- 更新日 : 2025年12月30日
リース投資資産の仕訳やリース資産との関係を解説
リース取引において、リース期間終了後、貸し手に支配権が戻るリース物件を、「リース投資資産」といいます。リース投資資産の処理は、リース業を行っている会社なら押さえておきたい業務です。本記事では、リース取引の概要からリース投資資産とリース資産の違い、リース投資資産の仕訳まで解説していきます。
目次
リース取引のおさらい
リース取引とは、リース物件の貸し手が借り手と契約を結び、契約期間(リース期間)の間、借り手が対象の物件を使用する権利、また使用による利益を得る権利を有する取引をいいます。一般的にリース取引は、所有する物件から行うのではなく、顧客からの注文を受けて、リース会社が顧客の代わりに販売会社から物件を取得し、顧客に貸し出します。
リース取引については、リース会計基準が定められており、取引の内容によって会計処理が変わってくる点に注意しなければなりません。リース取引は、以下の図のように、「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティング・リース取引」に区分され、さらにファイナンス・リース取引は、「所有権移転ファイナンス・リース取引」と「所有権移転外ファイナンス・リース取引」に分かれます。それぞれの取引について説明していきましょう。

- ファイナンス・リース取引
ファイナンス・リース取引は、「フルペイアウト」と「解約不能」の2つの条件を満たす取引をいいます。フルペイアウトとは、物件を取得した場合と同じように、物件の使用により実質的に利益を享受し、物件の使用にかかるコストを負担。実際に物件を購入したのとほとんど同じ効果があるような状態をいいます。解約不能とは、リース期間の間、原則的に解約できない状態のことです。
- 所有権移転ファイナンス・リース取引
リース期間終了後に、借り手に所有権が移るようなファイナンス・リース取引、または借り手用に作られた特別仕様物件のファイナンス・リース取引、リース終了後に割安購入選択権があるファイナンス・リース取引をいいます。
- 所有権移転外ファイナンス・リース取引
所有権移転ファイナンス・リース取引に該当しないファイナンス・リース取引をいいます。
- オペレーティング・リース取引
購入するよりも大幅に安くリースできるなど、ファイナンス・リース取引に該当しない取引をいいます。
リース投資資産とは
リース投資資産は、リース取引の貸し手であるリース会社に関係のある勘定科目です。リース取引のうち、ファイナンス・リース取引は、所有権は貸し手側にあるものの、会計上は資産の売買と同じ経済実態をもった取引と考えます。
そのため、リース契約が行われたら、将来にわたって回収するリース物件の回収価値を反映すべく、貸し手側は資産として計上します。
このうち、リース投資資産は、所有権移転外ファイナンス・リース取引で使用する勘定科目で、リース期間終了時までに回収を見込む資産の価値(仕訳の方法によっては利息相当額も含む)を表したものです。
リース投資資産とリース資産の違い
リース投資資産と名称の似た勘定科目に、「リース資産」があります。リース投資資産とリース資産は、いずれもリース取引特有の勘定科目です。違いは、“誰”視点のリース取引かということになります。
リース投資資産は、前述したように、所有権移転外ファイナンス・リース取引の貸し手側のリース取引に関わる勘定科目です。
一方、リース資産は、貸し手ではなく、リース物件の借り手の仕訳で使用します。所有権移転ファイナンス・リース取引、所有権移転外ファイナンス・リース取引、いずれのリース取引でも使用される勘定科目です。
リース投資資産の会計処理の方法
リース投資資産に関わる、リース物件貸し手側の所有権移転外ファイナンス・リース取引の会計処理の方法には、以下の3つの方法があります。
- 開始時に売上高と売上原価を全額計上する方法
- 受け取りの都度、売上高と売上原価を計上する方法
- 利息相当額を各期に配分する方法
3つの仕訳方法に関連して、リース投資資産の利息の計算で用いられる「利息法」は、割引現在価値(将来の価値を現在に置き換えたらどのくらいか)を考慮した計算方法です。利息法による計算方法と仕訳例の利息額については、各仕訳方法の下の参考部分に、計算式と一緒に掲載していますのであわせて確認してください。
1.開始時に売上高と売上原価を全額計上する方法
取引開始日の仕訳例
原価25万円のリース物件のリースを開始した。リース料は、年1回後払いの5回払いで1回6万円(リース料総額30万円)である。
リース料受取時の仕訳例
1回目のリース料6万円を現金で受け取った。
リース開始日に売上高と売上原価を全額計上する方法では、リース料総額を「リース投資資産」として資産計上します。リース料受取時は、回収を完了したという意味でリース投資資産の回収分を減額します。なお、この方法によると、利息を含む全額を開始時に計上することから、決算時に未経過期間に対応する利息相当分の繰延処理が必要です。
【参考】リース料の決算処理
上記4月1日リース開始、毎年3月31日リース料支払いのリース投資資産について、決算にともなう繰延処理を行う。(当社の会計期間は毎年4月1日~翌年3月31日である。)
2年目以降の利息分合計額を繰延処理
(※利息額は下の「利息法による利息の計算表」を参考)
2年目に帰属する利益を計上する処理
繰延処理している分から2年目に回収した利息分を減額
(※利息額は下の「利息法による利息の計算表」を参考)
2.受け取りの都度、売上高と売上原価を計上する方法
取引開始日の仕訳例
原価25万円のリース物件のリースを開始した。リース料は、年1回後払いの5回払いで1回6万円(リース料総額30万円)である。
リース料受取時の仕訳例
1回目のリース料6万円を現金で受け取った。
リース開始時は、リース物件の原価を「リース投資資産」に計上し、リース料受取時に売上原価と振り替える処理を行います。1回目のリース料受取時に売上原価に計上するのは、利息法により計算した1回目の元本回収分です。(※元本回収分は下の「利息法による利息の計算表」を参考)
3.利息相当額を各期に配分する方法
取引開始日の仕訳例
原価25万円のリース物件のリースを開始した。リース料は、年1回後払いの5回払いで1回6万円(リース料総額30万円)である。
リース料受取時の仕訳例
1回目のリース料6万円を現金で受け取った。
リース開始時は、リース物件の原価を「リース投資資産」に計上。リース料受取時に、利息法により計算した利息分を受取利息に計上し、元本回収分をリース投資資産より減額します。(※元本回収分と利息分は下の「利息法による利息の計算表」を参考)
※参考(利息法による利息の計算表)
仕訳例の数値から利息法の計算に必要な利率を求める計算式
r=利息法で用いる利率
リース投資資産はリース取引貸し手の勘定科目
リース投資資産は、リース取引の貸し手(リース会社)の仕訳で必要な勘定科目で、所有権移転外ファイナンス・リース取引のときに使われます。借り手が使用するリース資産とは、別の勘定科目です。リース投資資産の仕訳には3パターンありますので、仕訳の考え方だけでも押さえておきましょう。
【期間限定】会計ソフト移行で最大70万円ポイント還元!
オンプレミス型・インストール型をご利用の企業様へ。 移行作業をプロに任せる「導入支援サービス(サクセスプラン)」の費用相当額が、最大70万円分ポイント還元されるお得なキャンペーンを実施中です。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料を紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
電子帳簿保存法 徹底解説(2025/10 最新版)
電子帳簿保存法は、1998年の制定以降、これまでに何度も改正を重ねてきました。特に直近数年は大きな改正が続いた上に、現在も国税庁による一問一答の追加・改定が続いており、常に最新情報の把握が必要です。
70P以上にわたるボリュームであることから、ダウンロードいただいた方から大好評をいただいている1冊です。
インボイス制度 徹底解説(2024/10 最新版)
インボイス制度は施行後もさまざまな実務論点が浮上し、国税庁によるQ&Aの追加・改訂が続いています。これを受けて、「結局どうすればいいのか、わからなくなってしまった」という疑問の声も多く聞かれるようになりました。
そこで、インボイス制度を改めて整理し、実務上の落とし穴や対応のヒントまで網羅的に解説した最新資料を作成しました。問題なく制度対応できているかの確認や、新人社員向けの教育用など、様々な用途にご活用いただける充実の資料です。
マネーフォワード クラウド会計Plus サービス資料
マネーフォワード クラウド会計Plusは、データの自動取得、自動仕訳、自動学習の3つの自動化で経理業務が効率化できる会計ソフトです。
仕訳承認フローや業務分担にあわせた詳細な権限設定が可能で、内部統制を強化したい企業におすすめです。
マネーフォワード クラウド経費 サービス資料
マネーフォワード クラウド経費を利用すると、申請者も承認者も経費精算処理の時間が削減でき、ペーパーレスでテレワークも可能に。
経理業務はチェック業務や仕訳連携・振込業務の効率化が実現でき、一連の流れがリモートで運用できます。
よくある質問
リース投資資産とは?
所有権移転外ファイナンス・リース取引の貸し手の仕訳で使用する勘定科目で、将来にわたり回収するリース物件の回収価値を表します。詳しくはこちらをご覧ください。
リース投資資産とリース資産の違いは?
リース取引において、リース投資資産は貸し手側、リース資産は借り手側が使用する勘定科目になります。 詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
リース取引の関連記事
新着記事
- # 会計・経理業務
請求書支払いの効率化はどう進める?手順と自動化のポイントを解説
請求書支払いの効率化はどう進める? 請求書支払いの効率化は、業務フローの標準化とシステムによる自動化の組み合わせで実現できます。 受領形式をPDF等の電子データに統一 AI-OCR…
詳しくみる - # 会計・経理業務
請求書を一括で振込できる?マナーや手数料の負担、効率化の手順を解説
請求書を一括で振込できる? 同一取引先への複数請求書は、事前に合意があれば合算して一括で振り込めます。 内訳を明記した支払通知書の送付がマナー 振込先口座が異なる場合は個別対応が原…
詳しくみる - # 会計・経理業務
振込代行サービスとは?比較ポイントや手数料を安く抑える方法を解説
振込代行サービスとは? 企業の送金業務を外部へ委託し、手数料削減と経理業務の効率化を同時に実現する仕組みです。 大口契約の活用により手数料を半額以下に CSV連携で入力業務をなくし…
詳しくみる - # 会計・経理業務
振込代行サービスのセキュリティは安全?仕組みや管理方法を解説
振込代行のセキュリティは安全? 銀行同等の暗号化と法的な保全措置により極めて安全です。 全通信をSSL暗号化し盗聴・改ざんを防止 倒産時も信託保全で預かり金を全額保護 社内でも権限…
詳しくみる - # 会計・経理業務
振込手数料を削減するには?法人のコスト対策と見直し術を解説
振込手数料を削減するには? 振込手数料の削減には、ネット銀行への移行や振込代行サービスの活用が最も効果的です。 ネット銀行活用で窓口より約30〜50%のコスト削減が可能 同行宛口座…
詳しくみる - # 会計・経理業務
振込作業を効率化するには?経理の支払い業務をラクにする方法
振込作業を効率化するには? 銀行APIや全銀データを活用し、会計ソフトと銀行口座をシステム接続することで実現します。 API連携で手入力とログインの手間を削減 AI-OCRで請求書…
詳しくみる
会計の注目テーマ
- 損益分岐点
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 決算報告書
- 財務分析
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理の仕事
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 勘定科目 交際費
- 法人の節税
- 法人税 節税
- 給付金
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 原価計算 棚卸資産評価
- 勘定科目 引当金
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 仕訳 仮勘定
- 仕訳 のれん
- 一括償却資産
- 工具器具備品
- 勘定科目 地代家賃
- リース取引
- 中小企業 業務課題
- 税理士
- 原価計算
- 軽減税率
- 簡易課税
- 法人税申告
- 税務調査
- 貸倒引当金
- 売掛金 会計処理
- 電子帳簿保存法
- 粉飾決算
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 会計ソフト 運用
- 利益
- 経理 効率化
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 勘定科目 負債
- 予算管理
- 勘定科目 流動資産
- 棚卸
- 資金繰り
- 会計システム
- 原価計算 売上原価
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店 経理
- 電子帳簿保存法 保存要件
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支計算書
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 仕訳 固定資産
- 消費税
- 借地権
- 役員報酬
- 中小企業
- 勘定科目 損害
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 仕訳 金融商品
- 決算
- 預金
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 仕訳 仕入
- 経費精算
- 経費精算 領収書
- 勘定科目 資産
- 原価計算 原価率
- 電子帳簿保存法 対応
- 電子帳簿保存法 対応 ケース別
- 減価償却 機械 設備
- 勘定科目 旅費交通費
- 旅費交通費
- 減価償却 少額資産
- 勘定科目 資本
- 小口現金
- 電子取引
- 勘定科目 固定資産 車両
- 個人事業主 経費 固定資産
- 勘定科目 固定資産 PC
- 勘定科目 固定資産 建物
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 連結納税
- 勘定科目 保険料
- 督促状
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- M&A 資本政策
- 決算公告
- 決算業務
- スキャナ保存
- 仕訳 経費
- 経費精算 効率化
- 債権
- 電子記録債権
- 売掛金回収
- 口座振替
- 確定申告 法人
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 決済代行
- 財務会計
- 小切手
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- 消費税 会計処理
- ファクタリング
- 償却資産
- 会計基準
- 法人税 関連税





