- 更新日 : 2024年8月8日
減価償却における固定資産の除却とは?廃棄との違いも解説!
固定資産に計上したものは、使わなくなったときに除却処理をする必要があります。すでに減価償却が終わり、固定資産として使用しなくなっても除却処理をしなくては帳簿から取り除けません。スムーズに確定申告を行うためにも、適時除却処理をする必要があります。わかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
減価償却で重要な固定資産の除却とは?
固定資産を取得すると、減価償却が始まります。資産の耐用年数を過ぎると減価償却も終わりますが、資産自体は残り続けます。資産を使わなくなったときや廃棄するときは会計処理が必要です。除却とは何か、廃棄とは何が異なるのかについて見ていきましょう。
固定資産の除却とは
固定資産として計上したものは、今後一切使用しないのであれば除却処理をすることができます。廃棄するときも、除却の処理が必要です。
固定資産は耐用年数が過ぎると減価償却も終わり、資産価値がなくなります。しかし、残存価額と呼ばれる価値は残り、税金も発生することになります。
使わなくなった固定資産を除却することで残存価額もなくなり、節税することが可能です。また除却して廃棄処分をすると、今まで固定資産を置いていた場所が空き、会社の限られたスペースを有効活用することもできます。
廃棄との違い
除却は資産として計上したものをなくすことであり、帳簿上の作業です。一方、廃棄とは捨てることであり、物理的になくすことを意味します。
減損との違い
減損とは、資産の収益性が低下して投資額の回収が見込めなくなったときに実施する会計処理です。一定の条件下では回収可能性があるということを反映し、帳簿価額を減額します。
減価償却は耐用年数に沿って計画的に行われる処理ですが、減損処理は臨時的に行われる処理である点が異なります。
売却との違い
売却とは、売って現金化することです。資産はなくなりますが、現金は増えます。
固定資産の除却の仕訳
除却は帳簿上の処理です。正しく仕訳をして、帳簿に記載する必要があります。書き方を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
固定資産除却損の計上
切断機を120万円で購入し、すでに70万円を減価償却したとしましょう。この期中に除却をする場合は、以下のように仕訳ができます。
直接法
間接法
簿価1円の固定資産の扱い
耐用年数を過ぎ、すべて減価償却した後の資産でも使用している場合は、簿価1円の固定資産として扱います。除却をするときは、資産の取得価額から1円を差し引いた金額で借方に「減価償却累計額」の勘定科目を記入しましょう。また同じく借方に「固定資産除却損」の勘定科目を記し、1円と記入します。
廃棄費用の扱い
廃棄や撤去に費用が生じたときは、「固定資産除却損」の勘定科目で仕訳をします。
売却益の扱い
除却した固定資産を下取りしてもらい、売却益が出た場合の仕訳例を紹介します。80万円で下取りしてもらい、30万円の固定資産売却益が生じたケースは以下のとおりです。
無形固定資産の扱い
ソフトウェアなどの無形固定資産も、有形固定資産と同じく使わないときには除却をします。例えば、50万円で購入したソフトウェアを40万円まで減価償却し、その後、除却した場合は以下のように仕訳ができます。
使わない固定資産は除却処理をしよう
すでに耐用年数が過ぎた固定資産だけでなく、まだ減価償却中の固定資産も、使っていない場合は除却処理をしましょう。除却処理することで帳簿や設置場所をすっきりと整理できるだけでなく、節税にも繋がります。また、正しく除却処理をした後で廃棄や売却を行いましょう。
よくある質問
減価償却における固定資産の除却とは何ですか?
使わない固定資産を帳簿から取り除くことです。残存価額がなくなるので節税にもなります。詳しくはこちらをご覧ください。
固定資産の除却はどのように仕訳すれば良いですか?
減価償却累計額に満たない部分を「固定資産除却損」の勘定科目で仕訳をします。減価償却が終わっている場合は簿価1円で処理をします。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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