- 更新日 : 2024年8月30日
Web請求書のデメリットとは?取引先に拒否された場合の対応方法
近年、紙の請求書ではなくWeb請求書を発行する企業が増えています。Web請求書が普及するなかで、導入を検討している会社も多いでしょう。今回はWeb請求書の導入で生じるデメリットを中心に、なぜWeb請求書が増えているのか、Web請求書の導入はどのように進めればよいのかなどについて紹介します。
目次
Web請求書とは?
Web請求書とは、PDFなどの電子的なデータで作成・送付される請求書のことです。電子データである特性を生かして、メールに添付して送付する、クラウド上にアップロードするなどの方法で取引先に共有されます。近年、電子帳簿保存法改正の影響などにより、Web請求書の導入について注目が高まっています。
Web請求書のデメリット
Web請求書を導入することで生じてしまうデメリットについて紹介します。
システム環境の整備が必要
Web請求書に対応するためには、システムあるいはソフトウェアなどを導入し環境を整備する必要があります。これまで紙で請求書を発行していた場合、業務フローやシステム環境を変えなければなりません。また、システム導入に合わせて社内の発行手続きの整備も必要です。
取引先の同意が必要
Web請求書を導入する際は、受け取る側の事情も考慮する必要があります。なかには、請求書の電子化に対応していない、Web請求書に抵抗感をもつ取引先もあるでしょう。その際には、Web請求書のメリットを丁寧に説明する手間が発生します。
取引先の業務負担が増える場合も
これまで紙での請求書で処理をしていた場合、Web請求書にすることでフロー等を変更する必要があり、取引先の業務負担が増えることもあります。Web請求書の受領側も電子帳簿保存法の要件を満たす必要があり、コストや時間がかかります。また、要件を満たすためには社員教育も必要となるでしょう。
システム導入・運用のコストがかかる
Web請求書を導入するには、システムを導入する必要があります。システム導入にはコストがかかってしまい、想定以上の効果がなければコストが無駄になります。また、システム運用にあたっては、ランニングコストも発生します。
システム研修や教育のコストがかかる
新たにWeb請求書を導入するにあたって、システムを使用するための研修が必要です。また、Web請求書の導入に合わせて、新たに教育をしていく必要もあります。
セキュリティのリスクがある
請求書には取引内容や取引先の情報などが含まれており、機密性の高い書類です。Web請求書にした場合、誤送信などが起こりやすく情報漏洩をどのように防ぐかが重要になります。Web請求書の導入にあたっては、取引先ごとに送信先を設定しておくなどセキュリティ対策が必要です。
Web請求書の発行を拒否されたら?
Web請求書の送付について、相手先に拒否されてしまうことがあります。どのような場合に拒否されるのか、また、拒否された場合の対応方法について紹介します。
電子化の請求書を拒否される例
Web請求書を拒否される例として、取引先の慣習として紙の請求書のみを取り扱っている場合があげられます。近年業務の効率化や管理体制の強化により、多くの企業が電子化を進めていますが、電子化に必要なシステムの導入を進めにくい中小企業などは電子化が進んでおらず、拒否されてしまう可能性もあるでしょう。
また、Web請求書を保存しておくにはPCなどの端末が必要です。PCを使っていないケースなどでは拒否されてしまう可能性があります。
電子化を拒否された場合の対応方法
Web請求書を拒否された場合には、印刷して紙の請求書を発行し郵送やFAXなどで対応する方法が考えられます。郵送にする場合、切手などの費用がかかるとともに、到着までに時間がかかるため留意が必要です。
Web請求書のメリット
Web請求書にはデメリットがある一方、メリットも数多くあります。ここでは、Web請求書の導入で得られるメリットについて紹介します。
封入ミスや紛失が防げる
紙の請求書だと封筒などに入れることになり、封入する請求書を誤ってしまう可能性があります。また、紙の場合、紛失してしまうリスクもあります。
Web請求書を導入した場合、送信先さえ誤らないように定型化すればミスを減らせます。フォルダなど一定のルールを作っていれば封入や紛失を防ぐことも可能です。
印刷・郵送コストを減らせる
紙の請求書の場合、印刷後に郵送するため印刷費と郵送費がかかります。一方、Web請求書を導入すると印刷コストや郵送コストは必要ありません。かかるとしても通信費で、印刷や郵送と比較して大幅にコストを削減できます。
ペーパーレス化を推進できる
近年、環境などへの影響を踏まえ、ペーパーレス化が進められています。Web請求書を導入すると紙での印刷やファイリングが必要なくなり、ペーパーレス化を進めることが可能です。
紙の請求書であれば、ファイリングや最終的な処分なども必要になりますが、Web請求書であればペーパーレスとなり、コスト削減や業務効率の向上、セキュリティ対策強化などのメリットも得られます。
書類スペースを削減できる
請求書などの書類は原則7年間の保管が必要です。紙の請求書の場合、紙での保管のために書類の保管スペースが必要となります。
電子帳簿保存法の改正により、紙と電子媒体での二重管理が不要となりました。したがって、Web請求書を導入すると、紙での保管が不要となります。必要になるのはPCの容量やクラウドの容量であり、書類保管のスペースを削減できます。
請求書発行当日に受け取れる
Web請求書を導入すると、請求書を即日で共有できます。紙の請求書の場合、郵送するため、送付先に届くのは翌日以降となってしまいます。Web請求書の場合、メールなどで送付する、あるいは、クラウドなどで共有することとなり、少なくとも当日中に受け取れます。
再発行や修正対応が迅速にできる
請求書の再発行や修正を依頼した場合、紙の請求書だと修正等をした請求書を送付する必要があるため、即座に対応することは難しくなります。Web請求書の場合、メール等で即座に送付できます。
リモートで作業ができる
紙の請求書の場合、会社に現物があるため、必ず出社して対応する必要があります。一方、Web請求書の場合、クラウドなどに保管されるため、ネット環境さえあれば場所を問わず作業が可能となります。出社せずともリモートで作業できるのは、大きなメリットでしょう。
Web請求書システムの導入方法
Web請求書システムを導入する流れは以下のとおりです。
- 現状の課題・目的の整理
- 課題に対する優先度の整理
- 予算とスケジュールの整理
- 判断基準に沿った情報収集
- システム選定・導入の決定
順番にご説明します。
現状の課題・目的の整理
なぜWeb請求書を導入するのかを整理し、目的や対応すべき課題を明確にします。導入する目的としては、電子化を進めることで在宅でも作業可能にする、メールで送付することで郵便代金を削減するなどがあります。
課題に対する優先度の整理
明確にされた課題に対して対応策を検討し、優先順位をつけます。導入することで優先的に解決したい課題に対する機能で順位づけをしていきます。
予算とスケジュールの整理
予算やスケジュールを整理する際は、予算を重視して機能をカットし過ぎていないか、スケジュールを優先するあまり必要な対応が抜けていないかなどに留意する必要があります。
判断基準に沿った情報収集
スケジュールを整理できれば、そのスケジュールに則り自社に合ったWeb請求書サービスの情報を集めます。
選定・導入の決定
最後に収集した情報を元に、製品を決定します。自社が求めるサービスとコストの兼ね合い、導入で得られる効果とコストの兼ね合いなどバランスを考えて選定しましょう。
Web請求書システムの選び方
Webシステムの導入が決まれば、導入するシステムを選びます。ここでは、Web請求書システムの選び方について紹介します。
信頼できる企業・導入実績があるか
Web請求システムに限らず、システムの導入にあたっては問題などが起きやすく、その対応をできるかが大切です。そのため、システムの信頼性や同様の導入実績があるかなどは重要な判断基準となります。信頼性が高く、導入実績の多いシステムを選定したほうがスムーズに作業を進められるでしょう。
最新の法律・税制変更に対応しているか
法律や税制は毎年のように変更されます。Web請求書システムもその変更に対応しているか、変更のたびにフォローをしてくれるかなどが重要です。法律や税制に対応できていない場合、請求書を発行するたびに修正が必要となります。常に最新の法律や税制変更に対応しているかは、きちんと確認しましょう。
他のシステムと連携できるか
すでに、会計ソフトや販売管理システムなどを導入している企業も多いでしょう。そこで、Web請求書システムを導入する際は、他のシステムと連携できるかも重要なポイントです。
他のシステムと連携できない場合、請求書の発行だけに別途作業が必要となり、非効率となってしまいます。既存の導入システムと連携できるのかも、事前に確認をしておく必要があるでしょう。
操作が簡単か
Web請求書システムの操作が簡単かどうかは、事前に確認をしておきましょう。操作が複雑だとWeb請求書の発行作業に時間がかかってしまいます。また、利用するにあたって研修等も必要となるため、業務全体に影響が出るでしょう。できるだけ操作が簡単なシステムであれば、業務に影響が出ずスムーズに導入できます。
サポート体制が整っているか
導入初期の段階では、システムエラーなどが頻繁に生じます。サポートがなければ自社で解決しなければならず、対応できないケースが生じるかもしれません。
また、システムに不具合が生じると業務に遅れが出てしまい、取引先にも迷惑がかかります。サポート体制が整っているシステムを導入すれば、トラブルが起きてもスムーズに解決できるでしょう。
セキュリティ対策は万全か
システムには、取引先や取引内容などの情報が含まれています。セキュリティ対策が不十分で大切な顧客情報が外部に流出した場合、自社のみならず、取引先にも影響して信用を大きく損なう可能性があります。システムの導入にあたっては、セキュリティ面で万全な対策が取られているかを踏まえて選定しましょう。
Web請求書システムはデメリット以上に効果がある
Web請求書システムを導入すれば、業務効率化を図れるとともに、ミスなども減らすことが可能です。一方で、デメリットや導入にあたって留意すべき点などもあります。それらを理解した上で導入しなければ、問題などが生じる可能性があるでしょう。Web請求書システムの導入にあたっては、機能や実績などを考慮して選定を進めていきましょう。
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