- 更新日 : 2024年8月8日
軽減税率の対象品目には何がある?事業者や経理が知っておくべき知識
2019年10月より消費税率が引き上げられ、10%となりました。一方で軽減税率制度の導入により、食品など一部のものは8%の税率となっています。
目次
軽減税率の目的とは

「外食は10%で、持ち帰りは8%」のように、軽減税率制度が複雑でわかりにくいという意見もありますが、軽減税率制度の本来の目的は“日々の生活における負担を減らすため”です。よって消費者が生活に最低限必要な物については、消費税率が据え置かれます。
ただ、事業者にとっては軽減税率に対応すべき作業が負担になっている場合が多いように感じます。
軽減税率の対象品目を知る
具体的に必要な手続きについてお伝えする前に、軽減税率の対象とされている品目についておさらいしましょう。
酒類・外食を除く飲食料品
人の飲用または食用に供される飲食料品です。酒類、外食やケータリング、医薬品等は、軽減税率の対象品目に含まれません。
<軽減税率対象の飲食料品>
- 飲食料品
- テイクアウト・宅配など、自宅での食事とわかるもの
- 有料老人ホームでの飲食料品、学校給食など
- 一定の要件を満たした一体資産(詳しくは後述)
<軽減税率の対象にならないケース>
- 酒類
- 外食やケータリング、出張料理など
- 薬類(医薬品・医薬部外品)
週2回以上発行される新聞
「政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する新聞」で、週2回以上発行されており、定期購読契約されたものが当てはまります。
引用:消費税法 附則(平成二八年三月三一日法律第一五号)抄 第三十四条 34①二
- 政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載している
- 週2回以上発行している
- 定期購読契約されている
一体資産(おもちゃ付きのお菓子など)
一体資産とは、例えばおもちゃが付いている食品のように、食品と食品以外がセットになっている商品のことです。軽減税率の対象となるのは、一体資産のうち、“税抜き価格が1万円以下”かつ、“食品部分の価格の割合が全体価格の2/3以上”の場合です。
- 税抜き価格が1万円以下
- 価格のうち、食品部分の価格の割合が2/3以上
知っておきたい消費税の区分経理

ここからは消費税の軽減税率制度が導入されることに伴い、具体的に変更される実務の内容についてお伝えします。記帳方法に大きな変更がありますので、経理に関わる人は知っておく必要がある知識です。
区分記載請求書が導入される
2019年10月から2023年9月30日までの期間は、これまでの「請求書等保存方式」を維持しつつ、区分経理処理に対応するための措置として「区分記載請求書」が導入されます。課税事業者・免税事業者にかかわらず、軽減税率対象品目の売上が発生する場合は発行の準備が必要です。
記載事項の追加
今までの「請求書等保存方式」との違いは、請求書や納品書、レシートなどの取引の事実を証明する書類に、
- 軽減税率の対象品目である旨(「※」印等をつけることにより明記)
- 税率ごとに区分して合計した対価の額(税込)
を追加して記載することが必要になります。
- 発行者の氏名また名称
- 取引年月日
- 取引の内容
- 受領者の氏名また名称
- (追加)軽減税率の対象品目である旨
- (追加)税率ごとに区分して合計した対価の額

税額の計算方法については、従来の計算方法より変更はありません。
なお「区分記載請求書等保存方式」は2023年9月30日で終了し、同年10月1日からは「適格請求書等保存方式」が導入されます。
2023年10月からは適格請求書等保存方式(インボイス制度)へ統一
2023年10月からは「適格請求書保存方式」が仕入税額控除の要件となります。
適格請求書とは、「売手から買手に対して正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」であり、一定の記載事項が追加された請求書や納品書その他これらに類する書類を指します。
引用:令和5年10月からインボイス制度が開始!事業者が進めておきたい準備とは?|政府広報オンライン
「適格請求書等保存方式」が導入されると、適格請求書発行事業者でない事業者は「適格請求書」を発行することができなくなります。
適格請求書発行事業者となるためには税務署長の登録が必要ですが、課税事業者でないと登録を受けることができません。免税事業者である場合は今後の対策が異なります。
課税事業者の場合
(1)適格請求書発行事業者の登録申請
まずは適格請求書発行事業者の登録を行う必要があります。「適格請求書等保存方式」の導入と同時に適格請求書を発行する場合は、2021年10月1日から2023年9月30日までに申請を済ませておく必要があります。
(2)適格請求書の発行準備に伴うフォーマットの作成
適格請求書の様式は法令または通達等で定められていませんが、適格請求書として必要な事項が記載された書類を準備する必要があります。
- 適格請求書発行事業者の氏名または名称
- 適格請求書発行事業者の登録番号
- 取引年月日
- 取引の内容
- 軽減税率の対象品目である旨(「※」印等をつけることにより明記)
- 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きまたは税込み)および適用税率
- 税率ごとの消費税額等
- 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

引用:インボイス制度の概要|国税庁、「(令和4年7月)適格請求書等保存方式の概要-インボイス制度の理解のために-」P.6
免税事業者の場合
免税事業者は適格請求書を発行できませんが、今後は取引先から「適格請求書」の発行を求められる機会が増えてくるかもしれません。今後のことを見据えて、適格請求書発行事業者になることを検討しておくとよいかもしれません。
軽減税率に対応しておかないと困ること

ここまで軽減税率の導入により変更となる点についてお伝えしてきましたが、もし軽減税率に対応していなかった場合に想定されることについても考えておきましょう。
仕入税額控除が認められない
軽減税率制度の導入により、仕入税額控除の要件も変更されています。今までは帳簿および請求書等の保存が要件となっていましたが、2023年10月1日までは帳簿および「区分記載請求書等の保存」が要件となります。2023年10月1日以降については、帳簿および「適格請求書等の保存」が要件となります。
仕入税額控除の要件が変更されたことに伴い、請求書の様式も変更していく必要があります。先述したとおり請求書には、軽減税率の対象品目である旨や、税率ごとに区分して合計した、課税資産の対価の額(税込み)も記載する必要がありますので、変更点については確認しておきましょう。
現場での対応に追われる恐れがある
2023年9月30日までは「請求書等保存方式」を維持しつつ、「区分記載請求書」が導入されていますが、消費者から税率の区分請求があった場合は、現場で修正が必要になります。
また、2023年10月1日からは「適格請求書」の発行を求められます。※課税事業者の場合
インボイス制度導入後に、現場の仕事が増えるかもしれないと考えると、早急に対応をしておくことが得策かもしれません。
消費税に関する新制度・適格請求書等保存方式への対応を進めよう
軽減税率制度の導入により、軽減税率対象品目の販売有無にかかわらず、日本国内の全ての企業が影響を受けました。
また、2023年10月1日に導入される「適格請求書等保存方式」についても企業は大きな影響を受けます。社内で知識の共有をしておくことが必要です。
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よくある質問
軽減税率の目的とは?
“日々の生活における負担を減らすため”です。詳しくはこちらをご覧ください。
軽減税率の対象品目は?
酒類・外食を除く飲食料品、週2回以上発行される新聞、おもちゃ付きのお菓子などの一体資産などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
「適格請求書等保存方式」が導入されるとどうなる?
適格請求書発行事業者でない事業者は「適格請求書」を発行することができなくなります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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