【タカタ リコールに学ぶ】回収・無償修理した際の会計処理方法

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トヨタ リコール

トヨタ、ホンダを始めとする日欧企業が、タカタ社製のエアバッグに関して「不具合を起こす可能性がある」との理由によりリコールを発表しました。

本来リコールとは自主的に製品の回収や修理を行うものですが、実際はそこに金銭的な負担が加わります。この場合、会計処理は一体どの様に行われるのでしょうか。今回は、製造業を営む企業にとって離れることができない「リコール」の問題について、会計の面から考えてみましょう。

リコールとは何か

まずは「リコール」とは何かという点について明確にしていきましょう。リコールとは設計・製造上の過失により、販売された製品に重大な欠陥が見つかった場合、消費者に重大な損害を及ぼす危険があると判断された際に、行う必要がある措置のことを指します。

リコールは大きく分けて二種類に分類されます。一つ目は「製造者・販売者の独自の判断により、無償修理、交換、返金措置を行うもの (基本的に自主回収に基づくもの)」、二つ目は「法令に基づき実施が強制的に指示されるもの」に分類されます。

法令に基づくものとしては、消費生活用製品安全法、道路運送車両法、薬事法、食品衛生法等の法令に従って各省の大臣が発令します。

商品によってリコールは3種類に区別される

国が定めるリコールは法令に則ったものであり、その対象となる法令によって届け出先と措置を発令する省が異なります。

例えば、道路運送車両法に違反した自動車、原動機付自転車におけるリコールの場合、メーカーや輸入業者は国土交通省へその旨を届け出る必要があります。

一方、消費生活用製品安全法とは、消費生活用製品による一般消費者の安全を守るために制定された法律で、経済産業省が管轄しています。
この法令に触れるリコール問題が発生した場合、経済産業省に届け出る必要があります。また、食品衛生法は、日本において飲食によって発生する危害を防止するための法律であり、厚生労働省が管轄しています。この法令に触れるリコール問題が発生した場合には、厚生労働省に届け出る必要があります。

場合別リコールの会計処理

場合別リコールの会計処理

リコールが発生した際の会計処理について、具体例を交えながら考えてみましょう。

リコール対象の回収にかかる費用

自社商品にリコールが発生した場合、様々な費用が発生します。これらはリコールという臨時的な事象により発生する費用と考えられ、「営業外費用」や「特別損失」として処理することができます。この場合、かかった費用は税法上の「損金」に算入できます。

今回の件ではリコールは「製品保証引当金」を取り崩して対応するようです。「製品保証引当金」とは、製品販売後の無償保証契約などによって発生する回収・修理費用に対する引当金のことです。

将来のリコールを見越して、引当金を計上しておくことは、リスク回避の観点からみれば有効な手段といえます。ただし、製品保証引当金は、会計上で費用として計上できるが、税務上の損金として取扱うことはできない。

リコールの保証にかかる費用

リコールが発生した際に生じる費用としては、以下のものが挙げられます。

・欠陥製品の交換、修理、回収費用
・告知費用
・通信、事務費用
・下請業者、臨時雇いの雇入れ費用
・輸送、梱包費用
・倉庫、保管費用
・廃棄費用

なお、直接的な金銭面だけでなく、業界におけるシェアの低下や社会的信用の失墜など、直接的に費用に含まれないものも大きな損失として考えられます。

フランチャイズ店舗の経営者がリコールの費用を本社から補填してもらった場合

フランチャイズ店舗は補填された金額を「雑収入」として計上します。
一方、本部がリコールに際し要した費用は営業外費用や特別損失として計上されます。

リコールの補償費の支払いが期をまたいだ場合

リコールに掛かる費用は長い期間を経て最終的な金額が算出されるケースが多く、期をまたぐことも珍しくありません。リコールの費用は基本的に「損金」として計上されますが、パターンとしては以下のいずれかに該当します。

(1) 当期に支払金額が確定した費用全額を支払った場合は当期の損金となる
(2) 支払金額が確定し、未払いで計上した額は当期の損金として計上する
(3) 製品保証引当金がある場合には費用として計上することができるが損金とならない。

海外でリコールが発生した場合(米国を例に)

例えば米国でリコールが発生した場合、日本の国土交通局に相当する米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)への報告義務があります。

その後は米国の管理省の指示に従って製品の回収等を行います。ここで発生する費用等は日本と同じく「営業外費用」や「特別損失」として「損金計上」の処理を行います。その場合、会計処理上の手続きは、日本での場合と大差ありません。

まとめ

米国で発生したリコール問題は、製造業を営む企業にとっては避けることのできない問題です。

基本的にリコールは自主回収で行うものと政府の指示に従って強制されるものに分かれます。

リコールの際の会計処理は、基本的に「営業外費用」や「特別損失」として「損金計上」する方法が一般的です。他国の場合であっても、基本的な処理方法に大きな違いはありません。唯一、リコールに伴う届け出先が異なるため、この点は注意が必要となります。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:緒方 康人 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
創業は70年を超え、税務・会計はもちろんのこと経営コンサルティングや法務、労務、ITにいたるまで、多岐にわたる事業を展開し今では4500件を超えるお客様と関与させて頂いております。
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