- 更新日 : 2026年2月5日
賃貸保証料を仕訳する際の勘定科目は?計算方法を解説
賃貸保証料は物件を借りる際に、家賃が支払えない場合に備えて保証会社に対して拠出する費用です。保証会社が未払い家賃を立て替えてくれるので、万が一支払いが滞ったときでもトラブルなく物件利用を継続できます。
事業用の物件を借りた場合の賃貸保証料は、事業に関係する経費なので会計処理が必要です。今回は賃貸保証料の勘定科目や仕訳例について解説します。
目次
賃貸保証料の勘定科目
賃貸保証料とは、賃貸物件の家賃を借主が支払えない場合において、保証会社に肩代わりしてもらうために借主が保証会社に対して支払う保証料を指します。
連帯保証人なしで物件を借りられるので、賃貸保証料ありの物件契約は利用者にとって利便性が高い方法です。事務所に対して賃貸保証料を支払う場合、会計処理が必要です。まずは賃貸保証料の仕訳に使用する勘定科目や考え方について解説します。
支払手数料
賃貸保証料の勘定科目として考えられるのが「支払手数料」です。支払手数料は、経営に伴い生じた取引に関する手数料や費用の記帳に用いる科目です。
家賃保証料は保証会社と契約するために要する手数料とも考えられます。支払手数料として処理可能な経費には、他にも銀行の振込手数料や代引き手数料、事務手数料、登録手数料などが該当します。
保証料
融資を受ける際に、信用保証会社に対して支払う保証料を記帳する勘定科目が「保証料」です。
賃貸保証料は融資と直接的な関係はありませんが、保証会社に対して支払う費用でもあるので、勘定科目として「保証料」を使用する処理が認められています。
賃貸保証料は繰延資産?
繰延資産は拠出した費用のうち、効果が1年以上にわたって及ぶ資産を意味する言葉です。勘定科目の一種ではないので、混同してしまわぬよう注意しましょう。
賃貸保証料は契約期間の途中で物件を解約した場合でも返金不可のケースが多いため、繰延資産とみなすのが一般的です。拠出した時点で効果の発生が約束されているため、費用として計上するのではなく資産とします。
前払費用
拠出した費用のうち、前払費用はその会計年度の終了時点でまだ役務の提供を受けていない費用を指す言葉です。
賃貸保証料は契約期間にわたって継続的に効果が及ぶものだと捉え、経過期間分だけ費用化する処理が適当だとみなす考え方があります。この場合、未経過の期間にかかる保証料を資産計上する処理が必要です。
賃貸保証料の仕訳方法
賃貸保証料の仕訳に使用する勘定科目は、「支払手数料」と「保証料」の2種類です。また、賃貸保証料を繰延資産と前払費用のどちらに考えるかによって、会計処理が異なってきます。
繰延資産と捉える場合、金額に応じて処理方法に違いがあり、20万円以上は減価償却処理が必要です。20万円未満の場合は支払い時に、少額繰延資産として一括費用計上が可能です。前払費用と考える場合、決算時に振替仕訳が必要になります。
支払手数料として仕訳
(仕訳例)
賃貸物件の契約時に同時に保証会社と賃貸保証契約を締結し、初期費用として2年間分の賃貸保証料20万円を現金で支払った
支払手数料は他にも多くの費用を計上する科目です。摘要欄を活用して、賃貸保証料だとわかるように工夫しましょう。
また、決算時に期間按分の仕訳も必要です。期末・期首の振り替え仕訳は、「前払費用として仕訳」で解説しているので、そちらをご確認ください。
保証料として仕訳
(仕訳例)
賃貸物件の契約時に同時に保証会社と賃貸保証契約を締結し、初期費用として2年間分の賃貸保証料20万円を事業用口座から支払った
こちらも融資を受けた場合の保証料と区別をつけるために、摘要欄に「賃貸保証料」と記載するのが良いでしょう。
期末・期首の振り替え仕訳は、「前払費用として仕訳」で解説しているので、そちらをご確認ください。
繰延資産として仕訳
賃貸保証料を繰延資産として考える場合、金額によって仕訳の方法が異なります。具体的には、20万円以上の場合は減価償却が必要です。一度全額を「長期前払費用」として記帳し、決算時に経過月数分だけ償却処理を行います。
(仕訳例)
会計年度が4月1日~翌年3月31日の企業において、4月1日に、同日から翌々年3月31日までの賃貸保証料30万円を現金で支払った
【支払いを行ったタイミング】
【当期決算】
20万円未満の場合、支払いのタイミングで一括損金処理が可能です。使用する勘定科目は原則通り、支払手数料や保証料です。
賃貸保証料の仕訳方法以外にも繰延資産の詳細について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
前払費用として仕訳
賃貸保証料を前払費用として会計処理する場合、支払いを行ったタイミング・期末・翌期当初の三回に分けて仕訳が必要です。
(仕訳例)
会計年度が4月1日~翌年3月31日の企業で、12月1日から翌年11月30日までの年間リース料24万円を同日(12月1日)に現金で支払った
【支払いを行ったタイミング】
通常どおり、支払手数料や保証料で仕訳を行います。
【期末】
期末までの4か月分8万円を当期の費用として計上してください。残りの16万円に関しては、前払費用として資産計上します。
【翌期首】
前期末に資産計上しておいた前払費用を振り替え処理して、再度経費に計上します。
賃貸保証料の仕訳だけでなく前払費用の詳細について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
家事按分が必要な場合は注意が必要
事務所兼自宅のように賃貸物件をプライベートでも使用する場合、賃貸保証料の全額を経費計上できません。事業で使用した比率分だけ経費に加える家事按分の処理が必要です。
家事按分の基準となる比率の設定において、よく使用されるのは面積や時間です。賃貸保証料の場合、一角を事業用として利用するパターンが想定されるので、通常は面積を基準に考えます。
家賃保証料として経費に計上できる金額はあくまでも事業用途のスペースだけであることに注意してください。たとえば自宅と事務所を半々で使用している場合、支払った初期費用・月額のうち、50%だけ費用に計上できます。
個人事業主の場合、家事按分を忘れて全額を経費計上してしまうと、脱税だと捉えられかねないので十分気をつけましょう。
金額によっては減価償却が必要な場合も
賃貸保証料が20万円以上の場合、契約期間内で按分し、経過期間分だけ減価償却する手続きが必要です。
減価償却とはある固定資産の取得に要した費用を、その資産の使用期間に応じて配分する処理のことです。具体的にはいったん全額を長期前払費用として資産計上し、月や年ごとに期間が到来した分を振り替えて費用化します。
税法上では会計期間を1年間と定めており、決算期に年間の費用と収益を計上して税金を算出します。賃貸保証料は効果が1年以上におよび、さらに経過期間が明確です。当該年度分を計算によって明らかにして、対応期間分の正確な費用を計上しなくてはいけません。
減価償却の詳細については、下記記事を参考にしてください。
賃貸保証料は減価償却も考慮して正しい会計処理を
原則として、賃貸保証料の勘定科目に使用するのは「支払手数料」や「保証料」です。また賃貸保証料の金額が20万円以上の場合、減価償却の処理が求められます。いったん全額を資産計上した上で、契約期間内の経過期間分だけ費用化します。
支払のタイミングに加えて、期末・期首でも仕訳が必要なので、会計処理が複雑になることに注意しましょう。
賃貸保証料が繰延資産と前払費用のどちらに該当するかによって、処理方法や仕訳が異なることにも留意してください。正解があるわけではありませんが、それぞれの考え方や具体的な処理方法を知っておくと混乱しないで済むでしょう。
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よくある質問
賃貸保証料の勘定科目は?
「支払手数料」もしくは「保証料」を用います。詳しくはこちらをご覧ください。
賃貸保証料の仕訳方法は?
賃貸保証料の金額が20万円以上の場合、経過期間分だけ費用計上する減価償却の手続きが必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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