繰越欠損金とは何か?から法改正までを解説

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繰越欠損金という言葉だけは知っているけれど、実はどのようなものかわからないという方も多いと思います。今回は、青色申告の承認を受けている法人も、これから青色申告の承認を受ける法人も、最低限確認しておくべき基礎知識を法改正まで含めて解説します。

繰越欠損金に関する基礎知識

そもそも繰越欠損金とは何か

欠損金とは、法人税を計算する際の所得計算において、所得が赤字である場合のその金額のことをいいます。
法人税法においては、青色申告の承認を受けている場合には、一定期間、その欠損金を将来に繰り越して、将来の一定期間の間に発生した所得(黒字)と相殺することを認めています。この法人税法の規定に基づき、繰越している過去の欠損金のことを繰越欠損金と言います。

繰越欠損金を利用するメリット

欠損金を将来に繰越すメリットは、将来の所得(黒字)と欠損金を相殺し、将来の納めるべき法人税を少なくすることができる点です。以下の表では、条件を非常に簡略化して、繰越欠損金を利用した際の法人税への影響額を示しています。

【繰越欠損金の利用がない場合(表の左側)】
繰越欠損金の利用がない場合は、2年目の黒字150に対して1年目の赤字が考慮されず、所得150に対して課税されることになります。このため、実効税率30%と仮定した場合、45の法人税を納めなくてはなりません。

【繰越欠損金を利用する場合(表の右側)】
繰越欠損金を利用する場合は、初年度に発生した50の赤字を翌年度以降に繰越すことができます。このため、2年目の黒字150から、1年目の赤字50を差し引いた所得100に対して課税されることになります。実効税率を30%と仮定すると、30の法人税を納めることになります。

つまり、繰越欠損金を利用することで、上記の例のように、繰越した将来年度の法人税を抑えることができるのです。

繰越欠損金を利用するために

繰越欠損金制度は、事業年度単位(基本的には1年)で課税を行うことで生じる税負担の変動を平準化するための制度ですが、青色申告の法人だけに認められた特典でもあります。繰越欠損金を利用するためには、青色申告の承認申請書を税務署へ申請する必要があります。青色申告については、基本的に申請すればどの法人も承認されるので、事業を開始したら忘れずに承認の申請を行いましょう。

繰越欠損金の利用要件

繰越欠損金を利用するためには、青色申告であることに加え、その他の要件を充たすことが必要となります。以下は一般的な要件になります(平成29年11月時点)。

1.9年以内に開始した事業年度の欠損金であること(平成30年4月1日以後開始の事業年度からは繰越し期間が10年となっています)
2.青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額であること
3.欠損金額が発生した年度後も連続して確定申告書を提出していること
4.帳簿書類等を適切に保存していること
また、繰越欠損金は最も古い事業年度のものから順次損金に算入していき

繰越欠損金を抱える会社を買い取って、合併すると節税できる?

繰越欠損金の制度の話をすると、「繰越欠損金がある会社を買い取って、合併することで法人税負担を減らせるの?」という質問をよく受けます。
法人税法が定める要件を充たす場合には、繰越欠損金を利用できることもありますが、繰越欠損金目的のM&A等により不当に税負担を減らすことないように、法人税法に厳しい規定が設けられているので注意しましょう。
例えば以下のような要件になりますが、とても内容が複雑ですので、もし繰越欠損金の利用を検討している場合には、事前にお近くの会計事務所に相談しましょう。

  • 合併される法人の従業員のうち、80%以上が合併する法人の業務に従事すること
  • 合併される法人の主たる事業が、合併する法人でも引き続き継続されること
  • 合併される法人の事業と合併する法人の事業が、相互に関連していること
  • 合併される事業と合併する事業を比較した場合、売上、従業員数、資本金額などの規模が5倍を超えないこと、又は合併後の会社の役員に合併される会社の役員が就任すること
  • 合併される法人の株主で、合併後の法人の株式の全部を継続保有する合併される法人株式数の合計が、合併される法人の発行済株式等の総数の80%以上であること

繰越欠損金の法改正について

平成28年度の税制改正では、平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額からは10年間の繰越しが認められるようになりました。
繰越欠損金の制度は、頻繁に税法の改正が行われている部分であるため、非常に複雑な制度となっています。特に、欠損金がいつの年度に発生したものかによって、繰越せる期間が異なってきますので注意しておきましょう。

まとめ

仮に単年度で赤字が出たとしても、翌年度以降に繰越すことによって将来の法人税負担を軽減することは、企業が安定して存続するために必要な制度となります。特に不測の状況により、多額の赤字となったような場合には、将来の税金を抑えることができる非常に重要な制度となりますので、まずは青色申告の承認申請を行い、適切に帳簿を付けていく習慣を付けましょう。

監修:山邊 泰匡 (公認会計士)

株式会社ナレッジラボ 取締役
ナレッジラボでは、MFクラウドシリーズを使いこなした会計サービスを提供しています。
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