の登録状況は、国税庁のデータベースで確認可能であり、この確認を通じて取引先との契約条件が適切かどうか、経済的な影響を含めて検討するようにしましょう。
参考:国税庁 インボイス制度 適格請求書発行事業者公表サイト
スムーズに承認を得るため効果的な稟議書の書き方をマスターしよう
新規取引の稟議書を作成する際は、取引の目的や重要性を明確にし、取引先の信用情報の具体的かつ詳細な記載が求められます。
取引先の安全性や提供される商品・サービスの適性、適格請求書発行事業者登録の有無は、確認が必要な重要項目です。
また、契約によるメリットを数値やデータで示すことで、取引の妥当性を裏付けられるため、承認を得やすくなります。これらのポイントを踏まえ、説得力のある稟議書を作成し、新規取引をスムーズに進めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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