- 更新日 : 2025年2月19日
本支店会計とは?本店集中計算制度と支店分散計算制度の仕訳を解説
複数の支店を持つ企業では、支店の採算性をみるために「本支店会計」を用いることがあります。本支店会計には「本店集中計算制度」「支店分散計算制度」があるため、それぞれの意味と使い方の理解が必要です。
今回は本支店会計の具体的な仕訳例を紹介するとともに、本支店会計における内部利益の控除について解説していきます。
目次
本支店会計とは
本支店会計とは、企業が本店のほかに支店を設けた場合に用いる会計制度のことです。支店を複数持つ企業の場合、本支店間の取引または支店相互間の取引が生じますが、これらの内部取引を処理する場合に使用されます。
最大の特徴は、支店に独立採算制をとらせている点です。本店と支店を別会社と見立てて、本店では支店勘定、支店側では本店勘定を使い、それぞれが損益計算を行います。これによって各支店の損益が明確になり、経営者が適切な判断がしやすくなる点がメリットです。決算では本店と支店の帳簿を合算して、社内取引の相殺などを行い、最終的に企業全体の業績を確定します。
本支店会計は、支店が製造から販売まで一貫して対応している場合に有用です。それぞれの事業部で扱っている商品が異なる多角化した会社も、各支店を正確かつ公平に評価することが可能になります。
本支店会計の仕訳
ここからは本支店会計の仕訳を具体例とともに解説していきます。本支店間にはさまざまな取引が存在しますが、ここでは基本的な取引に関する仕訳を紹介するので、参考にしてみてください。
本店の仕訳
現金の送付
現金5,000円を支店に送金した場合、本店の現金が減少します。
貸方に現金を仕訳します。借方の相手勘定科目には「支店」を使いましょう。
商品の送付
本店が商品8万円(原価)を支店に送付した場合、仕入の減少として処理します。
商品を原価で送付している場合、借方の相手勘定科目には「支店」を使用します。仕入勘定は商品の原価を表す勘定科目になるため、商品を送付したときは減少させましょう。
支店の仕訳
現金の送付
本店から送金された現金5,000円を受け取った場合は、借方で現金を増やします。
本支店間の取引なので、貸方の相手勘定科目は「本店」になります。
商品の送付
本店から送付された商品8万円(原価)を受け取った場合は、仕入の増加として処理します。
貸方の相手勘定科目には「本店」を使用しましょう。
支店が複数ある場合の仕訳
本支店会計には「本店集中制度」と「支店分散計算制度」の2種類あります。それぞれ異なるメリット・デメリットがあるため、どちらを使用するか慎重に判断する必要があります。
ここでは具体的な仕訳例を解説していくので、参考にしてみてください。
本店集中計算制度とは
支店間の取引をすべて本店が帳簿に記録する制度です。実際には本店を介していない支店相互間の取引であっても、本店を経由したとみなして仕訳をするのが特徴です。支店相互間の取引まですべて把握できるのがメリットですが、本店の記帳作業が煩雑になります。
本店集中計算制度の仕訳
A支店がB支店に現金1万円を送金した場合、A支店・B支店・本店それぞれの記帳は以下のようになります。
A支店
B支店
本店
支店相互間の取引であっても、本店勘定を使って記帳します。
この場合は本店がA支店から現金を受け取り、B支店に受け渡したとして処理されるため、両方の支店に対する取引が同時に発生したものとして記帳します。
支店分散計算制度とは
支店間の取引をそれぞれの支店が独自に記帳する制度です。本店勘定を使用せずに相手支店名の勘定で処理するため、現実の取引に即した記帳ができて支店独自の管理に役立ちます。ただその一方で、本店側の支店管理が不十分になります。
支店分散計算制度の仕訳
A支店がB支店に現金1万円を送金した場合を例に見ていきましょう。
A支店
B支店
本店
各支店が相手支店名の勘定を使って記帳するため、本店の帳簿への記帳は不要です。
本支店会計における内部利益の控除
内部利益とはまだ販売されてない商品に計上された利益のことです。本支店間で利益を加算した状態で商品を送付しているときに内部利益が発生します。
たとえば、本店から支店へ利益を上乗せした金額で商品を送っているとしましょう。本店から仕入れた商品が決算時に売れずに残っている場合、そのまま何もせずにいると、商品を支店に移動しただけなのにも関わらず利益が計上されてしまいます。
そのような事態を避けるために、外部へ公表する財務諸表を作る際は内部利益を控除して、企業全体の利益を正確に計算する必要があるのです。内部利益は期首商品と期末商品に含まれているので調整が必要です。
内部利益の金額は「本支店間で取引された商品の棚卸高-原価」もしくは「原価×利益率」で計算できます。
期首商品棚卸高
本店の期首商品残高3万円、支店の期首商品残高8,000円(うち本店仕入分5,500円)、本店より仕入分は原価に10%の利益が加算されている場合
内部利益は支店の期首商品のうち本店仕入分のみに含まれるので「5,500円×0.1/1.1=500円」と計算されます。「繰延内部利益」は前期から繰り越されてきたので消去しましょう。「繰延内部利益戻入」は期首商品が減少したことによる売上原価の減少を意味します。
期末商品棚卸高
本店の期末商品残高5万円、支店の期末商品残高9,000円(うち本店仕入分6,600円)、本店より仕入分は原価に10%の利益が加算されている場合
内部利益は支店の期末商品のうち本店仕入分のみに含まれるので「6,600円×0.1/1.1=600円」と計算されます。期末商品に含まれる内部利益600円を控除して、次期に繰り延べます。
本支店会計と連結会計の違い
本支店会計と連結会計が大きく異なるのは、同じ会社かどうかという点です。本支店会計は同じ会社として会計処理をするのに対し、連結会計は異なる会社を合算するための会計処理です。
本支店会計では本店と支店がそれぞれに帳簿を所有し記帳しますが、あくまで一つの会社として財務諸表の作成や税金の計算などの会計処理を行います。
連結会計では親会社と子会社が、それぞれに記帳を行い財務諸表を作成し税金の計算も行われます。それぞれが作成した財務諸表をもとに一つのグループ会社としての連結財務諸表を作成しなくてはなりません。連結財務諸表を作成するには、異なる会社を合算するための特別な会計処理である連結会計が必要となるのです。
また、内部取引の処理方法にも違いがあります。本支店会計では本店勘定と支店勘定を債権・債務と捉えて処理するため、最終的には両勘定の金額が一致するような会計処理をします。一方、連結会計では内部取引を相殺消去する会計処理が行われるのです。
本支店会計を正しく運用して財務内容を的確に把握しよう
本支店会計は、各支店の損益を明確にできる会計制度です。本支店会計には本店集中計算制度と支店分散計算制度の2つの計算制度がありますが、本店の仕訳と支店の仕訳を間違えないことが大切です。
内部利益の控除までしっかり理解して正しく処理すれば、財務内容が明確になり、適切な経営判断ができるようになります。本支店会計を会社の経営に役立てていきましょう。
よくある質問
本支店会計とは?
企業内に支店がある場合に用いる会計制度のことです。企業の内部取引を記帳して、独立採算の業績管理を行います。詳しくはこちらをご覧ください。
本店集中計算制度とは?
すべての取引を本店を経由したと仮定して処理する制度です。すべての支店間取引の金額を本店で管理できますが、本店の仕訳数が増えるため事務工数がかかりやすいデメリットがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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