- 作成日 : 2025年3月3日
ソフトウェアは少額減価償却資産に計上できる?メリットや仕訳方法も解説
法人税法上ソフトウェアは固定資産となるため、5年間かけて減価償却が必要です。しかし、一定要件を満たせば少額減価償却資産に計上でき、初年度に全額経費計上して節税も可能です。
本記事では、ソフトウェアの少額減価償却資産計上について解説します。少額減価償却資産に計上する要件やメリット・デメリット、仕訳例も紹介します。
目次
ソフトウェアは少額減価償却資産に計上できる?
企業が購入したソフトウェアは、一定要件を満たせば少額減価償却資産に計上できます。最初に、少額減価償却資産の意味と要件、一括償却資産との違いについて解説します。
少額減価償却資産とは
少額減価償却資産とは、取得価額が30万円未満の固定資産のことです。ソフトウェアは無形固定資産に分類され、取得価額が30万円未満ならば少額減価償却資産となります。
中小企業者等の少額減価償却資産については期間限定の特例(正式名称は「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」)があり、特例を利用すると取得価額を初年度に全額経費計上(損金計上)できます。特例の要件を満たす場合、特例を利用するかどうかは任意です。
ソフトウェアの取得価額は原則5年(耐用年数)かけて減価償却しますが、特例利用で一括経費計上できるため、取得年度の利益を減らして法人税を抑えられます。なお、特例には取得価額の合計額の上限が設けられています。1年の取得価額の合計額が300万円を超えると特例は利用できません。
少額減価償却資産の詳細については、以下の記事をご覧ください。
少額減価償却資産と一括償却資産の違い
一括償却資産とは、取得価額が20万円未満の固定資産のことです。一括償却資産については、取得価額を3年にわたって均等償却する取扱いが認められています。少額減価償却資産の特例と異なり、規模の大小を問わずすべての企業が利用できます。
少額減価償却資産と一括償却資産の主な違いは、次の通りです。
| 少額減価償却資産 | 一括償却資産 | |
|---|---|---|
| 対象企業 | 青色申告法人である中小企業者等 | すべての企業 |
| 取得価額 | 30万円未満 | 20万円未満 |
| 経費計上する期間 | 1年 | 3年 |
なお、取得価額が10万円未満または使用可能期間1年未満の固定資産は取得年度に全額を損金計上できるため、実際にこの償却方法を利用するのは、10万円以上20万円未満の固定資産となります。一括償却資産の詳細については、以下の記事をご参照ください。
ソフトウェアが少額減価償却資産になる要件
ソフトウェアが少額減価償却資産になる主な要件は次の通りです。
- 青色申告法人である中小企業者等に該当する
- ソフトウェアの取得価額が30万円未満(年間300万円以内)
- ソフトウェアの取得日が2006年4月1日~2026年3月31日
- クラウド型のソフトウェアではない
中小企業等とは、以下のすべてを満たす企業のことです。
- 資本金または出資金の額が1億円以下であること
- 常時使用する従業員数が500人以下であること(2020年3月31日以前取得の減価償却資産は従業員数1,000人以下)
- グループ通算法人でないこと
少額減価償却資産の特例は期間限定であるため、期間延長がなければ2026年4月1日以降に取得したソフトウェアには適用されません。また、クラウド型のソフトウェアは固定資産ではなく、通信費として経費処理するため注意しましょう。
ソフトウェアを少額減価償却資産に計上するメリット
ソフトウェアを少額減価償却資産に計上する主なメリットは、次の3つです。
- 取得価額を初年度に全額経費計上できる
- 取得価額が30万円まで利用できる
- 減価償却の会計処理が簡単になる
各メリットについて解説します。
取得価額を初年度に全額経費計上できる
メリットの1つ目は、ソフトウェアを購入した年にその費用の全額を経費計上できることです。一括で処理できるため、取得年度の利益を減らして法人税を抑えられます。
ソフトウェアを一括償却資産に計上した場合、3年にわたって均等償却するため、初年度に計上できるのは費用の1/3だけです。
取得価額が30万円まで利用できる
メリットの2つ目は、ソフトウェアの取得価額が30万円まで利用可能なことです。一括償却資産は20万円までのソフトウェアでないと利用できないため、少額減価償却資産の特例のほうが対象となるソフトウェアの範囲が広くなります。
減価償却の会計処理が簡単になる
メリットの3つ目は、会計処理が簡単になることです。ソフトウェアの耐用年数は原則5年であるため、通常の減価償却ならば5事業年度にわたって会計処理が必要です。特例を利用すれば、会計処理は1回で済みます。
ソフトウェアを少額減価償却資産に計上するデメリット
ソフトウェアを少額減価償却資産に計上する主なデメリットは、次の3つです。
- 翌年以降は取得価額を経費計上できない
- 大企業は少額減価償却資産の特例を利用できない
- 取得価額の合計が年間300万円までしか計上できない
各デメリットについて解説します。
翌年以降は取得価額を経費計上できない
デメリットの1つ目は、翌年以降は取得価額を経費計上できないことです。取得年度に全額を経費計上するため、翌年以降も利益を下げて節税したくてもできません。
取得価額が20万円までで一括償却資産に計上すれば、3年間経費計上できます。通常の減価償却なら5年間です。条件を満たせば経費計上の方法は任意で決められるため、今後の経営状況などを考慮して有利な方法を選択しましょう。
大企業は少額減価償却資産の特例を利用できない
デメリットの2つ目は、大企業は少額減価償却資産の特例を利用できないことです。前述の中小企業等の要件を満たさない企業は、通常の減価償却を選択(取得価額が20万円までなら一括償却資産計上も選択可能)するしかありません。
取得価額の合計が年間300万円までしか計上できない
デメリットの3つ目は、取得価額の合計が年間300万円までしか計上できないことです。計上可能な上限額を超える場合、通常の減価償却が必要です。なお、一括償却資産には上限がありません。
ソフトウェアを少額減価償却資産に計上する場合の仕訳
モデルケースを使用してソフトウェアを少額減価償却資産に計上する場合の仕訳例を紹介します。2024年にソフトウェアを25万円で購入し、少額減価償却資産として計上した場合の仕訳は、次の通りです。
購入時の仕訳
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| ソフトウェア | 250,000円 | 現金 | 250,000円 | ソフトウェアの購入 | |
決算時の仕訳
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 250,000円 | ソフトウェア | 250,000円 | ソフトウェア(2024年25万円で購入) | |
ソフトウェアの少額減価償却資産の特例はいつまで?
ソフトウェアに少額減価償却資産の特例が適用されるのは、その他の固定資産と同じで2026年3月31日までです。取得日によって期限を判定されるため注意しましょう。
ただし、特例は延長される可能性もあります。2024年度の法人税関係法令の改正では、改正前は2024年3月31日までであった特例の適用期限が2年間延長されています。
ソフトウェアを少額減価償却資産に計上しないとどうなる?
ソフトウェアを少額減価償却資産に計上しない場合、通常の減価償却が必要です。2024年にソフトウェアを25万円で購入し、5年で減価償却したときの仕訳は、次の通りです。
購入時の仕訳
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| ソフトウェア | 250,000円 | 現金 | 250,000円 | ソフトウェアの購入 | |
取得年度の決算時の仕訳
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 50,000円 | ソフトウェア | 50,000円 | ソフトウェア(2024年25万円で購入) | |
取得年度の翌年から4年間、上記(取得年度の決算時)と同様の会計処理を行い、取得価額を減価償却します。
30万円以下のソフトウェアは少額減価償却資産の特例活用を検討
金額の小さい固定資産は通常の減価償却とは異なり、少額減価償却資産の特例など取得年度に全額経費処理したり、減価償却期間を短縮できたりする取り扱いがあります。特例を活用すると、中小企業者等が30万円未満の価格で取得したソフトウェアは取得年度に全額経費計上できます。
特例を活用するかどうかは企業の判断次第であるため、本記事を参考にメリットとデメリットを比較・検討して自社にあった経理処理を選択しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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