- 更新日 : 2024年8月8日
本や書籍を経費にするときの仕訳に使う勘定科目まとめ
書籍を購入したときは、事業の用途に使用する場合であれば経費として計上できます。例えば、従業員が事業にかかわる知識を得るために書籍を購入した場合であれば、「新聞図書費」の勘定科目を用いて経費計上し、適切に仕訳をすることが可能です。その他にも、どのような勘定科目が使えるのか、仕訳例も挙げつつ解説します。
書籍の仕訳に使える勘定科目
書籍を購入したときは、事業と関連するものであれば経費として計上できます。「新聞図書費」や「研修費」、「雑費」などの勘定科目で仕訳をすることが一般的です。ただし、雑費として仕訳をするときは、書籍を購入する機会があまりなく、金額も少ないときに限られます。
事業に関連しない場合も、休憩室などに置いて従業員が誰でも読めるようにしているときは「福利厚生費」として仕訳することも可能です。百科事典などのシリーズものを購入する場合、1セットが10万円を超えるときは減価償却資産となります。しかし、1冊ずつ購入でき、なおかつそれぞれが10万円以下であれば減価償却しないので、購入した費用を一括で経費計上できます。
なお、同じ目的で購入したときは、同じ勘定科目で仕訳をすることが大切です。例えば、休憩室に置くための雑誌を購入し、「福利厚生費」の勘定科目で仕訳をした場合であれば、次に休憩室に置く雑誌を購入したときも「福利厚生費」として仕訳をしましょう。
書籍を新聞図書費で仕訳する
新聞図書費の勘定科目で仕訳をするときは、基本的には購入した書籍を事業の用途に用いることが条件となります。例えば、会計業務を勉強したい従業員のために「よくわかる会計」という5,000円の書籍を購入したとしましょう。現金で支払った場合は、以下のように仕訳ができます。
また、正確な文章を執筆するために、12万円の百科事典のシリーズを購入したとしましょう。この場合は10万円を超えているので減価償却資産となりますが、20万円未満のため一括償却資産として3年間で減価償却します。
<購入時>
<決算時>
※2年目、3年目も同様に4万円ずつ減価償却します。
書籍を研修費で仕訳する
研修やセミナーで用いる資料を購入したときは、研修費の勘定科目で仕訳をします。また、10万円を超える場合については減価償却資産となりますが、単価が10万円を超えるのではないときは資産ではなく通常の研修費として仕訳ができます。
例えば研修に必要な書籍が1冊2,000円で、研修に参加する人数が60人だとしましょう。合計で12万円かかりますが、単価は10万円未満のため研修費として仕訳をし、減価償却は行いません。
資料代60人分 |
書籍を福利厚生費で仕訳する
従業員の福利厚生を目的として書籍を購入する場合は、福利厚生費の勘定科目で仕訳をします。例えば、休憩室に置くための書籍として有名作家のミステリー小説をシリーズで購入し、20,000円を支払ったとしましょう。以下のように福利厚生費の勘定科目で仕訳ができます。
小説シリーズ「〇〇」購入費 |
また、休憩室に置く本を購入する機会が滅多になく、金額もそれほど多くはないのであれば、「雑費」の勘定科目で仕訳ができます。摘要欄に内容を記載しておけば、後で帳簿を見返したときに何の費用だったのか一目でわかります。
グルメ雑誌 |
適切な勘定科目で書籍を経費計上しよう
事業に必要な書籍を購入したときは、新聞図書費などの勘定科目で仕訳ができます。セミナーや研修に使う資料として購入したときは研修費、従業員の福利厚生のために購入したときは福利厚生費の勘定科目が適切です。
書籍を購入することは滅多になく、また金額もあまり多くはないときは雑費の勘定科目を使うこともできます。適切な勘定科目を選び、また必要に応じて詳細を摘要欄に記載し、見やすい帳簿を作成しましょう。
よくある質問
書籍は経費にできる?
事業に使用するものや研修・セミナーで用いるもの、従業員の休憩室に置くものであれば経費として計上できます。詳しくはこちらをご覧ください。
書籍を新聞図書費で仕訳するポイントは?
事業に用いるものであることが条件となります。例えば業種や業界についての知識を深める、海外進出に備えて外国語を学ぶなどのために書籍を購入したときは新聞図書費の勘定科目で仕訳ができます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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