- 更新日 : 2025年2月20日
ABC分析を極める!パレートの法則、ロングテール理論との関係は?
事業で取り扱う商品にも売れ筋のものとそうで無いものがあると思います。
人気の違う商品に、それぞれどれくらい手間をかけて管理すれば良いのかという疑問には、本稿で解説するABC分析が役立つかもしれません。
また、記事の後半では、パレートの法則やロングテール理論といった考え方を用いて、商品の効率的な管理方法をご説明します。是非、本稿を商品の管理にお役立てください。
ABC分析とは
ABC分析とは、商品を売上高などの重要度によって分類する方法で、重点分析などと呼ばれることもあります。
例えば、重要度を売上高として、売上高の順に取扱商品を並べ、累積売上高割合が70%を占める商品グループをA、70%~90%の商品グループをB、90%~100%の商品グループをCといったグループ分けを行います。
その結果、売上高への貢献度の高いAグループに分類された商品は、商品発注、在庫管理、販売管理などにおいて重点的に管理を行い、逆にCグループの商品は簡易な管理を行うことが、より効果的であるといえます。
もちろん重要度は売上高だけとは限りません。売上総利益や販売個数なども重要度となり得ますので、事業の実態に合わせて複数の重要度によって分析することが大切です。
ABC分析の分類方法と利用方法
言葉だけではわかりにくいと思いますので、実際に数値例を用いてご説明します。

上図は、架空の家電量販店における、比較的大型の商品を売上高の多い順に並べ、合計売上高に占める割合とその累計割合を算出したものです。
品目別の売上割合の大きなものから足していき、累計売上割合が70%に達するパソコンとテレビをAグループ、累計売上割合が80%~90%の範囲にあるカメラ、電子レンジ、DVDプレイヤーをBグループ、それ以外の品目をCグループに分類しました。
このように取扱商品をお店全体の売上高への貢献度によってA、B、Cのグループに分けるのがABC分析の第一歩です。
しかし、単に商品をグルーピングしただけではABC分析をする意味がありません。ここから各商品の管理方針を決定することで、管理の効率化を図らなければなりません。
例えば、このお店では在庫管理についての方針を決定するために商品をグルーピングしたとします。そして、このグルーピングに基づき、以下のように在庫管理方法を行うこととしました。
・Aグループ
倉庫の保管場所については最大限広く確保する。過去の販売データを用いて、アイテム別の精緻な販売予測を行う。さらに、発注から納品までのリードタイムを考慮して、在庫が切れることのないよう発注を行う。
・Cグループ
倉庫には1種類につき1つのみ確保。販売予測は行わず、在庫がなくなった時に発注を行い、在庫切れによる機会損失もある程度は許容する。また、今後の動向によっては取扱いの中止を検討する。
・Bグループ
AグループとCグループの中間的な在庫管理。具体的には、適度な販売予測に基づき、毎月または在庫がなくなった時に発注を行う。
このように管理方法に強弱をつけることで、効率的に管理を行うことが最終的な目的となります。
ABC分析の他の管理方法との関係は?
読者の方の中にはパレートの法則というものをご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
パレートの法則には様々な例が挙げられますが、取扱商品の場合には「商品の売上高の8割は、全商品のうちの2割の品目が生み出す」といった考え方を指します(この理論は、経済学者のパレートが発見した経験則で、経済以外の自然現象や社会現象についても応用できると考えられています)。
このように、パレートの法則は主力製品の重要性を強調する経験則ですので、ABC分析はこのパレートの法則に基づく管理方法だということがわかります。これらの理論によると、Cグループに分類された商品は、管理コストを削減するため取扱いの中止を検討することとなります。
しかし、最近ではインターネットを使った商品販売形態が増えてきました。これまでの店頭販売ではめったに購入されることのなかったCグループに属する商品も、インターネット上で希望者に検索されることによって、購入される機会が格段に増えました。
そして、インターネット販売では、店頭販売に比べ在庫のためのコストが安く済みますので、こういった売れ筋以外の商品の需要に応えるお店が増えてきました。そうすると、お店としてはますますCグループに属する品目が増えることになり、現在ではその影響が無視できなくなっています。
これをロングテール理論と言います。

上図で言うと、ABC分析ではCグループに属する、G~Zのような商品がロングテールに該当します。これらの商品は個別の売上高は少ないのですが、ロングテールによって合計の売上高が全体に与える影響は大きくなっています。
まとめ
ABC分析やパレートの法則は取扱商品を重要度で分類し、管理方法を決定するには優れた方法です。しかし、近年では、インターネット販売の特徴である、検索機能と在庫コストの削減によって、Cグループに属する商品への需要が増え、全体の売上高に与える影響が大きくなってきています。
そのためABC分析のような管理方法に加え、売れ筋以外の商品については、ロングテール理論を用いた管理方法を行うなど、商品の適正に応じた管理方法を用いることで、より効率的な商品管理が実現できるでしょう。
関連記事
・財務分析を3+1つの視点で分類すると、使いどころが分かる。
・本気で役に立つ無料のWebサイト・アプリ分析ツール7選
・マーケター必見!サイトの解析・分析に役立つおすすめのChrome拡張機能10選
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
費用収益対応の原則とは?具体例や発生主義との関係をわかりやすく解説
一般に、費用と収益は同時に発生するものではなく、それぞれの発生に時間差があります。費用や収益、それぞれの発生時においては利益を算出できず、算出できるのは「期間」における利益です。費用収益対応の原則とは、「期間」における利益を求める原則を言い…
詳しくみる国際会計基準(IFRS)とは?日本の会計基準との違いや導入メリット
現在、欧州連合(EU)では、連結財務諸表における国際会計基準(IFRS/International Financial Reporting Standards)の適用を上場企業に義務付けています。また、EU域内ではなくても、EU企業と取引を…
詳しくみる役員賞与は税金が高くつく!?
ボーナスと呼ばれる賞与は、もらう側にとって仕事が評価された喜びを高め、モチベーション・アップにもつながります。一方で、支払う側にとっては、そのモチベーション・アップを業績に反映させ、雇用環境をさらによくするための投資にもなります。 さらに、…
詳しくみる【これは軽減税率?】バーガーとドリンクのセット。ドリンクだけ店内飲食する場合、消費税はどうなる?
2019年10月1日からスタートした消費税の軽減税率制度。主に「飲食料品」は消費税軽減税率8%の対象になりますが、飲食のシチュエーションなどによっては適用対象になりません。 本シリーズ『これは軽減税率?』では、事業者のみなさんが軽減税率につ…
詳しくみる予算管理とは?目的から手順・ポイントまで解説
予算管理の実施は、経営上の問題点の抽出や、経営の方向性ならびに業務改善の方向性を決めるためには非常に有効です。 しかし、適切な予算編成や業績の分析を行うには、予算管理の目的を理解し、正しいプロセスを踏んでいく必要があります。 今回は予算管理…
詳しくみる移転価格税制とは?海外子会社との取引の注意点、課税リスクを解説
海外子会社とのグループ間取引では、税務調査により移転価格税制が指摘される可能性があります。移転価格税制は、どのような状況や取引で問題となりやすいのでしょうか。移転価格税制の対象取引や適正な取引価格の算定方法などについてわかりやすく解説します…
詳しくみる