- 更新日 : 2025年2月20日
ものづくりを行う中小企業が抱える課題とは?ものづくり企業への支援策を紹介
戦後の混乱期以降から現在に至るまで日本経済の基盤を支え続けてきたのが、自社の技術を突き詰めて新しい製品を開発、製造している「ものづくり企業」です。ものづくり企業には大企業も存在していますが、多くは町工場のようなところを含めた中小企業であり、そういった決して規模の大きくない製造関係の企業が、ものづくりを通して日本の経済を下支えしてきたのです。
バブル経済が崩壊し、日本の景気が継続的な低迷期を迎えている昨今、このような規模の大きくないものづくり企業も、苦境に立たされているところが増えています。製造業はもちろん日本経済全体を支え続けてきたものづくりを行う中小企業は、なぜ経営的に苦しんでいるのでしょうか。
ものづくりを行っている中小企業が持っている強みと課題、そしてそういった課題を解決していくための方策や様々な支援について解説していきます。
ものづくりを行う企業の強みと課題
長期的な低迷を続けている日本経済ですが、製造業は質の高い製品を作り続けることができれば業績を伸ばしていくことが可能になりますので、そういった低迷の影響を受けにくい業務構造を持っています。
特に、新しい製品を開発し製造するものづくり企業の場合には、良いものを開発していくことで市場における競争や国際的な競争にも勝ちながら業績を伸ばしていくことができます。つまり、ものづくり企業は業務の構造的には「不景気に強い」企業が多くなっているのです。
このような強みを持っているにもかかわらず、なぜ多くのものづくりを行う中小企業は、業績を上げることができていないのでしょうか。
製造業全体の業績の落ち込みと人材確保の難しさ
まず、本来は業務の構造的に不景気に強いはずの製造業も長期景気低迷の影響を避けられず、大元の製造業全体の業績が落ち込んでしまっているということが、中小企業にとって苦境に陥ってしまう大きな原因のひとつとなっています。
バブル経済崩壊以降、継続的に業績が落ち込み続けていた日本の製造業ですが、その傾向は2008年に起こった「リーマンショック」によってより顕著なものとなりました。特に輸出部門がリーマンショックにおいて大打撃を受けたことによって、国内で製品を作っても売ることができない状態となったために、製造業は停滞を続けることになってしまったのです。
この点に関しては、「アベノミクス」以降少しずつ輸出部門の業績が改善し始めていることで、今後製造業全体の業績も上向いていくことが期待されています。しかし、大企業に比べて経営基盤の弱い中小企業に関しては、その好影響を最大限享受することができるか不透明な部分も大きくなっています。
また、ものづくり企業においては実際に業務を遂行するための「人材の確保・教育」も大きな問題となっています。
独立行政法人 労働政策研究・研究機構が実施した、ものづくり企業の新事業展開と人材育成に関する調査結果によると、従業員規模数が少なくなるにつれ、求人に対する応募者数も少ない傾向にあり、指導する側の能力や意欲の不足をはじめとして、採用した人材を教育するうえにおいても、様々な問題を抱えているということが分かります。

(出典:「ものづくり企業の新事業展開と人材育成に関する調査結果」|独立行政法人 労働政策研究・研究機構)

(出典:「ものづくり企業の新事業展開と人材育成に関する調査結果」|独立行政法人 労働政策研究・研究機構)
さらに、海外の企業との価格競争も深刻な課題のひとつです。
近年ではメーカーなどが生産拠点を人件費や材料費の安い海外に置くことが多くなっており、そういった海外における製品との競争に負けてしまい、自社の製品を売ることができなくなっているものづくり企業も現れています。
ものづくり企業への支援策
こういったものづくり企業に対しては、主に金銭的な面において国レベルで様々な支援策が行われています。
国や地方公共団体レベルにおいて行われている支援策としては、「ものづくり・商業・サービス革新事業補助金」が挙げられます。
これは、中小企業庁が各地域にある「中小企業団体中央会」を通して行う補助金制度であり、一般的なものづくり事業においては1,000万円まで、IoTなどの最新技術を用いた設備投資を行う場合には3,000万円までの補助金が受けられるというものです。
補助金を受けるためには公募を経た審査が必要であり、毎年数多くの企業による応募が行われるため、採用されない企業もあるという点は注意しておきましょう。
中小機構が行っているものづくり企業への支援策
経営基盤のぜい弱な町工場などの中小企業は、地域において他の企業と連携を行いながら業務を行うことで、基盤を安定的なものにしていくことが可能となります。しかし、そのための資金を用意することもままならない企業が多くなっていることも、また事実です。
そのような中小企業の連携やグループ化を推進するための補助金が、「ものづくり中小企業・小規模事業者連携支援事業の助成金」です。
中小機構が行っているこの支援策は、企業同士が連携していくことを金銭的に支援するだけでなく、グループ化した企業の事業計画策定支援など、実務的な部分にまで及んでいることが大きな特徴となっています。
まとめ
ものづくりを行う中小企業は、中小企業が共通して持っている経営基盤のぜい弱さに加えて、製造業の業績悪化、人材確保の難しさ、海外との競争の苛烈さなどが原因で業績が落ち込んでしまっているところが多くなっています。
しかし近年では、ものづくりを行う中小企業への支援策が充実してきていることもあり、そういった企業が持っている「良いものを作れば生き残ることができる」という強みを組み合わせれば、中小企業であっても業績を伸ばしていくことも十分に可能となってきていると言えるでしょう。
関連記事
・ものづくり・商業・サービス革新補助金を活用しよう!
・中小企業の人数とは?法律上の定義と助成金の利用要件
・中小企業が受けられる補助金一覧
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
イノベーションボックス税制とは?控除対象や事業者への影響を解説
イノベーションボックス税制では2025年〜2032年の間に開始した事業につき、特定の特許権や著作権から生じたライセンス料や譲渡益に所得控除が適用されます。イノベーションを税制の面から後押しする目的をもった制度で、民間の知財開発を促進する期待…
詳しくみる支払明細書とは?意味や書き方、領収書・請求書との違い、無料テンプレートも
支払明細書というと、クレジットカードを使用した際などに発行されるものが思い浮かぶのではないでしょうか。しかし、会社同士の取引でも支払明細書を発行することがあり、さらには領収書や請求書に内訳として添付されていることもあります。 支払明細書は、…
詳しくみる通販 ・ECサイトは軽減税率にどう対策するべき?
消費税増税にともなう軽減税率の対策は、通販・ECサイトも例外ではありません。顧客とその場で直接取引をする実店舗での対策とは異なってきますが、異なる2つの消費税で運用しなければならない余波は、通販・ECサイト各々の対策にも影響します。 それで…
詳しくみる外貨建取引と外貨建取引等会計処理基準について解説
一般的な商取引では、取引金額は「円建て」で行うのが通常です。しかし、海外の企業との取引では「ドル建て」「ユーロ建て」といったような外国通貨で行うこともあります。今回は外貨建て取引と、国内において外貨建取引を会計処理する際のガイドラインである…
詳しくみる金種表とは?書き方や無料テンプレートを紹介
金種表とは、現金残高や申請する金額を紙幣・硬貨の種類別に記入する表のことです。小口現金管理や、銀行預金の入出金などさまざまな場面で使う機会があります。 金種表をかんたんに作成するには、ひな形やテンプレートを活用すると良いでしょう。本記事では…
詳しくみる民商に入れば税務調査入らない?実態と対策について詳しく解説
民商に入れば税務調査に入らないと聞いたことはないでしょうか。小規模事業者や個人事業主にとって税務調査は大きな不安材料であり、そのプレッシャーから民商に加入すれば税務調査は入らないのではないかと期待する方も少なくありません。 しかし、実際には…
詳しくみる会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引