- 作成日 : 2025年2月5日
車の耐用年数は何年?減価償却費の計算方法や何年落ちがお得なのかも解説
車の減価償却における耐用年数とは、減価償却資産の本来の用途・用法により通常予定される効果が発揮される年数です。車の耐用年数が把握できたら、減価償却費を算出できます。今回は、車の耐用年数は何年なのかについて詳しく解説します。
目次
車の減価償却における耐用年数とは
車の減価償却における耐用年数とは、減価償却資産の本来の用途・用法により通常予定される効果が発揮される年数を指します。
減価償却は、長期間使用する資産の取得価額を、各品目で定められた耐用年数に応じて分割して経費計上することです。ただし、車は購入した年に購入費用の全額を経費として計上できません。減価償却して何年かに分けて計上する必要があります。
減価償却対象になるのは、以下のようなものです。
- 取得価額が10万円以上
- 耐用年数が1年以上
- 経年で価値が劣化する資産
参考:大蔵省 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)
新車の耐用年数
新車の耐用年数は、普通自動車や軽自動車など車種で異なります。
構造・用途 | 細目:法定耐用年数 |
---|---|
一般用 | 普通自動車:6年 軽自動車:4年 |
貨物自動車 | ダンプ式貨物自動車:4年 ダンプ式以外のトラック:5年 |
運送事業用 貸自動車業用 | 普通乗用車:4年 貨物自動車(最大積載量2t未満):3年 小型自動車(排気量3l以上):5年 |
トラックは細かく区分されており、それぞれ法定耐用年数が異なります。なお、購入費用が10万円以下の新車については、購入した年に購入費用の全額を経費として計上できます。上記以外の耐用年数を知りたい方は、国税庁の公式サイトで確認してください。
中古車の耐用年数
ここからは、中古車の耐用年数の計算方法を確認していきましょう。
購入時点で耐用年数を過ぎている場合
購入時に耐用年数を過ぎている場合は、以下の計算式を用いて計算します。
【計算式】
経過年数が8年の普通自動車の場合は、以下のように計算します。
【計算式】
算出した年数に1年未満の端数がある場合、その端数は切り捨て、その数字が2年に満たない場合は「2年」とすることが決められています。
購入時点で耐用年数を過ぎていない場合
購入時に耐用年数を過ぎていない場合は、以下の計算式を用いて計算します。
【計算式】
経過年数が4年の普通自動車の場合は、以下のように計算します。
【計算式】
端数は切り捨てるため、耐用年数は「2年」となります。
中古車は何年落ちで購入するのがお得?
中古車を経費で購入する場合、「4年落ち(経過年数が4年)」が良いといわれています。
主な理由は、以下の2つです。
- 減価償却費が大きい
- 耐用年数が短い
中古車の普通自動車は、分割して計上する決まりがあります。4年落ちの中古車は、1年でまとめて経費計上することが可能です。240万円の新車は、6年に分けて経費計上する必要があります。中古車に比べて1年あたりの節税効果は限定的です。
減価償却の対象となる車は使用年数が長くなるほど劣化するため、一定期間を過ぎると資産としての価値が失われます。減価償却費は耐用年数で変わるため、耐用年数が短い中古車を購入すると経費として計上できる減価償却費が大きくなります。
中古車の減価償却費のシミュレーション事例
中古車の減価償却費は、「定額法」「定率法」のいずれかの方法で算出します。減価償却方法の届出を出していない場合、個人事業主は「定額法」、法人は「定率法」で計算します。
ここでは、中古車の減価償却費のシミュレーション事例を確認しましょう。
定額法で計算する場合
定額法とは、車の耐用年数の期間に合わせて定額で計上する算出方式です。定額法で減価償却費を計上する場合の計算方法は、以下のようになります。
【計算式】
ただし、事業年度の途中で車を購入した場合は、期間に応じて按分して会計計上する「月数按分」を用いて計算します。計算式は、以下のとおりです。
【計算式】
定率法で計算する場合
定率法とは、一定の割合で償却額を計上する算出方式です。定率法で減価償却費を計上する場合の計算方法は、以下のようになります。
【計算式】
算出した減価償却費が最低限確保するべき金額の基準である償却保証額を下回る場合は、「改定償却率」を用いて計算します。償却保証額は「取得原価×保証率」で算出可能です。
中古車の減価償却費を計算するときの注意点
減価償却費を計算する際は、事業供用日や再取得価額等に注意が必要です。中古車の減価償却費を計算する際の注意点を確認していきましょう。
事業供用日を確認する
減価償却は、年単位ではなく月数按分で行われるため事業供用日を確認しましょう。
事業供用日とは、購入した車の使用を開始した日です。たとえば、事業年度の初月に使用開始した場合は、すべてを経費として計上できます。一方で、車の使用開始が年度途中の場合は、残りの月数で計上する必要があります。
中古車を事業車として購入する場合は、事業年度の初月に合わせるのがおすすめです。
帳簿に正しく仕訳する
固定資産の取得価額には含めなくても良い費用があり、ほかの勘定科目で仕分けできます。
取得価額に含める費用 | 車両本体価格 オプション費用 納車費用 |
---|---|
取得価額に含めなくても良い費用 | 自動車重量税自賠責保険料 自動車税種別割 自動車環境性能割 車庫証明 検査登録(車検)費用 |
なお、青色申告を行っている従業員500名以下の中小企業には「少額減価償却資産の特例」が設けられています。減価償却資産で30万円未満のものを取得した際、年間300万円を限度額として全額経費計上が可能です。詳しくは、国税庁の公式サイトで確認してください。
参考:国税庁 No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
資本的支出が再取得価額の50%を超える車の扱い
資本的支出が再取得価額の50%を超える場合、簡便法で耐用年数を算定できません。
資本的支出とは、使用可能期間を伸ばすために価値を高める支出です。中古車の場合は、高性能のエンジンを乗せ換えるときなどに発生する費用が、資本的支出にあたります。再取得価額は、中古資産と同一の資産を新品で購入した場合の価額です。
資本的支出が再取得価額の50%を超える中古車の場合は、新車の法定耐用年数を用いることとなります。
車の減価償却の計算方法は新車・中古車で異なる!
車の減価償却における耐用年数とは、対象資産を使用できる期間です。
耐用年数に応じて、一定期間に配分して経費計上する「減価償却」を行えます。減価償却における耐用年数の計算方法は新車と中古車で異なるため、事前に確認して計算しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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