- 更新日 : 2024年8月8日
清掃費の仕訳に使える勘定科目まとめ
清掃費は「修繕費」「外注費」「衛生管理費」「消耗品費」などの勘定科目を使って仕訳が可能です。それぞれの勘定科目をどう使い分けるのかについて、具体的な例から解説します。また、各勘定科目で仕訳した例や、勘定科目を選ぶ際に注意する点も解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
清掃費を仕訳する場合の勘定科目
清掃費に用いることが可能な勘定科目は多数あります。清掃に関する費用が少額、かつあまり頻繁に発生しないときは「雑費」などの勘定科目を使うことが一般的です。
また、清掃道具として10万円未満の掃除機などを購入したときは、「消耗品費」が使えるでしょう。清掃業者に清掃作業を外注したときは「外注費」や「修繕費」などの勘定科目が使えます。清掃することで事務所などの資産を維持することにも繋がるため「資産維持費」などの勘定科目も使うことが可能です。
清掃することで健康増進や環境保全に繋がる場合には、「衛生費」の勘定科目を使えます。また、美容院や飲食店などの頻繁に清掃が必要な業種であれば、清掃費用を「衛生管理費」の勘定科目を使って仕訳ができるでしょう。
清掃費を修繕費で仕訳する
清掃費に用いることができる勘定科目について見ていきましょう。まずは「修繕費」です。清掃作業を外部業者に委託しているときは、「修繕費」の勘定科目を使って清掃費の仕訳ができます。
A清掃業者に事務所の清掃を依頼し、12万円かかったときの仕訳は以下のとおりです。
清掃を依頼し、清掃費をクレジットカードで支払ったときは、2回に分けて仕訳をしましょう。1回目は清掃費を支払ったときです。借方を「修繕費」、貸方を「未払金」で仕訳をします。
2回目は口座からクレジットカード利用料金として引き落とされたときです。借方を「未払金」、貸方を「普通預金」として仕訳をし、摘要欄にクレジットカードの引き落としであることがわかるように記載しておきましょう。
クレジットカード払い | ||||
清掃費を外注費で仕訳する
次は清掃費を「外注費」で仕訳をする場合について見ていきましょう。清掃作業を清掃業者に依頼し清掃費として支払ったときは、「外注費」の勘定科目を使って仕訳ができます。
また、清掃作業を清掃業者に依頼したときは、「支払手数料」などを使って仕訳も可能です。「外注費」と「支払手数料」のいずれを用いても問題はありませんが、次回清掃業者に依頼して清掃費を支払ったときも、同じ勘定科目を用いて仕訳をするようにしましょう。同じ支出に対して同じ勘定科目を使うことで、帳簿が整理され見やすくなります。
清掃費を衛生管理費で仕訳する
毎月ある程度の金額を清掃関連に使うときは、「衛生管理費」という勘定科目を使って、清掃費を1つにまとめられます。例えば、清潔さが求められる飲食店や美容院などの業種であれば、清掃関連の支出が多いと想定されます。
また、来客が多く、清潔に保つことが大切な事業所も清掃関連の支出が多くなりがちです。殺虫剤や清掃用品を購入したときにかかった費用、清掃業者に委託して支払った費用などもまとめて「衛生管理費」の勘定科目で仕訳をしましょう。
清掃業者に依頼して12万円の清掃費用がかかり、現金で支払ったときは、以下のように仕訳ができます。
清掃費を消耗品費で仕訳する
清掃費を「消耗品費」で仕訳をすることも可能です。例えば、清掃道具として10万円未満の掃除機などを購入したときは、「消耗品費」の勘定科目が使えます。
7万円の掃除機を購入して現金で支払い、「消耗品費」の勘定科目で仕訳をした場合は以下のとおりです。
青色申告かつ従業員数500人以下、資本金1億円以下などの条件を条件を満たす場合は、30万円未満の支出に対して一括償却することが可能です。購入時と決算時の2回に分けて仕訳をしましょう。
例えば、12万円の掃除機を購入したときは、まずは以下のように仕訳をします。
購入時の仕訳
次に決算期に一度のみ以下のように借方を「減価償却費」、貸方を「工具器具備品」として仕訳をします。
決算時の仕訳
30万円未満の資産を一括できる特例を「少額減価償却資産の特例」と呼びます。ただし、少額減価償却資産の特例は、年間300万円までしか利用できないという点に注意が必要です。
30万円未満の少額資産を複数購入し、総額が300万円超えるときには、超えた分に相当する支出に対して適切な勘定科目を選び、それぞれの償却年数に従って償却しましょう。
清掃費を雑費で仕訳する
清掃費のうち、比較的金額が小さいものに関しては「雑費」の勘定科目が適当です。例えば、ゴミ袋や清掃用品などに関しては、金額が少ないので「雑費」の勘定科目を使えるでしょう。ただし、「雑費」は何度も繰り返して発生する支出に対しては、適した勘定科目とはいえません。
金額は少なくとも何度も清掃関連の費用がかかるときは、「衛生管理費」としてまとめられます。飲食店や美容院、クリニックなどの清掃関連の支出が多い業種などは、「雑費」の勘定科目ではなく「衛生管理費」を使って仕訳をするほうが、帳簿が見やすくなるでしょう。
清掃関連の支出があまり多くはない事業所で、ゴミ袋を購入したときは、以下のように仕訳ができます。
清掃費は金額や目的、頻度などで勘定科目を使い分けよう
清掃費に使える勘定科目は少なくありません。しかし、勘定科目を適当に選んで使っていると、帳簿が整理できず、見づらくなってしまいます。清掃費の金額や目的、頻度などによって分け、同じ目的で使った清掃費に関しては、同じ勘定科目を使うようにしましょう。
例えば、清掃業者に清掃作業を依頼するときは、外注費や修繕費などの勘定科目を使えますが、最初に使用した勘定科目を使い続けると、後で帳簿が見返しやすくなります。また、内訳や購入店などは摘要欄に記入しておくと、さらに帳簿が整理できるでしょう。
よくある質問
清掃費を修繕費で仕訳するポイントは?
清掃作業を清掃業者に依頼したときは「外注費」の勘定科目も使えますが、定期修繕なども含めて依頼する時は「修繕費」の勘定科目を使って仕訳をすることもできます。詳しくはこちらをご覧ください。
清掃費を衛生管理費で仕訳するポイントは?
清掃費が何度も必要なときは、雑費や修繕費などの複数の勘定科目を使うのではなく、清掃関連費用を「衛生管理費」としてまとめておくと分かりやすくなります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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