- 更新日 : 2026年2月5日
全部純資産直入法と部分純資産直入法を理解する
その他有価証券を時価に評価替えするときの方法は「全部純資産直入法」と「部分純資産直入法」の2つがあります。有価証券の取得原価と時価に差額がある場合、その他有価証券評価差額金を会計処理しなければなりません。
本記事ではその他有価証券評価差額金を帳簿に記すときの具体例を踏まえ、2つの評価替えの方法を説明します。それぞれどのような特徴があるのかを解説しましょう。
全部純資産直入法とは
「全部純資産直入法」とは、その他有価証券評価差額金を処理するための方法で、評価差額を合計した額を純資産として計上します。その他有価証券とは「売買目的」「満期保有目的」「子会社・関連会社株式」のどれにも該当しない証券のことです。
その他有価証券に分類されたものは、帳簿へ記入する際、時価に評価替えする処理が必要です。ただし、非上場株式の場合は時価がないためこの限りではありません。
評価替えの処理には「全部純資産直入法」または「部分純資産直入法」を使用します。基本的にその他有価証券評価差額金の処理は、全部純資産直入法で処理することが一般的でしょう。
全部純資産直入法の特徴は、評価差額が発生している場合でも合計額を純資産として計上する点です。そのため、仕入段階での取得原価よりも時価が下回っている場合でも、損失としては計上しません。
「評価益と評価損いずれも純資産の変動額になる」と覚えておきましょう。具体的な例は、以下の通りです。
A株式:取得原価15,000円、決算時の時価18,000円
B株式:取得原価3,000円、決算時の時価2,000円
(計算過程)
A株式の評価差額:決算時の時価18,000円-取得原価15,000円=3,000円
B株式の評価差額:決算時の時価2,000円-取得原価3,000円=△1,000円
評価差額の合計:A株式(3,000円)+B株式(△1,000円)=2,000円
部分純資産直入法とは
「部分純資産直入法」とは、その他有価証券評価差額の処理に使われるもう一つの方法です。先程の全部純資産直入法との大きな違いとして、時価が取得原価を下回る場合に損失として処理します。
これを投資有価証券評価損という項目で帳簿に記すため、全部純資産直入法とは異なると覚えておきましょう。なお、取得原価を上回る時価だった場合には、全部純資産直入法と同様に評価益も含めて純資産の変動額として計上します。具体的な例は以下の通りです。
A株式:取得原価20,000円、決算時の時価25,000円
B株式:取得原価6,000円、決算時の時価4,000円
(計算過程)
A株式の評価差額:決算時の時価25,000円-取得原価20,000円=5,000円
→時価が取得原価を上回るため純資産の変動額として処理
B株式の評価差額:決算時の時価4,000円-取得原価6,000円=△2,000円
→時価が取得原価を下回るため損益として処理
(A株式) | |||
(B株式) | |||
その他有価証券の会計処理
その他有価証券の会計処理をするためには、時価への評価替えが必要です。売買目的有価証券や満期保有証券のように、目的の明確な証券とは違い、さまざまな目的によって保有するものがその他有価証券です。
そのため、決済時に評価額と取得価額の差額がどれぐらいなのかが重要な情報になります。貸借対照表へ計上する際は、先程解説した全部純資産直入法、もしくは部分純資産直入法を使用することが一般的です。
概ね全部純資産直入法を使いますが、継続して利用することを条件に部分純資産直入法も使えます。いずれにしても「決算時にその他有価証券評価差額金を処理する」と理解しておきましょう。その他有価証券についての詳しい内容は、以下のページを確認してみてください。
税務上の取扱いには注意が必要
今回はその他有価証券の計上方法である、全部純資産直入法と部分純資産直入法の違いや帳簿への仕訳例を紹介しました。
その他有価証券評価差額金は、全部純資産直入法であれば差額も合わせて純資産に計上しますが、部分純資産直入法の場合は損失を記すのが特徴です。それぞれどのような使い方をするのか、具体例を参考にしてみてください。
なお、税務上では期末評価の場合は、時価ではなく原価法が適用されます。全部純資産直入法ではなく部分純資産直入法による会計処理をする場合は、評価損が損金不算入として取り扱われます。会計処理の場合には留意して、適切な計上方法を理解しておきましょう。
【期間限定】会計ソフト移行で最大70万円ポイント還元!
オンプレミス型・インストール型をご利用の企業様へ。 移行作業をプロに任せる「導入支援サービス(サクセスプラン)」の費用相当額が、最大70万円分ポイント還元されるお得なキャンペーンを実施中です。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料を紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
電子帳簿保存法 徹底解説(2025/10 最新版)
電子帳簿保存法は、1998年の制定以降、これまでに何度も改正を重ねてきました。特に直近数年は大きな改正が続いた上に、現在も国税庁による一問一答の追加・改定が続いており、常に最新情報の把握が必要です。
70P以上にわたるボリュームであることから、ダウンロードいただいた方から大好評をいただいている1冊です。
インボイス制度 徹底解説(2024/10 最新版)
インボイス制度は施行後もさまざまな実務論点が浮上し、国税庁によるQ&Aの追加・改訂が続いています。これを受けて、「結局どうすればいいのか、わからなくなってしまった」という疑問の声も多く聞かれるようになりました。
そこで、インボイス制度を改めて整理し、実務上の落とし穴や対応のヒントまで網羅的に解説した最新資料を作成しました。問題なく制度対応できているかの確認や、新人社員向けの教育用など、様々な用途にご活用いただける充実の資料です。
マネーフォワード クラウド会計Plus サービス資料
マネーフォワード クラウド会計Plusは、データの自動取得、自動仕訳、自動学習の3つの自動化で経理業務が効率化できる会計ソフトです。
仕訳承認フローや業務分担にあわせた詳細な権限設定が可能で、内部統制を強化したい企業におすすめです。
マネーフォワード クラウド経費 サービス資料
マネーフォワード クラウド経費を利用すると、申請者も承認者も経費精算処理の時間が削減でき、ペーパーレスでテレワークも可能に。
経理業務はチェック業務や仕訳連携・振込業務の効率化が実現でき、一連の流れがリモートで運用できます。
よくある質問
全部純資産直入法とは?
全部純資産直入法は、その他有価証券評価差額金に係る評価差額(評価差益及び評価差損)の合計額を純資産の部に計上する方法。詳しくはこちらをご覧ください。
部分純資産直入法とは?
部分純資産直入法は、その他有価証券の時価が取得原価を上回る銘柄に係る評価差額(評価差益)は純資産の部に計上し、時価が取得原価を下回る銘柄に係る評価差額(評価差損)は当期の損失として処理する方法。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
- # 決算
連結精算表とは?テンプレートとあわせて連結財務諸表を作成する流れまで解説
企業グループの財政状態と経営成績を正確に把握するために欠かせない連結財務諸表。その作成過程で重要な役割を果たすのが連結精算表です。 本記事では、連結精算表の基本的な概念から、実際の…
詳しくみる - # 決算
利益剰余金とは?仕訳例やマイナスになる理由をわかりやすく解説
経営や経理の上で「利益剰余金」という言葉を見聞きする人は少なくないでしょう。しかし、利益剰余金についてなんとなく理解しているけれども詳しくは分からない人、当期純利益との関係や仕訳に…
詳しくみる - # 決算
海外子会社と連結決算を行う際の会計処理|換算処理やポイントも解説
近年、大企業だけではなく中小企業およびベンチャー企業でも投資やM&Aによる海外進出が増加しています。しかし、海外子会社を会計上適切に管理できていない企業も多いのが現状です。…
詳しくみる - # 決算
決算書のもらい方は?何をもらうべきか、どう伝えるべきか解説
決算書のもらい方は、電話や対面、またはメールなどの文書で依頼し入手する、もしくは閲覧する方法が一般的です。ただし、決算書は企業にとって重要な情報が記載された書類であるため、誰にでも…
詳しくみる - # 決算
月次決算とは?経理業務における目的や流れやり方まで解説
決算は年に1回行っているという会社も多いでしょう。税務申告を目的にするなら、決算作業は年に1回で十分といえます。 しかし、会社の経営状況を正確に把握するには、月ごとの月次決算を行わ…
詳しくみる - # 決算
損益分岐点とは?具体例でわかる計算方法
損益分岐点を活用した分析について興味を持っている経営者の方も多いのではないでしょうか。しかしエクセルでグラフを作成する方法や各指標の計算など、分析方法がわからない方も多いでしょう。…
詳しくみる
会計の注目テーマ
- 損益分岐点
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 決算報告書
- 財務分析
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理の仕事
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 勘定科目 交際費
- 法人の節税
- 法人税 節税
- 給付金
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 原価計算 棚卸資産評価
- 勘定科目 引当金
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 仕訳 仮勘定
- 仕訳 のれん
- 一括償却資産
- 工具器具備品
- 勘定科目 地代家賃
- リース取引
- 中小企業 業務課題
- 税理士
- 原価計算
- 軽減税率
- 簡易課税
- 法人税申告
- 税務調査
- 貸倒引当金
- 売掛金 会計処理
- 電子帳簿保存法
- 粉飾決算
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 会計ソフト 運用
- 利益
- 経理 効率化
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 勘定科目 負債
- 予算管理
- 勘定科目 流動資産
- 棚卸
- 資金繰り
- 会計システム
- 原価計算 売上原価
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店 経理
- 電子帳簿保存法 保存要件
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支計算書
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 仕訳 固定資産
- 消費税
- 借地権
- 役員報酬
- 中小企業
- 勘定科目 損害
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 仕訳 金融商品
- 決算
- 預金
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 仕訳 仕入
- 経費精算
- 経費精算 領収書
- 勘定科目 資産
- 原価計算 原価率
- 電子帳簿保存法 対応
- 電子帳簿保存法 対応 ケース別
- 減価償却 機械 設備
- 勘定科目 旅費交通費
- 旅費交通費
- 減価償却 少額資産
- 勘定科目 資本
- 小口現金
- 電子取引
- 勘定科目 固定資産 車両
- 個人事業主 経費 固定資産
- 勘定科目 固定資産 PC
- 勘定科目 固定資産 建物
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 連結納税
- 勘定科目 保険料
- 督促状
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- M&A 資本政策
- 決算公告
- 決算業務
- スキャナ保存
- 仕訳 経費
- 経費精算 効率化
- 債権
- 電子記録債権
- 売掛金回収
- 口座振替
- 確定申告 法人
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 決済代行
- 財務会計
- 小切手
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- 消費税 会計処理
- ファクタリング
- 償却資産
- 会計基準
- 法人税 関連税




