飲食業以外の事業者も確認すべき「軽減税率の3つのポイント」

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軽減税率導入まで約1カ月となりました。軽減税率8%の対象が主に「飲食料品」ということもあり、飲食店やスーパー、コンビニなどが対応に追われているイメージがあります。しかし、それ以外の事業者においても軽減税率の影響は出てきます。

今回は、飲食店等に限らず全ての業種に共通して必ず確認しておきたいポイントを紹介します。(執筆者:税理士 山口玉美)

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自社方針の決定と現場の整備

自社方針の決定と現場スタッフの教育

世界の紅茶を扱う雑貨屋さん、のど飴を扱う保険調剤薬局、経口補水液を扱う病院など、主たる商品が飲食料品ではないけども若干飲食料品を扱っているといった業種は多々あります。

飲食店やコンビニ以外の業種においても、軽減税率対象商品を扱うお店は現場スタッフに軽減税率の知識やレジシステムの入力方法などを伝え、間違えのない対応をしてもらうための教育が必要になります。

全体の売上に対し、軽減税率対象商品がどの程度の割合を占めているかにもよりますが、スタッフへの教育コストと売上を天秤にかけ、飲食料品の扱いを取りやめるという選択肢も出てくるかもしれません。

会計ソフトの設定の見直し

飲食料品を扱わない事業においても、経費として会議用や職員福利厚生用にお弁当やお茶を購入したり、得意先へ手土産を持参したりすることもあるでしょう。そういったケースを考えると、ほとんどの事業者が軽減税率の何らかの対応が必要になるでしょう。

2019年10月の消費税率引き上げ後は、経理処理が煩雑になりミスが多発する可能性が考えられるので、会計ソフトの設定を事前に確認しておくことも重要です。

例えば、飲食料品などを「課税仕入れ」として、消費税の税区分を会計ソフトに入力する事業者は、同じ8%だとしても、消費税引き上げ前の8%と、引き上げ後の軽減税率8%とを区別する必要があるので注意しましょう。

飲食料品や定期購読の新聞に該当する費用の勘定科目(例:会議費、新聞図書費など)について10月以降は自動的に軽減税率の8%になるように設定ができればスムーズです。そうできない会計ソフトの場合は、引き上げ後すぐに消費税の課税区分設定を変更するなどの対応が必要になります。

請求書の追記事項と補助金のチェック

「区分記載請求書等保存方式」の追記事項を確認

軽減税率と同時に、2019年10月1日より「区分記載請求書等保存方式」が導入されます。これまでの請求書と何が変わるか簡単に説明すると、請求書の記載事項が新たに2点追加されるというものです。

これは、2023年10月から実施される「適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)」までの猶予措置のようなものです。新たに記載しなければならない事項は以下のとおりです。

  
<請求書・領収書・レシートなどの追記事項>
・課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨
・税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込み)

(例)「8%」 「※(※は軽減税率対象品目として示すことを別途記載する)”」など。税率ごとに区分した税抜価額の合計額及び消費税額等を記載しても差し支えありません。


※画像は政府広報オンライン「消費税の軽減税率制度」より引用

<帳簿の追記事項>
・課税仕入れが軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨

軽減税率対策補助金を受けられないか確認

請求書の記載事項が不十分な場合、請求書などの交付を受けた事業者による追記も認められます。

しかし、レシートに記載された商品名が軽減税率の対象となるものかどうか判断できない場合、購入してレシートを受け取った相手方において仕入税額控除の要件を満たさない、すなわち仕入税額控除が認められなくなるリスクが生じてしまいます。

<仕入税額控除とは>
消費税がかかる経費で、消費税の申告の際に控除できる金額

よって、そのようなレジシステムを利用している事業者については、複数税率対応レジへの改修を検討せざるを得ません。

今使っているレジが複数税率に対応できないなど一定の要件を満たした場合、レジ1台あたり20万円、導入・改修費用の原則3/4を限度として軽減税率対策補助金の支援を受けることができますが、新しいレジ等を導入または改修を終え支払を完了する期間が2019年9月30日までとなっているので注意しましょう(補助金交付申請受付期間は2019年12月16日まで)。

実際には自己申請よりもレジのベンダーやリース会社の方で代理申請をしてもらえるケースが多いと思いますので、まずはそれらの会社に相談するのも良いと思います。

>>軽減税率対策補助金の対象者や申請期限の確認はこちらから

「簡易課税制度の選択」の検討

軽減税率導入と同時に、中小事業者のみ、消費税額の計算についていくつかの特例が設けられています。

その中でもとりわけ事前に検討すべきなのは簡易課税制度の選択です。簡易課税制度とは、消費税の仕入税額控除の計算を原則課税よりも簡易に行える制度です。

通常であれば課税期間開始の日の前日までに簡易課税選択届出書を提出しなければなりませんが、2019年10月1日~2020年9月30日までの日の属する課税期間については「提出したその課税期間から簡易課税の適用ができる」という特例措置が置かれています。

適用の条件として、複数税率の仕入税額控除を10%と8%に振り分けるのが困難な場合に限られますが、処理の煩雑化を考えれば簡易課税の方が良いという事業者もいらっしゃると思います。基準期間となる2期前(法人)または2年前(個人)の事業年度の課税売上高が1,000万円超~5,000万円以下で、次の消費税申告は原則課税の予定という事業者は検討する余地があるでしょう。

まとめ

今回は、軽減税率制度について飲食業以外の事業に携わる方にも影響することについて紹介しました。複数税率の導入に伴って業務が煩雑となることは否めないですが、事前に必要な対策を講じ、スムーズな経営につなげましょう。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:山口 玉美(税理士)

山口玉美税理士事務所Tama Tax Tokyo所長
イレギュラーな案件ほど燃えるブロガー税理士。
医療関係を専門とし、M&A・税務調査・相続などのスポット案件を受注する傍ら、米国の専門家と連携して居住外国人や海外展開における税務支援を行う。東京保険医協会サポートセンター・中小企業庁ミラサポ専門家派遣の登録専門家を務める。
ブログ:Tama Tax Tokyoはてな支店

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