- 更新日 : 2025年2月19日
EMS料金支払の仕訳と消費税の取扱を解説
EMS(国際スピード郵便)を送る際、注意したいのが消費税の支払いです。EMSの支払いは国内郵便と同じ勘定科目で仕訳しますが、輸出免税取引で消費税がかからないため、課税取引にしないよう気をつけなければなりません。また、切手を購入してEMSの料金を支払った場合の処理にも注意が必要です。
本記事では、EMSとはどのようなものか簡単に説明し、EMSで支払った料金の仕訳や、切手を購入して支払ったときの処理について紹介します。
EMS(国際スピード郵便)とは
EMSとは国際スピード郵便(Express Mail Service)のことです。世界120以上の国や地域に30kgまでの書類や簡易荷物を送るサービスで、国際郵便の中では最速とされています。国内から海外の取引先や支社などにEMSで送った場合の費用は、「通信費」の勘定を使って仕訳します。
ただし、国際郵便は輸出免税取引となり消費税の対象外です。会計処理上、課税取引としないようにしなければなりません。
EMS料金支払の仕訳例
国内から海外の取引先や支社などにEMSを使って送った場合の費用は、国内郵便と同じく、「通信費」の勘定を使います。
EMSの料金2,000円を現金で支払った場合、仕訳は以下の通りです。
通信費 | 2,000円 | 現金 | 2,000円 |
仕訳は国内郵便と同じですが、消費税の扱いは異なるため、課税取引にしないよう注意が必要です。次の項目で詳しく見ていきましょう。
EMSは消費税がかかる?
EMSの支払いを記帳する際に注意したいのが、消費税の扱いです。外国で消費されるものには消費税の課税がなく、輸出取引は免税とされています。そのため、EMSも消費税の対象外です。
ここでは、EMSの消費税の扱いと切手購入による支払い時の仕訳について紹介します。
EMSの料金は消費税の対象外
EMSで支払う料金は、消費税の対象になりません。消費税は国内の消費に対し課せられる税金で、外国で消費されるものには課税しないという考えが基本にあるからです。
そのため、EMSなど国際郵便も免税取引となり、国内からの発送や海外から国内に送る場合のどちらにも消費税はかかりません。
会計処理する際は、国内郵便と同じ課税取引としないよう注意が必要です。
切手は購入時とEMS支払いで仕訳を分ける
郵便切手をまとめて購入し、郵便代の支払いに使用している会社も多いかと思います。郵便切手は買い求める場所により消費税の取扱いが異なるため、仕訳の際は区別した扱いが必要です。
郵便切手は、郵便局やコンビニなど郵便切手類の販売所で譲渡が行われる場合は非課税取引となります。
【郵便局で購入した場合】
まず、郵便切手をまとめて購入した場合について見てみましょう。勘定科目は「貯蔵品」を使います。
郵便切手1万円を郵便局で購買した際の仕訳は以下の通りです。
貯蔵品(消費税の課税取引) | 10,000円 | 現金 | 10,000円 |
この時点では、いったん資産として扱うため、経費に計上されません。切手を使用したときに、そのつど経費に落とします。
この切手のうち、2,000円分をEMSで支払った場合の仕訳は以下の通りです。
通信費 (消費税の対象外) | 2,000円 | 貯蔵品(消費税の非課税取引) | 2,000円 |
経費はこの使用時に計上するのが原則ですが、そのつど計上するのは煩雑です。そのため、実務上は購入時に一括して経費に落とす方法も認められています。
購入時に経費計上する仕訳は、以下の通りです。
通信費 (消費税の対象外) | 10,000円 | 現金 | 10,000円 |
このあと切手を使用した場合でも、特に仕訳は行いません。
仮に2,000円の切手を使って8,000円分の切手が決算時に残った場合、翌期へ振り替えるために以下のような仕訳を行います。
通信費 (消費税の対象外) | 8,000円 | 貯蔵品(消費税の非課税取引) | 8,000円 |
【金券ショップで購入した場合】
一方、切手を金券ショップなど郵便切手類の販売所以外で購買した場合、課税取引となり消費税が課せられます。
切手を金券ショップ等で1万円購買した場合の仕訳は、原則として以下の通りです。
貯蔵品(消費税の課税取引) | 10,000円 | 現金 | 10,000円 |
そのあとEMSに2,000円使用した場合、以下のように仕訳します。
通信費 (消費税の対象外) | 2,000円 | 貯蔵品(消費税の非課税取引) | 2,000円 |
こちらも、購入時に経費計上する場合は、以下のように処理します。
通信費 (消費税の対象外) | 10,000円 | 現金 | 10,000円 |
使わなかった8,000円分の切手は、決算時に翌期へ振り替える仕訳を行います。
通信費 (消費税の対象外) | 8,000円 | 貯蔵品(消費税の課税取引) | 8,000円 |
EMSには消費税がかからない
EMSの料金を支払ったときは、国内郵便と同じく通信費で仕訳します。しかし、EMSは免税取引で消費税がかからないため、課税取引には含めないようにしましょう。切手で支払う場合、郵便局で購入した切手は非課税で、金券ショップなどで購入した場合は消費税が課税されます。
まとめて購入した切手の仕訳方法は2種類あり、まとめ買いしたときに通信費として仕訳し、経費計上することも可能です。その場合は、使わずに余った切手を翌期へ振り替える仕訳を忘れないようにしましょう。
よくある質問
EMSとは?
国際郵便の一種で、世界120以上の国や地域に書類や荷物を最速で送れるサービスです。詳しくはこちらをご覧ください。
EMSは消費税がかかる?
EMSは輸出免税取引となり、消費税はかかりません。 詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
神社のお札やお守りは経費にできる?勘定科目や仕訳を解説
神社でお札やお守りをいただいたときは、目的や金額によってはお札代を経費とすることができます。ただし、法人の場合であれば寄付金の勘定科目で経費計上が可能ですが、個人事業主の場合は経費計上できません。お札代をどのように扱うことができるのか具体的…
詳しくみる修繕引当金と特別修繕引当金とは?
修繕引当金や特別修繕引当金は、決算整理仕訳で計上される勘定科目です。日常的に使用される勘定科目ではないため、扱い方がよく分からない経理担当者も多いのではないでしょうか。本記事では、修繕引当金や特別修繕引当金の考え方を仕訳例も交えて紹介します…
詳しくみるキャッシュバックをされたとき・したときの仕訳を解説
法人カードを利用した際にキャッシュバックを受けた場合、「雑収入」という勘定科目を用いて会計処理することが一般的です。一方、自社がキャッシュバックした際には、「販売促進費」や「広告宣伝費」といった勘定科目で処理します。 本記事では、キャッシュ…
詳しくみる証明写真を経費にする時の仕訳に使う勘定科目まとめ
業務に必要な場合に限り、従業員の証明写真代を会社が代わりに支払い、経費にできます。勘定科目に考えられるのは、雑費や研修費、出張費、広告宣伝費です。目的に応じて適切な会計処理や仕訳は異なります。今回は証明写真代の勘定科目や仕訳例を紹介します。…
詳しくみる工事未払金の使い方や仕訳、未成工事支出金との関係
建設業会計では、一般の商業簿記で使われる勘定科目とは別に、特殊な勘定科目が使われます。「工事未払金」も、建設業会計で用いられる勘定科目の一種です。工事未払金はどのような場面で使われるのか、未払金、買掛金、未成工事支出金との違い、具体的な仕訳…
詳しくみる現金取引を仕訳例からわかりやすく解説
法人や個人事業主が作成する帳簿書類の中には、「現金出納帳」または「現預金出納帳」と呼ばれる帳簿があります。現金出納帳は、すべての現金取引を記録した帳簿です。事業を行うにあたって、現金の管理はその科目に特化した帳簿を作成しなければならないほど…
詳しくみる