- 更新日 : 2024年8月8日
美術品を減価償却するかどうかは100万円が分岐点
事務所の応接室に絵が飾られていたり、社屋のロビーに壷が飾られていたり、ビジネスの現場でも美術品を目にすることがあります。
美術品は事業に直接のかかわりはなく、使用するにつれて価値が減るものばかりとは限りません。しかし、税法では美術品に対しても一定の条件のもとで減価償却することを定めています。
この記事では、法人が取得した美術品の減価償却方法を解説します。
目次
美術品の価額が1点100万円未満であれば原則として減価償却する
2015年1月1日以後に取得した美術品は、取得価額が1点100万円未満であれば原則として減価償却することが可能です。ただし、金額の基準のほか、美術品の価値が時の経過によって減少しないことが明らかなものは除かれます。
一方、1点100万円以上の場合には原則として、減価償却することができませんが、時の経過によって価値が減少することが明らかであれば、減価償却することが可能です。
| 1点100万円未満 | 1点100万円以上 | |
| 原則 | 減価償却する | 減価償却しない |
| 時の経過によって価値が減少しないことが明らかなもの | 減価償却しない | 減価償却しない |
| 時の経過によって価値が減少することが明らかなもの | 減価償却する | 減価償却する |
美術品の取得価額には、美術品そのものの価額のほか、次のようなものも含めます。
●額縁などの付属品
●運送費、据付費、購入手数料など美術品の購入にかかった費用
なお、これらの基準に関係なく、古美術品、古文書、出土品、遺物など歴史的な価値があって代替できないものは減価償却の対象とすることはできません。
「時の経過によって価値が減少することが明らか」とは
時の経過によって価値が減少することが明らかなものの例として次の条件をすべて満たすものがあります。
1. 会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として取得されるものであること。
2. 移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであること。
3. 他の用途に転用すると仮定した場合に、その設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものであること。
(出典:美術品等についての減価償却資産の判定に関するFAQ|国税庁)
償却資産税の申告と納税も必要
美術品を減価償却する場合は、償却資産税(固定資産税)の申告と納税も必要になります。
償却資産税は、事業者が1月1日現在保有している事業用資産について課税される市区町村税です。毎年1月末日までに、保有している資産について市区町村に申告します。
2014年以前に取得した美術品は以前の規定で判断する
2014年12月31日以前に取得した美術品は、それまでの規定で減価償却するかどうかを判断します。2014年以前の規定では、次の要件のいずれかを満たす美術品は減価償却しないこととされていました。
●美術関係の年鑑などに掲載されている作者が制作したもの。
●取得価額が1点20万円以上、絵画は号当たり2万円以上。
2015年中に開始する事業年度に限って、美術品を減価償却するかどうかを新しい基準で再判定できる特例がありましたが、詳細な説明は省略します。
美術品の減価償却方法
美術品の減価償却方法は、定額法と定率法から選択できます。定額法は毎年一定額を償却する方法で、定率法は使用期間のはじめは償却額が大きく、その後は年ごとに償却額が減少する方法です。
法人の法定償却方法は定率法です。法定償却方法と異なる方法を選択することもできますが、税務署に届け出なければなりません。
美術品の耐用年数の例
減価償却をするときは、その資産がどれぐらい使用できるか期間を見積もって年間の償却額を求めます。使用期間の目安として耐用年数が定められています。
美術品の耐用年数は構造や材質によって判断しますが、室内に飾られるものの場合、耐用年数は次のとおりです。
| 種類 | 耐用年数 | 例 |
| 主として金属製のもの | 15年 | 金属製の彫刻 |
| それ以外のもの | 8年 | 絵画、陶磁器、木彫など |
取得金額が少額の場合の特例
取得金額が少額である資産については、償却方法の特例があります。美術品に限らず、その他の資産でも適用できます。
●使用期間が1年未満または取得価額が10万円未満のもの
「少額の減価償却資産」として取得価額の全額を経費にすることができます。
●取得価額が10万円以上20万円未満のもの
「一括償却資産」として3年にわたって均等額を償却することができます。
●中小企業で取得価額が30万円未満のもの
資本金の額が1億円以下の中小企業や個人事業主であって青色申告をしている場合は、取得価額が30万円未満のものについて特例があります。年間300万円を限度に取得価額の全額を経費にすることができます。
まとめ
美術品は事業に直接かかわりがなくても、減価償却が必要な場合があります。減価償却が必要か不要かは、取得金額のほか、時の経過による価値の減少の有無によっても判断されます。
美術品を減価償却するときは、定められた耐用年数に応じて定額法または定率法で年間の償却額を求めます。ただし、取得価額が少額であれば減価償却の特例もあります。これらの方法を正しく理解して、適切な方法で減価償却をしましょう。
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