- 更新日 : 2025年2月20日
電子マネーで経費精算する方法は?メリットや仕訳について解説
経費精算とは、従業員が業務のために立て替えたお金を企業側が払い戻すことです。経費精算は現金で行うことが一般的でしたが、現在では電子マネーを利用する企業も登場しています。
本記事では、経費精算を電子マネーで行うメリットをはじめ、仕訳の方法や注意点などについて解説します。興味を持った方は、ぜひ参考にしてください。
目次
電子マネーとは
電子マネーとは、読んで字のごとく電子化されたお金のことです。クレジットカードと異なり、審査が必要ないため未成年でも使用できます。
プリペイド方式とポストペイ方式の2種類が存在しており、それぞれの特徴は以下のとおりです。
プリペイド方式
プリペイド方式とは、あらかじめお金をチャージしておくタイプの電子マネーです。主なプリペイド方式の電子マネーは、以下のとおりです。
- Suica
- PASMO
- PayPay
- WAON
- 楽天Edy
プリペイド方式の性質上、チャージした金額以上のお金は使用できません。そのため、クレジットカードと異なり浪費のリスクが低いのがメリットです。
ポストペイ方式
ポストペイ方式は、電子マネーとクレジットカードを紐付けて利用するタイプの電子マネーです。ポストペイとは、後払いを意味します。
主なポストペイ方式の電子マネーは、以下のとおりです。
- Apple Pay
- Google Pay
- iD
- QUICPay
- PiTaPa
チャージの必要がないため、残高不足で支払いができない事態になりません。また、クレジットカードを支払い元に設定するため、クレジットカードのポイントが貯まる点もメリットです。
経費精算に電子マネーを利用するメリット
キャッシュレス化が進んでいる影響もあり、電子マネーを使用する方も珍しい存在ではなくなりました。そして、現在では電子マネーを経費精算に用いる企業も増えています。
電子マネーを経費精算に利用すると、以下のようなメリットを享受できます。
銀行振込手数料を削減できる
経費の精算を、銀行振込で行っている企業は少なくありません。しかし、振込先や振込を実施する日時によっては、銀行振込手数料が発生します。また、金額は小さくても、積み重なると無視できないほど大きな金額になります。
電子マネーで経費精算をすれば、銀行振込手数料が必要なくなるため、経費削減にもつながるでしょう。
現金管理のリスク・工数を削減できる
経費精算をする際に現金を扱うのは、受け渡しのミスや紛失など、さまざまなリスクをともないます。どれだけ注意を払っていても経費精算の回数や金額が増えれば、ヒューマンエラーの確率はさらに高まるでしょう。
電子マネーで決済ができれば、現金の精算の必要がなくなるため、現金管理のリスクが減ります。また、現金精算がなくなる分、作業工程の削減も可能です。
利用履歴の確認により不正を防止できる
不正の防止効果が期待できる点も、電子マネーで経費精算をするメリットです。電子マネーはいつ、どこで、どの程度の金額を使用したのか、すべてデータで記録されています。
正しい情報が記録されていることは、従業員の不正利用に対する牽制になるでしょう。また、万が一領収書を紛失してしまったときも、スムーズに対応することが可能です。
電子マネーを利用した経費精算と仕訳方法
電子マネーを利用した経費精算の方法は、現金の場合と詳細が異なります。以下では、具体的な手順と処理のタイミングを、電子マネーの種類ごとに解説します。
それぞれの仕訳方法についても取り上げるため、順番にチェックしていきましょう。
プリペイド方式の場合
プリペイド式は、支払い前のチャージ分が原資となります。チャージの取り扱いは「預け金」として別建てで管理する、もしくは現金の一部として取り扱うかの2種類です。
預け金として仕訳をする場合は、以下のように仕訳します。
借方 | 貸方 | 摘要 | |||
---|---|---|---|---|---|
旅費交通費 | 2,500円 | 預け金 | 2,500円 | 電子マネーで電車料金支払い |
支払い分のみ仕訳する場合、以下のように仕訳してください。
借方 | 貸方 | 摘要 | |||
---|---|---|---|---|---|
旅費交通費 | 2,500円 | 現金 | 2,500円 | 電子マネーで電車料金支払い |
ポストペイ方式の場合
ポストペイ方式は、クレジットカードと連携した電子マネーであるため、支払いのタイミングでは負債が発生します。
そのため、仕訳では貸方に負債の勘定科目である未払金を使用しましょう。
借方 | 貸方 | 摘要 | |||
---|---|---|---|---|---|
旅費交通費 | 2,500円 | 未払金 | 2,500円 | 電子マネーで電車料金支払い |
後日引き落としが発生したら、以下のように仕訳してください。
借方 | 貸方 | 摘要 | |||
---|---|---|---|---|---|
未払金 | 2,500円 | 預金 | 2,500円 | 電子マネー利用分 |
経費精算に電子マネーを利用する注意点
電子マネーと現金は勝手が異なるため、同じ感覚で経費精算を行うと思わぬトラブルを招く可能性があります。電子マネーで経費精算を実施する際は、以下の点に注意しましょう。
計上方法を統一する
電子マネーを利用した経費精算の方法は、複数種類あります。そのため、精算方法を統一しないと、経費処理の手間が増えかねません。
利用頻度が高ければまとめて計上、利用機会が少なければ利用の度に経費処理を行うなど、状況に適した方法を選択しましょう。
使用履歴を必ず残しておく
使用履歴を印刷するなどして、電子マネーを何に使ったか、誰でも確認できる形で残しておきましょう。適切な経費精算を行うときのみならす、税務調査が入った際にも提示する資料としても使用できます。
使用する電子マネーによっては管理ページで履歴の確認と印刷が可能なため、導入前に調べておくとよいでしょう。
プライベートの利用分との混同に注意する
経費の精算をスムーズに行うためにも、最初から電子マネーをビジネス用とプライベート用で分けるのをおすすめします。
電子マネーは気軽に使用できる分、プライベートで使用した分と混同する可能性があります。その場合、経費の精算に手間取ったり、何に電子マネーを使用したか忘れてしまったりするリスクも高まるでしょう。
電子マネーで支払うと領収書は発行される?
電子マネーを利用するにあたって、電子マネーでも領収書を発行してもらえるのか、気になっている方もいるでしょう。経費の精算を行ううえで、領収書は欠かせない存在です。
以下では、領収書の発行の有無について、プリペイド方式とポストペイの2パターンで解説します。
プリペイド方式の場合
プリペイド方式の電子マネーの場合、その場で決済が完結します。そのため、現金と同じく領収書の発行が可能です。領収書を発行する流れも、基本的に現金のときと同じです。
なお、電子帳簿保存法の改正により、一定要件を満たせば電子マネーの利用明細データを領収書代わりに利用できます。
ポストペイ方式の場合
ポストペイ方式の電子マネーでも、領収書は発行されます。クレジットカードと同じく、領収書の発行は店舗側の判断、サービスで行われます。必要な場合は、店舗側に直接領収書の発行を依頼しましょう。
領収書が発行されない場合、レシートを領収書代わりに利用します。なお、すべてのレシートが領収書の代わりになるとは限りません。
領収書代わりに利用するためには、以下の項目がレシートに記載されている必要があります。
- 店舗名
- 年月日
- 購入した商品
- 金額
- レシートの受取人
ただし、会社の規則によっては、領収書しか認めていない場合もあります。レシートでも問題ないか、事前に確認しておきましょう。
電子マネーのポイント利用分は経費精算できる?
結論から述べると、従業員が個人的に貯めていたポイントも、経費として認められます。これは従業員が貯めたポイントも、個人の資産として判断されるためです。もちろん、ポイントを含む全額が精算の対象です。
電子マネーで経費を立て替えた際に発生したポイントは誰のもの?
経費を立て替えた際に発生したポイントは、基本的に会社に帰属します。実際のところは就業規則によって扱いが異なりますが、立て替えによって獲得したポイントを私的に利用すると、横領に該当する可能性もあります。
余計なトラブルを招かないためにも、取り扱いを会社に確認しておきましょう。
経費精算の効率化には、マネーフォワード クラウド経費の導入がおすすめ!
経費精算は、金額や処理回数が増加するほど手間がかかり、ヒューマンエラーも発生しやすくなります。もし効率的な業務を実現したい場合は、経費精算システムであるマネーフォワード クラウド経費の導入がおすすめです。
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また、50名以下の企業では、無料でシステムの使用感も試せます。興味を持った方は、ぜひ公式サイトをチェックしてください。
電子マネーの特性を理解して経費精算を行いましょう
電子マネーを利用した経費精算には、銀行振込手数料の削減をはじめ、さまざまなメリットが存在します。現在では多機能な経費精算システムも多数登場しており、併用すれば業務をより円滑に進められるでしょう。
ただし、電子マネーを利用した経費精算は、現金で経費精算するときとは異なる注意点も複数存在します。両者のメリットとデメリットを比較したうえで、電子マネーの導入を検討しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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