- 更新日 : 2024年8月8日
体温計を経費にする場合の仕訳に使う勘定科目まとめ
事業所で体温計を購入したときは、消耗品費や福利厚生費などの勘定科目で仕訳ができます。体温計を経費として計上する条件や、勘定科目の使い分けについてわかりやすく説明します。
体温計の仕訳に使える勘定科目
体温計を購入する場合、次のいずれかに該当するときは経費として計上できます。
- 玄関ロビーなどの誰もが使用する場所に体温計を設置するとき
- 事業者側から従業員に検温を要請するとき
体温計を使用する人を特定しないときは「消耗品費」、従業員用に体温計を購入するときなら「福利厚生費」、体温計を何度も購入することがないと思われるときは「雑費」などの勘定科目を使って仕訳をすることが一般的です。
体温計を使用する人が特定されるときは、経費として計上されない可能性があります。例えば、役員室に備え付けて役員しか使用できないようにしているときは、経費とはなりません。
また従業員用に購入したものの、従業員が使用しても良いことを知らされていないときや体温計がどこにあるかもわからないときは、経費とはならない可能性があります。
体温計を消耗品費で仕訳する
体温計を消耗品費の勘定科目で仕訳をするときは、使用可能期間が1年未満、あるいは10万円以内のものであることが求められます。
例えば、2万円のスタンド付きの体温計を1台購入し、玄関ロビーなどに設置したとしましょう。事務所に入るすべての人が利用できるようにするときは、消耗品費として仕訳をし、経費計上が可能です。
借方 | 貸方 | 摘要 | |||
---|---|---|---|---|---|
消耗品費 | 20,000円 | 現金 | 20,000円 | 玄関ロビーに設置する体温計1台 |
体温計を福利厚生費で仕訳する
次の条件をすべて満たして体温計を購入するときは、福利厚生費の勘定科目で仕訳ができます。
- 従業員全員が使える
- 金額が妥当である
- 現金で支給しない
例えば、毎朝の検温や熱っぽいときなどに、従業員だれもが利用できるように1つ2,500円の体温計を購入したとしましょう。利便性を高めるために、社内の10の部署すべてに1つずつ体温計を配布した場合は、次のように仕訳ができます。
借方 | 貸方 | 摘要 | |||
---|---|---|---|---|---|
福利厚生費 | 25,000円 | 現金 | 25,000円 | 2,500円の体温計を10部署に1つずつ備え付け (2,500円×10=25,000円) |
体温計代を現金で支給した場合は、福利厚生費の勘定科目を使って仕訳ができません。福利厚生費として仕訳ができるのは、あくまでも現物支給の場合に限られる点であることに注意をしておきましょう。
体温計を雑費で仕訳する
雑費の勘定科目で仕訳をすることができるのは、今後、繰り返されることがないと思われる支出に対してです。
例えば社内に入るすべての人が検温できるように、玄関ロビーに非接触型の体温計を設置したとしましょう。体温計はそう簡単に壊れるものではないため、雑費として仕訳ができます。
借方 | 貸方 | 摘要 | |||
---|---|---|---|---|---|
雑費 | 20,000円 | 現金 | 20,000円 | 玄関ロビーに非接触型体温計を設置 |
帳簿に「雑費」の勘定科目で仕訳をした取引が多いと、税務調査で指摘を受ける可能性があります。
例えば非接触型体温計が何かの拍子で壊れたり、ロビーが広くて1台では使い勝手が悪いことが分かったりしたときに、もう1台買い足したとしましょう。前回と同じく「雑費」の勘定科目で仕訳をすると、帳簿の中に「雑費」で仕訳をする項目が増え、本当に非接触型体温計を購入したのかと疑われる可能性があるかもしれません。
スムーズな税務調査のためにも、再び購入することを想定して最初から「消耗品費」か「福利厚生費」のどちらかで仕訳をしておくと良いでしょう。摘要欄にも用途や商品についての情報を丁寧に記し、後で見返しやすい帳簿に仕上げておくことも大切です。
用途に分けて正しく仕訳をしよう
体温計を購入したときは、体温計を使用する人を特定しないときは「消耗品費」、従業員が使用するために購入するときは「福利厚生費」の勘定科目で仕訳をすることが一般的です。いずれのケースも経費として計上できます。
今後体温計を繰り返して購入することがないと思われるときは、「雑費」の勘定科目も使うことも可能です。しかし、雑費として仕訳をした項目が多いときは、税務調査で指摘を受ける可能性があるので注意しましょう。
よくある質問
体温計は経費にできる?
誰もが利用できる場所に設置するときや、事業者側から検温を要請するときは、体温計購入にかかった費用を経費として計上できます。詳しくはこちらをご覧ください。
体温計を消耗品で仕訳するポイントは?
使用可能期間が1年未満もしくは10万円以下のものであれば、消耗品費の勘定科目で仕訳をすることが一般的です。従業員用ならば福利厚生費、何度も購入しないときは雑費の勘定科目を使うこともできます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
別段預金の勘定科目や仕訳例、口座への振込まで解説!
銀行預金口座には、いくつか種類があります。普通預金や当座預金、定期預金、通知預金、外貨預金などがありますが、別段預金という口座があるのことをご存じでしょうか。この記事では別段預金の概要のほか、記帳する際の仕訳や勘定科目、振込処理について解説…
詳しくみる賃貸の更新料を経費にする時の仕訳に使う勘定科目まとめ
賃貸物件の契約を更新する際、更新料の支払いを求められることがあります。更新料を経費として処理する場合、どのような勘定科目を使い、どのような仕訳をすることになるのでしょうか。更新料を支払ったときの仕訳について取り上げます。 更新料の仕訳に使え…
詳しくみる新聞図書費はどこまで経費にできる?仕訳の例やポイント解説
新聞図書費は、新聞の購読料や書籍代、地図代、情報誌の購入費用に関わる勘定科目です。この記事では、新聞図書費に該当する経費と該当しない経費、仕訳例や仕訳のポイントについて解説します。 新聞図書費とは 新聞図書費とは、従業員が事業に携わるにあた…
詳しくみる仮払金の仕訳はどうする?財務諸表での位置付けと取り扱い
交通費や旅費、内容不明分の仮処理など様々な支払いを振り分けられる仮払金。 ここではこの勘定科目の基本的な考え方をはじめ、財務諸表での位置付けや仕訳の方法など、実務に必要な知識について例を挙げながら解説します。 仮払金の財務諸表での位置付け …
詳しくみる医療費・病院代は経費にできる?仕訳に使う勘定科目は?
法人の代表者や個人事業主が病院代を負担した場合、その費用は経費に算入できるのでしょうか。判断のポイントは、その医療費は事業に必要だと考えられるかどうかです。原則として個人の病院代は医療費に含めることは不可ですが、従業員の健康診断に要した費用…
詳しくみる委託買付と受託買付を仕訳から解説
「委託買付」は、手数料を支払って他者に商品の購入を委託することを指します。一方の「受託買付」は、商品の購入を委託された受託者側からみた場合の買付業務のことを指します。立場が異なるため、仕訳に使用する勘定科目は当然違うものになります。ここでは…
詳しくみる