納税額も変わる? 税理士によってサポート内容は“ここまで違う”

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社長の中には、「税理士は誰に頼んでも同じじゃないの?」と思っている方がいるようです。結論から言いますと「税理士が違うとまったく違う結果になる」ことがあります。その違いが小さな差であれば、気にする必要はありませんが、時に大きな“金額の差”になることも……。年商規模が大きくなればなるほど、この差は広がっていく傾向にあります。

今回は、一口に税理士といっても、それぞれの知識や経験、仕事に対する姿勢によってサポート内容は“ここまで違う”というお話をします。(執筆者:タックスコム代表取締役 山下健一)

「税理士は誰でも同じ」ではありません

具体的にどのような差が生まれるのかと言うと、主に次の4つが挙げられます。

税務調査の結果が変わる


裁判に例えて説明しましょう。あなたが裁判所に立っている被告人とした場合、法廷であなたを守ってくれるのは弁護士です。これと同じように、あなたが税務調査の対象になった時に守ってくれるのが税理士です。そして、裁判で被告人を理論的に追い詰めていくのが検事だとすれば、税務調査では税務署側の調査官がそれに該当します。

つまり、税務調査とは過去の申告でミスがないかを理論的に追い詰めてくる税務調査官と税理士との闘いと言えます。

裁判では、弁護士と検事の力量の差によって判決が変わることは珍しいことではありません。税務調査でも同様のことが起こります。税務調査でしっかりあなたを守ってくれる税理士は、過去の税務調査での判例を把握した上で対応してくれます。しかし、自らのアドバイスで行った処理にも関わらず、調査では何も弁護してくれない、調査官の言いなりになる税理士もいます。

また、調査官は営業マンと同じように、徴収できた罰金が多いほど社内の人事評価につながります。つまり、多く罰金をとれそうな企業から調査に入ることになりますが、その時に税理士がきちんと弁護しないと結果は大きく変わることになるでしょう。

少し脱線しますが、「税務調査が入るのは売上が大きい会社だけだろう」という声を聞くことがありますが、そうとも限りません。最近では年商1,000万円程度の個人事業主にも調査が入ることがあります。

以前、過去数年に渡り税務申告をしていなかった個人事業主に税務調査が入り、何年間もさかのぼって多額の罰金を科せられた方からお問い合わせをいただいたこともあります。そうなっては手遅れに近い状態です。追徴課税を払えない場合は個人の資産を差し押さえられますし、分割払いにしても全額を払い終わらない本税に対してどんどん延滞税が加算され、永遠と思えるほど税金を払い続けることになります。個人事業主でも、税理士に目を通してもらうなどの対策は有効です。

納税額が変わる


節税対策は、全部で20パターン程度あると言われています。しっかりした税理士であれば、あなたの状況に合わせて適切なタイミングで適切な組み合わせを提案してくれます。

会計は、発生ベース(入金・出金ではなく請求書を発行したタイミングが計上タイミング)が基本となるため、社長の頭の中と実際の納税額にずれが生じることが多々あります。請求書を出したばかりでまだ入金されていなくても、それは売上になります。

税理士にその説明さえしてもらっていない社長だと、「なぜ手元にお金がないのに、こんなに納税額が発生するんだ?」となり、認識の不一致が生じてしまいます。このように、売上一つとっても計上のタイミングで納税額が変わるように、その他でも同様のことが言えます。

決算対策、納税対策とは、本来決算月の3カ月前から社長と税理士の双方が状況をすり合わせしながら行うものであって、決算月が過ぎてしまっては何もできません。

昨年と比べて、残り3カ月の売上はどのように推移するのか? 利益はどの程度になりそうか? 当てはまりそうな節税パターンは何通りあって、それによって納税額はどの程度になるのか? 納税額が足りない場合は資金調達の必要性もあるのではないか?

こういったシミュレーションを一通り行い、申告時にあたふたしないように対策を行える税理士と、決算月ではなく2カ月後の申告月に決算書と納付書が送ってくるだけ……という税理士では、納税額が大きく変わるのは間違いありません。

経費にできるものが変わる


もし、どの税理士に頼んでも結果が同じだとしたら、「この領収書は経費にできますか?」という質問に対して、どの税理士も答えは同じはずです。しかし、実際は違います。経費にできるという先生もいれば、ダメですという先生もいます。なぜ、このようなことが起こるのかと言うと2つの要素が関係しています。

まずは先生の「知識と経験」。ベテランの先生であれば、税務調査でどの程度までなら大丈夫というリスクも見た上で回答できますが、あまり経験がない先生は手堅く「ノー」とするケースが多いです。

もう一つは、先生が「守るタイプ」か、それとも「攻めるタイプ」か。税務調査で指摘されないためになるべくクリーンにしておきたい先生と、手間がかかっても合法の範囲内であれば節税などに手を尽くしたい先生がいます。人によって“良い先生”は違うことが分かりますね。先生のこの2つの要素から、経費にできるものは変わってきます。

コミュニケーションの取り方が変わる


税務相談も、結局は“人”が対応する仕事なので、相手によって相談しやすい、しづらいという違いが生まれます。相談しやすい税理士としづらい税理士、どちらに顧問をお願いしても、結果は同じになるでしょうか?

相談しやすい先生なら小さな疑問も訊けるので、洗いざらい相談して、自分では見えていなかった税務・財務のリスクを教えてもらった上で経営判断を下すことになります。

相談しづらい先生からも、同じ回答を引き出すことができるでしょうか? もしできたとしても、大きなストレスを感じることになるでしょう。そのストレスが原因で、質問や相談をセーブしてしまうかもしれませんし、コミュニケーションが浅いと引き出せる情報量も少なくなるでしょう。

社長というのは、誰にも言えない不安や悩み、迷い、ストレスを抱えながら日々取り組んでいます。それは私も同じなのでよく分かります。そんな中でも、事業の内容や今後やりたいことを理解してもらった上で、お金の相談をできる相手がいるのといないのでは、心理的な面で大きな差が生まれるでしょう。

また、「こういう場合はどうなるんだろう?」と一人で悩んで答えが出ないことでも、親身に相談に乗ってもらえる税理士がいたら、頭の中がクリーンになって迷いが減り、本業に集中することができます。

税理士の知識、経験、姿勢をベースに考えよう


説明してきたとおり、税理士によって知識と経験には差がありますし、攻めるタイプか守るタイプかによってサポート態勢も違うため、顧客に提案する内容や経費にできるもの、決算対策、節税対策はそれぞれ異なりますし、それによって納税額も変わります。

ただし、どんなに知識と経験が豊富であっても、あなたと円滑にコミュニケーションが取れる税理士でなければ、うまくワークはしないでしょう。そして、その後の税務調査でも、事前準備や弁護する税理士のスキルやマインドによって結果が変わります。

このように、税理士の知識、経験、姿勢をベースに「税務調査の結果」「納税額」「経費にできるもの」「コミュニケーションの取り方」の一つ一つが密接に関係しています。税理士と言ってもサポート内容は千差万別。ぜひ慎重に選びたいですね。

山下健一氏の執筆記事一覧

■2018年12月13日掲載:
 “良い税理士”を見極めるたった一つのポイント 「近所」「紹介」の落とし穴も

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:山下 健一(やました けんいち)

株式会社タックスコム 代表取締役 / 社団法人 日本税理士紹介協議会 理事長

会計の実務経験を活かし、税理士紹介サービスを提供中。10年で1万件以上の相談実績がある。執筆した書籍『税理士に顧問料を払う本当の理由』は、発売から1年以上経過した今でもAmazonカテゴリ「税理士」で上位をキープ。

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