• 更新日 : 2025年9月4日

IFRS(国際財務報告基準)対応の会計ソフトの選び方は?初心者にも簡単に解説

会計ソフトの中には、IFRS(国際財務報告基準)に対応したものもあります。日本基準だけでなく、IFRS対応の会計ソフトを選択するメリットはあるのでしょうか。IFRSに対応するメリットや会計ソフトの選び方、導入時の注意点について解説します。

IFRS(国際財務報告基準)とは

IFRSとは、国際財務報告基準のことです。International Financial Reporting Standardsの頭文字をとって、IFRSといわれます。国際会計基準審議会により策定された会計基準で、EU域内の上場企業ではIFRSの適用が義務付けられています。

IFRSと日本基準の違い

IFRSは、ヨーロッパを中心に適用が進んでいます。一方、アメリカや日本などでは自国基準の会計基準が根付いています。そのため、自国基準をIFRSに近づけて差異を縮小させるコンバージェンスが重視されるようになりました。日本では、財務諸表の連単の分離や中小企業などへのIFRSの影響が生じないことを前提に、日本基準を主体としたコンバージェンスが進められています。

日本基準をIFRSに近づける動きはあるものの、日本基準とIFRSではさまざまな差異が見られます。まず、日本基準とIFRSでは下記のように作成する財務諸表に違いがあります。

IFRSの財務諸表 日本基準の財務諸表
  • 財政状態計算書
  • 純損益及びその他の包括利益計算書
  • 持分変動計算書
  • キャッシュ・フロー計算書
  • 注記

IFRSと日本基準の財務諸表は相互に類似するものではありますが、区分や表示する項目、開示する内容などに違いがあります。例えば、日本基準の損益計算書には5段階の段階損益(売上総利益営業利益経常利益税引前当期純利益、当期純利益)の表示が求められる一方、IFRSの純損益及びその他の包括利益計算書には、段階損益の規定はありません。ただし、純損益、その他の包括利益、当期の包括利益の表示が求められています。

他にも、固定資産の範囲や償却方法、関連会社の持分法の適用、のれんの会計処理、減損の認識や戻し入れ、引当金の概念、注記で開示する事項など、さまざまな面で違いがあります。

IFRSを適用している会社

日本において、IFRSは連結財務諸表に適用できます。上場企業であるグループ会社を中心に、さまざまな企業での適用が見られます。以下の表は、日本取引所グループが公開しているIFRS適用会社の一部です。

企業名 適用時期
住友商事 2011年3月期
ソフトバンクグループ 2014年3月期 第1四半期
武田薬品工業 2014年3月期
三井物産 2014年3月期
日立製作所 2015年3月期
本田技研工業 2015年3月期
アサヒグループホールディングス 2016年12月期
住友ゴム工業 2016年12月期
花王 2016年12月期 第1四半期
三菱ケミカルグループ 2017年3月期 第1四半期
ENEOSホールディングス 2017年3月期
ライオン 2018年12月期 第1四半期
日清食品ホールディングス 2019年3月期 第1四半期
日本製鉄 2019年3月期
ヤマハ 2020年3月期 第1四半期
トヨタ自動⾞ 2021年3月期 第1四半期
ソニーグループ 2022年3月期 第1四半期
資生堂 2022年12月期 第1四半期
川崎重工業 2023年3月期 第1四半期
村田製作所 2024年3月期 第1四半期

参考:IFRS適用済会社一覧|日本取引所グループ

IFRS対応の会計ソフトを導入するメリット

一般的な会計ソフトとIFRS対応の会計ソフトとの違いは、IFRSに対応して設計されていることです。日本だけでなく海外でも利用しやすく、海外子会社と会計基準を合わせられます。IFRS対応の会計ソフトには、多言語表示や多通貨会計などの海外での利用を想定した機能が含まれたものもあります。ここでは、IFRS対応の会計ソフトを導入するメリットを紹介します。

グローバル基準での財務報告ができる

IFRS対応の会計ソフトは、国際基準での財務報告書を作成するのに役立ちます。IFRSに対応することで、国際的な企業間比較に役立つ情報を投資家に提供できるのがメリットです。複数の会計基準の帳簿を作成できるソフトであれば、日本基準とIFRSなど、複数の財務諸表を管理することも可能です。

M&Aや海外展開がスムーズにできる

IFRS対応の会計ソフトは、海外に子会社や事業会社のある企業やグローバルビジネスを展開する企業を中心にニーズがあります。IFRS対応の会計ソフトをグループに導入することで、海外に拠点がある複数のグループ内企業との情報統合が容易になるためです。このように、すでに海外展開をしている企業はもちろん、M&Aによる海外企業の取得や海外展開を検討している企業にも向いています。IFRSに対応することで、海外で求められる財務情報の提供に対応しやすくなるためです。

投資家や金融機関からの評価が向上する

IFRS対応の会計ソフトの導入は、投資家や金融機関からの評価向上にも役立ちます。IFRSに対応することで、海外投資家や海外の金融機関向けに日本基準との違いを説明する必要がなくなるためです。財務状況を誤解なく提供できることから、海外からの資金調達にプラスになる可能性があります。

IFRS対応の会計ソフトの選び方

IFRS対応の会計ソフトはどのように選ぶべきか、選定のポイントを紹介します。

IFRSに準拠した財務諸表を作成できるか

IFRS対応の会計ソフトを導入する目的は、IFRSに準拠した財務諸表を開示できるようにすることです。そのため、会計処理がIFRSに対応しているだけでなく、少なくともIFRSの財務諸表を作成できる機能があることが求められます。

なお、日本企業の場合、個別の財務諸表については日本基準に準拠していることが必要です。個別財務諸表を日本基準とIFRSの2つの方法で作成したい場合は、複数の会計基準で財務諸表を作成できる機能が備わっている会計ソフトが便利です。

グループ企業の連結決算に対応しているか

日本でIFRSの適用が認められているのは、連結財務諸表です。個別財務諸表は日本基準での作成が求められることから、IFRSに対応した連結財務諸表の作成方法としては2パターン考えられます。

1つは、親会社が各連結会社から集めた個別財務諸表を組み替えて連結財務諸表を作成する方法です。もう1つのパターンとして、各連結会社がそれぞれIFRSと自国基準の個別財務諸表を作成する方法があります。

いずれの方法を採用するにせよ、グループ企業の連結決算に対応した会計ソフトを導入することで、財務諸表を連結させる労力を削減できます。

自動仕訳やデータ連携機能があるか

IFRSと日本の会計基準はさまざまな面で異なります。懸念されるのは、会計処理の変更が必要になったり、財務データの整理が必要になったり、手間がかかることでIFRSの導入がスムーズに進まないことです。

IFRSの導入の手間を少しでも軽減するために、日々の業務プロセスの負担を軽減できるIFRS対応の会計ソフトの導入が役立ちます。例えば、自動仕訳やデータ連携機能により自動で情報を取得できる機能がある会計ソフトです。

自社に合った料金プランがあるか

IFRSの会計ソフトの料金体系は、サービスによって異なります。料金体系を明示せず、要相談としているサービスもあります。クラウド型サービスの場合、月額課金制が一般的です。また、複数の料金プランを設けているサービスは、企業の規模に応じたプランを提供していることもあります。企業の規模や利用できる機能も加味して、自社に適した料金プランが選択できる会計ソフトがおすすめです。

IFRS対応の会計ソフトを導入するときの注意点

IFRSに対応した会計ソフトを導入する際に注意しておきたいポイントを紹介します。

IFRSの移行スケジュールを確認する

一般的に、IFRS対応の会計ソフトの導入は、下記の手順により行います。

  1. 日本基準とIFRSの違いを把握する
  2. グループ各社の会計方針を確認する
  3. IFRSに対応する人材を確保・育成する
  4. IFRS導入にともなう影響度調査を実施する
  5. 導入のためのロードマップを作成する
  6. 会計方針を決定する
  7. 内部統制を整備する
  8. IFRS対応の会計ソフトを導入する

IFRSに対応した財務諸表を作成するということは、業務プロセスなどにも大幅な変更が生じる可能性があるということです。導入の前に、人材の確保や導入による影響度合いを確認しておくことが重要です。移行スケジュールについては、このような予備調査も含めた期間の設定を行います。また、導入によりさまざまな変更が生じるため、それによって起こる問題や問題の解決を考慮して移行スケジュールを組む必要があります。

IFRSに対応するための社内体制を整備する

IFRSに対応するには、担当者の育成や人材の確保、システムの導入以外にもさまざまな課題があります。IFRSへの対応により勘定科目の体系や数値などにも変化が生じる可能性があるため、必要に応じて内部統制などの見直しも求められます。

例えば、決算体制の整備や進捗管理の整備、業務フローのような内部統制の文書の見直しが必要です。IFRSの影響も考慮し、予算管理などの仕組みも適宜変更する必要があります。

会計ソフトの導入コストと費用対効果を検討する

IFRSに対応することによるデメリットとして挙げられるのが、導入コストです。IFRSに対応するということは、日本基準とは異なる会計基準を把握して適切に対処する必要があるということです。

IFRSに対応するには、会計ソフトの導入だけでなく、さまざまなコストを想定しておく必要があります。例えば、IFRSに対応するための人材確保として社員教育のコストが想定されます。導入前の調査を外部に依頼する場合には調査コスト、外部の専門家からの支援を受けたい場合には外部アドバイザーに対する報酬の支払いも必要です。システム以外の導入コストも含め、IFRSの対応でどのくらいの費用対効果が得られるのか試算して、実際に導入するかどうか検討することをおすすめします。

IFRS対応の会計ソフト導入には準備が必要

IFRS対応の会計ソフトを導入することには、グローバル基準の財務情報を提供できるようになるなどのメリットがあります。しかし、IFRSは日本の会計基準とは異なる面も多いため、一般的な会計ソフトの移行と比較して、多大な準備期間が必要です。移行のメリットや費用対効果なども考慮して、IFRSに対応するかどうか十分に検討しましょう。

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