- 更新日 : 2024年11月5日
クレジットカード管理表の書き方をテンプレをもとに解説
事業で発生する経費を現金で支払う場合は、立替や領収書の確認、支払いなどの対応が必要です。しかし法人向けクレジットカードであれば、このような事務処理を削減できます。
ただし、むやみに使うと不正や誤用のリスクがあるため、クレジットカード管理表などを使って利用状況を把握することが必要です。ここでは、事業の経費管理に使えるクレジットカード管理表を作成するメリットと、運用例について解説します。
目次
事業者におけるクレジットカード管理の重要性は?
クレジット管理表とは、クレジットカードの利用履歴を記録する表であり、おもに以下のような目的で作成されます。
- 支払い管理:クレジットカードの請求書が届いた際に、請求金額や支払期日を確認することができます。また、支払いが完了したかどうかも確認できます。
- 予算管理:クレジットカードの利用履歴から、どのような商品やサービスにお金を使っているかを把握することが可能です。これにより無駄なコストを減らし、予算オーバーを回避できます。
- ポイント管理:クレジットカードの利用に応じて貯まるポイントを管理できます。ポイントの有効期限や交換方法などを把握し、業務に有効活用することが可能です。
クレジットカード管理表を付けるメリット
クレジットカードの利用が、月1〜2回程度の場合、自分で記憶するだけでもよいかもしれません。しかし1日に数件の仕入れ、10数件の経費支払いがあるような事業では、正確に記録していく必要があります。クレジットカード管理表は、まさにそのような事業においてメリットのある管理方法です。
ここでは、クレジットカード管理表が持つ事業上のメリットについて解説します。
個人使用分と明確に分けて管理できる
個人で契約したクレジットカードを事業に使う場合や、利用の一部を経費申請できるタイプの法人カードの場合、明細を個人使用分と事業使用分に明確に分ける必要があります。
クレジットカード管理表は、カードの利用金額のうち事業用として計上する金額だけを抜粋して記録する帳票です。一部のクラウド会計ソフトと連携できるカードであれば、使うごとに自動で帳簿へ勘定科目も含めて仕訳してくれるものもあります。
また、クレジットカードの利用を「期日にまとめて支払う掛け払い」と考えれば、カードごとの支払い時期や金額を把握する意味で、資金繰りへの活用も可能です。クレジットカード管理表は「記録する」という手間はある反面、支払いの件数が多い事業ではとくに経理や事務作業の効率化が期待できます。
使用金額を勘定科目ごとの把握も可能
クラウド会計ソフトと連携できるクレジットカードでない場合でも、クレジットカード管理表に仕訳する勘定科目をあわせて記録しておけば、特定の勘定科目の合計金額をいつでも把握できます。
とくに仕入れや売上原価に関わる光熱費、原材料費といった勘定科目は、定期的に確認が必要なものです。クレジットカード管理表は、単に支払いの把握だけでなく、事業状況の把握にも役立つでしょう。
クレジットカード管理表のテンプレート(エクセル)
さまざまな種類の事業があるとはいえ、クレジットカード管理表に記録しておく必要のある項目に大きな違いはないようです。もし「どのような項目を記録すればよいかわからない」という場合は、下記のエクセルで作成したテンプレートをダウンロード、または印刷して項目を確認するとよいでしょう。
テンプレートを元に、事業でより使いやすく、把握したい金額が把握できるよう作り替えるのもおすすめです。
クレジットカード管理表の書き方
事業に役立つクレジットカード管理表を作るには、まず「常に把握しておきたい金額が何か」を絞り込むことが大切です。
たとえば先に示したテンプレートは、事業者が契約している複数のクレジットカードのサービス内容を把握するために役立ちます。
- No.:事業で利用するクレジットカードの通し番号(IDのようなもの)
- カード名:クレジットカードの提携カード名などどのカードかがわかる名称
- ブランド:VISAやJCBといったクレジットカードのブランド名
- 有効期限:クレジットカードの有効期限(”〇〇月/〇〇年”の形式)
- 下4桁番号:クレジットカード番号の下4桁(すべてを記載しないよう注意)
- 締日:月度の利用締日
- 引落日:締日ごとの利用金額が指定口座から引き落としされる日
- 引落口座:クレジットカードごとに指定している引落口座名や番号等
- 利用限度額:ショッピング利用の金額の上限
- キャッシング限度額:キャッシング利用の金額の上限
- 備考:利用ルールなどの特記事項
クレジットカードごとに利用日と利用金額、勘定科目と摘要を記録すれば、支払いを勘定科目ごとに分けて記録しながら、期日での支払い予定金額を把握できます。さらに勘定科目列を設ければ、縦の合計額や予算の消化状況も確認可能です。
クレジットカード管理表は、事業に役立てるための帳票です。1つの形式にとらわれず、必要な項目を加えたり削除したりして、適切な形式に変えるなどして便利に利用しましょう。
クレジットカード管理の運用方法
クレジットカードを複数の従業員が利用する場合は、利用状況の管理が必要です。しかし実際には、従業員が常に明確に判断できる状況とは限らず、なかには不適切な用途に利用してしまうこともあるでしょう。
クレジットカードを適切に利用するためには、利用ルールを定めることが大切です。ここでは適切なクレジットカード管理を実現するための、クレジットカードの運用ルールについて考えてみましょう。
クレジットカードの用途を定める
従業員がそれぞれクレジットカードを持ち、使用できる状態であれば、クレジットカードの用途や制限を明確に定めることによって、適切な利用を促しやすくなります。
たとえば、交通費の支払いを取引先へ行くときだけに限定する、出張先での夕食代は基本的に対象外、消耗品購入の支払いは規定の取引先のみ可、飲食費は30,000円以内まで可といったルールを設けることが必要です。
用途を明確にすることによって、従業員が適切な利用方法を判断しやすくなります。また規定にない場合やそぐわない場合に備え、別途問い合わせの窓口を準備しておくのもよいでしょう。
クレジットカードの使用者を限定する
仕入れなど金額の大きな用途にクレジットカードを使用する場合は、決裁の裁量も含めて使用者を限定する必要があります。金額が大きい取引では、ミスの発生を極力防がなくてはいけません。この場合の使用者は、事業に関する一定の経験や知識があり、使用に適切な判断力を備えていることが条件です。
その結果、クレジットカードの枚数を少なくできるでしょう。ミスや不正利用の機会も少なくなるため、管理にかかる手間の削減効果が期待できます。
クレジットカードの使用の報告を義務付ける
クレジットカードの使用について、報告を義務付けることも重要です。管理する側が確認できるのは、使用した金額と場所程度になるため、使用が適切なのかどうかを判断できません。報告書に日付や場所、用途、勘定科目とクレジットカード利用の控えがあれば、金額や勘定科目のミスも防げます。
頻繁に使用しない場合は、必要なときのみクレジットカードを従業員に渡すという方法もおすすめです。この場合、クレジットカードをいつ、誰に渡したか、回収できたかが記録される管理表を設けておくとよいでしょう。
クレジットカード管理表でカードをより適切に使おう
クレジットカードは現金がなくても支払いができる便利なツールです。法人・個人事業主に関係なく事業では大いに役立てられますが、一方で支払いの詳細が把握しづらいというデメリットもあります。こうしたデメリットを解消するための帳票がクレジット管理表です。
クレジット管理表は、テンプレートをそのまま使うこともできますが、事業において必要な金額などを把握しやすいことが求められます。また適切な利用のため、用途や使用者を制限するといったルールが必要になる場合もあるでしょう。
しかし事業では、管理しやすい、支払いがしやすいのどちらか一方にメリットがある使い方では長続きしない可能性があります。双方のメリットを最大化しつつ、最小限の手間で運用できるようなルール作りが大切です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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