• 更新日 : 2025年4月10日

タイムスタンプとは?電子帳簿保存法の要件や無料のやり方などを簡単に解説

電子帳簿保存法におけるタイムスタンプとは、電子データに付与される日付や時刻のことを指します。

電子帳簿保存法とは、帳簿書類の電子保存に関する法律です。原則として、国税関係の帳簿書類は原本保存が求められていますが、電子帳簿保存法の施行によって一定の要件下での保存であれば電子データとしての保存(電子保存)が可能となります。

この記事では、タイムスタンプが必要な範囲と利用方法、発行手順、費用などについて解説します。

目次

タイムスタンプとは

タイムスタンプとは、電子データがある時刻に作成されたものであることと、「データが改ざんされていない原本である」という真実性を証明する技術のことです。

真実性の確保は、電子帳簿保存法における電子データの保存要件の一つです。電子帳簿保存法に基づいて電子データを保存するために、タイムスタンプについて正しく理解しましょう。

タイムスタンプの仕組み

タイムスタンプは、利用者が発行するものではなく、第三者機関である「時刻認証局」がハッシュ値と時刻情報を結合させて発行することによって、作成されたデータの透明性を担保しています。郵便局が押す通信日付印(スタンプ)のようなイメージです。

ハッシュ値とは、データを特定のルール(ハッシュ関数)にしたがって生成した値です。仮に原データが1ビットでも異なると、まったく違うハッシュ値となるため、改ざんされたことがすぐに判別できます。人間でいうところの指紋のような特性があると言われています。ハッシュ値が持つ特性により捏造がほとんどできない仕組みであるため、電子データの作成時刻と、タイムスタンプ付与以降の改ざんがないことを証明する役割を担っています。

タイムスタンプと電子署名の違い

タイムスタンプと電子署名はいずれも電子データの信頼性を担保する技術ですが、目的と機能が異なります。

電子署名は「誰が文書を作成したか(作成者の真正性)」や「文書の非改ざん性」を証明するもので、文書契約におけるサインや押印と同様の役割を果たします。一方、タイムスタンプについては、「非改ざん性」に加え、「いつ作成されたか(作成時刻の証明)」を証明するものです。

電子帳簿保存法では、文書が存在していたことの証明としてタイムスタンプの付与が重要視されています。一方、電子契約などにおいては、データの信頼性を高めるために、タイムスタンプと電子署名を併用するケースも少なくありません。

なお、電子署名に関して詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事をご参照ください。

タイムスタンプに関連する法律

タイムスタンプに関連する法律としては、「e-文書法」や「電子署名法」「電子帳簿保存法」の3つが挙げられます。それぞれ異なる目的で制定されているため、各法律が施行された背景や内容を理解し、適切な実務対応を行いましょう。

e-文書法

e-文書法は、2005年に施行された法律です。企業において紙で保存されていた契約書などの文書や書類について、電子データによる保存を認めるために制定されました。

e-文書法は、後述する電子帳簿保存法よりも後に施行されていますが、電子帳簿保存法が財務省や国税庁で管轄すべき帳簿や書類のみを対象とするのに対し、e-文書法は各省庁にて横断的に適用されます。

e-文書法では、文書の「見読性」や「完全性」「機密性」「検索性」を確保することが求められています。このうち、「完全性」については、電子化されたデータが改ざんされていないことを証明する重要な要件とされています。

電子データの作成時刻を証明し、改ざんが行われていないことを担保する「タイムスタンプの付与」は、e-文書法における「完全性」の確保に欠かせない仕組みと言えるでしょう。

電子署名法

電子署名法は、2001年に施行された法律であり、電子上で行われる商取引の信用性を高めるために、電子署名や承認業務のルールが定められています。

電子署名法が施行されたことにより、一定の条件を満たす電子署名が付与された電子文書には、書面と同様の真正性が認められることとなりました。たとえば、電子契約において当事者が電子署名を付すことで、印鑑を押した紙の契約書と同等の法的効力を持つことになります。

電子署名法に基づいて、電子契約などの際に電子署名を適切に行うことで、企業は電子商取引を安心して行うための法的インフラを整備することが可能です。

近年におけるペーパーレス化の普及により、タイムスタンプによる電子データ保存だけでなく、電子契約のニーズもますます高まっており、電子署名の導入は企業の業務効率化や脱ハンコの推進にも大きく貢献しています。

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法とは?図解で解説

画像:電子取引・電子帳簿保存法なら マネーフォワード クラウド

電子帳簿保存法は、帳簿書類を電子データとして保存し、取引等の証拠とすることができるように制定された法律です。

電子帳簿保存法では、会計ソフト等で作成したデータを国税関係帳簿書類の電磁記録やCOM(電子計算機出力マイクロフィルム)として保存する際の要件、請求書領収書など国税関係書類のスキャナ保存の要件、電子取引データの保存の要件などが定められています。

電子帳簿保存法の対象となるのは、次のような国税関係帳簿書類です。

電子帳簿保存法の対象となる国税関係書類
帳簿仕訳帳総勘定元帳現金出納帳、売上帳、仕入帳、固定資産台帳など
書類決算関係書類貸借対照表損益計算書、棚卸表など
重要書類契約書、領収書、請求書、納品書、小切手、約束手形、預り証、借用証書、送り状など
※資金や物の流れに直結または連動するような書類
一般書類
その他
注文書、見積書検収書、貨物受領書 など
※資金や物の流れに直結または連動しない書類

現在、法人や個人事業主に保存が義務付けられている書類の多くが電子帳簿として保存できます。

なお、電子帳簿保存法制定以前は、国税関係帳簿書類の保存は紙ベースでの保存とされていました。電子帳簿保存法が施行されれば、紙ベースでの保存に加えて、要件を満たせば電子データでの保存も可能になるのです。

近年は、ITの発達により、会計ソフト等を使って帳簿書類を作成することが主流となっています。電子帳簿保存法による電子データでの保存の容認は、帳簿保存にかかる事務的負担の軽減、書類の保管スペースの圧縮などの効果が期待されています。

電子帳簿保存法に関してより詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください。

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電子帳簿保存法におけるタイムスタンプの役割

電子帳簿保存法に則って電子データを保存するためには、以下の2つを満たす必要があります。

  • 真実性の確保:保存した電子データが改ざんされていないこと
  • 可視性の確保:保存した電子データをわかりやすく表示できること

さらに、真実性の確保を満たすための保存要件が1つ、可視性の確保を満たすための保存要件が3つ定められています。電子データを保存する際は、以下の4つの要件を満たさなければなりません。

保存要件内容
真実性の確保1.改ざんを防止するための仕組み次のいずれかの措置を行う

  1. タイムスタンプが付された取引情報を受領する
  2. 取引情報の受領後、遅滞なくタイムスタンプを付す
  3. データの訂正や削除を行った場合に、その記録が残るシステムまたは訂正削除ができないシステムを利用する
  4. 訂正削除の防止に関する事務処理規程を備え付ける
可視性の確保2.関連書類の備え付け電子計算機処理システムの概要を記載した書類を備え付ける(自社開発のプログラムを使用する場合に限る)
3.見読性の確保
  • 電子計算機処理システムの概要を記載した書類を備え付ける(自社開発のプログラムを使用する場合に限る)
  • 保存場所に、電子計算機(パソコン等)・プログラム・ディスプレイおよびプリンタおよび操作マニュアルを備え付ける
  • データを画面・書面に整然とした形式および明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておく
4.検索機能の確保検索機能を確保する

参考:
Ⅱ 適用要件【基本的事項】|国税庁
電子帳簿保存法が改正されました|国税庁

電子帳簿保存法でタイムスタンプが必要なケース

電子帳簿保存法には、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つの区分があります。

このうち、タイムスタンプの付与が必要になるのはスキャナ保存と電子取引です。ただし、いずれも一定の要件を満たす場合、タイムスタンプの付与は必要ありません。

ここでは、タイムスタンプの付与が必要なケースについて見ていきましょう。

スキャナ保存の場合

②スキャナ保存の対象書類

スキャナ保存の対象となるのは、自社で作成した契約書や請求書、領収書などの書類の控えおよび取引先などから紙ベースで受領した取引関係書類です。これらの書類をスキャナなどで読み取って電子データで保存することから「スキャナ保存」と言われます。

スキャナ保存では、タイムスタンプの付与が要件の一つとして定められており、一定期間内において、スキャンした国税関係書類にタイムスタンプを付与する必要があります。具体的には、一つの入力単位ごとに総務大臣が認定した時刻認証業務に係るタイムスタンプを付けることになります。

一つの入力単位とは、国税関係書類を構成する書類のまとまりを意味します。たとえば、請求書が複数枚にまたがって発行される場合には、これらを一つの国税関係書類とみなし、まとめてタイムスタンプを付与できます。ただし、互いに関連のない複数の書類については、一つの入力単位として取り扱うことは認められません。

スキャナ保存では入力期間が定められており、早期入力方式(概ね7営業日以内)と業務サイクル方式(最長2ヶ月を経過後、概ね7営業日以内)のいずれかによってデータ保存を行います。
業務サイクル方式は月締め処理を想定したもので、受領から入力までの各事務処理規程をあらかじめ定めている場合のみ選択可能です。ただし、資金や物の流れに直接関係ない重要度の低い書類(注文書など)は、適宜での入力も認められています。

なお、データの訂正や削除履歴が残る機能のあるシステムを用いる場合には、これらの機能をタイムスタンプの代替として利用できます。この場合、タイムスタンプは不要です。

電子取引の場合

電子帳簿保存法_③電子取引のデータ保存

電子取引に区分されるのは、書類作成プログラムなどのシステムを利用して作成した後、電子メール等を使って電子データを送信、または電子データとして受領した国税関係書類です。「電子取引」では、要件を満たした電子データの保存が義務付けられています。

電子取引では、タイムスタンプの付与は絶対要件ではありませんが、選択要件になっています。要件の一つに、次のいずれかを行うこととあるためです。

  • タイムスタンプ付与後の授受
  • 速やかなタイムスタンプの付与
  • 訂正削除履歴が残るシステムを利用した授受・保存
  • 訂正削除防止の事務処理規程の備付け

つまり、「タイムスタンプを付与してから相手に送信する」「タイムスタンプのない書類を受領後すぐに付与する」「規定のシステム上で送受信・保存をする」「事務処理規程を設ける」のいずれかを選択していなくてはならないということです。

事務処理規程だけで要件を満たせるため、必ずしもタイムスタンプの付与が必要というわけではありません。事務処理規程の例は、以下の国税庁のホームページでも公開されています。

参考:参考資料(各種規程等のサンプル)|国税庁

電子帳簿保存法でタイムスタンプが不要なケース

電子帳簿保存法に対応したシステムを利用する場合、原則タイムスタンプは不要です。

具体的に、以下のケースでは必要ありません。

区分タイムスタンプが不要なケース
スキャナ保存訂正・削除などの履歴が残るクラウドシステムを利用し、定められた期間内にデータを保存したことが確認できる場合
電子取引選択要件のうち、タイムスタンプの付与以外の選択要件のいずれかを満たす場合
電子帳簿等保存修正した履歴が残るシステムで電子帳簿等を作成する場合

電子取引については、たとえば書類の発行者側でタイムスタンプを付与する場合、受領者側での付与は不要です。また、発行者側で付与していない場合でも、受領者側がデータを改ざんできないシステムを使用している場合も必要ありません。

電子帳簿保存法改正でタイムスタンプの要件が緩和

2022年に電子帳簿保存法が改正され、タイムスタンプに関する要件が緩和されました。

改正において理解したいポイントは以下のとおりです。

  • タイムスタンプの付与期間が緩和された
  • スキャナ保存における自署が不要となった
  • タイムスタンプが不要なケースが認められた

ここでは、3つの要件について解説します。

参考:電子帳簿保存法が改正されました|国税庁

タイムスタンプの付与期間が緩和された

タイムスタンプの付与期間が、記録事項の入力期間と同様に最長で2ヶ月と概ね7営業日以内となりました。これまでは3営業日以内の付与が必要であったため、期間が大幅に延長されていることがわかります。

ただし、この2ヶ月と概ね7営業日以内というのは、あくまでも最長の期間です。電子帳簿保存法においては、業務の処理に係る通常の期間経過後、速やかにタイムスタンプを付与することが前提です。業務の処理に係る通常の期間とは、国税関係書類を受領等してから事務処理を行い、最終的にスキャナでデータ化するまでの業務処理のサイクルのことを指します。最長2ヶ月の業務サイクルであれば、通常の期間として取り扱われる、ということです。

そのため、書類を受け取った後は速やかにデータ化し、タイムスタンプを付与しましょう。

参考:電子帳簿保存法が改正されました|国税庁

スキャナ保存における自署が不要となった

スキャナ保存において、受領者等の国税関係書類等への自署が不要となりました。

これまでは、書類をスキャナ保存する際は、書類を受け取った方が署名する必要がありました。しかし、改正により自署が不要となり、スキャナ保存の業務負担が軽減されたのがポイントです。

タイムスタンプが不要なケースが認められた

電子帳簿保存法改正では、タイムスタンプが不要なケースも認められました。

電子データの訂正または削除を行った事実や内容を確認できるシステムを利用し、入力期間内にその電子データの保存を行ったことを確認できる場合は、タイムスタンプの付与は必要ありません。

タイムスタンプが不要なケースの詳細については前述の通りです。

タイムスタンプの取得に必要なもの

タイムスタンプを付与できるようにするためには、「時刻認証局との契約」「インターネット環境の整備」「タイムスタンプを付与できるシステム」の3つを準備する必要があります。

時刻認証局は、「時刻配信局」が配信した時刻を使ってタイムスタンプを配布する機関です。認定事業者には「時刻認証業務認定マーク」が付与されています。

インターネット環境の整備が必要なのは、時刻認証局からのタイムスタンプ付与をインターネット経由で行うためです。また、タイムスタンプの付与および管理には、電子帳簿保存に適合した文書管理システムの導入が必要です。

これらの準備をして、はじめてタイムスタンプを利用できるようになります。

タイムスタンプの取得方法

ここでは、タイムスタンプの発行を要求してから検証するまでの流れについて解説します。

1.タイムスタンプ発行の要求

書類をスキャンして電子データをアップロードした後、タイムスタンプの発行を要求しましょう。タイムスタンプを発行するのは、それぞれの事業者ではなく時刻認証局(TSA)です。

システム上でハッシュ値に変換した後、TSAにハッシュ値を送付してタイムスタンプ発行の要求を行います。

2.タイムスタンプの発行

TSAがタイムスタンプトークンを生成し、電子書類作成者に送信します。

タイムスタンプトークンとは、ハッシュ値と時刻情報を合わせたものです。鍵がかけられており、その時間にその内容で存在していたことを証明する役割を果たします。電子書類作成者はタイムスタンプトークンと電子書類の原本を一緒に保存する必要があります。

3.タイムスタンプの検証

データが改ざんされていないかを証明したい場合、TSAから鍵を受け取ってタイムスタンプを検証しましょう。

原データからハッシュ値を計算し、タイムスタンプに含まれるハッシュ値と照合します。情報が一致していれば、タイムスタンプに含まれる時刻以降、データが改ざんされていないことが証明されます。

特に、領収書のような納税に関係する書類については、タイムスタンプの検証が重要です。

タイムスタンプの取得にかかる費用

タイムスタンプの付与サービスは、付与のみを目的にしたものや、電子契約システムに全て組み込まれたものなど、さまざまなものがあります。

タイムスタンプサービスを利用するためには、1万円前後の初期導入費に加え、利用するシステムごとに定められた利用料がかかるのが一般的です。

利用料は月額固定や年額固定のもの(タイムスタンプサービスのみなら数千円~1万円前後)や、タイムスタンプ数に応じて一定額を加算されるタイプ(タイムスタンプ1つで10円など)もあります。

タイムスタンプを無料で作成するやり方

タイムスタンプは、AdobeのAcrobatやAcrobat Readerを利用することで、無料で作成できます。どちらも無料でダウンロードでき、簡単にタイムスタンプを作成できるのが魅力です。

Acrobat Readerによるタイムスタンプの作成方法

  1. タイムスタンプサーバーの設定画面を開く
  2. ツール→証明書ボタンを押す
  3. タイムスタンプのボタンをクリックする
  4. 「署名済みであり、すべての署名が有効です」と表示され、タイムスタンプが付与される

ほかにも、無料で利用できるツールが複数存在します。

ただし、タイムスタンプの発行は無料だが付与は有料というツールもあるため、完全に無料であるかどうか事前に確認が必要です。また、手間がかからないかどうかの確認も必要と言えます。

自動でタイムスタンプを取得できると便利

電子帳簿保存法に対応している「マネーフォワード クラウドBox」では、アップロード機能を利用してマネーフォワード クラウドBoxに保存されたファイルにタイムスタンプが付与されます。

クラウドBox

参考:マネーフォワード クラウドBox(FAQ)Q. どのような操作をしたらファイルにタイムスタンプが付与されますか?

「タイムスタンプの総務大臣による認定制度」の認定事業者である「アマノセキュアジャパン株式会社」のタイムスタンプサービスを利用しているため、安心してお使いいただけます。

マネーフォワード クラウドBoxは、電子帳簿保存法の電子取引とスキャナ保存に対応しています。データを制限なく保管でき、面倒なファイリング作業や保存場所の確保も必要ありません。また、「取引先名」「日付」「金額」などの項目でデータを検索できるため、検索要件にも対応しています。

\タイムスタンプ付与も自動でラクに/

タイムスタンプで電子帳簿保存法に対応するメリット

ここでは、タイムスタンプで電子帳簿保存法に対応するメリットを解説します。

ペーパーレス化の促進

タイムスタンプを活用することで、請求書や領収書などの紙の証憑をスキャナ保存し、法的に原本と同等に扱うことが可能となります。これにより、紙媒体での保存義務がなくなり、物理的な保管スペースや管理コストを削減できます。

特に帳票類が大量に発生する経理・購買業務では、紙での保管・ファイリング作業が大きな負担となっていました。タイムスタンプにより電子保存が認められることで、文書管理の抜本的な見直しが可能になります。

業務効率化の実現

タイムスタンプを活用した電子データ保存を導入することで、紙での業務運営に比べて帳簿や証憑の整理・検索・保存業務が大幅に効率化します。

原本の回覧や押印、ファイリング作業が不要となり、証憑を探す手間も削減できます。また、タイムスタンプがあれば文書の真正性がシステム的に担保されるため、チェック作業や承認プロセスの簡略化にもつながるでしょう。

さらに、監査や税務調査の際には、必要な文書を迅速に提示できる体制が整うため、経理・総務部門の負担軽減にも寄与します。事務作業を減らし、業務効率化を実現することで、より付加価値の高い業務にリソースを投入することも可能です。

テレワークの推進

タイムスタンプによって電子帳簿保存法の要件を満たせば、ペーパーレスで業務を行いやすくなるため、勤務場所に縛られない働き方を追求できます。

たとえば、請求書や領収書の確認や承認、経費精算などの業務もオンラインで完結できるようになり、テレワーク体制においても十分に経理業務を遂行できるでしょう。特に、押印や原本確認のために出社を強いられていた企業にとっては、タイムスタンプの導入による電子帳簿保存法への対応がリモートワークの障壁を取り除く大きな一歩となります。

タイムスタンプで電子帳簿保存法に対応するときの注意点

ここでは、タイムスタンプで電子帳簿保存法に対応するときの注意点を解説します。

タイムスタンプの付与期間が過ぎないようにする

付与期間が長くなったからといって、期間を過ぎないよう注意しましょう。付与期間の要件が緩和されたとはいえ、なくなったわけではありません。期間を過ぎてしまうと、タイムスタンプを付与しても認められないため注意が必要です。

書類を受け取ったら速やかにデータ化し、タイムスタンプを付与してください。

原本の取り扱いに関するルールを定める

原本の取り扱いに関するルールを社内で定めることも必要です。

電子帳簿保存法改正により、紙の書類をスキャン保存した後、タイムスタンプを付与すれば紙原本を破棄できるようになりました。

とはいえ、業務フローや内部統制などの事情で、一定期間保存が必要なケースも考えられます。「スキャン後も一定の期間は原本を保存する」「管理者がデータを確認した後に原本を破棄する」など、原本の取り扱い方について社内でルールを定めましょう。

電子データは適切に保存する

タイムスタンプの付与が不要なケースが認められたからといって、電子データの保存が不要になったわけではありません。

電子帳簿保存法における文書の保存期間は、法人の場合確定申告の提出日の翌日から7年間(欠損金の繰越控除を受ける場合、最長10年間)です。また、前述の保存要件を満たす必要があります。電子帳簿保存法の規定に則り、正しい期間・方法で保存しましょう。

電子帳簿保存法における保存期間については以下を参考にしてください。

電子データを適切に保存するためには、電子帳簿保存法に対応したシステムを導入することが大切です。

タイムスタンプの仕組みを理解して電子帳簿保存法に対応しましょう

タイムスタンプの付与は、非改ざん性や作成時刻を証明する役割を果たし、電子帳簿保存法に対応する際の重要な要件として位置づけられます。

適切にタイムスタンプを付与し、請求書や領収書などの書類を電子化することにより、社内のペーパーレス化が促進されるなど、さまざまなメリットを期待できます。タイムスタンプの仕組みを正しく理解し、自社の電子帳簿保存法対応や業務効率化に役立てましょう。

よくある質問

タイムスタンプとは?

時刻認証局が発行する、ハッシュ値(メッセージダイジェスト)と時刻情報を組み合わせたスタンプです。スタンプの付与時刻と付与以降にデータの改ざんがされていないことを同時に証明します。詳しくはこちらをご覧ください。

タイムスタンプはどこまで必要?

「電子帳簿等保存」では不要ですが、「スキャナ保存」では必須要件の一つ(規定のシステムによる保存に代えることも可)、「電子取引」では選択要件になっています。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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