- 更新日 : 2026年1月27日
ソフトウェアは固定資産に計上できる?判断基準や減価償却などを解説
ソフトウェアは無形固定資産として資産計上することができます。ただし、ソフトウェアの目的や工程によって、資産計上できない場合もあります。なお、資産として計上したソフトウェアは減価償却が可能です。
本記事では、ソフトウェアの資産計上に関する概要や判断基準をはじめ、取得価額や償却期間などについて解説します。
目次
ソフトウェアの資産計上
はじめに、ソフトウェアの資産計上について解説します。
ソフトウェアは無形固定資産として資産計上する
企業が経営を行う上で、一定額かつ一定期間以上使用するものは「固定資産」への計上が求められます。建物や設備などはもちろん、パソコンやデスクなどの事務機器も、金額によっては固定資産の計上対象となります。
今回のテーマであるソフトウェアも、「無形固定資産」として取り扱う必要があります。
ソフトウェアの定義と無形固定資産の条件
ソフトウェアの定義は以下のとおりです。
- コンピュータに一定の仕事を行わせるためのプログラム
また、無形固定資産としてのソフトウェアには以下も含まれます。
- システム仕様書、フローチャート等の関連文書
無形固定資産として計上・減価償却できるソフトウェアは、以下3つの要件を全て満たす必要があります。
- 自社で利用する目的で購入したこと(販売目的ではないこと)
- 1年以上使用する予定であること
- 10万円以上であること
なお、利用期間が1年未満の場合は「消耗品費」などの勘定科目で処理します。また、10万円未満のものは、固定資産ではなく費用として計上し、取得年度に「損金」として取り扱います。
ソフトウェアの種類別における資産計上の判断基準
ここでは、資産計上時における勘定科目の判断基準について、ソフトウェアの種類別に解説します。
研究開発目的のソフトウェア
研究開発を目的としたソフトウェアは、すべて研究開発費として処理します。
企業会計基準委員会によれば「研究」と「開発」の定義は以下のとおりです。
- 研究:新しい知識の発見を目的とした計画的な調査および探究
- 開発:新しい製品・サービス・生産方法についての計画
若しくは設計又は既存の製品等を著しく改良するための計画若しくは設計として、研究の成果その他の知識を具体化すること
例えば、新製品やサービスを創出するための調査、あるいはそれらの調査を受けて製品化するための活動や、新製品の試作などは「研究・開発」とみなされます。
出典:企業会計基準委員会「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」
市場販売目的のソフトウェア
市場販売を目的としたソフトウェアは、工程によって「研究開発費」として処理するか「ソフトウェア」として無形固定資産に計上するかが分かれます。「研究開発費」として計上するのは「最初に製品化された製品マスターの完成時点」までで、それ以降は「ソフトウェア」として無形固定資産に計上することになります。
具体的には、下記2つの条件を満たす場合、無形固定資産へ計上します。
- 製品性を判断できる程度のプロトタイプが完成していること
- プロトタイプを制作しない場合は、製品として販売するための重要な機能が完成しており、かつ重要な不具合を解消していること
なお、製品マスター完成後の機能改修や強化も、原則「ソフトウェア」として資産への計上が必要です。ただし、製品マスター完成後の大規模な改修については「研究開発費」として処理する必要がある点には注意しましょう。
自社利用目的のソフトウェア
自社利用目的のソフトウェアは、「自社で開発したソフトウェア」と「外部から購入したソフトウェア」の2つに分かれます。
自社で開発したソフトウェア
自社内での利用を目的としたソフトウェアを開発した場合の資産計上は「将来の収益獲得あるいは費用削減が確実か」によって判断が分かれます。
将来の収益獲得あるいは費用削減が確実な場合は、資産として「無形固定資産」に計上可能です。一方で、利益獲得や費用削減が確実ではないと判断された場合は、費用として処理することになります。
「将来の収益獲得あるいは費用削減が確実か」という判断は、次のような証憑(エビデンス)が必要です。
- ソフトウェアの制作予算が承認された社内稟議書
- ソフトウェアの制作原価集計を目的とした管理台帳
なお、資産として計上できるのはソフトウェアの制作完了までにかかった費用であり、次のような証憑を残しておく必要があります。
- ソフトウェア作業完了報告書
- 最終テスト報告書
外部から購入したソフトウェアの場合
外部のベンダーなどから購入したソフトウェアに関する費用も、資産計上が可能です。
ソフトウェアの購入費はもちろん、設定作業や軽微なカスタマイズ費用なども資産として計上できます。なお、重要性が低い場合は費用として処理することも認められています。
ただし、パッケージソフトウェアなどの仕様を大幅にカスタマイズした場合、かつ将来の利益獲得や費用削減が認められない場合は、研究開発費として処理します。そのほか、データのコンバート(移行)費用やソフトウェアのトレーニング費用は資産計上できないため、事業年度の費用として処理しましょう。
機器に組み込まれたソフトウェア
計測機器などに組み込まれたソフトウェアについては、個別で計上することはできません。そのようなソフトウェアは機器自体の取得原価に含まれると考えるため「機械および装置」などの勘定科目を用いて処理します。
ソフトウェアの取得価額と耐用年数
建物や設備、ソフトウェアなどの固定資産は、時間が経過するたびに価値が減少していきます。それらの固定資産が企業にもたらす利益と費用を正しく把握するために、当該資産の使用期間に応じて費用を分割計上する仕組みが「減価償却」です。
減価償却は、「取得価額」と「耐用年数」をもとに行います。
本章では、ソフトウェアの取得価額と耐用年数について解説します。
ソフトウェアの取得価額
ソフトウェアを購入した場合の取得価額は、以下のように算出します。
この式からも分かるとおり、ソフトウェアの購入代金をはじめ、設定作業やテスト運用などにかかる費用を含む必要があります。
また、ソフトウェアを自社で開発した場合の取得価額は次のとおりです。
なお、ソフトウェア制作に必要となる人件費も資産計上が可能ですが、これには作業明細などを残しておく必要があります。
ソフトウェアの耐用年数
市場販売を目的としたソフトウェアの耐用年数は、原則3年以内と定められています。また、自社利用を目的としたソフトウェアの耐用年数は5年です。
ただし、自社利用目的かつ研究開発に使用する場合の耐用年数は3年とされている点には注意しましょう。
ソフトウェアの減価償却方法
本章ではソフトウェアの減価償却方法について解説します。
市場販売を目的としたソフトウェアの減価償却
市場販売を目的としたソフトウェアは、見込販売数量あるいは見込み販売収益に基づいて減価償却の計算を行います。ただし、残存有効期間に基づく均等配分額の方が大きい場合は、そちらの金額を採用することになります。
これによって、実際に発生した収益と費用をより正確に把握することができます。
自社利用を目的としたソフトウェアの減価償却
自社利用を目的としたソフトウェアは、一般的に定額法による減価償却を行います。
10万円未満の場合は「少額減価償却資産」として費用計上するため、減価償却は行いません。一方で10万円以上は減価償却の対象となりますが、金額によって償却年数や減価償却の対象となるか否かなどが異なります。事業の状況や税務上のメリットを把握した上で対応を決定することが重要です。
まとめ
本記事では、ソフトウェアと固定資産の関係について解説しました。ソフトウェアは無形固定資産として、資産計上が可能です。ただし、すべてのソフトウェアが対象となるわけではなく、種類によって資産計上できるかどうかが異なります。重要なポイントは、将来の収益獲得(あるいは費用削減)が可能であるかという点です。
DXや働き方改革が進む中、企業はさまざまなソフトウェアを導入しています。それらのソフトウェア1つひとつについてもしっかりと見極めながら、正しく会計処理を行いましょう。
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