仮払消費税の計上とは?仕訳方法を理解しよう

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「消費税の仕訳はどうしたらいいの?」
「軽減税率でなにか変わった?」
この記事では、消費税に関するこんな疑問に対して詳しく解説していきます。

「軽減税率で変わること」を先に言うと、仕訳自体は今まで通りで何も変わりません。
しかし、消費税の確定申告の際に標準税率10%と軽減税率8%をそれぞれ集計できるような税率を区別した経理を行う必要があります。

それでは、消費税(消費税及び地方消費税のこと。以下同様)の仕訳を詳しく解説していきます。

仮払消費税はどのような場合に計上する?

仮払消費税は、会計方針として「税抜処理方式」を採用している場合に使う勘定科目です。
仕入や経費などを支払ったときに、消費税部分を仮払消費税として計上します。

反対に、「税込処理方式」を採用している場合は、仮払消費税という勘定科目は使わずに税込金額で仕訳を行っていきます。

税抜処理方式と税込処理方式

まず、税抜処理方式とは、本体価格と消費税を分けて計上する方式です。

【税抜処理方式のポイント】

消費税を支払ったとき消費税部分を仮払消費税として計上する
消費税を預かったとき消費税部分を仮受消費税として計上する
決算のとき仮払消費税と仮受消費税を相殺し、納付額を未払消費税にする(注1)
納付額と未払消費税の差額貸方で調整する場合は「雑収入」などの勘定科目を使う
借方で調整する場合は「租税公課」または「雑損失」などの勘定科目を使う
注1:還付の場合は「未払消費税」ではなく「未収消費税」になります。

次に税込処理方式とは、本体価格と消費税とを区別せずに総額で計上する方式です。

【税込処理方式のポイント】

消費税を支払ったとき消費税を取引金額に含めて仕訳を行う
消費税を預かったとき消費税を取引金額に含めて仕訳を行う
決算のとき納付額を「租税公課」勘定科目または「雑損失」勘定科目として、未払消費税を計上する (注1)(注2)(注3)
納付額と未払消費税の差額差額が生じないため何もしない
注1:還付の場合は「未払消費税」ではなく「未収消費税」になります。
注2:還付の場合は「租税公課」または「雑損失」ではなく「雑収入」などの勘定科目になります。
注3:税込経理の場合、原則は確定申告書を提出した日の属する年又は事業年度に計上します。ただし、未払計上すればその未払計上した年又は事業年度に計上できます。

さいごに、税抜処理方式と税込処理方式はどちらを採用するかは任意です。
それぞれの特徴は以下の通りです。

税抜処理方式税込処理方式
メリット消費税が損益に影響しない
消費税の集計が簡単
経理が簡単
デメリット経理に手間がかかる消費税が損益に影響する
消費税の集計に手間がかかる
どんな事業者が採用するか?消費税の確定申告を一般課税で行う事業者・消費税の確定申告を簡易課税で行う事業者
・免税事業者

上記の表より、正確な損益を把握するという意味で税抜処理方式は税込処理方式よりも優れている方式です。特に課税事業者の方で正確な経理を行いたい場合や、輸出取引で消費税の還付がある場合は税抜処理方式を採用すると無難です。

一方で、税込処理方式は免税事業者の方は採用することになります。
確定申告を簡易課税で行う事業主の方で、会計ソフト等を使っていない場合は、売上や雑収入などに係る消費税の金額を仕訳以外の方法(備考欄や別で計算しておく方法など)で集計できれば税込処理方式でも問題ありません。

非課税取引や不課税取引について

取引の中には消費税が課税されない「非課税取引」や「不課税取引」があります。
これらの取引は消費税の収支がないため、仮払消費税や仮受消費税の計上がありません。

まず、非課税取引とは消費税の対象にはなるものの、「消費」という性質になじまないものや社会政策的配慮から消費税が課税されない取引のこといいます。
非課税取引には、主に次のようなものがあります。

主な非課税取引の例非該当事項
1土地の譲渡及び貸付け1か月未満の土地の貸付け及び駐車場などの施設の利用に伴って土地が使用される場合は、課税される
2有価証券等の譲渡株式・出資・預託の形態によるゴルフ会員権などの譲渡は課税される
3支払手段の譲渡収集品として譲渡する場合は課税される
4預貯金の利子
保険料を対価とする役務の提供等
5日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡
印紙の売渡し場所における印紙の譲渡
地方公共団体などが行う証紙の譲渡
6商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
7国等が行う一定の事務に係る役務の提供
8外国為替業務に係る役務の提供
9社会保険医療の給付等美容整形や差額ベッドの料金及び市販されている医薬品を購入した場合は課税される
10介護保険サービスの提供サービス利用者の選択による特別な居室の提供や送迎などの対価は課税される
11社会福祉事業等によるサービスの提供
12医師、助産師などによる助産に関するサービスの提供
13火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
14一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け
15一定の要件を満たす学校の授業料、入学金等
16教科用図書の譲渡
17住宅の貸付け1か月未満の貸付けなどは課税される

(出典:国税庁 非課税となる取引

次に、不課税取引とは、そもそも消費税の対象にならないため消費税が課税されない取引のこといいます。
不課税取引には、主に次のようなものがあります。

主な不課税取引の例
1給与・賃金
2寄附金、祝金、見舞金、補助金等
3無償による試供品や見本品の提供
4保険金や共済金
5株式の配当金やその他の出資分配金
6資産の廃棄、盗難、滅失
7身又は資産について加えられた損害の発生に伴い受ける損害賠償金
(ただし、対価性がないものに限る)

(出典:国税庁 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例

仮払消費税の仕訳方法

消費税の会計方針として、税抜処理方式を採用した具体例を解説していきます。

仕入時の仮払消費税の計上

仕訳を計上する前に、以下の取引を行ったものとします。

消費税10%の商品を税込価格33,000円(うち消費税3,000円)で購入し、代金を現金で支払った。

上記の取引に対する仕訳は以下の通りです。消費税部分を仮払消費税として計上します。
【仕入の仕訳】

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
仕入30,000円現金33,000万円
仮払消費税3,000円

売上時の仮受消費税の計上

仕訳を計上する前に、以下の取引を行ったものとします。

消費税10%の商品を税込価格44,000円(うち消費税4,000円)で販売し、代金を現金で受け取った。

上記の取引に対する仕訳は以下の通りです。消費税部分を仮受消費税として計上します。

【売上の仕訳】

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
現金44,000円売上40,000円
仮受消費税4,000円

納付税額の算出と差額の処理

まず、上記の仕入・売上の消費税をもとに消費税の納付額を計算します。

【消費税の納付額の計算例】

【前提】
計算の便宜上、消費税の納税義務があるものとしています。
消費税の計算は本則課税(一般課税)で行っています。
消費税率10%(内訳:消費税7.8% 地方消費税2.2%)
税抜の売上高40,000円
税抜の仕入高30,000円

【消費税の計算】
・売上に対する消費税の計算
税抜の売上高40,000円 × 7.8% = 3,120円
 売上に対する消費税3,120円

・仕入に対する消費税の計算
税抜の仕入高30,000円 × 7.8% = 2,340円
 仕入に対する消費税2,340円

・消費税の納付額の計算
売上に対する消費税3,120円 - 仕入に対する消費税2,340円 = 780円
 消費税の納付額700円(780円を100円未満切捨の端数処理)

【地方消費税の計算】
・地方消費税の納付額の計算
消費税の納付額700円 × 22/78 =194.4円
 地方消費税の納付額100円(197.4円を100円未満切捨の端数処理)

【消費税等の納付額合計】
消費税の納付額700円 + 地方消費税の納付額100円 = 800円
 消費税等の納付額合計800円

注:実際の確定申告と結果が異なることがあります。

次に仮払消費税と仮受消費税を相殺します。
仕訳は以下の通りです。

【未払消費税の計上仕訳】

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
仮受消費税4,000円仮払消費税3,000円
未払消費税800円(注1)
雑収入200円(注2)

注1:消費税等の納付額合計800円
注2:仮受消費税4,000円 – 仮払消費税3,000円 – 消費税等の納付額合計800円 = 雑収入200円として計算します。

消費税を実際に納付した場合は以下の仕訳を行います。

【消費税を納付したときの仕訳】

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
未払消費税800円現金800円

まとめ

この記事の具体例では消費税率10%を使用しましたが、軽減税率8%の商品を扱う場合は、消費税率10%と区別した仕訳を行うことに注意が必要です。

仕訳がわからなくなった場合は、勘定科目や金額を1つ1つ確認していきましょう。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。



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