- 更新日 : 2024年8月15日
出張時の日当の仕訳に使う勘定科目を解説
従業員や役員などの出張に対し会社から規定に応じた出張手当を支給することがあります。出張時の日当は経費として精算できますが、どのような勘定科目で会計処理をするのが適しているのでしょうか。
この記事では、従業員などに出張時の日当を支給したときに使用する勘定科目や仕訳、税務上の取扱いについて解説していきます。
出張手当の日当の仕訳に使える勘定科目
従業員や役員の出張時に発生する経費は「出張経費」と「出張手当」に分類されます。
出張経費は、出張にともなう宿泊費や移動費(新幹線や飛行機などの代金)など、出張に際して発生した費用です。原則として実費精算の対象とされており、出張者が一時的に立て替えた金額の精算、または会社が渡した仮払金の精算が行われます。
出張手当は、出張時に増加する出張者の経済的負担や精神的・肉体的負荷の軽減を目的とした日当です。出張者は出張中の食事を外食やコンビニなどで済ませる必要があるなど、日常的な環境と比べて出費が多くなってしまう傾向があります。また、普段の勤務とは異なる環境で業務を行うため、精神的・肉体的な負担が増加するため、これらの影響に対する慰労という意味も持ち合わせています。
会社から支給される日当は公平性の観点から、一般的にはあらかじめ会社規定によって定められた日額が支給されます。
出張時の日当は後日精算を行う必要がない渡し切りの費用です。本拠地から離れた遠方での業務にともない発生する費用であるため、通常は次の仕訳例のように「旅費交通費」の勘定科目を使って処理します。
(仕訳例)
従業員の出張時の日当を現金で支払った。出張期間は5日間で、会社規定により従業員の出張時の日当は日額2,000円と定めている。
※2,000円(日当)×5日=10,000円
日当の税務上の取扱い
出張時の日当は、法人税法においては旅費交通費として全額を損金に算入することが認められています。また日当が通常必要と認められる範囲であれば課税仕入れの対象(海外出張のための日当などは原則として不課税)です。また、適切に定められた出張旅費規程に基づき支給された日当は、所得税の非課税対象になります。
出張旅費規程が設けられていない会社は、客観的な基準による日当の設定が行われにくいことから、過剰な手当を支給してしまうおそれがあります。多すぎる日当は税務署から住民税非課税の日当として認められないリスクが高まります。出張旅費規程を客観的かつ公平な基準で設定したうえで、出張の実態と日当の支給に齟齬が生まれないように記録をしておくなどの対策を行いましょう。
出張時の日当は旅費交通費として処理する
出張時の日当は実費精算ではありませんが、一般的には旅費交通費として扱います。損金へ組み入れられるうえ、課税仕入れの対象となるため、法人税・消費税の両面で節税に繋がります。
ただし、出張時の日当を適切に処理するためには、社内であらかじめ規定を設け、出張の記録をつけておくなどの適正な処理が必要です。会計処理の方法だけでなく、社内の手続きについても適切に行われているか見直しを図りましょう。
よくある質問
日当の仕訳に使う勘定科目は?
実費ではないものの出張時に発生することから、出張時の日当は「旅費交通費」の勘定科目で仕訳をします。詳しくはこちらをご覧ください。
日当の税務上の取扱いは?
消費税の取扱いは課税仕入れ(海外出張の日当を除く)となり、法人税法上は損金、所得税法上は非課税所得として扱われます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
洗剤を経費計上する際の勘定科目は?仕訳例も紹介
事業のために洗剤や芳香剤を購入した際の代金は、目的によって仕訳時の勘定科目が異なります。例えば、クリーニング店が洗濯洗剤を購入したときであれば、消耗品費として経費計上することが可能です。他にもどのような勘定科目を使用できるのか、具体的な仕訳…
詳しくみる資産除去債務とは?会計基準と仕訳の具体例を解説
建物など有形固定資産の取得にともない、将来建物を解体する義務などが生じた見積もり可能なものを資産除去債務といいます。 財務諸表に有形固定資産の除去に関する将来の負担を反映することは、投資情報として役立つことから、上場企業などを中心に資産除去…
詳しくみる移動平均法による評価方法をわかりやすく解説
企業の利益を把握するうえで、売上原価管理は無くてはならない業務のひとつです。棚卸資産の原価を正しく把握できていなければ、利益の数字が不正確となり経営判断や戦略に大きな影響を及ぼすでしょう。 その原価計算をより正確なものとする方法に「移動平均…
詳しくみる未払配当金の仕訳・勘定科目を解説!
未払配当金とは支払いの決議をした配当金のうち、まだ支払われていない未払金を処理する勘定科目です。配当金の計上時期は支払う旨の決議を行ったときで、実際に配当金が支払われるのは後日であるため、計上の際は負債として未払配当金勘定で処理をすることに…
詳しくみる動画制作費や撮影費を経費に!仕訳に使う勘定科目まとめ
商品やサービス、あるいは企業自体を宣伝するための動画を制作したり撮影する場合、かかった費用を経費として計上できることがあります。動画制作費や動画編集のソフト代、編集機材費に使える勘定科目について、仕訳例とともにまとめました。また、減価償却す…
詳しくみる事業譲渡の売り手、買い手の仕訳方法とは?のれんが発生する場合も解説
事業承継やM&Aの手法として注目される事業譲渡は、会社の事業の一部または全部を他の会社に譲渡するものです。この取引を適切に会計処理し、財務諸表に記録するためには、売り手企業と買い手企業それぞれが、事業譲渡における仕訳を正確に行う必要…
詳しくみる