- 更新日 : 2024年8月8日
時計を経費にする時の仕訳に使う勘定科目まとめ
仕事で身につける腕時計を経費に計上したいと考える方もいるのではないでしょうか。高級時計を購入した際、経費にできれば節税ができます。しかし、ただ仕事中に利用するというだけでは経費として認められないことがほとんどです。
本記事では時計を経費にできる場合、できない場合について解説し、経費計上できる場合に使う勘定科目や仕訳例を紹介します。
時計は経費にできる?
営業など外回りの仕事では必需品の時計ですが、経費にすることはできるのか気になるところです。結論からいうと、一般的な業種では時計を経費に計上することは難しいでしょう。ただし、事業との関係性を示せれば計上も可能です。
ここでは、時計を経費に計上できるケース、できないケースについて紹介します。
時計が経費にできるケース
事業に関連して支出した費用は、広く経費に計上できます。そのため、時計も事業と関係があり、売り上げに直結する場合は経費にすることが可能です。
特に問題なく時計を経費にできるのは、以下のような場合です。
- ブランド品の買取・販売
- ネット転売
- 時計に関するメディア運営
買取や販売、転売の対象商品が時計の場合は売り上げに直結しており、時計の購入は経費として計上できます。また、時計に関するメディアを運営している場合も、時計の購入は事業に関する支出といえるでしょう。
時計が経費にできないケース
一方、仕事で使用していても経費とは認められないケースがあります。以下のケースでは経費と認められない可能性が高いでしょう。
- 仕事中のみ使用する
- 仕事上の身だしなみのために使用する
- 美術品として購入する
どちらも仕事で使用するもので、事業と関連があると思うかもしれません。しかし、経費に計上した場合に税務署からの指摘を受ける可能性があります。
まず、仕事中のみ使用してプライベートでは使用していない場合です。そのようなケースでは経費になると考えるかもしれませんが、税務署から指摘された場合はほとんど経費と認められないといってよいでしょう。
経費にできるのは、時計の購入が売上と結びついている場合です。ただ仕事で利用するだけでは、そのような密接な関連性があるとはいえません。
また、営業などでは取引先に対する身だしなみとして時計が必要という場合も、事業との密接な関連性は認められない可能性が高いでしょう。
ほかに、美術品として購入した場合も経費として認められる可能性は低くなります。事務所の受付や店舗などに美術品を飾るケースはあり、多くの人の目に触れる場所に飾られた美術品は事業に関連するともいえるでしょう。
確かに高額な腕時計は美術品としての価値はありますが、自分が時々身に着けているのであれば、美術品とはいえません。税務調査のときだけ応接間にブランドの腕時計を飾るといった対応には無理があり、経費と認められる可能性は低いといえます。
時計の仕訳と勘定科目
時計の購入が事業に関連するため経費に計上できるとき、時計が10万円以下の場合は「消耗品費」の勘定科目を使って仕訳をします。一方、金額が10万円を超える場合は備品として資産に計上しなければなりません。
10万円以上の時計を購入した場合、金額に応じて以下のような処理方法があります。
10万円を超える固定資産は、資産ごとに決められた耐用年数にわたって経費とする「減価償却」を行うのが原則です。時計の法定耐用年数は10年のため、10年間をかけて経費に計上していきます。
しかし、資産が10万円以上20万円未満の場合は、耐用年数にかかわらず3年間均等に経費計上できる「一括償却資産」の処理ができます。
また、資産が10万円以上30万円の場合、青色申告法人である中小企業者等であれば「少額減価償却資産の特例」により全額の経費計上が可能です。
ネット転売のために5万円の腕時計を購入した場合の事例では、消耗品費の勘定科目を使用します。仕訳は以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 50,000円 | 現金 | 50,000円 | 腕時計を購入 |
15万円の時計を一括償却資産にする場合、以下のように仕訳します。
(購入時の仕訳)
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 一括償却資産 | 150,000円 | 現金 | 150,000円 | 腕時計を購入 |
決算時に3年均等償却で計上します。
(決算時の仕訳)
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 50,000円 | 一括償却資産 | 50,000円 | 腕時計の購入費を減価償却 |
時計を経費計上できる要件をチェックしておこう
時計を経費にするには、売上に直接結びつくなどの理由が必要です。ただ仕事のみで使う、身だしなみに必要といった理由の場合、経費化は否認される可能性が高いでしょう。
転売などで時計を経費計上できる場合の仕訳は、金額により処理が異なります。中小企業であれば、特例で30万円未満まで全額の経費計上が可能です。
経費にできる要件を確認し、時計の仕訳を正しく行いましょう。
よくある質問
時計は経費にできる?
事業に関連し、売上に直結する場合は経費計上が可能です。詳しくはこちらをご覧ください。
時計の仕訳はどうすればいい?
基本的に消耗品費で仕訳しますが、一定額を超える場合は備品として資産計上します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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