- 更新日 : 2024年8月8日
証明写真を経費にする時の仕訳に使う勘定科目まとめ
業務に必要な場合に限り、従業員の証明写真代を会社が代わりに支払い、経費にできます。勘定科目に考えられるのは、雑費や研修費、出張費、広告宣伝費です。目的に応じて適切な会計処理や仕訳は異なります。今回は証明写真代の勘定科目や仕訳例を紹介します。
証明写真の仕訳に使える勘定科目
前提として証明写真が業務上必要で、会社が取得を求めた場合は経費になる可能性が高くなります。つまり、従業員の証明写真代を、会社が経費として支出する場合があるということです。
私用の証明写真代を従業員に支給しても給与扱いで課税対象になるでしょう。経費に該当するかどうかの判断においては「業務で必要かどうか」が、重大なポイントです。証明写真の仕訳に使える主な勘定科目は、雑費・研修費・出張費・広告宣伝費の4つが該当します。
勘定科目が複数あるのは、証明写真が経費になるシチュエーションがいくつもあるためです。代表的なケースは次のとおりです。
- 海外出張でパスポートを取得するために証明写真が必要な場合
- 会社で取得要請を出した資格試験用の証明写真が必要な場合
- コーポレートサイトや採用サイトで従業員を紹介する目的で証明写真が必要な場合
- 業務上免許を取らねばならず、運転免許用証明写真が必要な場合
いずれのシチュエーションでも、おそらく証明写真代は非常に小さな金額になるでしょう。勘定科目を分散させすぎると経費処理が複雑化し、ミスの発生も誘発します。おすすめは証明写真を取得した目的にかかわらず、雑費でまとめて計上することです。
証明写真を研修費で仕訳する
会社で取得要請がある、もしくは取得推奨資格の場合、受験票添付用の証明写真代金を経費にできます。
仕訳例)人事部の従業員が、会社で取得推奨資格に定められている社会保険労務士の受験を希望したため、証明写真代700円を交付した場合
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 研修費 | 700円 | 現金 | 700円 | 資格試験用証明写真代として |
勘定科目の研修費には、業務に関する資格取得の補助費のような福利厚生費を含みます。経理であれば簿記、人事であれば社会保険労務士などは業務に関係する資格なので、受験費用の一部として証明写真代は研修費に入るでしょう。
証明写真を雑費で仕訳する
証明写真の用途にかかわらず、証明写真代は金額が小さいので「雑費」でまとめて計上しても良いです。
仕訳例)海外出張を命じたが従業員がパスポートを持っていなかったため、証明写真代として700円を支給した場合
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 雑費 | 700円 | 現金 | 700円 | パスポート用 証明写真代として |
研修費や出張費のように、目的ごとで勘定科目を細分化すると管理が煩雑になりがちです。経理への問い合わせの増加や、誤計上につながるので雑費でまとめて処理した方がわかりやすいでしょう。
ただし、何でもかんでも雑費に入れてしまうのは禁物です。経費全体に占める各勘定科目の割合を分析するのが難しくなるためです。また経営状態の適切な把握ができないので、申告時に税務署から指摘を受けたり、融資が通りにくくなったりするリスクがあります。
証明写真を出張費で仕訳する
会社の会計制度や社内規定によっては、海外出張時のパスポートに貼る証明写真代を出張費に計上しても構いません。パスポートの発行費用は安いといえないため、プライベートで海外旅行に行ったことがない従業員には大きな負担と化します。
社員旅行のような一部例外を除き、業務で海外に行かねばならない場合はパスポートの発行にかかる費用を会社が捻出します。
仕訳例)海外出張時のパスポート取得にかかる費用(申請手数料や写真代など)をまとめて従業員に交付した場合
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 出張費 | 16,700円 | 現金 | 16,700円 | 海外出張時の パスポート取得費用 |
海外出張時のパスポート取得費用には手数料・収入印紙代・写真代が含まれます。
証明写真を広告宣伝費で仕訳する
会社のホームページに掲載する従業員紹介で証明写真を求める場合、ホームページ作成費用に含めて「広告宣伝費」とみなすことも可能です。
仕訳例)コーポレートサイトのコンテンツ作成において、従業員3名に証明写真を取るための費用を支出した場合
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 広告宣伝費 | 2,100円 | 現金 | 2,100円 | コーポレートサイト用の 証明写真代として |
ホームぺージやWebサイト制作の費用の仕訳では基本的に広告宣伝費を用いますが、制作後に1年以上更新する予定がないケースでは長期前払費用や繰延資産を勘定科目に扱うのが一般的です。
また、単に会社の紹介にとどまらず、ECサイトのような高い機能を有する場合は、無形固定資産やソフトウェアの勘定科目を採用する可能性もあります。
業務上の理由で生じた証明写真代は経費にできる
業務上の理由で従業員に証明写真の提出を求める場合、支出した証明写真代は経費にできます。考えられる勘定科目は「雑費」「研修費」「出張費」「広告宣伝費」の4つです。
業務に必要な資格取得の受験票に貼る証明写真は研修費、海外出張時のパスポート代は出張費というように、目的別に勘定科目を選びましょう。証明写真代は金額が小さいため、用途にかかわらず、雑費でまとめて処理するのもおすすめです。
よくある質問
証明写真は経費にできる?
業務上証明写真が必要な場合、従業員に対して支出した証明写真代は経費にできます。詳しくはこちらをご覧ください。
証明写真を雑費で仕訳するポイントは?
証明写真代は雑費で処理すると社内でルールを統一しておきましょう。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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