• 更新日 : 2024年3月19日

経理で使えるエクセル基礎知識・関数10選!テンプレも100枚以上あり!

経理で使えるエクセル基礎知識・関数10選!テンプレも100枚以上あり!

経理担当者がマイクロソフト社のエクセル(Excel)を使う場合、フィルター機能・ピボットテーブル・並べ替え機能などをマスターしておくと便利です。また、エクセル関数としては、SUM関数・VLOOKUP関数・RANK関数・IF関数などは、経理担当者として覚えておくとよいでしょう。

エクセルは機能豊富で便利な表計算ソフトですが、反面、ファイルの破損や誤記入といったリスクがある点に注意しましょう。

当記事では、経理担当者の方に向けて、必要操作や関数、経理担当者向けのエクセルテンプレートなどを網羅的に紹介します。

▼経理に役立つ無料エクセルテンプレートをお探しの方

目次

経理業務に使える無料エクセルテンプレート

マネーフォワード クラウドでは、エクセル・ワード形式で提供する、経理業務で使えるようなテンプレート集を多数ご用意しています。

無料でダウンロードいただけますので、ぜひお好きなものをご活用ください。

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経理業務に使える「前期比較決算書テンプレート」

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このテンプレートを使うメリットは、貸借対照表、損益計算書そして製造原価報告書の比較が簡単にできることです。
使い方は次の3ステップでできます。
テンプレートでセルに色がついている部分は計算式が入っていますが、ダウンロードして自由にカスタマイズして利用下さい。

1)勘定科目の設定

左側の勘定科目は自社で利用する勘定科目に適宜変更します。
必要な科目を追加し、不要な科目を追加してください。その際、計算式に影響があれば適宜修正下さい。

2)前期と当期の数値を入力

当シートは前期と当期の比較になっていますが、例えば「5年前と当期」でも、「第一四半期と第二四半期」でも自由に活用できます。また、右に比較したい年度を追加することも可能です。
各シートのページ設定>ヘッダー/フッターで表の名称を変更できます。
構成比などで、もっと詳細にみたいときは小数点以下を増やすこともできます。
また、単位は円となっていますがセルの書式設定などで千円単位や百万円単位に変更し、会社でよく使われる単位に変更ください。

3)必要部分だけを残す

初期値としてよく使用される勘定科目を設定していますが、利用しない行は削除して見やすくしても問題ありません。
また、貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書と3つのシートがありますが、不要なシートは削除してご利用下さい。エクセルのフィルター機能を使って最終的に必要部分だけを残すという方法もあります。

テンプレートのカスタマイズに慣れれば、似たような表から事由にエクセル管理簿等を作成できるようになります。

経理で主に使うエクセルの機能4選

エクセルは社内のさまざまな部署で活用されているツールですが、特に会社のお金の流れを管理する経理業務で活躍しています。

経理でエクセルを使うのは、主に資料作成や会計業務、情報分析といった場面です。資料作成では、売上や利益といった数値データをもとに営業・プレゼンなど各種資料を作成します。会計業務は、経費や交通費の精算書類作成と集計が可能です。

エクセルにはさまざまな機能がありますが、経理業務でよく使うのは主に次の機能です。

  • フィルター機能
  • ピボットテーブル
  • 並べ替え機能
  • マクロ

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フィルター機能

エクセルに入力したデータから、条件に合うものだけを抽出する機能です。抽出条件は任意で設定でき、単独条件だけでなく複数の条件を同時に満たすものを絞り込むこともできます。

指定範囲のデータ抽出や、昇順・降順などの並び替えも可能です。膨大な量のデータを目的に合わせて整理でき、必要な情報をすぐに見つけることもできます。

経理業務では、「特定の月の売上データ」や、「〇〇社への〇月分の請求データ」というように、必要な情報だけを抽出するために役立ちます。

ピボットテーブル

ピボットテーブルは、集計用の場所を設定し、大量のデータをわかりやすく整理して集計・分析できる機能です。

例えば、売上金額について部署ごと、担当者ごと、あるいは商品ごとに分けて集計し、推移や構成比などの分析に役立てられます。

「社内で部署ごとにどの経費が一番多く申請されているか知りたい」といわれたとき、経費管理表を見ただけではすぐにわかりません。しかし、ピポットテーブルを使えば項目ごと・部署ごとに分け、金額を比較して求める内容を簡単に知ることが可能です。

並べ替え機能

バラバラに並んでいる項目をあいうえお順や日付順などに並べ替える機能です。表内の数値や金額、商品名、氏名などのデータを、昇順・降順といった指定した順番で並べ替えができます。

「ユーザー設定の並べ替え」の機能を使えば、会社名で並べ替え、金額で並べ替えるといった複数の項目を指定して並べ替えることも可能です。

マクロ

マクロは、エクセルで行った操作を記録し、次回から同じ操作を自動でできるようにする機能です。経理のルーティン業務では毎月同じ操作をすることも多く、これら操作をマクロとして記録しておけば、次の月からはマクロを実行するだけで自動的に操作を実行できます。

経理業務では、日々の取引データの集計や請求書作成の自動化も可能です。自動記録機能を使えば、特定の日時に行うデータ集計も実施できます。

利便性を高めるエクセルの機能

経理業務をより効率化できる機能として、ショートカットキーやシート・ファイルの同時閲覧があげられます。

具体的にみてみましょう。

ショートカットキーで業務を効率化

エクセルには、キーの組み合わせでパソコンの操作手順を短縮できるショートカットキーがあります。

パソコンのキーボードで「Ctrl」や「Alt」などの特殊キーとアルファベットのキーなどを組み合わせることで操作を短縮し、業務を効率化できる機能です。

経理でよく使うショートカットキーをいくつか紹介します。

ショートカット内容
Ctrl + C選択したセルをコピーする
Ctrl + Vコピーしたセルをペーストする
Ctrl + X選択したセルを切り取る
Ctrl + Sファイルを上書き保存する
Ctrl + Z操作を誤った場合などに直前の状態に戻す
Ctrl+Y直前の操作を繰り返す
Ctrl + P表示しているものを印刷する
Ctrl+F検索する
Ctrl + D上のセルの内容を選択したセル範囲にコピー(下方向へのフィル)
Ctrl + R左のセルの内容を選択したセル範囲にコピー(右方向へのフィル)
Alt + = :選択したセルの範囲に対して自動で合計(SUM関数)を挿入
Ctrl + Shift + L選択したデータ範囲にフィルターを適用または解除
Ctrl + Page Up / Ctrl + Page Downークブック内の次または前のシートに切り替え
Ctrl + ; (セミコロン)現在の日付をアクティブなセルに挿入
Ctrl + Shift + ; (セミコロン)現在の時刻をアクティブなセルに挿入
Ctrl + Shift + 1選択したセルの数値を会計形式に変更
Alt + E, S, V :特殊貼り付けのダイアログを開く
Ctrl + Arrow Key矢印の方向にデータの端まで素早くジャンプ
Shift + Space現在選択しているセルの行全体を選択
Ctrl + Space現在選択しているセルの列全体を選択
Alt + W, F, Rウィンドウを固定または固定解除
Ctrl + ‘ (アポストロフィ)上のセルの内容を選択したセルにコピー
F2選択したセルの編集を開始
F4直前のコマンドやアクションを繰り返す

複数のシートやファイルを同時に閲覧

エクセルを使った経理の作業では、複数のシートやファイルを同時に開ける機能があります。各支店の売上集計やデータ分析などで、それぞれのファイルやシートを比較するときに便利です。

まず、「表示」タブにある「新しいウィンドウを開く」を選択してから、「整列」をクリックします。2つのファイルが左右に並ぶため、それぞれのシートを見比べながら作業できます。同じフローを繰り返せば、3つ以上のシートを同時に表示させられます。

異なるファイル同士を同じ画面内で開くことも可能です。まず、「ファイルを開く」の画面から、開きたいファイルをまとめてクリックしてください。次に、表示タブの「整列」を選択し、並べて表示を選んで「OK」を押せば、画面内に異なるファイルが並びます。

資料の作成に必要なデータが複数ファイルに分かれているとき、それぞれ開きながら参照するという手間を省けます。

【基礎編】経理で役立つエクセルの関数

エクセルには、複雑な計算を簡単にできる関数という数式があります。複数のセルの合計値を計算したり、条件に合う項目を抽出したりできる数式です。手間のかかる計算や作業が簡単にでき、経理業務を効率化します。

エクセルの関数は数多くありますが、ここでは経理業務に使える代表的な関数をみていきましょう。

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SUM関数

SUMは、指定した範囲内の数値をすべて合計した値を求める関数です。請求書や納品書など、合計金額を表示する際に役立ちます。

SUM関数の書き方
=SUM(合計したい範囲)

例えば、セルC5からC30までの数値を合計したい場合、次のように入力します。

「=SUM(C5:C30)」

エンターを押せば、セルC5からC30までの数値が合計されて下の行に表示されます。

VLOOKUP関数

VLOOKUPは、表を縦方向に検索し、指定した条件に関するデータを取り出す関数です。セル内項目ごとに識別するコードをつけておけば、コードを入力するだけで関連情報を自動で表示できます。

VLOOKUP関数の書き方
=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, 0)

例えば、E1からJ50にある一覧表を、C3に書いてある条件で検索し、見つかった行の左から3番目のセルの内容を表示する場合、次のように入力します。

=VLOOKUP(C3,E1:J50,3,0)

実行ボタンを入力すると、目的の内容が表示されます。

RANK関数

RANKは、指定した数値の順位が何番目なのかを表示する関数です。数値を並べ替えるだけなら並べ替え機能で実施できますが、データの順番を並べ替えずに順位だけ知りたい場合にはRANK関数を使います。

例えば、表の中で営業成績のトップや売上の高いものを知りたい場合に役立ちます。

RANK関数の書き方
=RANK(調べたい数値,順位を調べる範囲,順序)

最後の順序は降順(大きい数字が上位)と昇順(小さい数字が上位)のどちらで順位を表示するか決めるもので、「0」、あるいは何も入力しない場合は降順になり、「0」以外の数値を入力した場合は昇順になります。

例えば、B4に入力されている値が、B2からB50の範囲の中で、何番目に大きいかを降順で表示する場合、次のように入力します。

「=RANK(B4,B2:B50,0)」

実行により、求める順番が表示されます。

IF関数

IFとは、ある値と期待値を比較する関数です。設定した条件に基づき、値や表示を変更できます。

一例として、売上が目標の数値以上の場合は「目標達成」に、数値未満の場合は「未達成」と表示させることが可能です。

IF関数は「論理式」「真の場合の値」「偽の場合の値」という3つの要素で構成されます。「論理式」とは、条件のことです。「<」「>」「=」を使って指定します。

条件に合っているときは論理式が正しいという「真の場合の値」を表示し、異なれば論理式が間違っているという「偽の場合の値」を表示します。

例えば、「セルB1の中身が1,000という数値より大きいこと」を条件としたい場合は「B1>1000」と記述します。この設定により、B1が1,000より大きい場合は「真の場合に表示させたい値」が表示され、1,000より小さい場合は「偽の場合に表示させたい値」が表示されるということです。

IF関数の書き方
セルB1の売上が1,000より高かったら「Yes」、低かったら「No」と表示させる場合の書き方は、次のとおりです。

=IF(B1>1000,”Yes”,”No”)

実行により、それぞれの値ごとに「Yes」か「No」かが表示されます。

COUNTIF関数

COUNTIFは、指定した範囲内に条件に合うデータがいくつあるかを数える関数です。

例えば、進捗管理で状況が未完了のもの、売上が目標値を下回っているものなどを集計したいときに役立ちます。

COUNTIF関数の書き方
=COUNTIF(データの範囲, 検索条件)

例えば、C列に入力されている数値のうち、100未満のセルの個数を数える場合、次のように入力します。

「=COUNTIF(C:C,”<100″)」

実行ボタンを押すことで、計算結果が反映されます。

SUMIF/SUMIFS関数

一つまたは複数の条件を満たすセルの合計を計算します。特定の条件、例えば特定の部門や期間の支出のみを合計する場合に役立ちます。

SUMIFおよびSUMIFS関数は、特定の条件に基づいて範囲内の数値を合計する際に非常に便利です。経理の文脈での使用例をいくつか紹介します。

SUMIF関数の例

シナリオ
ある企業が複数の部門にわたって経費を記録しており、特定の部門(例えば「マーケティング」部門)の総経費を計算したい場合。
データ構成例
  • A列に部門名
  • B列にその部門の経費が記録されている。
=SUMIF(A:A, “マーケティング”, B:B)

この式は、A列で「マーケティング」と記載されているすべての行に対応するB列の値を合計します。

SUMIFS関数の例

シナリオ
上記と同様に経費を記録していますが、今回は「マーケティング」部門でかつ特定の月(例えば2023年3月)の経費のみを集計したい場合。
データ構成例
  • A列に部門名
  • B列に経費
  • C列に日付
=SUMIFS(B:B, A:A, “マーケティング”, C:C, “>=2023/03/01”, C:C, “<=2023/03/31”)

この式は、A列で「マーケティング」と記載され、かつC列の日付が2023年3月1日から2023年3月31日の範囲内である行におけるB列の値を合計します。

これらの関数によって、経理担当者は特定の条件にマッチする財務データを迅速に集計し、分析することができます。たとえば、部門別、期間別、プロジェクト別など、さまざまな基準で費用を監視し、管理することが可能です。

【応用編】経理で役立つエクセルの関数

CONCATENATE(CONCAT)関数、TEXTJOIN関数

CONCATENATE(またはExcelの新しいバージョンではCONCAT)、TEXTJOIN関数は、複数のテキストや数値を一つに結合する際に使用されます。経理の文脈でこれらの関数を使用する例を紹介します。

CONCATENATE関数またはCONCAT関数の例

シナリオ
仕入れ先のリストがあり、それぞれの仕入れ先に対して一意の識別コードを作成したい場合。
データ構成例
  • A列に仕入れ先名
  • B列に都市
  • C列にその仕入れ先が登録された年
  • (CONCATENATEを使用)=CONCATENATE(A2, “-“, B2, “-“, C2)
  • (CONCATを使用)=CONCAT(A2, “-“, B2, “-“, C2)

この式は、A列で「マーケティング」と記載されているすべての行に対応するB列の値を合計します。

SUMIFS関数の例

シナリオ
上記と同様に経費を記録していますが、今回は「マーケティング」部門でかつ特定の月(例えば2023年3月)の経費のみを集計したい場合。
データ構成例
  • A列に部門名
  • B列に経費
  • C列に日付
=SUMIFS(B:B, A:A, “マーケティング”, C:C, “>=2023/03/01”, C:C, “<=2023/03/31”)

この式は、例えばA2セルに「SupplierX」、B2セルに「Tokyo」、C2セルに「2023」という値がある場合、「SupplierX-Tokyo-2023」という一意の識別コードを生成します

TEXTJOIN関数の例

シナリオ
請求書に複数の品目が記載されており、それらを一つのセルに結合して一覧表示したい場合。
データ構成例
  • A列に品目名が複数行にわたってリストアップされている。
=TEXTJOIN(“, “, TRUE, A2:A10)

この式は、A2からA10までのセルにある品目名をカンマとスペースで区切りながら結合します。TRUEパラメータは空のセルを無視するよう指定します。

これらの関数は、特に報告書の作成やデータの整理、請求書の管理などにおいて、経理業務を効率化する上で役立ちます。データを要約し、情報を明確かつ簡潔に提示するために使用されます。

PMT関数

PMT関数は、定期的な支払いが発生する金融商品(例えばローンやリース)の支払額を計算するのに役立ちます。経理での具体的な使用例として、会社が設備投資のためのローンを組んだ場合の月々の返済額を計算するシナリオを考えてみましょう。

シナリオ
会社が5年間の期間で100万円の設備投資ローンを組み、年利率が3%である場合の月々の返済額を計算します。
データ構成例
  • ローン額(本体): 100万円(P=1,000,000円)
  • 年利率: 3%(年利率を月利率に換算するために12で割ります。r = 3% / 12 = 0.0025)
  • 返済期間: 5年間のローンを月払いで返済するため、総返済回数nは 5年 × 12ヶ月/年 = 60回

これらの値をPMT関数に入力して、月々の返済額を計算します。

=PMT(年利率/12, 返済期間*12, ローン額)

この場合、式は以下のようになります。

=PMT(0.03/12, 5*12, -1000000)

ここで、ローン額はマイナス値を入力します。これは、ローンの受け取りが現金流出(支出)であるためです。Excelでは現金流入を正の値、現金流出を負の値として扱う慣習があります。

この式をExcelに入力すると、月々の返済額が計算されます。これにより、会社は毎月の財務計画を立てる際に、この返済額を考慮に入れることができます。

XIRR関数

XIRR関数は、不定期のキャッシュフローに対する内部収益率(IRR)を計算するのに使用されます。これは、投資プロジェクトやビジネスベンチャーの収益性を評価する際に特に役立ちます。経理では、様々な時点で発生する収入と支出を考慮してプロジェクトの収益率を計算するためにXIRRを使うことができます。

シナリオ
会社が新しいプロジェクトに投資し、初期投資後に数年間で不定期に追加投資や収益が発生するとします。

初期投資は100万円、その後のキャッシュフロー(収入と支出)が不定期に発生します。このプロジェクトの内部収益率を計算して、投資の収益性を評価します。

データ構成例
  • 初期投資: -100万円(支出なので負の値)
  • 1年後: +30万円の収益
  • 1年半後: +20万円の収益
  • 2年後: -50万円の追加投資(支出なので負の値)
  • 2年半後: +60万円の収益
  • 3年後: +50万円の収益

これらのキャッシュフローと対応する日付を使用してXIRRを計算します。

=XIRR(キャッシュフローの値の範囲, 日付の範囲)

Excelでの具体的な値の入力は以下のようになります(キャッシュフローがB列に、対応する日付がA列に入力されていると仮定):

=XIRR(B1:B6, A1:A6)

ここで、A1:A6は日付の範囲、B1:B6はそれらの日付に対応するキャッシュフローの値です。XIRR関数はこれらの情報を用いてプロジェクトの内部収益率を計算し、その投資がどれだけ有益であるかを数値で示します。結果はパーセンテージで表示され、プロジェクトの収益性を判断する基準となります。

INDEXとMATCH関数

ある企業の経理部門が、多数の従業員の給与情報を管理しているとします。各従業員のIDが一覧で記載されており、それに対応する形で給与額が別の列に記録されています。特定の従業員の給与を検索するためにINDEXとMATCH関数を使用します。

シナリオ
会社が新しいプロジェクトに投資し、初期投資後に数年間で不定期に追加投資や収益が発生するとします。

初期投資は100万円、その後のキャッシュフロー(収入と支出)が不定期に発生します。このプロジェクトの内部収益率を計算して、投資の収益性を評価します。

データ構成例
  • A列に従業員ID
  • B列に対応する給与額
  • 特定の従業員ID(例: “E1234″)の給与額を見つけたい

これらのキャッシュフローと対応する日付を使用してXIRRを計算します。

MATCH関数の式
MATCH関数は、”E1234″がA列のどこにあるかを検索し、その位置(行番号)を返します。

=MATCH(“E1234”, A:A, 0)

この式は、A列で”E1234″という値を厳密一致で検索し、見つかった位置(行番号)を返します。

INDEX関数の式
INDEX関数は、特定の位置(行と列)のセルの値を返します。MATCH関数から得られた行番号を使用して、対応する給与額をB列から取得します。

=INDEX(B:B, MATCH(“E1234”, A:A, 0))

この式は、A列で”E1234″が見つかった行とB列の交点にある値、つまり”E1234″の従業員の給与額を返します。

このようにINDEXとMATCHを組み合わせることで、特定の従業員の給与額を効率的に検索し、表示することができます。この方法は、従業員だけでなく、商品ID、取引日、プロジェクトコードなど、さまざまな経理関連のデータを検索するのにも適用可能です。

経理でエクセルを使うメリット

経理業務でエクセルを使うことで、コストカットや、業務に合わせて独自のカスタマイズができるなどのメリットがあります。

ここでは、経理でエクセルを使うメリットを解説します。

初期費用やランニングコストを抑える

エクセル(Microsoft Office)は法人向けパソコンの多くにあらかじめインストールされており、別途ソフトウェアを導入する必要がありません。追加費用をかけずに始められる点がメリットです。

エクセルはインターネット上で入手できる無料のテンプレートの種類も多く、経理業務もスムーズに進みます。

複雑な初期設定も必要なく、導入後のランニングコストもほとんどかかりません。ビジネスでは広く普及しているツールのため、スキルを持つ人材は多く、特別な教育をする手間がないというメリットもあります。

業務に合わせてカスタマイズできる

エクセルはシートのレイアウトや項目の変更が簡単にでき、業務に合わせてカスタマイズできる点がメリットです。関数と数式の組み合わせやマクロの使用などで、複雑な業務にも対応できます。

業界や企業によって、取引内容や支払い方法は異なります。エクセルを独自のツールに作り込むことで作業しやすくなり、経理業務の効率化が図れるでしょう。

エクセルを経理業務に使うデメリットとは?

エクセルはパソコンに最初からインストールされていることが多く、費用をかけずに使用することが可能です。
また、エクセルはサブスクリプション型のMicrosoft 365を購入する方法もありますので、必要な時期だけエクセルを利用する方法も選択できます。さらに、無料でオンライン版のOfficeを提供しています。オンライン版のOfficeを利用するには、Microsoftアカウントの登録とインターネット環境が必要です。

そんな便利なエクセルですが、会計書類等を作った場合に生じる問題点を挙げておきます。

表やフォーマットを作る手間がかかる

エクセルで会計書類等を作るためには、フォーマット作成から始めなければなりません。
会計帳簿には主要簿(総勘定元帳仕訳帳)のほか補助簿(現金出納帳、補助元帳、預金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳)があり、これらのフォーマットを一から作る必要があります。
何もない状態からの作表は、エクセルに不慣れな担当者にとっては意外に手間も時間もかかります。

関数やマクロなど難易度が高い

エクセルによる会計書類等の作成では、関数などを使っていたり、各帳簿間でのデータ参照を行ったりすることがあります。
難易度の高い関数の利用やマクロによる省力化には、エクセルについての深い知識・習得度が求められます。さらに簿記会計のしくみについても充分な理解が求められます。
総勘定元帳、固定資産台帳といった帳票などは、他の帳票との連携などを含め難易度の高い帳票といえるでしょう。

制度の改正やルールの変更に対応しにくい

自分でエクセルを使って会計書類等を作成した場合、制度の改正や会計ルールの変更などがあったときには自分で設定をし直さなければなりません。
例えば、減価償却方法の変更をした場合などは個々の固定資産について検証しなければなりません。
手間がかかるのはもちろん、場合によっては簡単に修正ができない場合もあります。特に、マクロの変更については、担当者が変わると仕様を変更したいと思った場合の編集難易度が上がります。

関数など帳簿フォーマットの設定を間違えると取り返しの付かないことも

エクセルで会計書類等を作るときには、セルの参照やマクロ機能などを使い、入力したデータを転記したり、自動で計算したりする利用が可能です。
しかし、このような機能は便利な反面、間違えてしまうと取り返しの付かないことになるリスクがあります。
間違いの修正に時間がかかったり、場合によっては設定が狂ってしまい元に戻せなくなったりします。さらに、そのファイルにアクセスできる誰でも編集できるようになっていると常に更新によるリスクを伴います。
確認ややり直しに多くの労力を要する恐れがあるため、十分な注意が必要です。

共有の際にも問題が起こりがち

エクセルのファイル共有とは、複数人が同時に同じファイルを開いて、データを更新することができる機能です。
通常の場合、他の人が編集中は「読み取り専用」でファイルを開き、別名で保存することとなりますが、ファイルの共有機能を利用すれば複数人が同じファイルを同時に開いて共同編集することが可能になり、作業効率が向上します。

しかし、エクセルファイルには共有することで起こる問題もあることに注意しなければなりません。
一人のユーザが編集を始めてから保存するまでに、「同じ箇所」が他のユーザに変更されてしまっていたら「競合の解決(どちらのユーザの変更を優先のか選択するウィンドウが表示される)」が発生しますので、内容を確認して選択します。
編集対象が複数人で競合した場合は、互いに連絡して優先する人を決めなければなりません。

また、使用しているエクセルのバージョンの違いにより機能が使えなかったり、ファイルが開かなくなったりすることも考えられます。

会計ソフトを使うメリット

「会計帳簿」を考えれば、その作成にはエクセルよりも会計ソフトを利用するほうが、効率的で便利です。会計ソフトのメリットとしては次のものがあります。

表やフォーマット作成、関数を組む必要がない

会計ソフトにはすでに各帳簿のフォーマットが準備されおり、自分で各種の会計帳簿を作成する必要はありません。
また、あらかじめ合計行や割合など計算式を埋め込んでおく必要もありません。

専用ソフトだから使いやすい

会計ソフトは、基本的に仕訳を入力すれば自動的に帳簿に転記されるしくみになっています。
会計ソフトを導入して初期設定するだけで、仕訳業務や固定資産の登録から、ソフトによっては自動仕訳などの機能があり、会計業務を大幅に効率化することができます。
また、最近の会計ソフトはユーザーインターフェース(見た目や操作性)にすぐれ、使いやすくなっています。

制度等の改正にもスピーディーに対応できる

制度改正や会計ルールの変更があった場合、エクセル帳簿なら自分で修正しなければなりません。
しかし会計ソフトを使っていれば、原則としてソフト会社が変更に対応してくれます。
会計ソフトにはクラウド型とインストール型の2種類があり、インターネットで接続されているクラウド型は必要なアップデートも随時行われます。
インストール型でも多くのソフト会社は制度改正等に対応するためのアフターサービスを利用(有償のことが多い)することで、必要なアップデートが自動で行われるためシステムを管理する手間が削減できます。

自分でこまめにバックアップをとらなくてもいい(クラウド型)

エクセルでは、データ損失を避けるために通常は10分間隔で自動的に保存されますが、自動的に修復されないこともあり、時には自動保存ファイルを探して手動で復元する必要があります。
その点、クラウド型会計ソフトの場合、ソフトウェアのプログラムも入力した会計データもクラウド上のサーバーに格納されるため、バックアップの必要はありません。
クラウド型の場合には、多くの場合、データサーバーを数カ所に分散してバックアップを取っているので万一1ヵ所のサーバーが使用できないトラブルが起こった場合でも安心です。
また、クラウド型はパソコンを入れ替えるときの手間もなく、万が一、会社のパソコンが故障してもデータを失う心配がありません。

計算ミスやエラーを防げる

会計ソフトは原則としてメーカーの検証作業に耐えたプログラムを装備しているため、エクセルと違って関数やマクロの設定ミスの心配がありません。
機能によっては、例えば仕訳で明らかに貸借を間違えたような場合にも確認を求める警告が出ることがあり、入力ミスが防げます。
日常的なエラーの減少により、スムーズに決算業務に取りかかれるようになります。

会計ソフトとエクセルを併用する使い方もおすすめ

会計ソフトの中には、エクセルのデータをインポート(取り込み)できるものもあります。エクセルデータのインポートができれば、エクセルとの併用も簡単です。

現金出納帳など一部の帳簿を慣れたエクセルで作成する

多くのクラウド型会計ソフトには金融機関やECサイトのデータは自動で取り込む機能が備わっていますが、現金の入出金は手入力で仕訳しなければなりません。
そのため現金出納帳はエクセルで作成し、インポート機能を利用して会計ソフトに取り込むといった使い方もおすすめです。

エクセルはたくさんの人が使い慣れているソフトです。エクセルで現金出納帳等を作成して会計ソフトに取り込むことで、エクセルと会計ソフトの両方の長所を活用することができます。
また、会計ソフトではエクセルのテンプレートがあらかじめ用意されているものもあるので、活用するとよいでしょう。

複数拠点の管理にもおすすめ

複数拠点があり、各拠点からの会計ソフトへのアクセスを許していないケースで、各拠点での入出金の閲覧が必要な場合にも、エクセルデータを本部に渡し、本部でデータインポートをする方法なら問題なく会計業務を進めることができます。

エクセルで各拠点別に現金出納帳等を作成すれば、現金残高の管理に利用できます。

データインポートを特定の期間、特定の部門、特定の勘定科目等、自社内のルールで決めて運用すれば一か月ごと、部門ごと、特定の勘定科目ごとの仕訳結果を閲覧することができます。
会計ソフトには残高試算表や補助元帳なども部門別にダウンロードが可能なものも多いため、現場の必要に合わせて臨機応変にエクセルで資料を連携することができます。

会計ソフトを選ぶポイントは?

会計業務にはエクセルだけを使うよりも会計ソフトを使った方が効率的ということがおわかりいただけたと思います。会計ソフトはいろいろな種類がありますが、以下ではどんな会計ソフトを選んだらよいのかを説明します。

クラウド型会計ソフトなら経理以外でも、どこでも作業可能

クラウド型会計ソフトとは、パソコンにインストールするのではなく、インターネットのサーバーを利用して提供される会計ソフトです。
パッケージを購入する必要がないため導入費用は抑えられますが、利用するには月単位や年単位でランニングコストがかかります。
クラウド型のメリットの1つに、インターネットに接続できるところなら、どこでも作業できるという点があります。
サイトにアクセスしてIDとパスワードを入力すれば使えるので、自宅でも会社でも場所を選ばず入力や閲覧ができます。複数人でも作業しやすく、税理士との共有も可能です。

銀行口座等と連携できれば入力の手間を削減できる

インターネットを利用するクラウド型会計ソフトでは、ネットバンキングと連携して取引明細を取り込み、自動で仕訳する機能が利用できます。
銀行口座と連携できれば、預金通帳を見ながら1つ1つ入力していく手間がかからないので、大幅に手間を削減できます。ただし、自動仕訳のチェックは必ずしておきましょう。

クラウド型会計ソフトの中には、銀行口座だけでなく、クレジットカード、電子マネー、通販など様々なサービスと連携可能なものもあるので、自社に必要な部分を自動化することで業務効率化に大きく役立ちます。

会計ソフトの入出力機能とエクセルのフル活用が便利

エクセルと会計ソフトを併用して会計業務を行う際には、エクセルやCSVデータなどによるインポートやエクスポート機能が便利です。
クラウド型会計ソフトの多くは、データ入出力機能であるインポート機能やエクスポート機能が充実しています。

会計ソフトにおけるインポート機能とは、会計ソフトに仕訳を手作業で入力するのではなく、他で作成したデータファイルを会計ソフトに読み込むことをいいます。
仕訳データだけでなく、勘定科目や補助科目、開始残高などを読み込むことができるものもあります。通常の入力は手作業で行っていてもある処理だけはインポート機能を使って入力するという使い方ができます。

また、エクスポート機能とは会計ソフトで作成したデータについて、エクセルをはじめ他のソフトで利用するために出力することです。
エクスポート機能を使って、会議資料に添付する管理会計の表を作成したり、プレゼンに使う経営資料を過去分から出力したりと、利用の幅が広がります。

例えば会計ソフトをデータベースと考えた場合、欲しいデータをエクスポート機能により出力して利用することで、会計ソフトの機能を補い、会社にあった資料が作成できます。
クラウド型会計ソフトの入出力機能とエクセルの合わせ技でよりフレキシブルな管理会計が実現できるという訳です。

マネーフォワード クラウド会計とエクセルの併用利用で業務を効率化

会計ソフトの中には、エクセル入力用のテンプレートが用意されているものもあります。
以下ではマネーフォワード クラウド会計を例にエクセルデータ取り込みの例を紹介します。
どのようなフォーマットでインポートしたらいいのか悩む必要はありません。

主な手順は以下の通りです。

※画像は執筆時点のイメージであり、最新の画面と異なる場合がございます。最新の情報は「サポートサイト」でご確認ください。

参考:マネーフォワード クラウド会計使い方ガイド「現金出納帳」をインポートする

1)テンプレートのダウンロード

マネーフォワード クラウド会計を開き、「自動で仕訳>連携サービスから入力>インポート」からテンプレートをダウンロードします。

テンプレートのダウンロード

2)データの入力

マネーフォワード クラウド会計 エクセルによるテンプレート例
テンプレートは出納帳形式で入力が可能です。科目や部門などを指定しデータを入力します。
会計担当者には入力方法のわかりやすい明細となります。

データの入力

3)インポートして完了

保存したエクセルデータを選択し、インポートボタンを押すと仕訳登録が完了します。
一旦とりこんだ仕訳が正しい場合は保存しますが、チェックをはずすと仕訳登録されないため、
確かな仕訳のみを登録できます。

インポートして完了
インポートして完了

経理業務はエクセルテンプレートや会計ソフトでラクに

会計業務をエクセルだけに頼るのは非効率的な上に、リスクもあります。
会計ソフトとともに使えば、エクセルで生じるデメリットを解消し、会計業務をスムーズに行うことができます。
日々の帳簿入力の手間を減らせれば、会計業務に充てていた時間をメイン業務に充てることも可能になります。この機会に一度、会計ソフトを見直して、業務効率化を図ってみてはいかがでしょうか。

よくある質問

経理業務に使えるエクセル・テンプレートの使い方・記入方法は?

「1. 勘定科目の設定」「2. 前期と当期の数値を入力」「3. 必要部分だけを残す」の3ステップで完了します。 テンプレートのダウンロードはこちらから行えます。

会計ソフトとエクセルを併用する使い方とは?

現金出納帳はエクセルで作成し、インポート機能を利用して会計ソフトに取り込む方法で、複数拠点の管理などにおすすめです。詳しくはこちらをご覧ください。

マネーフォワード クラウド会計とエクセルを併用する方法は?

「1. テンプレートのダウンロード」「2. データの入力」「3. インポート」の3ステップで完了します。詳しくはこちらをご覧ください。


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