- 更新日 : 2026年4月22日
源泉徴収票を退職者に渡す際の注意点
退職手当や退職一時金などを支払った会社は、 退職者に対し、退職後1ヵ月以内に「退職所得の源泉徴収票」と「特別徴収票」を交付します。税法上、退職所得は給与とは別の方法で算出され、「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けている場合と受けていない場合とでは、源泉徴収の方法が異なります。
退職所得とは
退職所得とは会社から支払われる退職金など、退職する際にもらうお金について言います。生命保険会社または信託会社と適格退職年金契約に基づいて契約している場合には、これらの会社からも退職一時金を受け取ることがありますが、これも「退職所得」にみなされます。
「退職所得」は所得税の課税対象ですが他の収入とは区別して源泉徴収税額が計算されます。
退職所得は「退職時に受け取った収入金額」から「退職所得控除額」を差し引いた分の半額となります。
なお、退職した者が年金契約によって受け取った退職一時金は「退職時に受け取った収入金額」に含まれますが、本人が支払った掛金や保険料を差し引いた残高を退職所得の収入金額とします。
1/2の適用がない退職所得について
平成25年以降、勤続年数が5年以下の法人の取締役や執行役、理事、監査役、会計参与並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している一定の者が受ける退職金のうち、勤続年数に応じた退職金を受け取った分は1/2の適用がなくなりました。
そのため、「退職時に受け取った収入金額」から「退職所得控除額」を差し引いた数値が「退職所得」となります。
退職所得控除額の計算方法
退職所得の計算の際に使用する「退職所得控除額」は、勤続年数が20年を超えるかどうかで計算方法が異なります。
・勤続年数が20年以下の場合
「退職所得控除額」は40万円×勤続年数となり、80万円以下の場合は80万円となります。
・勤続年数が20年を超える場合、
「退職所得控除額」は70万円×(勤続年数–20年)+ 800万円となります。
なお、退職した直接的な理由が「障がい者になったこと」である場合、以上の計算式で求められた金額に100万円が上乗せされます。
また、同じ年の間に複数カ所の雇用主から退職金を受け取る場合や、以前に退職金を受け取ったことがある場合には控除額が異なることがあります。
「退職所得の受給に関する申告書」とは
「退職所得の受給に関する申告書」とは、退職金を受け取る者が源泉徴収義務者である会社に提出する書面です。申込書を受け取った会社は、退職金を受ける者の退職所得を他の所得と分けて所得税額を源泉徴収します。
「退職所得の受給に関する申告書」の提出を怠ると、源泉徴収の際に20%の税率(平成25年1月1日以降、退職金を受け取る場合は20.42%)が退職金にかけられ、確定申告をして所得税額を自分で精算することになりますので気をつけてください。
なお、会社が受け取った「退職所得の受給に関する申告書」は税務署に提出する必要はありませんが、税務署から提出を求められることもあるので大切に保管しておきましょう。
退職所得の源泉徴収票
給与所得の源泉徴収の場合、会社は1年間に支払われた給与や社会保険料、生命保険料などの控除額、年末調整で最終的に決定した源泉徴収税額が記された源泉徴収票を従業員に対し交付します。
一方、退職所得の場合、会社は、その年に支払ったすべての退職金や一時恩給について「退職所得の源泉徴収票」と「特別徴収票」を作成し、退職金や一時恩給などを受け取った者が退職して1カ月以内に必ず本人に交付しなければなりません。
また、退職金や一時恩給などを受け取った者が法人の役員である場合、「退職所得の源泉徴収票」の1部を税務署に、「特別徴収票」の1部を退職者が1月1日時点で在住する市町村に、受給者が退職してから1カ月以内に提出する必要があります。
なお、本人が死亡したことが理由で退職手当を支払った場合は、これらの書類を提出する必要はありませんが、相続税法の規定による「退職手当金等受給者別支払調書」を提出することになっています。
まとめ
退職所得は源泉徴収税額の計算や書類についても通常の所得とは分ける必要があります。人事給与担当の方は正しく理解するように心がけてください。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料を紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
電子帳簿保存法 徹底解説(2025年10月 最新版)
電子帳簿保存法は、1998年の制定以降、これまでに何度も改正を重ねてきました。特に直近数年は大きな改正が続いた上に、現在も国税庁による一問一答の追加・改定が続いており、常に最新情報の把握が必要です。
70P以上にわたるボリュームであることから、ダウンロードいただいた方から大好評をいただいている1冊です。
インボイス制度 徹底解説(2026年2月最新版)
インボイス制度は施行後もさまざまな実務論点が浮上し、国税庁によるQ&Aの追加・改訂が続いています。これを受けて、「結局どうすればいいのか、わからなくなってしまった」という疑問の声も多く聞かれるようになりました。
そこで、インボイス制度を改めて整理し、実務上の落とし穴や対応のヒントまで網羅的に解説した最新資料を作成しました。問題なく制度対応できているかの確認や、新人社員向けの教育用など、様々な用途にご活用いただける充実の資料です。
マネーフォワード クラウド会計Plus サービス資料
マネーフォワード クラウド会計Plusは、データの自動取得、自動仕訳、自動学習の3つの自動化で経理業務が効率化できる会計ソフトです。
仕訳承認フローや業務分担にあわせた詳細な権限設定が可能で、内部統制を強化したい企業におすすめです。
マネーフォワード クラウド経費 サービス資料
マネーフォワード クラウド経費を利用すると、申請者も承認者も経費精算処理の時間が削減でき、ペーパーレスでテレワークも可能に。
経理業務はチェック業務や仕訳連携・振込業務の効率化が実現でき、一連の流れがリモートで運用できます。
よくある質問
退職所得とは?
会社から支払われる退職金など、退職する際にもらうお金のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
退職所得の計算方法は?
「退職所得 = (「収入金額」–「退職所得控除額」)× 1/2」の式で表されます。詳しくはこちらをご覧ください。
「退職所得の受給に関する申告書」とは?
退職金を受け取る者が源泉徴収義務者である会社に提出する書面のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
-
# 法人税申告
通勤手当の非課税限度額の引き上げを解説
平成26年や平成28年度の税制改正により、交通用具に関する通勤費の非課税限度額が改正されました。平成26年改正は2014年4月より既に支給した通勤手当に対しても、遡って適用されるこ…
詳しくみる -
# 法人税申告
法人税申告書の別表7(1)とは?見方や書き方、注意点まで解説
企業を経営していると、欠損金を出してしまうことは珍しくありません。しかし、欠損金が出てしまったとしても、青色申告ならば赤字分を次の年度以降に繰り越すこともできます。 本稿では、欠損…
詳しくみる -
# 法人税申告
法人税申告書の別表14とは?見方や書き方、注意点まで解説
法人税申告書の別表14は、寄附金や株式などに関連した明細書で構成されています。この記事では、別表14の種類、社内で申告書を作成する会社向けに代表的な明細書の書き方、作成時の注意点を…
詳しくみる -
# 法人税申告
最大1.4倍!?知らなかったでは済まない追徴課税と加算税
追徴課税という言葉を聞いたことがある方は多いかと思います。しかし、追徴課税に関して、具体的にどういう状況のときに課税されるかまでご存知の方は少ないのではないでしょうか? 追徴課税は…
詳しくみる -
# 法人税申告
法人税の資本金には超えられない壁がある?
法人税には資本金によって大きな壁があるといわれています。資本金がその壁を超えるか超えないかによって、毎年支払う法人税等に多額の差が出てくることもあります。「1,000万円の壁」と「…
詳しくみる -
# 法人税申告
買い替えの方がお得!?中小企業投資促進税制を使って賢く設備投資!
中小企業にとって、設備投資は大きな負担として両肩にのしかかります。しかし、一方で既存の古い設備のままでは生産性が向上しません。そういったジレンマを抱える方も多いのではないでしょうか…
詳しくみる
会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 管理会計
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 領収書 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引



