- 更新日 : 2024年8月8日
法人税申告書の別表9(2)とは?見方や書き方、注意点まで解説
法人が確定申告をする際に提出するのが「法人税申告書」です。そして法人税申告書を提出する際は、必要に応じて「別表」を添付します。
別表の種類は1から20までありますが、今回は別表9についてご紹介します。どのようなときに必要な書類なのか、そして書類の書き方について確認しておきましょう。
目次
法人税申告書の別表9とは
法人税申告書別表9には、以下の2つの種類があります。
【別表9(1):保険会社の契約者配当の損金算入に関する明細書】
保険業法に規定する保険会社が保険契約に基づいて保険契約者に対して分配する金額について「契約者配当の損金算入」規定の適用を受けるために必要な書類。
【別表9(2):組合事業等による組合等損失額の損金不算入又は組合等損失超過合計額の損金算入に関する明細書】
法人が「組合事業等による損失がある場合の課税の特例」「組合事業等による損失がある場合の課税の特例」「有限責任事業組合契約による組合事業に係る損失がある場合の課税の特例」などの適用を受けるために必要な書類。連結法人については、適用を受ける連結法人ごとにこの明細書を作成する。
(1)は保険会社向け、(2)は組合事業を営む法人向けと、どちらも、新設法人や一般的な法人は提出する機会がないかもしれません。この記事では、より利用可能性が高いであろう別表9(2)の書き方についてご紹介します。
なお、法人税申告書の別表は以下からダウンロード可能です。
参考:国税庁「令和5年4月以降に提供した法人税等各種別表関係(令和5年4月1日以後終了事業年度等分)」
法人税申告書の書き方については下記記事を参考にしてください。
法人税申告書の別表9(2)に記載する主な項目と書き方
法人税申告書別表9(2)は組合事業を営む法人向けのものです。組合の種類や別表9(2)に記載する項目について解説します。
組合の種類
「協同組合」「労働組合」といったおなじみの組織以外にも、「匿名組合」というものが増えてきています。
匿名組合とは、事業を運営する事業者と匿名の出資者(組合員)の二者間で出資や利益の分配についての契約を結んでいる組合のことです。出資者は出資する代わりに利益が出たらそれを分配してもらえます。また、出資者は匿名ですので、外部からは誰が出資しているのかが分かりません。
近年では「不動産クラウドファンディング」などで匿名組合型の運営が行われています。出資者は運営(例えば物件の運用など)に携わることはできませんが、不動産運用で利益が出た場合は、利益の分配を受けることができるというものです。
「組合」というと、「自社にはあまり関係ないかも」という法人もあるかもしれませんが、匿名法人については、今後かかわりが出てくるかもしれませんので押さえておきましょう。
組合等の損金不算入額
法人税申告書別表9(2)は法人が「措置法第67条の12第1項」もしくは第2項の「組合事業等による損失がある場合の課税の特例」の規定を受ける場合などに使います。
そして、「組合等の損金不算入額」欄は以下の規定の適用を受ける場合に利用します。
- 措置法第67条の12第1項
- 第67条の13第1項
法人税申告書の別表9を書く際の注意点
法人税申告書別表9(2)を記載する際の主な注意点として、出資金以上の金額は損金算入できないことが挙げられます。
「措置法第67条の12第1項」により、組合等の特定組合員に該当する法人組合員や信託の特定受益者になる法人は、損失額のうち、出資金額等を超える部分の金額は損金算入ができません。
組合を作る際、出資する際は法人税申告についても要チェック
組合には労働組合、協同組合以外にも匿名組合という組織もあります。今後、自法人が組合を作り運営するだけでなく、組合の出資者になることもあるかもしれません。そのときのために、申告方法を押さえておきましょう。
また、損金が出た場合も、損金算入できるケースとできないケースとに分かれます。こちらについても確認しておくことをおすすめします。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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