- 作成日 : 2025年2月5日
パソコンは固定資産に計上すべき?取得価額ごとの勘定科目や注意点も解説
業務用に購入したパソコンは、固定資産として経費計上できますが、取得価額によって扱いが異なる点に注意が必要です。
本記事では、取得価額ごとの勘定科目の違いや固定資産に計上する際の注意点などについて解説します。
興味を持った方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
パソコンは取得価額によって勘定科目が異なる
結論から述べると、パソコンは取得価額によって勘定科目が異なります。たとえば、10万円未満の場合は費用として計上するため、使用する勘定科目は消耗品費や事務用品費などです。
一方で、取得価額が10万円を上回る場合は固定資産として計上し、工具器具備品などの勘定科目を使用します。
付随費用とは
パソコンの取得価額には、付随費用も含まれます。付随費用とは、資産の取得や処分などの取引が行われる際に、関連して発生する諸経費のことです。
取得価額は、一般的に取引の単位ごとに設定されます。たとえば、10万円のパソコンを20台購入して合計金額が200万円であった場合でも、1単位の取得価額は10万円です。
パソコンを固定資産に計上するのは取得価額いくらから?
パソコンを固定資産として計上できるか否かは、取得価額によって異なります。取得価額ごとのパソコンの扱いに関する解説は、以下のとおりです。
取得価額が10万円未満の場合、消耗品費などの費用に計上する
パソコンの取得価額が10万円を下回る場合、費用として計上します。費用とは、事業を行うために使った支出のことです。
消耗品費、または事務用品費として一括で経費計上できます。どちらの勘定科目を選択してもとくに問題はないため、会社側が設定した仕訳のルールに従いましょう。
取得価額が10万円以上の場合、原則として固定資産に計上する
パソコンの取得価額が10万円を上回る場合、原則として固定資産に計上します。ただし、取得価額によってパソコンの扱いが少しずつ異なる点に注意してください。
10万円以上20万円未満のパソコンは、原則として一括費用計上はできません。経費計上の方法は、耐用年数による減価償却をはじめ3種類です。
20万円以上30万円未満のパソコンは、少額減価償却資産、または耐用年数による減価償却、どちらかの方法で経費計上します。30万円以上のパソコンは、工具器具備品の勘定科目で固定資産計上してください。
パソコンを固定資産に計上する場合の特例はある?
パソコンを固定資産として計上する場合、条件次第で特例が活用できる場合があります。特例を活用すると節税につながるため、条件を満たしている場合は積極的に利用しましょう。
特例の種類、そして具体的な利用条件は、以下のとおりです。
取得価額が10万円以上20万円未満の場合、一括償却資産として処理できる
一括償却資産とは、減価償却に関するルールの1つです。一定要件のもとに、取得価額が10万円以上20万円未満の資産について、3年間にわたって均等に経費に計上できます。
一括償却資産として扱うメリットとして、法定耐用年数より短い期間で減価償却できる点が挙げられます。たとえば、パソコンの一般的な法定耐用年数は4年です。
これを一括償却資産として会計処理することで、通常の減価償却より早期に減税効果を享受できます。また、会計処理が簡単、利用条件がとくに設けられていないなどのメリットもあります。
一方で、帳簿上の利益が少なくなる点がデメリットです。短期間で減価償却を行う分、1年間に計上する経費の金額が大きくなりやすいため、融資を受ける際に不利に働く可能性があります。
取得価額が30万円未満の場合、少額減価償却資産の特例を活用できる
少額減価償却資産とは、取得価額30万円未満の減価償却資産について、一定額まで購入した年にまとめて経費計上できる税法上の特例です。上限は1年につき300万円までと決められており、恒久的な制度ではなく、さまざまな見直しを経て2年ごとに延長します。
また、一括償却資産と異なり、利用条件が設けられています。中小企業の場合、青色申告を行う以外に資本金または出資金の額が1億円以下、グループ通算法人でないなどの条件を満たさなければなりません。
複数ある条件のうち、1つでも当てはまらないものがあれば、特例は適用されません。個人事業主の場合は青色申告を行うこと、常時使用する従業員数が1,000人以下であることが条件です。
パソコンを固定資産に計上するときの注意点
パソコンは、固定資産として計上可能です。しかし、固定資産として計上する際は、いくつか注意すべき注意点が存在します。
以下で詳しく解説するため、経費の計算をする際の参考にしてください。
パソコンの付随費用も取得価額に含まれる
取得価額には、パソコン本体の費用のみならず付随費用も含まれます。具体的なパソコンの付随費用に含まれるものの一覧は、以下のとおりです。
- 付属品
- 購入手数料
- 配送料
- 増設メモリ
- モニター
ただし、パソコン本体とは別に購入した周辺機器やパソコンの動作に関係ないソフト、USBメモリなどは含まれません。
取得価額が30万円以上の場合、耐用年数による減価償却が必要
耐用年数とは、減価償却資産、つまり固定資産を使用できる期間のことで、減価償却の計算をするにあたって必要不可欠な情報です。減価償却の計算方法は、定額法と定率法の2種類あります。
定額法は、計算が簡単な一方で、初期の節税対策はあまり期待できません。定率法は、初年度の計上額が多いため、直近で節税対策に役立ちますが、途中から算出方法が変化するため、専門知識がない人には不向きです。
取得価額によっては固定資産税がかかる場合がある
会社の減価償却が必要な固定資産が150万円以上になると、償却資産税が課税されます。会社の場合、市町村が償却計算してくれるため、自社で納付額を計算する必要はとくにありません。
ただし、償却資産をどの程度保有しているかは把握しておく必要があります。
パソコンを固定資産として計上するかどうかは取得価額次第
取得価額が10万円以上のパソコンは、原則として固定資産として計上する必要があります。
また、特例を使用できれば、節税ができます。自分が特例を使用する条件を満たしているにもかかわらず、特例を使用しないのはもったいないため、必ず確認しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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