- 更新日 : 2026年1月8日
長期前払費用とは?仕訳例や勘定科目、前払費用との違いまで解説!
長期前払費用とは、前払費用のうち一定のものです。
この記事では、勘定科目として長期前払費用と仕訳するのはどのような場合なのか、繰延資産とはどのように違いがあるのか等、保険料などの例を挙げて解説します。
その際、消費税が発生する場合の計算方法についてもあわせて解説します。
目次
長期前払費用とは?どんな勘定科目?
企業会計原則によると、前払費用については次のとおり解説されています。
「前払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価をいう。したがって、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の費用となるものであるから、これを当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の資産の部に計上しなければならない。」(企業会計原則注解 注5)
つまり、前払費用とは費用という名前が入っているものの、貸借対照表の資産の部の計上され、翌期以降に費用となるものです。
この前払費用のうち、1年を超えている部分が「長期前払費用」として、貸借対照表に資産計上されるのです。
例えば、3月決算の会社で、8月に3年分の保険料計36,000円(1か月1,000円)を前払いしたとします。

当期の決算において、保険料となるのは全体のうち(8月から3月までの)8か月分のみです。
したがって、損益計算書に表示される保険料は、36,000円×8/36=8,000円となります。
残りの28か月分(青い点線部分)は、保険料の前払い分となります。
この28か月分が、まだ保険サービスが提供されていないのに支払った部分となるので、貸借対照表の資産の部に前払費用として計上されます。
前払費用として計上される際に、前払いしている期間が1年を超えていますので、1年を超えた部分(この場合16か月)については、前払費用ではなく「長期前払費用」として資産計上されます。
したがって、前払費用として計上される金額は、36,000円×12/36=12,000円となり、残額16,000円が長期前払費用として計上されます。
当期の決算書を見ると、次のようになっています。

このように決算時には期中に支払った36,000円は3分割されて、損益計算書と貸借対照表に表示される結果となります。
会社によっては、前払費用の長短を明確に区別するため、前払費用を「短期前払費用」としているところもあります。
消費税の区分は?
上の例は保険料なので消費税の関係しない勘定科目でしたが、消費税のある場合はどうでしょうか?
消費税の課税仕入れの時期は、原則としてサービスの提供があった時期となります。
したがって、前払費用や長期前払費用を仕訳する場合には、消費税の区分は「対象外」としておきます。
次の仕訳のように翌期になって、サービスが提供される時に消費税を認識します。
【翌期の振替仕訳】
| ××費 | xxxx | 前払費用 | xxxx |
| 仮払消費税 | xxx | ||
長期前払費用と前払費用の違いは?
上の図で見てきたように前払費用のうち、決算日から1年を超えているものが長期前払費用となります。
長期前払費用は、貸借対照表上の表示箇所が「投資その他の資産」に分類されます。
投資その他の資産とは、固定資産ですが、有形固定資産や無形固定資産に入らないものです。
前払費用のうち、1年を超えるものについて分けている理由は「ワンイヤールール(1年基準)」によるものです。
流動資産か固定資産かを決めるひとつの会計上のルールがワン・イヤー・ルール(1年基準)です。
ワンイヤールールとは、回収又は返済の期限が決算日後、1年以内に到来するものは流動項目とし、1年を超えて到来する場合には固定項目とする会計上の基準です。
したがって、資産だけでなく負債についてもワンイヤールールにしたがって表示します。

前払費用についての詳細は、次の記事をご参照ください。
長期前払費用と繰延資産の違いは?
貸借対照表には、「繰延資産」という項目があります。
長期前払費用と似た使い方をする勘定科目であるため、注意が必要です。
繰延資産とは、すでに発生・支払が完了している支出のうち、年度をまたいで費用化が認められる資産です。
長期前払費用との違いは、繰延資産には換金性がないことです。
繰延資産には、会計上の繰延資産、税務上の繰延資産などがあり、会計上の繰延資産は次の5つに限定されています。
【繰延資産の例】
| 会計上の繰延資産 | 税務上の繰延資産の例 |
|---|---|
※20万円未満は即時費用可能 |
長期前払費用として支払った部分のサービスが、提供者の都合で提供できなくなった場合には、原則的には払い戻し、つまり、換金ができます。
繰延資産と長期前払費用の使い分けについての詳細は、次の記事をご参照ください。
長期前払費用の仕訳例・計算方法
長期前払費用について、計算例、仕訳例を見ていきましょう。
会社によって振替時期が「決算時」か「都度」かなど、いろいろなケースがあると思います。
ここでは2とおりの仕訳をご紹介します。
例は、冒頭に挙げた「3月決算の会社で、8月に3年分の保険料計36,000円(一1か月1,000円)を前払い」とします。
決算時に振替えをするケース

【仕訳】
| (1)支払時 | 保険料 | 36,000 | 現預金 | 36,000 |
| (2)決算時 | 前払費用 | 12,000 | 保険料 | 28,000 |
| 長期前払費用 | 16,000 | |||
前払いの場合には割引等があり、このように割り切れないケースもありますが、その際は当期の費用に数円分多くして調整するとよいでしょう。
支払時に振替えをするケース

【仕訳】
| (1)支払時 | 保険料 | 8,000 | 現預金 | 36,000 |
| 前払費用 | 12,000 | |||
| 長期前払費用 | 16,000 | |||
支払時に一気に最終形まで計算するケースです。
この場合は、上のような費用配分がどのようになるか図を描いて計算するのが確実です。
保険料 36,000 × 8/36 = 8,000
前払費用 36,000 × 12/36 = 12,000
長期前払費用 36,000 × 16/36 = 16,000
長期前払費用について理解できましたか?
長期前払費用については、ワンイヤールールに基づき正しい振替えができれば難しくありません。
ただし、会計処理には継続性が求められますので、振替方法については統一しておきましょう。
振替えをする案件が多い場合、前払いが5年を超えるような長期の場合などには、一覧表を作成するなどして、振替えの漏れがないかを確認しましょう。
【期間限定】会計ソフト移行で最大70万円ポイント還元!
オンプレミス型・インストール型をご利用の企業様へ。 移行作業をプロに任せる「導入支援サービス(サクセスプラン)」の費用相当額が、最大70万円分ポイント還元されるお得なキャンペーンを実施中です。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料を紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
電子帳簿保存法 徹底解説(2025/10 最新版)
電子帳簿保存法は、1998年の制定以降、これまでに何度も改正を重ねてきました。特に直近数年は大きな改正が続いた上に、現在も国税庁による一問一答の追加・改定が続いており、常に最新情報の把握が必要です。
70P以上にわたるボリュームであることから、ダウンロードいただいた方から大好評をいただいている1冊です。
インボイス制度 徹底解説(2024/10 最新版)
インボイス制度は施行後もさまざまな実務論点が浮上し、国税庁によるQ&Aの追加・改訂が続いています。これを受けて、「結局どうすればいいのか、わからなくなってしまった」という疑問の声も多く聞かれるようになりました。
そこで、インボイス制度を改めて整理し、実務上の落とし穴や対応のヒントまで網羅的に解説した最新資料を作成しました。問題なく制度対応できているかの確認や、新人社員向けの教育用など、様々な用途にご活用いただける充実の資料です。
マネーフォワード クラウド会計Plus サービス資料
マネーフォワード クラウド会計Plusは、データの自動取得、自動仕訳、自動学習の3つの自動化で経理業務が効率化できる会計ソフトです。
仕訳承認フローや業務分担にあわせた詳細な権限設定が可能で、内部統制を強化したい企業におすすめです。
マネーフォワード クラウド経費 サービス資料
マネーフォワード クラウド経費を利用すると、申請者も承認者も経費精算処理の時間が削減でき、ペーパーレスでテレワークも可能に。
経理業務はチェック業務や仕訳連携・振込業務の効率化が実現でき、一連の流れがリモートで運用できます。
よくある質問
長期前払費用とはなんですか?
前払費用のうち、1年を超えている部分を「長期前払費用」といいます。貸借対照表に資産として計上されるものです。詳しくはこちらをご覧ください。
ワンイヤールールとはなんですか?
回収又は返済の期限が決算日後、1年以内に到来するものは流動項目とし、1年を超えて到来する場合には固定項目とする会計上の基準です。詳しくはこちらをご覧ください。
繰延資産とはなんですか?
すでに発生、支払が完了している支出のうち、年度をまたいで費用化が認められる資産です。 繰延資産には、会計上の繰延資産と税務上の繰延資産とがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
勘定科目 前払いの関連記事
新着記事
請求書支払いの効率化はどう進める?手順と自動化のポイントを解説
Point請求書支払いの効率化はどう進める? 請求書支払いの効率化は、業務フローの標準化とシステムによる自動化の組み合わせで実現できます。 受領形式をPDF等の電子データに統一 A…
詳しくみる請求書を一括で振込できる?マナーや手数料の負担、効率化の手順を解説
Point請求書を一括で振込できる? 同一取引先への複数請求書は、事前に合意があれば合算して一括で振り込めます。 内訳を明記した支払通知書の送付がマナー 振込先口座が異なる場合は個…
詳しくみる振込代行サービスとは?比較ポイントや手数料を安く抑える方法を解説
Point振込代行サービスとは? 企業の送金業務を外部へ委託し、手数料削減と経理業務の効率化を同時に実現する仕組みです。 大口契約の活用により手数料を半額以下に CSV連携で入力業…
詳しくみる振込代行サービスのセキュリティは安全?仕組みや管理方法を解説
Point振込代行のセキュリティは安全? 銀行同等の暗号化と法的な保全措置により極めて安全です。 全通信をSSL暗号化し盗聴・改ざんを防止 倒産時も信託保全で預かり金を全額保護 社…
詳しくみる振込手数料を削減するには?法人のコスト対策と見直し術を解説
Point振込手数料を削減するには? 振込手数料の削減には、ネット銀行への移行や振込代行サービスの活用が最も効果的です。 ネット銀行活用で窓口より約30〜50%のコスト削減が可能 …
詳しくみる振込作業を効率化するには?経理の支払い業務をラクにする方法
Point振込作業を効率化するには? 銀行APIや全銀データを活用し、会計ソフトと銀行口座をシステム接続することで実現します。 API連携で手入力とログインの手間を削減 AI-OC…
詳しくみる会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引




